ECサイトや事業者などのWEBマーケティングを展開している企業はあらゆる広告を使って集客努力をしていることでしょう。代表的な集客手法はSEOやリスティング広告、メールマガジン施策、そしてアフィリエイト施策です。
個人のアフィリエイターで月収が数百万円という話を聞く一方で、ECサイトや広告主がアフィリエイト施策で大成功したという話はあまり聞きません。アフィリエイトはCPAが最も安い費用対効果の高い広告である一方、広告主の手間が非常にかかる施策なので成果が出る前にアフィリエイトからの撤退、あるいは規模縮小をする事業者がほとんどです。
アフィリエイトは上手く行えば、リスティングに匹敵する集客施策になります。では、なぜほとんどのECサイトや広告主がアフィリエイトで集客を成功させることができないでしょうか?それは本気でアフィリエイト運用をしていないことが原因です。つまり月間予算も20万円未満で、手間をかけずにASP(アフィリエイト仲介会社)まかせになっていることです。これでは絶対に成功しません。
本日は、ECサイトや広告主がアフィリエイト施策を最大化させるポイントをインターファクトリーでWEBマーケティングを担当している筆者が具体的に解説してまいります。
アフィリエイト広告で月に100件以上のCVを獲得している外資金融系事業者のS社の事例
会社名を出すことはできませんが、筆者のクライアントの金融事業者がアフィリエイトで月間100件以上のCVを獲得している事例があります。その事業者が行っていることは以下の5つのです。
◆アフィサイトで月100件以上のCVを生む5つの施策
施策①アフィリエイト専任担当者のポジションを置く
施策②アフィリエイターを自社に招いて新商品の説明会を実施
施策③トップアフィリエイターに特別オファーの提供
施策④トップアフィリエイターと秘密保持契約を結び、事前に商品情報を教える
施策⑤トップアフィリエイターと定例会議の実施
S社の日本支社の規模は決して大きいわけではありませんが、アフィリエイト仲介会社(ASP)まかせにせず、自分たちが主体でアフィリエイターを信頼関係を強くすることで、リスティングに次ぐ多くのCVを獲得できるようになったのです。
しかし、このように高い成果をアフィリエイトで出せる会社はごくわずかです。なぜなら、多くの会社はリスティング広告にばかり注力しており、アフィリエイトに本気で取り組んでいる会社は少ないからです。では次に、アフィリエイトの予算の決め方について解説します。
WEBマーケティング全体の中でアフィリエイトの方針や予算を決めるプロセス
ECサイトや広告主はリスティング広告を広告予算の柱に置いているでしょう。ですから、WEB広告費の使い方としては間違っていません。最も獲得の見込める広告はリスティング広告だからです。
もし、まだリスティングをやっていない、あるいはリスティング予算を効率の限界まで使っていないのでしたら、アフィリエイトよりもリスティング施策に注力してください。
なぜならリスティング広告は、全WEB広告手法の中でCV数を最も安定して獲得できる広告だからです。ただ、このリスティング広告施策には弱点があります。
リスティング広告施策の弱点
リスティング広告施策の弱点は、CPAの限界による効率の減少です。どの業種であってもある一定のCPAにたどり着くと、それ以上予算をかけても、獲得ができなくなるラインというのが存在します。わかりやすい例で紹介します。下記の表をご覧ください。
例えばリスティングの月間リスティング予算が100万円でCPAが1万円の会社の場合、広告予算を2倍にしても、獲得件数はせいぜい1.2倍~1.3倍程度です。下記はあくまで例ですが、過去3社でWEBマーケティングをやってきた経験から間違いありません。
◆リスティング広告予算を2倍にした例
通常の月間予算 | 予算を2倍に! | |
---|---|---|
リスティング予算 | 100万円 | 200万円 |
CPA | 1万円 | 1万5,000円 |
CV数 | 100件 | 130件 |
つまりリスティング広告施策の弱点とは、効率の天井があることです。
