データサイロ化とは、企業内の複数の部門やシステムごとにデータが分断・孤立していて、組織全体でデータが連携されていない状態を指します。部門ごとにデータを管理/運用しているため、組織全体で見ると同一情報の重複管理が行われており、それらのデータの不整合が生じやすい(あるいは、すでに生じている)状況です。
こうした状況下では、意思決定の遅れ、業務の非効率、部門や販売チャネルが使用する情報の不整合などが発生しやすいため、データサイロ化は事業に重大な影響を及ぼすリスク要因と捉えるべきです。
データサイロ化につながる要因として、以下の4つが挙げられます。
◆データサイロ化につながる4つの要因
② システム間の連携ルールを決めていない
③ 必要な情報やデータ更新のタイミングが部門ごとに異なる
④ 達成すべき目標が部門ごとに異なる
この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、データサイロ化の要因とリスク、解消方法について解説します。
データサイロ化につながる4つの要因
企業では日々多くのビジネスデータが生成されます。理想は、企業内のすべてのデータが一元管理され、全社で同じ情報を利活用できる状態ですが、現実は、部門ごとに個別のシステムが稼働しておりデータの管理/運用ルールが統一されていないケースがほとんどです。社内の複数部門で、同じ商品に関連する情報を保持し、共通項目を含むデータの更新タイミングも異なります。
このように、部門やシステムごとにデータが分断・孤立していて統合されていない状態を「データサイロ化」と言います。「サイロ」とは、農作物や飼料などを発酵・貯蔵するための円筒形の倉庫のことで、農場などの敷地内に複数のサイロを設置して使用します。各サイロは独立しているため異なるサイロ同士で内部の物資が混ざることはありません。
ビジネスではこのサイロになぞらえ、縦割り組織で部門間の連携が取れていない状態を「サイロ化」と呼んでいます。
下図は組織におけるデータサイロ化のイメージです。
◆組織におけるデータサイロ化(イメージ)
出典:筆者作成
上図では、部門Aの販売管理システムでは「SKU」「名称」「価格」、部門Bの在庫管理システムでは「SKU」「在庫数」「ロケーション」、部門Cのマーケティング分析ツールでは「SKU」「名称(商品名)」「販売促進情報」「タグ」を個別管理しています。それぞれ、共通する情報(「SKU」)を保持していますがデータ連携は行われていないため、最新データがどれなのかが分からず、また組織全体でどんな情報を保持しているのかを把握しづらい状況です。
上図はシンプルなイメージですが、実際には、部門ごとにサイロ化しているシステムやファイル、管理対象のデータ項目の数はもっと多いため、より複雑になります。
データサイロ化は、多くの企業で発生しやすい問題です。部門ごとに業務に特化したシステムや仕組みを導入することは必然であり、それに伴いデータを取り扱う人も増えていきます。その結果、誰も全体像を把握できないまま、部門単位でデータが管理されていく状況が作り出されるのです。
ここでは、データサイロ化につながる4つの要因を紹介します
要因① 部門ごとに異なるシステムを導入/運用している
例えば、販売部門は販売管理システム、物流部門は在庫システム、マーケティング部門は分析ツールなど、業務システムを導入する目的やタイミングは部門ごとに異なります。部門ごとに必要な方法で必要な時期に部分最適のシステムを導入することで、組織の全体最適を阻害してしまう場合があります。
部門にとっては合理的であっても、組織全体の連携を考慮していなければデータサイロ化が生じている状況です。
要因② システム間の連携ルールを決めていない
他システムとのデータ連携を行う場合には、API等での連携を実装する必要がありますが、各部門でシステム導入を行う際は自部門の業務効率化などの成果に目が行き、他部門との連携についての検討が不十分な場合が多いです。そのため、必要に応じてExcelやCSVなどのデータファイルを作成し、メールやサーバ経由で受け渡しを行うというような個別の手動運用で済ませがちになります。
最低限の情報共有はできるものの、手動かつ不規則な運用なので、データの精度低下や情報のズレや差分の発生が頻発しやすい状況です。
要因③ 必要な情報やデータ更新のタイミングが部門ごとに異なる
例えば商品関連情報の場合であれば、販売部門は「商品名」や「価格」、物流部門は「在庫数」や「ロケーション」、マーケティング部門は「タグ」や「販売促進情報」を重視するというように、「同じ情報のかたまり」の中で、部門ごとに重視するデータ項目は異なります。
そのため、データ項目ごとに最新化されるタイミングと粒度にばらつきが生じやすく、「同じ情報のかたまり」であっても部門ごとに内容にズレが出てくるようになります。個々の部門ではすぐに不具合が生じなくても、組織全体では1つの情報内に複数のパターンやバージョンのデータが混在し、不整合や精度の低下によりデータを利活用できない状態に陥ります。
要因④ 達成すべき目標が部門ごとに異なる
