ECサイト構築の費用相場と費用を抑えるための5つの考え方


自社ECサイトの開設を検討する際に、

「ECシステムを利用したいが、費用感が分からない」
「見積を取ったが、予算を大きく超えてしまった」

など、構築費用についてお悩みの方もいるのではないでしょうか。

ECサイトの構築方法によって費用感や特徴は異なるので、理解して自社に合った方法を選択する必要があります。また同じ構築方法でも、工夫次第で費用を抑えてECサイトを開設することも可能です。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングの部署に所属する筆者が、ECサイト構築の費用相場と、費用を抑えたいときの考え方を解説します。

ECサイトの構築方法と費用相場を比較

自社ECサイトを構築する場合は、大きく以下の5つの方法があります。
まずは費用相場と、それぞれの構築方法に合ったECサイトの年商規模の目安をまとめた表をご覧ください。

◆ECサイト構築費用の相場と年商規模

表から分かるように、構築方法によって初期費用と月額費用は大きく異なります。
また、ECサイトの年商規模もシステム選定の目安として参考にしてください。

「ASP」低価格で簡単にECサイトを作ることができる点が特徴です。小規模なサイトから始める場合や、予算に制限がある場合には適した方法と言えます。ただしデザインや機能のカスタマイズには制限があるので、注意が必要です。

「オープンソース」は無料で公開されているソースコードを利用する方法のため、自社に技術力があれば費用を抑えてECサイトを構築することができます。ただしソースコードが公開されているということは、裏を返せばセキュリティのリスクも大きいということです。また障害やトラブル対応も、すべて自社で行う必要がある点も考慮する必要があります。

「パッケージ」「クラウドEC」は年商1億円以上の事業者に適したクオリティーの高いECサイトを作ることができる方法です。ASPなどで構築したECシステムから、事業成長に伴いリニューアルをするケースにも適していると言えます。構築する際の費用感では大きな差はありませんが、パッケージの場合は数年に一度バージョンアップをする必要があるので、その際に追加の費用が発生します。

「フルスクラッチ」すべてのデザインや機能を自由に設計できるため、最も費用がかかります。年商50億円以上の大規模ECサイトを作るような大企業で採用される方法です。

詳しい構築方法などは、関連記事にまとめてありますのであわせてご覧ください。

関連記事:EC初心者が10分で理解するECサイト制作の手順と費用相場

構築費用を抑えたいときの5つの考え方

利用したいシステムを絞ることができたら、ベンダーや制作会社に問い合わせをして見積を依頼します。しかしそこで予想以上の金額を提示された、という経験はないでしょうか。

構築費用には導入時にかかる初期費用や、機能を追加するための開発費用、月額費用などさまざまな費用があります。予算内で理想のECサイトを構築するために、費用の考え方について紹介します。

◆ECサイト構築費用を抑えたいときの5つの考え方

①標準機能の内容が自社に合うシステムを選択する
②開発フェーズを分けて導入費用を抑える
③検討に時間をかけて見積精度を上げる
④外部ツールの利用を検討する
⑤長期的にかかる費用も含めて検討する

それでは、一つずつ解説します。

①標準機能の内容が自社に合うシステムを選択する

先ほどパッケージとクラウドECは費用感に差はないと解説しましたが、実際に見積を取ってみると、各社で大きく差があることが多いです。その差はおおむね、自社独自の機能を追加した場合のカスタマイズ費用からきています。

しかし、実現したい機能が最初から標準機能として提供されているシステムを選択すれば、その分のカスタマイズ費用を圧縮することができます。システムによって、定期販売やBtoBなど、得意な分野が異なるので、事前に機能面を比較しておきましょう。

反対に費用が安いという理由だけでシステムを選択すると、後から追加で開発すべき機能が出てきて結果的に費用が上がる可能性もないとは言えません。

カスタマイズで機能を追加しようとすると、その分費用や開発期間が必要になるので、費用を抑えるためには、標準機能でカバーできる範囲の広いシステムを選択するのが良いと言えます。

②開発フェーズを分けて導入費用を抑える

導入時の費用を抑えることが目的であれば、開発する機能に優先順位をつけて、開発フェーズを分ける方法があります。一度にすべての機能を実装するには予算を超えてしまう場合でも、第1フェーズ、第2フェーズと開発時期を分けることで、導入時の費用を予算内に収めたり、納期を早めたりすることができます