一番獲得効率が高く、CV数を稼げる広告ではありますが、予算を倍にしても成果は倍にならないのです。なぜなら競合他社も同じくリスティング広告に予算を使っており、かつリスティング広告枠は獲得できるキーワードも決まっているため、獲得CV件数には天井があるのです。
もし、ここでリスティング施策を広告代理店にまかせているなら、予算をディスプレイ広告に使うように勧められますが、思うように成果はでません。なぜならディスプレイ広告はリマーケティング施策以外は、CV数を稼げる施策ではないためです。
リスティング広告で獲得CV数が増えないのは、「自社と競合でCV可能な検索結果の広告枠ほぼ全てに出稿している」ため、これ以上獲得できる広告枠が存在しないのです。
しかし広告枠になくとも、自然検索、つまりSEOに関してはまだまだ、余地があるでしょう。ただSEOはリスティング広告と違い、お金を払って上位になる施策ではありません。そこで、アフィリエイト広告にアプローチして、SEO順位の高いアフィリエイト会社に広告を依頼するのです。
アフィリエイト会社(ASP)を選ぶポイント
おそらく多くの広告主は、大手のASPと付き合っていると思います。大手のASPのメリットは広告主にとっては、当然多くのアフィリエイト会員を囲っていることです。ですから大手ASPの営業を受けると、アフィリエイト会員の数や所有しているネットワークの広さをアピールされるでしょうが、それらは成果とはあまり関係がありません。
なぜならアフィリエイトの成功の可否は、多くのアフィリエイト会員を囲うことではなく、一部の凄腕のアフィリエイターに自社の広告を貼ってもらうことです。多くのアフィリエイター会員を囲っても、CV数はほとんど増えません。
私もアフィリエイト施策を数々実施しましたが、私の会社のアフィリエイト広告を1,000人以上のアフィリエイターが参加していましたが、CV数は上位3名のアフィリエイターで90%以上を占めていました。つまり、アフィリエイターの会員数はあまり関係ないのです。
ですから、アフィリエイト会社を選定する場合は、検索結果に出てくるアフィリエイターのメディアを見ながら「誰と誰をアフィリエイト会社の会員として囲っているのか?」ということをアフィリエイト会社に直接聞いて、アフィリエイト会社を選んでみましょう。
もし、アフィリエイターのメディアに「問い合わせ」があるなら、直接ASPを聞いてみるのも手だと思います。
アフィリエイターの報酬設定の決め方
まず、間違った報酬設定の決め方から解説します。
×間違った報酬の決め方「ライバル企業との関係のみから報酬単価を決める」
例えば、これからアフィリエイト広告を開始するときに、すでに先行して参入している競合各社の報酬単価を参考にするはずです。
◆競合各社のアフィリエイト報酬単価の例
A社の報酬単価 2,500円
B社の報酬単価 2,000円
C社の報酬単価 3,000円
※参考情報:リスティングのCPAは1万円程度
このような場合、あなたはいくらに設定するでしょうか。2500円?それともがんばって3,500円?残念ですが両方とも間違いです。その理由はアフィリエイター報酬は、競合環境からのみ決めるものではなく、下記の3つの要素から報酬金額を決めるのです。
◆正しいアフィリエイト報酬の決め方
①自社のリスティング広告のCPA
②アフィリエイト全体の中での高い報酬単価
③競合の報酬単価(判断基準①と②より優先度は低い)
この3つを踏まえると筆者なら6,000円からはじめます。スゴ腕のアフィリエイターは”もうかる広告”にしか興味がありません。ですから、競合他社A社やB社より数百円高いことに意味はありません。なぜならアフィリエイターは一件5,000円を超える高単価の商材を扱いたがりますから、A社、B社どころか、その業界すべてに興味を持っていません。
つまりアフィリエイトの正しい報酬設定とは、凄腕のアフィリエイターを本気にさせる報酬単価を設定することです。もし実績のありアフィリエイターと個別に取り組める場合は、通称”特単”とよばれる特別単価を設定します。アフィリエイターは特別単価には強く心を動かされるからです。また儲かっているアフィリエイターは、ほぼ全員が特別単価を受け取っています。
