販売活動の効率と顧客体験の質を向上させるためには、「商品情報管理」の効率化が不可欠です。商品情報管理DXは、商品情報を単にデータ化するだけでなく、デジタル技術を活用してあらゆる事業活動で商品情報を効率良く運用するための仕組みを整備し、企業の事業と成長を実現するための取り組みです。
企業が推進しているDXをいち早く実現することにより、業務の効率化だけでなく、顧客体験の改善、市場優位の獲得と販売機会の拡大などの成果が期待できます。
商品情報管理を最適化することでDXが加速する理由として、以下の3つがあります。
◆商品情報管理の最適化がDXを加速する3つの理由
理由② 商品情報は、販売チャネルや顧客接点において重要な情報だから
理由③ 商品情報は、顧客体験の改善や販売活動に不可欠な情報だから
この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、企業のDXを加速するために商品情報管理の最適化が重要である理由とPIM導入の必要性について解説します。
商品情報管理がDXの基盤となる3つの理由
経済産業省が2022年4月に公開した「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き(要約版)」では、DXを「データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと」と定義されています。
出典:経済産業省「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き 要約版」(2022年4月)
DXを実現するためには、業務に関する情報をデータ化し、必要な場面で適切に利用できる状態に管理するための環境が不可欠です。
近年、特に物販業界などでは商品情報管理の最適化が重要かつ喫緊の課題となっていますが、デジタル化された商品情報管理は、企業が取り組むDX推進の基盤にもなり得ます。
そう言い切れる3つの理由について、1つずつ解説します。
理由① 商品情報をデータ化し、デジタル運用ができるようになるから
DXは、データ化された高精度の情報を、デジタルツールで安全かつ効率良く運用していくことを前提とした取り組みです。
売上と競争力の源泉である商品情報が、企業の複数の部門やシステムに散在していたり、部門ごとに手作業で個別管理されていたりする場合には、正確な情報の所在やデータの運用フローが不明瞭になりやすく、業務効率は著しく低下します。
そうした状態でDXに取り組む場合には、最初の一歩を踏み出すためにデータの整理から始めなければならず、DXの実現まではるか遠い道のりとなりますが、すでに商品情報管理が最適化された環境であれば、それを基盤としてDXを推進できるため、DXを大幅に加速できます。
理由② 商品情報は、販売チャネルや顧客接点において重要な情報だから
販売活動を行ううえでは、顧客に正しい情報を最適な状態で発信することが極めて重要になります。チャネルごとに異なるルールと方法で商品情報を管理・運用していると、同じ商品について、チャネルによって異なる内容や印象がちぐはぐな情報を発信してしまうリスクが高くなります。
商品情報は事業活動における中核データですから、DXを推進するためには、商品情報管理をデジタル技術で最適化するための仕組みを構築することは避けて通ることはできないのです。
理由③ 商品情報は、販売活動や顧客体験の向上に不可欠な情報だから
DXで複数の顧客接点を通じて顧客との関係を強化するためには、すべてのチャネルで正確な情報を提供し、確実にコンバージョンにつなげられるようになる必要があります。
商品情報を手作業や部門ごとに個別で管理している場合には、チャネルごとの個別最適が優先されるため、全体で見ると同じ作業を複数の人が行っていたり、手作業に多くの要員が投じられていたりすることで、運用負荷が高くなります。
また、顧客は複数のチャネルを利用するケースも多く、同じ商品の情報なのにチャネルによって掲載している情報が違っていると、顧客は混乱し、企業やブランドに不信感を持つ要因になります。さらに、掲載している情報が不足したり間違っていたりすると、購入前の問い合わせや購入後のクレームが増え、現場はそれらの対応にも追われることになるでしょう。
DXを成功させるためには、商品情報を1つのデータ基盤で統合管理し、すべてのチャネルが同じルールで運用することが可能な環境を整備することが急務となります。商品情報管理のデジタル化の取り組みは、企業やブランドと商品の魅力を顧客に伝えていくために必要な環境を整備することでもあるのです。
