GtoCが今後普及する理由とGtoCシステム構築の3つのポイント

取引の関係性を表す言葉で「BtoC」や「BtoB」はよく耳にしますが「GtoC(ジートゥーシー)」という言葉はあまり聞いたことがないのではないでしょうか?

ここで表す「G」はGovernmentで政府・自治体を指しますので、GtoCとは「政府(自治体)から一般消費者」にモノやサービスを提供することです。例えば「ふるさと納税」がGtoCに該当します。

GtoCとは、政府や自治体が私たち一般消費者(住民)の申請に対してインターネットを通じてサービスを提供するものです。

今までは、手続きのために区役所や市役所に足を運んで、窓口で手続きを行っていましたが、GtoCが普及することでオンラインサービスでの手続きができるようになります。GtoCが進むと、生活が便利になるだけでなく、国全体の大幅な経費削減につなげることが可能となります。

本日は、GtoCの事例とGtoCのシステム構築時のポイントをインターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が詳しく解説いたします。

GtoCが注目されている背景は「デジタルファースト法」が施行されたこと!

GtoCが注目されている背景は、遡ると2019年5月に行政手続きを原則、電子申請に統一する「デジタルファースト法」が国会で可決され成立したことに発します(デジタル手続き法とも呼ばれます)。

デジタルファースト法とは、日常生活の例を挙げると、引っ越しに伴う「住民票の移転手続き」「ガスや水道の契約変更」インターネットから全ての手続きを可能とし、また今後は相続・死亡の申請もインターネット上で完結できることを目指す法律です。

つまり、目的はIT技術を利用し行政サービスの簡素化、効率化を進めることであり、国、地方公共団体、民間事業者、国民その他の者があらゆる活動において情報通信技術の便益を享受できる社会の実現を目指したものであります。

参考:「デジタル手続法(令和元年5月31日公布)の概要」(内閣官房)

国は自治体に対し、このような行政手続きを原則デジタルで行うように努力義務を課したものが、この法律の骨子となっています。

また消費者向けだけでなく、GtoB(Government to Business)という事業者向けの手続きに対しても各省庁は、デジタルファースト法に基づき各種届け出をオンライン化する検討が始まっています。例えば法人の開業に伴う申請や食品衛生責任者の申請などもオンライン化が検討されています。

この法案の施行により、各自治体がIT技術やECサイトを利用したサービスを普及させることが見込まれるため、GtoCという形が注目されているのです。

さらに、2021年9月にはデジタル庁が発足し、行政DX(デジタルトランスフォーメーション)の司令塔として各省庁・自治体のデジタル化を加速させています。2025年6月には「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定され、GtoC分野のさらなるオンライン化が国策として推進されています。

参考:「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(デジタル庁)

4つのGtoC事例「①ふるさと納税」「②さとふる」「③マイナポータル」「④マイナ免許証とマイナ保険証」

それではここで、GtoCの4つの事例を紹介してまいります。

GtoC事例① 「ふるさと納税」

すでに多くの自治体がインターネット経由でふるさと納税を受け付けており、節税対策で利用者も年々増加傾向です。ふるさと納税は15年ほど前から急速に伸長し、令和6年度には、全国合計約5,879万件で1兆2,728億円の実績となっております。

◆ふるさと納税の市場規模推移

ふるさと納税の市場規模推移(〜R6年度)

出典:「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」総務省ホームページ

ただし、この成長率の伸びはいくつかの自治体が「換金性の高いプリペイドカード」「高額返礼品」を返礼品にしていたため、想定以上の寄付を集めた影響も大きい面があります

参考記事:「泉佐野市、12月も交付税もらえず 多額のふるさと納税で」日本経済新聞

GtoC事例② ふるさと納税のポータルサイト「さとふる」

さとふるトップページ

画像引用元:「さとふる」

事例①と重複しますが、民間が仲介した形のふるさと納税のポータルサイトの「さとふる」の事例を紹介します。ソフトバンクグループが運営する「さとふる」は全国の自治体と提携している、ふるさと納税のポータルサイトです。ソフトバンクグループは民間企業ですが「さとふる」が自治体と納税者を仲介する仕組みとなっております。

