業務効率化を実現!7種類の「情報共有ツール」をプロが解説

情報共有ツールは、組織内の情報を効率的に共有し合い、コミュニケーションや業務を円滑に遂行して効率よく仕事を進めるための道具です。コミュニケーションの種類や業務領域ごとに専用のツールがあり、それぞれ個人が無料で使えるサービスから企業が大規模導入するようなアプリケーションまで多岐にわたります。

今回は、多種多様な情報共有ツールの中から、特に代表的な7種類のツールを紹介します。皆さんも日頃から使用していたり、EC関連で耳にしたりしているツールだと思います。

◆7種類の情報共有ツール

① チャット/メッセージ
② タスク/プロジェクト管理
③ ファイル/ドキュメント管理
④ ナレッジ共有/社内Wiki
⑤ 社内ポータル/掲示板
⑥ CRM/顧客情報管理
⑦ PIM(商品情報管理)

情報共有ツールは1つのツールを単体で使用するだけでも便利さを実感できますが、業務や目的に応じて複数のツールを組み合わせて使用することで、組織全体の業務効率を大幅に向上させることができます。

また、業種・業態ごとに必ず導入したほうが良いツールもあり、例えば、ECや製造業などで多種多様な商品を販売している企業の場合には、商品情報を一元管理するPIM(プロダクト・インフォメーション・マネジメント)と在庫管理は不可欠なツールとなるでしょう。

かつては企業向けシステム導入というと、ソフトウェアを開発してハードウェアを購入し、自社専用サーバを構築して全社のPCにクライアントソフトをインストール・設定して……という形が主流でした。しかし、現在はグローバル企業をはじめとする多くの企業が、SaaS型の情報共有ツールを利用して、柔軟かつスピーディーな業務運用を実現しています。

この記事では、株式会社インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、企業で使用されている代表的な7種類の情報共有ツールを紹介します。

7種類の情報共有ツール

代表的な7種類の情報共有ツールの特徴とツール(一例)を下表にまとめました。きっと皆さんにもなじみのあるツールがほとんどでしょう。

◆7種類の情報共有ツールごとの特徴

情報共有ツール 特徴 代表的なツール(例)
① チャット/メッセージ 日常的な連絡や、即時の情報共有に特化 Slack、Microsoft Teams、Chatwork、LINE WORKS
② タスク/プロジェクト管理 業務の進捗や担当、期限などを可視化 Backlog、Asana、Trello、ClickUp、Jira
③ ファイル/ドキュメント管理 資料や画像、ファイルをクラウドで管理・共有 Google ドライブ、Dropbox、Box、Microsoft OneDrive
④ ナレッジ共有/社内Wiki 業務マニュアルやナレッジを蓄積・検索 Notion、Confluence、Kibela、Qiita Team
⑤ 社内ポータル/掲示板 社内のお知らせ、業務ルールなどの一括発信 サイボウズ、Garoon、desknet’s NEO
⑥ CRM/顧客情報管理 顧客とのやり取りや商談の履歴共有 Salesforce、HubSpot、Zoho CRM
⑦ PIM(商品情報管理) 商品情報を一元管理・共有 EBISU PIM(エビス ピム)、Contentserv、Akeneo PIM

出典:筆者が独自に作成

例えば、①のチャット/メッセージツールは個人的なやり取りでも多くの人が利用していますが、近年は、企業でも即時性の高いやり取りを効率良く行うために「Slack」「Chatwork」などのチャットツールを使用しています。また従来は企業内サーバで運用されることが多かった③のファイル/ドキュメント管理ツールも、現在は「Google ドライブ」や「Microsoft OneDrive」のようにクラウドサーバを利用したSaaS型のツールを採用する企業が増えています。

情報共有ツールはそれぞれ専門とする業務やオペレーションに沿って開発されているため、用途に合わせて使い分けることが大切です。

それでは、7種類の情報共有ツールを一つずつ見ていきましょう。

種類① チャット/メッセージ

代表的なツール:Slack、Microsoft Teams、Chatwork、LINE WORKS

日常的なコミュニケーションや即時性の高い情報共有に最適なツールで、例えば「Slack」や「Microsoft Teams」では、部署やプロジェクト単位で「チャンネル/チャネル」と呼ばれる関係者専用のグループを作成し、効率良く情報のやり取りができます。

チャット・メールツールにはオンライン会議機能も備わっているため、テキストだけでの意思疎通が難しい場面やリモート会議などでは、映像や音声で会話をすることもできます。また、トーク形式のやり取りでスタンプや絵文字も使えるため、オンラインで気楽にコミュニケーションを取ることができます。

チャット・メールツールは、あらゆる企業内のコミュニケーションの起点としての役割を担いますが、会話の履歴は時系列で記録されているため、過去の情報を体系的に捉えたり、活用したりするには不向きです。

そのため、後述する② タスク・プロジェクト管理や③ ファイル・ドキュメント管理などの情報共有ツールと組み合わせて運用されるのが一般的です。

種類② タスク/プロジェクト管理

代表的なツール:Backlog、Asana、Trello、ClickUp、Jira

タスクやプロジェクトの進捗管理と業務の可視化に役立つツールです。視覚性の高いインターフェース(画面表示)で、タスクごとの担当者と期日、進捗状況をリアルタイムに確認・共有することが可能です。

例えば、ガントチャート画面ではプロジェクトの流れや優先度を一目で把握できます。また、定例会議や打ち合わせでは、画面共有機能で参加者全員が同じツールの画面を参照することもできます。報告用にわざわざ資料を作成しなくても進捗状況を可視化・共有できるなど、利用者が導入効果を実感しやすいツールです。