DXを妨げる商品管理の4つの課題
デジタライゼーションされていない商品情報管理のままでは、有益なデータ活用ができません。商品情報管理における以下の4つの課題は、DX推進の障壁となるため、いち早く解消する必要があります。
◆商品情報管理の4つの課題
課題② 手作業による非効率と工数の増加
課題③ 不ぞろいな定義・項目・ルールで管理・運用されている情報
課題④ データの更新/運用のフローとルールの不在
それぞれ詳しく見ていきましょう。
課題① データのサイロ化と部門/システム間の情報分断
データのサイロ化は、複数の部門やシステムが個別にデータを管理・運用しており、組織全体で連携されず情報が分断されている状態を指します。
商品データがサイロ化している状況は、以下のような問題が発生しやすくなります。
◆商品データのサイロ化により発生する問題
・データを使用する際、チャネルごとの仕様に合わせて手作業でデータを加工する必要があるため、「商品マスタ」が乱立しやすい
・入力ミスや更新漏れが起こりやすい
・チャネルの拡大や施策の実行に遅れが出やすい
DXではデータ活用とデジタル技術により、業務の効率化、優れた顧客体験の提供、新たな価値創出が求められますが、商品データがサイロ化している状況下では、業務効率化だけでなく、施策や改善の実行スピードも著しく低下します。
商品データのサイロ化を避けるためには、集約した商品情報を複数の部門やチャネルが共通利用と個別運用の両方ができる形で管理していく必要があります。
データのサイロ化については、関連記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
課題② 手作業による非効率と工数の増加
手作業で商品情報管理を行っている場合には、データの管理だけでなく、データを活用するまでにも多くの時間と労力がかかります。また、ExcelやCSVなどのファイルでデータを加工したり、ECシステムの管理画面でデータを手入力したりしている場合には、データ件数が増えるほど誤入力や入力漏れも起きやすくなります。
◆手作業による商品情報管理で生じる問題
・データ管理が属人化しやすい
・入力ミスや反映漏れが発生しやすい
・商品数やSKU数が増えるほど作業負荷が大きくなる
・新たな施策やチャネルの拡大に素早く対応できない
DXを推進する中で、新しい販売チャネルへの展開、商品ページの改善、広告施策、SNS投稿、キャンペーン対応など、商品データを活用する場面は増えていきますが、手作業中心では、タイムリーに対応することは不可能です。
そのため、商品情報管理をデジタル化して、商品データを必要な形式に整え、各チャネルへ効率良く配信できる環境を構築し、負担を減らし、施策と改善の実行スピードを高めることが重要です。
課題③ 不ぞろいな定義・項目・ルールで管理・運用されている情報
従来の商品情報管理は、在庫管理や受発注管理の一部の機能として設計されているケースがほとんどで、その場合には、ECやマーケティング関連の情報を商品情報として管理することができません。
例えば、商品画像、動画、説明文、詳細スペック、利用シーン、検索タグ、関連商品などの情報は、顧客が商品を比較・検討するうえでキーとなる情報であり、広告配信、SNS投稿、サイト内検索、レコメンドなどでも用いられるデータです。
◆データ精度がばらつきやすい商品情報(例)
・詳細スペック
・サイズ、素材、カラーなどの属性情報
・検索タグやカテゴリ情報
・商品説明文や関連商品情報
これらの情報が部署ごとに別々に管理されていたり、商品ごとに入力の粒度が異なっていたりすると、商品データを販売施策や顧客体験の改善に活用しづらくなります。
そのため商品情報管理では、顧客に伝える情報、販売施策に使う情報、チャネルごとに展開する情報まで含めて活用しやすい形で整備することが重要です。
課題④ データの更新/運用のフローとルールの不在
データ活用では、データが正確な状態で維持されていることも重要です。商品情報の登録・更新・確認・公開のルールが曖昧だと、古いデータが残ったり、同じ商品について異なるデータが使用されたりするリスクが高くなります。
価格改定、仕様変更、画像差し替え、新商品の追加、販売終了商品の非表示などは、EC運用で継続的に発生しますが、「誰が更新し」「誰が確認し」「どのチャネルに反映するのか」といった明確な手順がないと、担当者ごとの判断に依存しやすくなります。
◆データの更新/運用のフローとルールの不在な場合に生じる問題
・チャネルごとに更新反映のタイミングが異なる(情報に差が出る)