では、報酬設定まで解説したが、つぎにアフィリエイト施策を最大化するポイントを解説します。
広告主がアフィリエイト広告を最大化する取り組みポイント
ポイント① 毎日承認作業を行う
ほとんどの広告主は月末に1回しか承認作業をおこないません。しかし、これを営業日の毎日行うことで、アフィリエイターのやる気がかわってきます。
アフィリエイターの心理としては未確定報酬では安心できません。そして承認作業は早いと、確定報酬が早く決まりますから、アフィリエイターも毎日ASPの管理画面をみて、やる気を出ます。またこれを行う広告主はあまりいないので、アフィリエイターからみると「この広告主はやる気があるな」と差別化をはかれます。
ポイント② Yahoo!の不正リスティングを確認する
どんなASPでも、残念ですが不正が消えることはありません。アフィリエイターの中には、一定数の不正行為を働く人がいるからです。よくある手法がYahoo!のリスティング広告による「貴社名でのリスティング広告」です。これが意外に広告主やASPが気付かないのです。なぜなら皆さまは今、この記事をどうやって検索しましたか?Googleですよね?
WEB担当者の99%はYahoo!ではなく、Googleを使っておりYahoo!で検索を行う習慣がありません。不正アフィリエイターは、その点をついて、さもあなたの会社のようにYahoo!広告をだして、CVを稼ぐのです。なぜなら気づかれることはないからです。ですから、アフィリエイト広告を開始したら、毎日Yahoo!で自社名で検索して、不正アフィリエイターがいないか確認し、みつけたら、即刻ASPに通報しましょう。
ポイント③ セミナーや懇親会に出席して、アフィリエイターと直接コンタクトをする
ASPまかせにせず、アフィリエイターと直接コミュニケーションをとりましょう。相手も人間ですから広告主が直接話かけると喜びます。また彼らと交流することで、アフィリエイターの観点が学べまし、直に交流することで、他の凄腕アフィリエイターがあなたの広告に参加してくれる可能性があります。
こういった取り組みも大手のASPよりも、小中規模のASPが頻繁に行っていますので、セミナーや懇親会に出席しましょう。
アフィリエイトが効果がでるまでは半年から1年
アフィリエイトは、短期的なWEBマーケティング施策ではありません。効果がでるまでに半年から1年はかかる中・長期的な施策です。最初に大きな予算を用意しても、初月は数万円しか消化しないでしょう。ですから広告主は「アフィリエイトは効果がない」と撤退する企業がほとんどです。
しかし、アフィリエイトを上手く実施している企業は、月間CVを5,000件以上とっている企業もあるのです。そこに行きつくまでには、Googleの検索順位があがるまでに、今は時間がかかります。なぜならGoogleはサイトの信用性を重視しており、良いコンテンツであっても急激に順位があがることはありません。
本日はアフィリエイト広告で最大化するためのポイントを解説いたしました。どこの会社もCV数を増やすために、リスティング広告を中心に、成果を拡大しています。
競合他社を先駆けて、対前年度を上回る施策を仕込むにはコンテンツマーケティングにしろ、アフィリエイトにしろ本気で向き合うのがキーになってきます。なぜなら予算を払って代理店まかせのマーケティングでは成果にも限界があるからです。
このブログを読んでECサイトのアフィリエイト施策の参考にしていただければ幸いです。とくにECサイトは、承認率が高く報酬設定額を高くすれば、アフィリエイターをWinWinの関係を築けますよ!
もし、EC事業者がこのようなアフィリエイト施策やSEOに関して知見を求める場合は、株式会社インターファクトリーの「ebisu growth」までご相談ください。本記事で解説したアフィリエイト施策など、ECの売上を高めるための実践的なマーケティングをお考えの方は、ぜひ本サービスをご検討ください。詳しくは下記公式ページをご覧ください。