SKU(Stock Keeping Unit)は商品を識別するための最小単位で、商品ごとの色・サイズ・容量といったバリエーションを管理するために用いられます。概念自体はシンプルですが、実務では、販売活動や物流、運用などの複数の業務活動の中で生成される商品関連データとひも付けて、多層的に管理・運用していく必要があるため、SKU管理は複雑化しやすくなります。
SKU数が増えると、データの更新漏れや販売チャネル間での異なる情報の掲載、各部門の保持データにズレなどが生じて、データ運用の質が著しく低下する可能性があります。増え続ける商品関連情報を適切に管理し、データを効果的に運用していくためには、SKUを一元管理して運用を自動化するためのシステムを導入する必要があります。
SKU管理を最適化するためのポイントとして、次の5つが挙げられます。
◆SKU管理を最適化するための5つのポイント
② SKU情報の構造を整理し、主管部門を明確にする
③ SKU情報の運用フローを定義する
④ SKU情報をマスタデータとして管理・運用する
⑤ データのシステム間連携とチャネル配信を自動化する
上記のポイント①~⑤の取り組みを実践してSKU管理の効率性を高めることで、SKU情報の更新漏れやデータの不整合などの発生を防ぐことができます。
この記事では、株式会社インターファクトリーでマーケティングを担当する筆者が、SKU管理の課題と複雑化する背景、最適化のポイントを分かりやすく解説します。
SKUの基本構造
下図は、SKUについての基本的な考え方をイメージした図です。商品管理における最小単位のSKUのコードは、商品ごとの色・サイズ・素材といった属性情報で構成されます。
◆SKUの基本的な考え方(イメージ)
出典:筆者作成
上図のように、同じ商品に対し、色やサイズごとに異なるSKUが付与されます。例えば、グレー・ピンク・イエローの3色をそれぞれS・M・L・XLの4サイズで販売している1つの商品にひも付くSKUは、「3色×4サイズ=12SKU」となります。
このように、SKU数は商品点数と各商品にひも付くその他の商品情報(属性情報)の組み合わせ数によって増減します。
SKU数が爆発的に増える仕組み
近年は「多品種少量生産」が主流となり、アパレル・日用品・食品・家電など多くの業界で、商品のバリエーションが細分化しています。
商品点数と商品ごとのバリエーション(色・サイズ・素材など)が増えるほど、SKU数は指数関数的に増大します。さらに、販売方法(単品販売・セット販売など)や販売チャネルごとに異なる商品情報も属性情報となるため、1つの商品にひも付くSKU数は100以上に及ぶケースもあります。
◆SKU数が増加する理由(イメージ)
出典:筆者作成
図からも分かるように、SKU数が増加する理由として以下が挙げられます。
◆SKU数が増加する理由
・素材や、販売方法・季節性・用途などに応じた属性情報がある
・複数の販売方法(単品販売・セット販売など)を展開している
・複数の販売チャネルごとに異なる商品情報を用意する必要がある
商品情報(基本情報/属性情報)のデータ項目数の多さと、データの主管元が複数にわたる多層構造であることによって、SKU管理は複雑化しています。
SKU管理を複雑にする5つの情報層
SKUを構成する情報は、メーカー・卸・小売などの業種やメイン商材によっても異なりますが、一般には次の5つに分類できます。
◆SKUを構成する5つの情報層
出典:筆者作成
SKUのコードは主に上図の①~⑤層の情報で構成されています。
上図では、各層を「SKUが持つ情報を使用する部門」という観点で区分・命名しており、①~③層は制作・販売部門が主に使用し、④⑤層は、物流・倉庫・購買・経理・法務などの複数部門が使用します。
◆SKUの5つの情報層ごとの属性項目
② 販売チャネル層 => 販売チャネルごとに異なる商品情報(価格・表記など)
③ 商品情報層 => 名称・説明文・画像・動画・キーワードなどの商品情報
④ 物流・在庫層 => 倉庫管理システム(WMS)のSKU・ロット情報・倉庫のロケーション情報・入出庫情報など
⑤ 内部運用層 => 仕入先・原価・仕入価格・リードタイム・法定情報・ステータスなど
このように、SKUには多層的な複数の情報が含まれるため、各層の属性項目が増えるごとに管理が複雑化していきます。
SKUが持つ情報をすべての部門で正しく管理・共有されていないと、例えば「販売チャネルによって異なる価格や古い情報を表示してしまった」「倉庫には商品がないのに店舗で注文を受け付けてしまった」といったトラブルの発生リスクが高まります。
複数部門で使用する膨大なSKUを担当者が手作業で管理し続けることは不可能ですから、SKUを適切かつ正確に一元管理し、関係者全員で情報を効率的に共有するためのデジタル基盤の構築が不可欠になります。
SKU管理における7つの課題
商品のバリエーションが増えるほどSKU数も増加し、データの更新・反映・連携で細かい作業が多発します。前項で説明したようにSKUは多層構造のコードなので、複数の情報の中で1つでも不整合が生じると、運用上のトラブルに発展します。