・確認作業や差し戻しが増える
・新たな施策や改善の実行に遅れが出る
・分析結果やAI活用の信頼性が下がる
DXの取り組みでは、商品ページの改善、広告施策、パーソナライズ、AI活用など、商品データを使う場面が増えていきます。しかし、それらを支えるデータが「古い」「足りない」「間違っている」といった状態では、施策の精度は低下し、失敗に終わる可能性が高まります。
商品情報管理では、商品データをただ集めるだけではなく、正確な状態で維持していくための更新/運用のフローとルールを確立しておくことが大切です。
DXを加速するための商品情報管理の最適化
商品情報管理の最適化は、システム導入からではなく、まず自社の商品情報の状態を把握し、整理することから始めます。次の6つのステップで、丁寧に進めていきましょう。
◆商品情報管理の最適化に向けた6つのステップ
ステップ② 管理するデータの項目と運用ルールを決める
ステップ③ マスタデータ(正本となる情報)を明確にする
ステップ④ データの登録・更新・運用フローを明確にする
ステップ⑤ 利用者(チャネル/部門)へのデータ配信ルールを決める
ステップ⑥ PIMを使ったデジタルプラットフォームを構築する
各ステップの内容を解説していきます。
ステップ① 情報の発生/保管場所と利用者(チャネル/部門)を洗い出す
まずは、商品情報がどこに保管され、どの業務で使われているのかを整理します。
商品情報は、基幹システムや業務システム、ファイルサーバーや各部門の担当者が管理しているファイル、営業資料など、社内のさまざまな場所に散在していますので、漏れなく洗い出しましょう。
また情報の発生場所と保管場所、利用者を洗い出し、手作業や多重管理が発生しているプロセスを特定して、改善の可能性を検討しましょう。
ステップ② 管理する商品データの項目とルールを決める
次に、管理対象とするデータ項目を特定します。商品名、SKU、価格、在庫数だけでなく、画像、動画、スペック、サイズ、素材、カラー、カテゴリー、検索タグ、関連商品、説明文なども対象に含めます。
あわせて、各データの分類方法や、項目の書式、命名ルールなども決めておきましょう。
ステップ③ マスタデータ(正本となる情報)を明確にする
データを利活用するにあたって正本とするデータを明確にし、すべての利用者(部門/チャネル)がマスタデータを使用する運用が徹底されるようにしましょう。
ステップ④ データの登録・更新・運用フローを明確にする
商品情報は、価格改定、仕様変更、画像差し替え、新商品の追加、販売終了商品の非表示など、継続的に更新が発生します。そのため「誰が登録し」「誰が確認し」「誰が公開するのか」をあらかじめ決めておくことが重要です。
ステップ⑤ 利用者(チャネル/部門)へのデータ配信ルールを決める
各部門やチャネルが利用する商品データを、どのように配信するのかを決めます。チャネルごとに必要な情報、書式、ファイル形式などは異なるため、できる限り手作業は排除し、自動連携が可能な方法を検討しましょう。
ステップ⑥ PIMなどの商品情報管理のプラットフォームを検討する
ステップ①~⑤までを終えると、手作業や個別管理では解決できない課題が明確になっているはずです。特に、商品点数やSKU数が多い企業や、複数の販売チャネルを運営している企業は、後述する「PIM」の導入を検討しましょう。
商品情報管理の最適化は「PIM」で実現できる
商品情報を正確にデータ化して一元管理していつでも活用できるように、商品情報管理をデジタル化することで、以下のような効果が期待できます。
◆商品情報管理のデジタル化で期待される効果(例)
| 効果 | 概要 |
|---|---|
| EC運用の効率化 | 商品の基本情報と属性情報を一元管理し、一部の業務を自動化することで、商品情報登録・更新、データファイルの作成、更新データの反映チェックなどの作業負荷を低減できる |
| 多チャネル展開 | 自社ECサイト、ECモール、Web広告、SNS、カタログ、販促ツールなどのさまざまなチャネルに、商品情報を最適な形で自動配信できるようにすることで、新たなチャネルに対しても迅速に対応できるようになる |
| 顧客体験の向上 | サイズや素材などより細かいSKUごとに、さまざまなシーンに応じた画像や動画、ドキュメントなどのメディアデータで商品の特徴や魅力を伝えることで、商品の比較や検討においても優れた顧客体験を提供できる |
| データ活用 | 商品のカテゴリ、属性情報、検索タグ、販売活動や購入履歴などをひも付けて管理することで、分析データとして活用しやすくなり、より効果的なプロモーションやサイト改善などが可能になる |