「さとふる」で注文が入ると、自治体と地域事業者(返礼品製造者)に同時に注文情報が伝わります。従来の紙やFAXで行っていた煩雑な手続きを、「さとふる」というECサイトを介して自動化しています。これにより自治体も納税者も手続きの簡素化が実現したのです。

このような場(ECサイト)を提供する代わりに「さとふる」は仲介手数料として売上(寄付金)の約1割を得る仕組みになっております。

つまり「さとふる」を介してGtoCが実現しているのです。今後も「さとふる」のようにITやECのノウハウのある企業が自治体と連携したビジネスモデルが増えてくるのは間違いなく、すでに楽天市場やau Wowma!(KDDI)もふるさと納税ビジネスに参加しております。

GtoC事例③ 政府主体の行政手続きポータルサイト「マイナポータル」

画像引用元:マイナポータル

マイナポータルとは、子育てや介護などの行政手続きや行政機関からのお知らせの確認がWebで可能なサイトです。また社会保険料の納付状況の確認、e-Taxなど他のWebサイトとログイン連携も可能になるポータルサイトです。

引越しに伴う転入・転出手続きやパスポート申請のオンライン化も順次対応しています。

マイナポータルの利用には「マイナンバーカード」が必要になります。構想としては、外部サイトでマイナンバーとパスワードを入力しマイナポータルにログイン連携し、本人認証を行うものです。

マイナポータルの普及にはマイナンバーカードの普及が前提ですが、国民にとって手続きの手間や直ちに必要とならないこともあり、以前は普及が進まない状態でした。

しかし、3大通信キャリア各社やイオン、PayPayなどの大手企業の協力によるポイントキャンペーンなど、普及に向けた精力的な取り組みの甲斐もあって、2026年2月時点でマイナンバーカードの保有枚数は全国で1億枚を突破し、保有率は82.7%にまで達しました。

出典:「マイナンバーカード交付状況について」(総務省ホームページ

マイナポータルを活用してできることは急速に拡大しており、2026年1月には大規模なシステム改修が完了し、利便性がさらに向上しました。

今後はオンライン死亡届や出生・子育て関連手続きのオンライン一括申請など、利用率の高いサービスをマイナポータルで実現することにより、マイナポータル及びマイナンバーカードの利用率をさらに高めることが期待されています。

事例④「マイナ免許証」と「マイナ保険証」のデジタル統合

マイナンバーカードの活用範囲はさらに拡大し、これまで別々に管理されていた証明書類のデジタル統合が実現しました。

マイナ保険証(2025年12月〜)

2024年12月の従来型健康保険証の新規発行終了と、その後の1年間の経過措置の終了に伴い、2025年12月から医療機関での受付は原則としてマイナ保険証(または資格確認書)に移行(※)しました。顔認証付きカードリーダーで本人確認が完結する仕組みです。

◆マイナ保険証でできること

・医療機関での本人確認・受付
・過去の薬剤情報・医療費通知の閲覧(同意が必要)
・特定健診情報の閲覧(40歳以上)
・医師への処方履歴の共有(同意が必要)

出典:「マイナンバーカードの健康保険証利用」(デジタル庁

※従来保険証の有効期限満了後、マイナ保険証または資格確認書に移行

マイナ免許証(2025年3月〜)

2025年3月からは、マイナンバーカードと運転免許証を一体化した「マイナ免許証」の運用が始まりました。これにより、引越し時の住所変更を警察署に出向くことなく行えるワンストップ化が実現しています。

◆マイナ免許証のメリット

・引越し時の住所変更が市区町村に届け出るだけで完了(警察署や免許センターでの手続き不要)
・マイナンバーカード1枚で免許証として提示可能
・更新手続きのオンライン化も今後拡大予定

出典:「マイナンバーカードの運転免許証利用」(デジタル庁

このように、マイナンバーカードを起点とした「証明書類のデジタル統合」という新しいGtoCの形が広がっています。携帯している複数枚のカードが1枚に集約されるこの変化は、国民の日常生活を大きく便利にするGtoCの典型例といえます。

政府・自治体がGtoCでオンラインサービスのシステム構築を行うために絶対必要な3つのポイント

各省庁や全国の自治体は、今後「デジタルファースト法」の施行を受けて自治体サービスのオンライン化を検討せざるを得ません。では、GtoCのオンラインサービスを構築するにあたり、どのようなポイントが必要になるのでしょうか?