ここでは、SKU管理で生じる7つの課題について解説します。
課題① 情報の更新遅れや反映漏れが発生する
SKUごとに必要な情報(価格・仕様・在庫・画像など)が複数のシステムに散在している場合、データの更新が遅れや一部の販売チャネルで反映されないといった問題が起こります。
ECモールを運営している場合には、価格改定や商品情報の更新規定を順守できないと、掲載停止やペナルティが発生する可能性があります。
課題② 販売チャネルごとに異なる商品情報を管理するため業務負荷が高くなる
ECモールごとに掲載できる商品情報の仕様が異なります。例えば、Amazonでは画像規定が厳しく、楽天では商品名の情報量と文字数ルールが独自に定められています。そのため、1つのSKUに対して複数の画像仕様・禁止ワード・項目定義といった「チャネル別の仕様情報」を管理・運用しなければならず、データの管理/配信業務の負荷が高くなります。
チャネルごとに異なる商品情報を正しく管理・運用していかなければ、販売チャネル間での商品情報の不一致や画像の取り違え、禁止ワードの誤表示などが起こりやすく、ECモールの審査落ちや掲載停止などのリスクが高まります。
課題③ SKU定義の“ゆれ”や重複登録が起きる
SKU数が多い小売企業やD2C企業では、特に問題となる課題の1つで、SKUの主管とコードの命名ルールが定義されていなければ、同じSKUが別コードで重複登録されてしまう可能性があります。
重複データが多いとデータ運用の質が低下し、在庫照会や出荷指示でも余計な手間が生じます。
課題④ 画像・説明文・法定情報が散在し、最新情報が不明になる
SKUにひも付く画像・説明文・成分・法定などの情報を利用部門がそれぞれ管理している場合には、各部門が個別に商品情報を最新化して使用しているため、最新情報を特定・取得するまでに時間がかかります。
また、誤って古い画像や説明文を配信するなどのミスも生じやすくなり、トラブルの発生リスクが高まります。
課題⑤ 他システムとのSKUの不整合が起きる
WMS(倉庫管理システム)や基幹、ECなど複数のシステム間でSKUが一致しない場合には、在庫確認や出荷指示でエラーが発生したり、誤出荷や欠品などのトラブルが多発したりします。
課題⑥ 運用ルールが属人化・形骸化してしまう
担当者が手作業でSKU管理を行っている場合には、項目/運用定義や命名ルール、属性情報の体系化などのデータ管理が属人化しがちです。
また複数の人がSKUの登録・更新を行う場合には、SKU定義のゆれや重複登録などによってデータ品質が低下しやすくなります。
課題⑦ 誤出荷・欠品・販売停止などの直接的なリスク
間違ったSKUで取引を行うと、機会損失、誤出荷、不正確な在庫管理など、事業の根幹に影響する重大なトラブルにつながります。
SKU管理の最適化と安定運用における5つのポイント
膨大なSKUとSKUにひも付く多層構造の属性情報を管理しなければならないため、SKUの管理・運用は極めて複雑になります。
SKU管理の最適化と安定運用を実現するためには、以下の5つのポイントを押さえておく必要があります。いずれも、すべての企業にとってSKU管理を成功させるための鍵となる取り組みです。
ポイント① SKUの構造を定義し社内で標準化する
SKU管理では、SKUの構造を定義し、社内での運用を徹底することが重要になります。色・サイズなどのバリエーション情報、製造ロット、販売チャネルなどの属性情報をSKUのコードでどのように表現していくかは、企業ごとに異なります。
社内でSKUの構造が定義・標準化されていない場合には、各部門が独自のSKUを運用しなければならず、部門間での情報の不整合が発生しやすくなり、また情報の検索と管理も困難になります。
SKUの構造を定義する際に考慮が必要になる要素には次のようなものがあります。
◆SKUの構造を定義で考慮が必要になる要素(例)
・キャンペーン期間、あるいは販売チャネルごとに価格が異なる
・製造ロット、仕入先などで異なる管理を行っている
・複数の販売チャネルを展開している
「商品を識別する最小単位」であるSKUを、自社ではどのような構造にするのが効果的かを十分に検討したうえで定義し、標準化を図りましょう。
ポイント② SKU情報の構造を整理し、主管部門を明確にする
SKUのコードまたはSKUにひも付く情報が、5つの情報層(バリエーション、販売チャネル、商品情報、物流・在庫、内部運用)のどの層に属していて、主管部門はどこなのかを明確にしておきましょう。
例えば、販売チャネル層のチャネル別の仕様情報はECモールごとに必要な情報が異なるため、SKUを分けて管理している、など、どの情報層の情報をSKUでどのように管理しているかを理解していれば、SKUや運用の変更時にもスムーズに影響範囲を特定や管理部門との調整を行えて、運用の安定性も高まります。
ポイント③ SKU情報の運用フローを定義する