DXの核となる商品情報管理を実現するためには、「PIM(Product Information Management:商品情報管理)」の導入が有効です。PIMを導入することで、さまざまな商品データを統合管理し、複数チャネルでのデータ運用を効率化できます。
インターファクトリーが提供しているクラウドサービス「EBISU PIM(エビス ピム)」を利用すると、下図のような商品情報管理が可能になります。
◆PIMを使用した商品情報管理のイメージ
引用(画像):EBISU PIM(エビス ピム)
商品情報には、商品名や品番や価格、スペックといった基本情報だけでなく、商品のカテゴリ、説明文、画像・動画などのメディアデータ、関連ファイル、マーケティング情報など、多種多様なデータも含まれており、また。複数のチャネル/システムが利用する情報には共通する情報と個別の情報があります。
このような複雑な商品情報の管理も、複数チャネルならではの煩雑なデータ運用も、PIMを使用してデジタル化し、一部の運用を自動化することが可能です。
またPIMでは、データの項目定義や書式の統一、必須項目のチェック、更新履歴の管理、承認フローなども設定できるため、精度の高いデータ管理と、複数チャネルでの一貫した情報配信を行うことができます。
PIMの導入メリットや導入方法、サービス選定時のポイントについて、関連記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
商品情報管理を最適化して販売機会を拡大しよう
商品情報管理を最適化してデータ化と管理運用の効率化を実現することで、販売活動や顧客体験の改善に商品データを活用できるようになり、販売機会が拡大します。
DXでは、データとデジタル技術を活用して、業務プロセスの改善や顧客体験の向上を実現することが求められます。そのため、商品に関するすべての情報は、正確にデータ化され、必要な人が必要な場面ですぐに使用できる状態を用意する必要があります。
適切なデジタルツールを使用して商品情報管理を最適化すると、各部門の担当者が、情報をかき集めて使える形に加工したり、都度のデータ変更に対処したりする必要がなくなるため、新しいチャネルの開設や、各チャネルでの施策や改善の取り組みにも挑戦しやすくなります。
◆商品情報管理を最適化で可能になるチャレンジ例
・タイムリーなWeb広告掲載やSNS投稿
・商品ページの改善
・新商品の迅速な市場投入とメディアでの情報配信
・タイムリーなキャンペーン実施
DX推進に向けて商品情報管理を見直すための15のチェックリスト
最後に、DX推進に向けての「商品情報管理の15個のポイントチェックリスト」を掲載しています。以下の15個のポイントについて、自社の商品情報管理の状況を照らし合わせて、現在の状態を確認してみてください。
チェックのつかない項目は、DX推進のボトルネックとなる可能性のある課題です。
◆商品情報管理の15のチェックリスト(チェックを入れると下部に診断結果が表示されます。)
チェック結果:0 / 15
商品情報の管理場所や更新ルールが十分に整理されておらず、DX推進の土台が整っていない可能性があります。まずは商品情報の保管場所、管理項目、更新フローの洗い出しから始めましょう。
商品情報管理の最適化を、単なるデータ化や一部の部門の業務効率化の手段として捉えるのではなく、事業活動と顧客体験を向上させるDXの土台づくりであることを理解して、いち早く実現することが重要です。
まとめ
商品情報管理の最適化は、単なるデータ化ではありません。多種多用な商品情報を正確なデータで管理し、すべての利用者(チャネル/部門)が効率良くデータを活用することができる環境が、企業のDXの基盤となり、変革を加速します。
PIMを使用して、社内に散在している商品情報を一元管理し、利用者に効率よく配信できるようにすることで、マルチチャネル運用の効率化、マーケティング施策の強化、顧客体験の向上などの実現が期待できます。
インターファクトリーが提供する「EBISU PIM(エビス ピム)」は、さまざまな形式の商品データをマスタとして一元管理管理できる商品データ統合プラットフォームです。
管理項目の追加にも柔軟に対応可能で、ノーコードでのマッピング設定、ファイル連携、チャネルごとのフォーマット変換、画像・動画・製品仕様書などのメディアデータの管理にも対応しています。
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