そこには一般の通販サイトとは異なる、自治体ならではの重要なポイントが3つあります。

◆GtoCのオンラインサービスのシステム構築の3つのポイント

ポイント① マイナポータルとの外部連携
ポイント② 安心性・セキュリティ
ポイント③ システム構築後のカスタマイズ性

ポイント① マイナポータルとの外部連携

自治体のサービスは、通販サイトのようにユーザーが入力した住所と名前で購入商品を届けるビジネスではなく、確実に個人を特定しひも付け申請内容をチェックする必要があります。

またデジタルファースト法の骨子の一つに「ワンスオンリー」という定義があり、ワンスオンリーとは「一度提出した情報は、二度提出することを不要とする」ことにあり、これを実現させる必要があります。

つまり自治体がGtoCのオンラインサービスを構築する場合は、マイナンバー連携ができる「マイナポータル」との連携を検討する必要があるのです。

ポイント② 安心性・セキュリティ

今まで窓口で行っていた手続きがオンラインになると、利用者は24時間365日のサービス提供を期待しますし、アクセスが集中する時間帯であっても安定してサイトを稼働させる必要があります。

例えば、ふるさと納税は通年受付をしていますが、年末に集中(特に大晦日に集中)しますので、ふるさと納税では大量アクセスにも耐えられるシステムが必要です。

また、セキュリティに関しても重要な個人情報を扱う自治体は、ハッカーやウイルスなどの脅威からシステムを防御しないといけません。セキュリティ対策とはサイト構築時に対策をしたら終わりではなく、絶えず最新のセキュリティ対策を行いシステムを更新し続ける必要があります。

そのためGtoCの要件を満たすだけのオンラインシステムの構築だけでなく、セキュリティに関しても信頼がおけるシステムを選定する必要があります。この点は一般の通販の会社も同様に重要ではありますが、特に自治体は個人情報を大量に扱うことから、セキュリティをより強固にしなくてはなりません。

ポイント③ システム構築後のカスタマイズ性

GtoCは、今後本格化するサービス形態であるために、法律の改定やユーザーの要望の拡大など情勢が変わることが前提になります。そのために最初に構築したシステムをベースにして、追加要件に対応が可能なカスタマイズ性があるシステムである必要があります。

「ふるさと納税」のようなECサイトであれば、カスタマイズ可能なクラウドのECシステムをベースにGtoCサイトを構築する

上記3つのポイントを踏まえて「ふるさと納税」のような自治体向けのECサイトをゼロからフルスクラッチのECシステムで作ると、要件を満たすサイトを構築することができますが費用と工数がずいぶんとかかります。

またフルスクラッチのECシステムのデメリットはシステムが陳腐化することにあり、せっかく作ったGtoCのECサイトを構築しても5年程度でシステムを入れ替える可能性もあり、ECシステムのリニューアルは費用面や人的リソースにおいても自治体には大きな負担になります。

一方で、カスタマイズできるクラウドのECシステムをベースにGtoCサイトを構築することで、最初からECサイトの機能が実装されているシステムをベースに構築するため、フルスクラッチに比べて費用と工数を大幅に抑えることができます。
しかも、クラウドシステムは陳腐化することがないので、一度導入すればセキュリティ対策やシステム更新が自動で行われます。

GtoCサイトの構築をご検討の際は、ふるさと納税のシステム導入事例のあるクラウドECシステムのEBISUMARTもご検討ください。

クラウドECシステム「EBISUMART」でふるさと納税サイトの構築・導入

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。