なるべく多くの機能を最初からリリースしたいという思いがあるかもしれませんが、まずは確実に必要な機能を実装して運用を開始し、第2フェーズで機能を追加するやり方も検討してみてください。

③検討に時間をかけて見積精度を上げる

システムの選定に時間をかけることができるのであれば、各ベンダーに詳細な要望を伝えることで、見積精度を上げることも検討してみましょう。

たとえば簡易的に基幹システムと連携したいという要望があった場合、APIを公開しているシステムであれば、費用を抑えて実現できるケースがあります。

弊社のebisumartもAPIを公開しているので、基幹システムとの連携など、APIを利用することで開発費用や開発期間を抑えることが可能です。見積の際に基幹システムのインターフェースやCSVなどを伝えることで見積精度が上がる可能性が高いので、見積を依頼する段階から詳しく要望を伝えることをおすすめします。

◆基幹システムと連携したいときに伝える情報の例

・連携したい情報は何か(商品情報、受注情報など)
・情報はECシステムから送るのか、基幹システムから送るのか など

APIの仕組みや、ECサイトにおけるAPI連携の考え方については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:【初心者向け】ECサイトをAPI連携する2つの方法を解説

ただし、見積精度が上がるということは、必ずしも費用が下がるということではありません。もちろん反対に増えることもありますが、精度が上がる点はメリットと受け取るべきだと筆者は考えます。

また、APIを例に挙げましたが、他にも追加で開発しなければならないと考えていた機能が、実は標準機能で実現可能だった、ということが判明するケースもあるため、APIを公開しているシステムに限らず、どのシステムに対しても効果が期待できる考え方だと言えるでしょう。

④外部ツールの利用を検討する

チャットボットや分析ツールなど、ECシステム以外の外部サービスを利用することで費用や開発期間を圧縮することができる場合があります。

ECシステムにすべての機能を実装しようとするのではなく、それぞれのシステムに提携している外部サービスを利用することも積極的に検討してみましょう。それぞれのシステムの公式サイトで提携サービスを確認することができるので、自社が利用したい分野のツールが豊富に用意されているかどうか確認しておくと、後から連携の相談がしやすくなります

弊社のebisumartでもあらゆる分野のサービスと提携しています。

◆ebisumartが提携しているサービスの分野(例)

・CRM・MAツール
・レコメンド
・接客ツール
・サイト内検索・サジェスト
・アクセス解析・行動分析
・在庫管理・商品管理
・セキュリティ
・メール配信・リターゲティング
・決済会社

その他にも多くのサービスと提携しております。詳しくは公式サイトをご確認ください。

参考:提携サービス一覧(ebisumart)

⑤長期的にかかる費用も含めて検討する

パッケージとクラウドECの違いとして、ランニングコストの違いがあります。

ASPやクラウドは常に最新の状態にアップデートされるため、基本的には月額費用だけで運用が可能です。一方でパッケージはセキュリティ強化などのために数年に一度バージョンアップがされるため、システムの陳腐化を防ぐためには、追加費用を負担してバージョンアップを適用する必要があります。費用はシステムにより異なりますが、数百万円程度の追加費用が発生すると考えておいた方が良いでしょう。また、カスタマイズ規模によっても費用は変動します。

標準機能が自社のやりたいことに合致しているという観点でパッケージシステムを導入したとしても、数年後のバージョンアップで追加の費用が発生してしまい、結果的に他のシステムと同等もしくはそれ以上のランニングコストがかかってしまうということもあります。

企業によっては検討段階から5年分など長期の予算を組んでいるケースもあります。初期見積の費用だけを見て判断するのではなく、長期のランニングコストも考慮することが重要です

まとめ

ECサイト構築の費用相場と、費用を抑えたいときの考え方を解説しました。

ECサイトを構築する場合は、事前に実現したい機能を整理し、費用をかけるべきところと、抑えられるところを適切に判断できるようにしておきましょう。

年商1億円以上のECサイト構築を考えている事業者は、ぜひ弊社のクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」も他社とあわせてご検討ください。サイトリニューアルやオムニチャネル、BtoBなど豊富な実績がございます。

導入事例(ebisumart)


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ABOUT US
首藤 沙央里
2019年9月、株式会社インターファクトリーに入社。 マーケティングチームにてオウンドメディア運用を担当し、年間40本以上の記事を掲載。 社内広報、採用広報に加え、EC業界やクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」についての情報発信も行う。