企業間取引(BtoB)では、取り扱う商品の細かな仕様や寸法、価格設定といった膨大な情報の扱いが求められます。
オンライン販売の拡大により各所へ正確な情報を届ける必要性が増すなかで、いざ整理するとなると何から手をつけるか迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、オンライン販売の拡大という背景とBtoBでの商品データ管理について、現場が直面する課題と得られる効果を交えて解説します。
1. BtoBでの商品データ管理の基礎理解
BtoBの商品データ管理を進めるにあたり、まずは何が管理の対象となるのか、その土台を固める必要があります。
自社が扱う膨大な情報を正確に把握し、社内外の担当者と共有する仕組みをつくりましょう。
商品データ管理とは何か
商品データ管理とは、企業が扱う製品の価格やスペックから、画像、マニュアル、認証情報に至るまで、あらゆる情報を一元的に収集・整理する仕組みのことです。近年は専用システムを導入し、全社で常に最新の正しい状態を保つ管理手法が主流となっています。
特にBtoB事業では、1つの製品に寸法や重量、材質、CADデータなど数十項目もの詳細なスペックがひも付くケースが目立ちます。ここを属人的な手作業のまま放置してしまうと、必要な情報を探すだけで現場に多大な手間がかかり、本来の業務の停滞を招く恐れがあります。
各所に散らばったデータを一つの場所に統合できれば、カタログ制作やECサイトへの出品といった複数チャネルへの展開も格段に早くなります。どの部署にどんな製品情報が保管されているのか、社内データの所在を把握するところから着手すると、その後の見通しが立ちやすくなります。
BtoB特有の管理対象と目的
BtoBの商取引では、扱うデータの質と量がBtoCとは大きく異なります。
商品データといえば型番や価格を想像しがちですが、BtoBでは詳細なスペックや適合規格、CADデータ、取扱説明書、さらには関連部品の情報まで多岐にわたります。これほど複雑な情報を部門ごとにバラバラのファイルで保管したままだと、取引先から問い合わせを受けるたびに、必要なデータをかき集めるだけで担当者の時間を奪います。
したがって、これらの膨大な属性情報を一つの場所へ集約し、卸売業者や自社ECサイトといった連携先が求める形式へ即座に整えて提供することが、商品データ管理の主な目的となります。販売チャネルごとに正確な情報を滞りなく届ける土台が整えば、製品を市場へ投入するスピードが上がり、結果として有利な商談につなげやすくなります。
2. 商品データ管理で解決すべき課題
BtoB商材は条件が複雑で、部門ごとに異なるデータが点在しがちです。ここを放置すると、業務効率や売上にまで影響しかねません。
ここでは、商品データ管理で解決すべき課題について解説します。
課題① 商品データの管理が煩雑
商品データがまとまらなくなる大きな理由は、社内の部門ごとに異なる形式で情報を保有してしまう点にあります。忙しいとつい既存のやり方を続けてしまいますが、ここは後回しにすると後で確認の手間が増えやすい部分です。
たとえば開発部門は製品スペックを詳細に管理し、営業部門は顧客向けの価格表を独自のExcelで作成するといったケースが一般的です。それぞれが別々のファイルで更新を続けるため、いざWebカタログを刷新しようとした際、どのデータが最新なのか判断がつきません。
さらに、BtoB特有の製品の複雑さも管理のハードルを上げています。細かな仕様変更やオプション部品の追加が頻繁に発生し、販売チャネルによって求められる項目も異なります。扱う情報量が増えるほど人力での修正には限界がくるため、現状のデータがどこに点在しているか一度洗い出してみましょう。
課題② チャネル間での情報のずれ
BtoBビジネスにおいて、複数の媒体で商品情報が食い違う状態は、取引先からの信用問題に直結するため早急に防ぐ必要があります。
企業が情報を発信するチャネルは、自社のWebサイト、電子カタログ、代理店向けの専用ポータルなど多岐にわたります。しかし、媒体ごとに担当者が分かれていると、どうしても更新のタイミングに差が生まれがちです。ここを見落とすと、一部の媒体だけ古い仕様や価格が残ったままになる事態が起こります。
たとえば新商品の仕様変更があった際、代理店への共有が遅れれば「もっと早く教えてほしかった」と不満を招く原因となります。間違った情報のまま商談が進めば、後から手戻りが発生し、営業機会を逃す結果につながります。
すべてのチャネルで常に最新かつ同一の情報が提供されてはじめて、社内外の混乱を防ぐことができます。自社のどの媒体に古い情報が残りやすいか、現状の洗い出しから着手してみてください。
3. 効率化を実現するPIM活用法
増え続ける商品データを手作業で整理し続けるのは、決して現実的な負担ではありません。
この状況を打開するシステムが、PIM(商品情報管理)です。ここからは、現場の効率を上げる具体的な活用法を紹介します。