例えばマーケティング部門は集客やCV、販売部門は売上や利益率、物流部門は効率性というように、部門ごとに達成すべき目標は異なります。当然、どの部門も自部門の目標達成が最優先なので、他部門との情報共有の範囲やタイミングへの意識は薄れがちです。
組織やデータのサイロ化は、部門個別のシステム導入だけの問題ではなく、情報統合や部門間の連携がもたらすメリットに対する理解不足や組織の文化や仕組みなどの問題が複合的に絡み合って発生する現象と言えるでしょう。
データサイロ化を放置し続けた場合の5つのリスク
データがサイロ化していても各部門の業務は遂行できるため、優先度が低い課題として放置されていることも少なくありませんが、データサイロ化が長期化するほど、事業全体の効率性や意思決定に深刻な影響を及ぼしかねません。
ここでは、データサイロ化を放置し続けた場合の5つのリスクを解説します。
リスク① 誤情報の掲載や誤出品が発生しやすくなる
データサイロ化が常態化している環境下では、部門や担当者ごとに、同じ情報に関する異なるバージョンのデータが複数存在しています。例えば自社ECとECモールとでバージョンが異なる情報を使用していると、以下のようなトラブルが発生する可能性高くなります。
◆自社ECとECモールで発生しがちなトラブル(例)
・新商品の情報なのに、商品の説明文は旧商品の情報が表示されている
・一部の販促タグが更新されず、商品の検索性が低下する
特にオンライン販売では、誤情報の表示に気付いたときには、すでに顧客の目に触れてしまっていることがほとんどです。もし誤情報の注文受付が完了してしまった場合には、より深刻なトラブルにつながりかねません。誤情報の掲載や誤出品は、ブランドの信用を著しく低下させます。
リスク② 複数システムでの在庫数で差異が発生して売り越しが発生しやすくなる
データサイロ化に起因するトラブルで最も多く発生するのが在庫管理関連のトラブルです。
例えば、自社EC、ECモール、店舗システム、在庫管理システム、販売管理システムなどの複数のシステムで異なる在庫数が表示される事態が生じる可能性があります。
◆複数の販売チャネルで異なる在庫情報が表示されることで発生するトラブル(例)
・実店舗の販売情報が自社ECシステムに反映されないまま注文を受け付けてしまい、売り越しが発生する
・棚卸し時に在庫数のズレが生じ、原因究明のためのコストが膨らむ
受発注に影響する在庫関連のトラブルは顧客の体験の質と満足度の大幅な低下にもつながるため極めて深刻です。
リスク③人力での部門間連携の負荷が高くなり、生産性が著しく低下する
システム間のデータ連携が自動化されていれば、例えば「販売管理システムで更新した情報を、ECシステムやECモールシステムに自動で同期する」ということが可能ですが、データサイロ化している環境ではすべてのデータ連携を手作業で行わなければなりません。
そのため、以下のような場当たり的な運用に依存しやすくなります。
◆人手による場当たり的なデータ連携の運用手順(例)
手順② 受け取ったデータファイルをインポートしてシステムに登録する
手順③ 電話やメールでデータの更新内容を確認し合う
手順④ 必要に応じてデータファイルの作成、共有、確認を行う
システム間のデータ連携を実装すれば自動化できる作業を人間が行うことで、時間がかかるだけでなくミスの発生も増えるため、運用コストが高く、生産性が極めて低い状況を生み出しています。
リスク④ データ分析や意思決定の精度が低下する
正確なデータを使用しなければ、データ分析の精度を高めることができません。データサイロ化している状況で複数のシステムからデータを集めて分析しても、データの鮮度や粒度が異なるため、有効な結果を得ることはできないでしょう。
◆サイロ化したデータを使ったデータ分析の結果(例)
・同じ商品の画像と説明文の組み合わせのバージョンが複数ある
・ECモール特有の属性を自社システムのデータに反映できない
データそのものの不整合はBIツールや分析ツールを使っても解決しません。また、精度の低い分析結果を使用することで、正しい判断を下すことが困難になります。
リスク⑤ 施策の実行や新しいシステムの導入が遅くなる
データサイロ化は、企業の将来的な成長を目指した施策の実行や新しいシステムを導入する際の障壁となります。
◆データサイロ化が施策の実行や新しいシステムの導入の障壁となる(例)
・新しいシステムで使用するデータを用意できない
・既存システムのデータを新しいシステムに連携するための機能要件が膨らみ、すぐに導入できない上、莫大な費用がかかる
・新しいシステムにデータを移行できない
データサイロ化が長期間に及んでいる組織では、特にデジタル化に関する新しい取り組みに対して腰が重くなりやすいため、競合他社に後れを取るリスクが高くなります。
特にデータの鮮度と精度が売上に大きく影響する物販EC企業では、データサイロ化が企業の成長機会を長期的に奪ってしまう可能性があります。
場当たり的な運用ではデータサイロ化は解消しない
データサイロ化は部門や担当者の努力だけで解消することはできません。データサイロ化は組織全体の問題なので、以下のような場当たり的な運用は抜本的な解決策にはならないからです。