SKUは複数の情報層の情報で構成されているため、1つの情報変更が複数部門の業務やシステムに影響します。例えば、商品のサイズ表記を修正する場合であれば、商品説明、画像、物流ラベル、倉庫の管理情報、販売チャネルごとの審査項目などの確認や更新が必要になる可能性があります。
そのため、日頃からSKUの構造や各情報の関係性と影響範囲を理解できるよう、運用フローを策定しておくことが大切です。
◆SKU情報の変更時に確認すべき項目(例)
・変更により影響を受ける部門やシステムがあるか
・影響範囲が最も小さい変更手順はどれか
誰が行っても同じ品質で運用できる環境が維持されることが、データ管理の肝となります。
ポイント④ SKU情報をマスタデータとして管理・運用する
SKU管理を最適化するためには、データを1つの場所に集約して管理し、すべての部門やシステムが同じデータを「マスタ」(基準となる一次情報)として使用するという運用の徹底が重要になります。
◆マスタとして一元化すべき代表的な情報(例)
・説明文、仕様、注意事項
・画像や動画などの素材
・物流情報(WMSのSKU、製造ロット、梱包サイズなど)
・原価、仕入条件、ステータス
同じ商品データでも部門ごとにデータの利用目的が異なるため、それぞれが個別に管理していると複製・加工されたデータが増殖していきます。そのため、基準となる唯一のデータ(マスタデータ)を用意して、すべての部門とシステムは、必ずマスタデータを使用する運用を徹底することで、データの精度と整合性を維持していく必要があります。
ポイント⑤ データのシステム間連携とチャネル配信を自動化する
SKU管理を最適化しても、手作業の運用があるとミスが生じやすくなります。これは、SKU管理そのものというより、データ連携の自動化の課題の1つです。
◆データの自動配信機能(イメージ)
・販売チャネル別のデータファイルを自動で生成・配信する
データの運用や利活用に関連する業務の自動化は、最適なSKU管理を継続していくためにも、重要な取り組みとなります。
PIM(ピム)でSKU管理を自動化しよう!
SKUのコードは、商品のバリエーション、チャネル別の仕様情報、商品情報、画像、物流情報、運用情報などの多層的な情報で構成されているため、使用者がそれぞれ個別で管理していると、複数のパターンやバージョンのデータが作られてしまい、最新データを判別できなくなったり、誤ったデータで情報を更新してしまったりする可能性が高くなります。
そのため、商品関連情報を一元管理する基盤を構築してSKU管理を自動化する必要があり、そのために有効なシステムとして「PIM(Product Information Management:商品情報管理)」が挙げられます。
PIM(ピム)を導入すると、商品の基本情報、説明文、素材データ、価格、在庫情報、チャネル別の仕様情報などを一元管理し、常に最新状態を保持できるようになります。PIMのデータをマスタとして他のシステムに自動で配信できるため、データ管理・配信運用の負荷を軽減できます。
以下の状況に該当する場合は特に、PIMの導入を検討すべきです。
◆PIMの導入を検討すべき状況
・多チャネル販売を行っている(あるいは行う予定がある)
・商品関連データ(画像、説明、仕様など)の更新頻度が高く、データの更新漏れや不整合の不安がある
・複数部門で商品関連情報を扱っているがデータの更新/共有ルールがなく属人的な運用を行っている
・新商品の投入や価格改定、販売促進活動のスピードが遅い
商品のライフサイクル全般で使用される膨大なSKUを効率よく管理していくためには、PIMの導入が不可欠です。PIMを導入することで、SKU管理を最適化とデータの連携/配信の自動化による安定した運用が実現します。
PIM(商品情報管理)については関連記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
SKUのコードは、商品の基本情報、バリエーション、販売チャネル、物流・在庫、内部運用の多層にわたる複数の情報で構成されているため管理が複雑になります。数量が増えるにつれて手作業では管理しきれなくなり、データの重複登録や不整合、更新漏れなどが発生しやすくなります。
すべての販売チャネルで一貫した正確な商品情報を配信するためには、商品に関するすべての情報を一元管理する「PIM」の導入が不可欠です。
PIMを導入すると、SKUにひも付くあらゆる情報を統合管理し、販売チャネルごとに最適な形式の商品情報を自動配信できるようになります。
インターファクトリーが提供している「EBISU PIM(エビス ピム)」は、SKU単位の商品情報管理が得意で、自社EC・ECモール・WMS(倉庫管理システム)・ERPなどの他システムとのデータ連携にも対応できる商品データ統合プラットフォームです。
EBISU PIMの詳細情報・お問い合わせ方法は、下記の公式サイトをご覧ください。

