PIMによるデータ一元化
チャネル間の情報のずれといった課題を根本から解決するカギが、PIM(Product Information Management:商品情報管理システム)の導入です。社内に散在していた膨大な商品データを一つの場所に統合し、全体像を把握できるようになります。
BtoBの現場では、営業部門のExcel、設計部門のPDFファイル、ECサイト用のデータベースなど、各所に情報が点在しがちです。PIMを活用すれば、これらの基本情報から詳細なスペック、関連資料までを一つのシステムに集約できます。あちこちのフォルダを探し回る手間が省けるのは、日々の業務において大きな負担軽減となるはずです。
さらに、データが完全に一元化されると、情報の更新作業も一箇所で完結します。商品の仕様変更や価格改定があった際も、PIM上のマスターデータを修正するだけで、常に最新かつ正確な状態を保つことが可能です。自社の商品データが現在どこにどれくらい分散しているか、各部署へのヒアリングを通じて現状を洗い出すとスムーズに進みます。
データ品質管理と承認ワークフローの役割
データを1か所に集約できたとしても、入力ミスや抜け漏れがあれば、そのまま誤った情報が取引先へ伝わってしまいます。ここは後回しにすると、後で訂正の手間が雪だるま式に増えやすい部分です。
そこで鍵となるのが、データ品質管理機能と承認ワークフローです。品質管理機能は、必須項目の未入力や、文字数のオーバーといったエラーを自動で検知してくれます。商品名やスペックなどの細かな仕様も、システムがチェックすることで表記揺れを防ぐ仕組みです。
また、承認ワークフローを利用すれば、入力担当者から確認者、そして最終承認者へという権限の階層をシステム上で設定できます。誰がどのデータを編集し、いつ承認したのかという履歴が残るため、属人的な確認漏れを大きく減らせます。
各部門が独自の基準でデータを書き換える状態から脱却し、全社で統一されたルールのもとで情報を管理する体制が整います。事前に自社の商品登録に関わる部門と現在のチェック手順を洗い出しておくと、導入時の権限設定が迷わず進みます。
マルチチャネル配信で整合性を保つ仕組み
一元化された高品質なデータは、そのまま放置しても価値を生みません。販売先へと正しく送り届けて初めて、実際の売上や業務効率に直結してきます。
PIMには、登録したデータを各チャネルに合わせて自動変換する機能が備わっています。自社ECや外部のモール、代理店向けカタログなど、配信先ごとに必要となるデータ形式はそれぞれ異なります。PIMにあらかじめ変換ルールを定義しておくことで、システムの仕様に合わせてファイルを自動生成し、手作業による加工なしでデータを送り出すことが可能です。
この仕組みの恩恵を最も感じるのは、仕様変更や価格改定があったタイミングです。大元のデータを1か所修正するだけで各チャネルへ一斉に同期されるため、更新漏れによる情報のずれを防げます。複数の販売経路を持つ企業であれば、データ加工の手間を大幅に減らす有効な手段となるはずです。
4. 実務で役立つ商品データ管理の機能
データが一元化されても、現場での使い勝手が悪ければ業務の効率化は進みません。
ここから具体的に何ができるようになるのか、実務の視点で解説します。
柔軟な属性設定と階層化分類
PIMを活用した実務において、中核となるのが柔軟な属性設定と階層化分類の機能です。BtoBの商材は、サイズや素材といった基本スペックに加え、適合規格、ロット数、オプション品など、商品ごとに管理すべき情報が多岐にわたります。
こうした複雑な情報を一般的な表計算ソフトで一元管理しようとすると、項目が際限なく増え、特定の商材にしか使わない列で空欄が目立つなど、全体の一覧性が損なわれがちです。ここは初期段階で無理に枠へ押し込めようとすると、のちのち目当てのデータが探しにくくなり、日々の更新作業で手間が増えやすい部分でもあります。
PIMの専用機能を活用すれば、大分類から小分類へ向けた階層構造を自在に設計できます。例えば「電子部品」の下に「コンデンサ」「抵抗器」といった階層を作り、それぞれのカテゴリに固有の属性項目だけを持たせることが可能です。まずは既存のカタログを参考に、自社の商材をどう分け、どの深さまで階層化するか、手元でおおまかなツリー構造を書き出してみてください。
画像・動画などメディアの統合管理
テキスト情報だけでなく、商品画像や解説動画、CADデータや取扱説明書のPDFといった各種ファイルも、商品データ管理の重要な対象となります。このメディア類の管理が後回しになると、最新のカタログを作る際に古い写真を使ってしまうといったミスが起きます。
多くのPIMには、こうしたデジタル資産をひも付けて一元管理する機能が備わっています。商品の品番やスペック情報と、それに関連するメディアファイルを直接結び付けておく仕組みです。ここまで整うと、必要な図面や動画をフォルダの奥深くから探し回る手間が大きく省けます。