◆データサイロ化への場当たり的な運用(例)
・データファイルの定期交換を計画する
・一部のシステム間のデータ連携機能を個別で実装する
これらの運用でも当事者間では一定の効果を得ることができますが、組織全体のデータサイロ化が解消されるわけではないため、恒久的な解消は期待できません。
かつて広告代理店の制作部門で働いていた筆者の知人は、自部門のデータサイロ化を何とか解消したいと考え、データファイルの管理方法と共有方法のルールを策定し、部内で徹底を呼び掛けることにしました。最初のうちは皆がルールを守って運用してくれていたものの、しばらく経つと、ルールどおりに運用しているつもりなのになぜか複数のファイルが存在していたり、ルールを忘れて勝手に運用してしまう人が出てきたりといった具合で、いつの間にか元の状態に戻り、データサイロ化の部分解消は失敗に終わったそうです。
場当たり的な運用の例に挙げた「一部のシステム間のデータ連携機能を個別で実装する」方法も、おそらく同じような結果になるでしょう。最初は成功したとしても、連携対象を増やそうとしたり、連携するデータ項目を拡張しようとしたりするとシステム要件が複雑になり、開発コストも膨らんで結局頓挫してしまうということもよくある話です。
部門ごとに優先すべき目標が異なる以上、各部門の担当者の努力だけで部門間の連携の仕組みを継続することは困難で、自動化による仕組みの構築が不可欠です。
PIM(ピム)でデータサイロ化を解消しよう!
データサイロ化は、単一のデータ管理基盤がなく、各部門や各システムが独自のルールでデータを管理・運用していることが原因で起こります。そのため、単一のデータ管理基盤を構築してすべての部門とシステムが手軽に利用できる仕組みを構築することが、抜本的な解決策となります。
単一のデータ管理基盤として有効なシステムの1つに、「PIM(Product Information Management:商品情報管理)」があります。PIM(ピム)では商品に関するさまざまな情報を一元管理できるため、商品関連データのマスタデータ(基準となる一次情報)として使用することでデータサイロ化を回避できます。ただし、PIMの管理対象はあくまで商品関連情報のみとなる点には注意が必要です。
データサイロ化の解消には、以下のPIMの3つの導入効果が役立ちます。
◆PIMの3つの導入効果
・PIMでデータを更新すると、他の複数のシステムに自動で反映される
・チャネル別に最適化されたデータファイルが自動で配信される
PIMを導入すると、商品関連データの一元管理・整合性の維持・多チャネル配信を自動化できます。
特に、商品点数やSKU、販売チャネル数の多いEC企業の場合には、インターファクトリーの「EBISU PIM(エビス ピム)」のように、ECモールのデータ項目管理や多チャネル配信に最適化されて設計されているPIMサービスを利用することで高い効果が期待できます。
PIM(商品情報管理)については関連記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
データ管理責任者を必ず明確にしよう
商品関連データは複数部門で使用されるデータです。そのため、どのデータをマスタデータとし、誰が管理責任者であるかを明確にしたうえで、ルールに則した運用の徹底が必要になります。
各部門が下記のように業務で必要なタイミングでデータを更新してしまうと、同じ商品情報に関する複数のパターンやバージョンのデータが作られてしまい、どのデータが正確な最新版なのかを判別しづらくなります。
◆各部門や担当者による商品関連データの更新イメージ(例)
・ECモールの担当者が、チャネル固有のデータ項目を追加する
・マーケティング部門が既存のデータを加工して広告用のデータを作成する
・品質管理部門が独自フォーマットのリストで商品の基本情報だけを管理する
部門ごとの独自運用を廃止してデータサイロ化を解消するためには、データを一元管理して、自動で運用するためのシステムの導入は不可欠です。
商品関連データの統合管理基盤としてPIMを導入することで、マスタデータの所在とデータの管理責任者を明確にすることができます。
まとめ
データサイロ化は、各部門が部分最適を優先し、個別にデータを管理・運用することで発生します。データサイロ化の抜本的な解決には、データの統合管理基盤を構築して運用を自動化するためのシステムを導入することが重要です。
PIMを商品関連データ基盤として導入することで、商品関連データの一元管理と多チャネルへの自動配信が可能になります。特に、商品点数、SKU数、販売チャネル数の多いEC企業には、インターファクトリーの商品データ統合プラットフォーム「EBISU PIM(エビス ピム)」も有力な選択肢となるでしょう。
商品関連データの管理・運用の効率化を検討している場合やデータサイロ化の課題を解決したい場合には、EBISU PIMの導入をぜひご検討ください。
EBISU PIMの詳細情報やお問い合わせ方法は、下記の公式サイトをご覧ください。
