さらに、配信先となるECサイトや代理店向けポータルに合わせて、画像の解像度やファイル形式を自動で変換できるシステムも増えています。媒体ごとに画像を切り抜いたりリサイズしたりする手作業を手放せるのは、日々の業務において大きな負担軽減になるはずです。現在、どこにどんな商品画像やデータファイルが散在しているか、ざっと棚卸しをしておくのがおすすめです。
AIによる入力支援やフォーマット変換
手作業での商品登録や、各販売チャネル向けのデータ加工は、担当者の時間と労力を大きく奪う要因です。ここをシステム任せにできるかどうかが、実務のスピードと正確性を左右します。
最新のシステムでは、AIが入力作業を強力にアシストしてくれるものもあります。たとえば、紙のカタログやPDFの情報をAIが自動解析して取り込んだり、全角・半角などの表記ゆれを自動で整えたりする機能が代表的です。さらに、自社ECや複数のオンラインモールなど、配信先ごとに異なる文字列の制限や指定フォーマットへのデータ変換も、システム側で一括処理されます。
これにより、担当者が毎回表計算ソフトなどで手加工する手間や、転記ミスを未然に防ぐことができます。自社が現在、データの入力や加工にどれだけの時間を費やしているか、大まかな作業時間を算出して現状を把握しておくと効果測定に役立ちます。
5. 成功につなげる運用ポイントと活用効果
システムの導入だけでは、商品データの真の価値は引き出せません。運用を軌道に乗せ、確かな成果を得るための視点が必要です。
ここからは、組織間の連携やデータ表示の工夫など、実践的なポイントを解説します。
内部組織の縦割り解消とグローバル対応
商品データを一元化する仕組みを整えても、それを扱う組織が分断されたままでは、期待する効果は得られません。ここで重要になるのが、部門をまたいだ連携の構築です。
営業やマーケティング、製造など、これまで各部門が独自に持っていた商品情報を一つにまとめることで、社内の縦割り構造を解消できます。全員が同じ最新データを参照できる環境が整えば、部署間の確認作業や伝達ミスといった日々の煩わしさから抜け出せるはずです。
さらに、この情報統合は海外展開を進める際にも役立ちます。多言語への翻訳データや、国ごとに異なる法規制に合わせた商品仕様なども、一つの基盤で管理できるためです。各国の市場へ向けた迅速な情報配信が可能になります。
システムという共通の土台ができることで、国内の部門間はもちろん、海外拠点とのやり取りもスムーズに進むようになります。社内の関係部署で、現状のデータ管理状況を共有することから着手するとスムーズです。
データ粒度の違いを理解した表示戦略
商品データを一元化したあと、それを外部へどう見せるかが次のステップとなります。ここをおろそかにすると、せっかく集めたデータがそれぞれの現場で使いにくいものになります。
配信先のチャネルによって、求められる情報の粒度(詳細さや項目の多さ)は大きく異なります。たとえば自社ECサイトでは、検索にヒットさせるための詳細なスペック値や、用途別の詳しい説明文が必要です。一方、代理店や販社向けの受発注ポータルでは、商品コードと価格、在庫状況といった取引を確実に行うための情報が優先されます。今の主要な配信先を2〜3つ選び、それぞれにどこまで詳しい情報が必要かを一覧にして整理しておきましょう。
出し分けの作業自体は、PIMの機能で自動化できます。媒体ごとに必要な項目の表示・非表示フラグを設定し、フォーマットの変換ルールを定義しておけば、担当者が手作業でエクセルを加工する手間はかかりません。情報の粒度を整える工程をシステムに任せられるようになれば、日々の運用負担は目に見えて下がります。
まとめ
BtoBにおける商品データ管理は、単なる情報の保管にとどまりません。多岐にわたる販売チャネルへ正確な情報を届け、情報のズレや業務の属人化を防ぐための実務的な基盤となります。PIMを活用してデータを一元化すれば、部門間の連携もよりスムーズに進みます。
ここが整って初めて、新たな市場への展開や顧客対応の迅速化といった、次の事業展開が見えてきます。膨大なデータを前にすると躊躇するかもしれませんが、まずは自社の商品情報がどこに散在しているか、現状の棚卸しから着手してみてください。その一歩が、長期的な業務効率化への確実な足がかりとなります。
株式会社インターファクトリーの商品データ統合プラットフォーム「EBISU PIM(エビス ピム)」は、商品情報の一元化から、自社に最適なマスタ設計、入力フォームの制限によるエラーの事前予防、チャネル別の高度なデータ変換機能にいたるまで、事業者が求めるデータガバナンスを網羅的に支援します。
さらに、今後予定されている最新の「Double AI」の実装により、マルチチャネルへ正確な情報を展開できる次世代の運用体制が手に入ります。
商品データ管理に課題を感じている方は、下記のEBISU PIM公式ページから、お問い合わせや資料をご請求ください。
