筆者は、タスク管理にTrelloの無料アカウントを使用しているのですが、個人のToDo管理用としても使い勝手の良いツールだと感じています。

種類③ ファイル/ドキュメント管理

代表的なツール:Google ドライブ、Dropbox、Box、Microsoft OneDrive

組織やチームのさまざまな用途・形式のファイルを体系的に保管し、活用するためのツールです。クラウドサーバ上でファイルを保管し、ファイルの共有や編集もリアルタイムで実行・反映できます。

インターネットを介して複数名でファイルを利用するため、ファイルのバージョン管理やアクセス権限などの保護機能も整備・提供されており、社内外の関係者間で安全かつ効率的なファイル共有が可能です。

筆者は、仕事でのファイル共有にDropboxを利用しています。専用フォルダに権限を設定することで安全にファイル共有ができ、動画などのサイズの大きいファイルの受け渡しもスムーズです。

種類④ ナレッジ共有/社内Wiki

代表的なツール:Notion、Confluence、Kibela、Qiita Team

組織やチーム内で、マニュアルや事例、ノウハウなどをデータ化し、共有するためのツールです。ツールを利用して、必要な人が、必要なときに、最適な情報にアクセスできるように、ナレッジのデータ化と最新化の仕組みを構築します。

そのためツールの導入では、管理対象の精査とデータ化、定期的な情報整理などの運用設計が肝要になります。必要なデータをくまなく集めることも大切ですが、古いデータの削除やアーカイブ化のルールなど、最新データを維持するための運用と体制も明確にし、「古いデータや不要なファイルばかりで、必要な情報が見つからない」といった状況が起こらないようにしましょう。

種類⑤ 社内ポータル/掲示板

代表的なツール:サイボウズ、Garoon、desknet’s NEO

全社向けの案内を一元的に発信するためのプラットフォームとなるツールで、特にトップダウン型の情報発信に向いています。掲示板形式や部署単位で情報を発信・集約することもでき、情報を体系的に管理・公開できるように情報が見つけやすい機能が提供されています。

社内ポータル/掲示板ツールは、情報を効果的に配信して、皆に利用してもらうことが重要になるため、導入後の運用・活用方法が導入成功の鍵となります。

筆者がかつて勤務していた従業員数1万人以上の外資系企業では、「出社後、最初に社内ポータルをチェックする」ことを社内ルールで明確に定めることで、全従業員が最低でも1日1回は社内ポータルにアクセスするという習慣化を促進していました。

このように強制力のある運用ルールを設けるなど、全員がツールを使用せざるを得ない環境をつくることも、ナレッジセンターの効果を最大限に引き出すために有効です。

種類⑥ CRM/顧客情報管理

代表的なツール:Salesforce、HubSpot、Zoho CRM

CRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)ツールは、顧客とのやり取りや商談履歴、問い合わせ内容などを一元管理して活用するためのツールです。

営業活動やカスタマーサポートの対応では、顧客ごとの対応履歴を正確に把握することが不可欠です。CRMツールを利用すると、顧客に関するあらゆる情報を共有でき、手軽に参照・活用できるようになるため、担当者依存ではなく、チームでスムーズな顧客対応が可能になります。

蓄積された顧客データを分析して、商品開発、マーケティング、営業活動で活用することも可能です。例えば、自社の顧客動向や売上傾向を可視化して戦略を立てたり、顧客の属性ごとにセグメンテーションしてダイレクトアプローチを行ったりすることもできるようになります。

一方で、顧客情報は機密性が高いデータですから、アクセス権限の管理やログの監視などセキュリティ面での対策を十分に施し、厳重に取り扱う必要があります。

種類⑦ PIM(商品情報管理)

代表的なツール:EBISU PIM(エビス ピム)、Contentserv、Akeneo PIM

PIM(Product Information Management)は、商品に関わるあらゆる情報を一元的に管理・更新・共有するためのツールです。特にEC事業者や製造業など、多品種の商品を扱う企業での導入が進んでいます。

価格、仕様、説明文、画像、動画など、商品に関する多様な形式のデータを一元管理することで、カタログ制作やECサイトの情報更新にかかる時間を大幅に短縮できます。特に、部門ごとにそれぞれが情報を管理していることで生じやすい、最新版のズレや表記ゆれ、更新漏れなどによるトラブルを未然に防ぐことができます。

PIMを導入することで商品に関する情報を集約し、全チャネルに正確な情報を迅速に展開できるため、特に、多チャネル運営を行っている企業では情報の整合性を維持するために不可欠なツールとなります。

インターファクトリーの「EBISU PIM(エビス ピム)」については、下記の公式サイトで資料を無料ダウンロードもできますので、ぜひPIM導入で得られる業務効率化の効果を確認してみてください。

公式サイト:EBISU PIM(エビス ピム)

情報共有ツールの良し悪しが、生産性とセキュリティリスクに影響!

10年以上前はGoogle ドライブなどのクラウドサービス(SaaS)は普及しておらず、筆者が勤務していた企業でも、国内製の情報共有ツールを自社で運用していました。当時のツールは使い勝手が悪かったため、情報共有ツールだけで社内のコミュニケーションを完結させることができませんでした

ファイル共有はすべて添付メールで行っていたのですが、すぐに保存容量の上限に達してしまい、過去のメールを削除しなければ新しいメールを受信できないため、やり取りが滞りがちで、当然生産性は落ち、その遅れを取り戻すために皆が夜遅くまで残業せざるを得ない状況でした。

こうした状況にしびれを切らした一部の従業員が、勝手に外部ツールをインストールしたり、重要な情報もUSBで受け渡したりし始め、当時の会社のセキュリティリスクは極めて高い状況となっていました。

たかがツールと軽く考えていると、現代では取り返しのつかない状況に陥る可能性があります。ツールを導入する際は、ツールの選定はもちろん、ツールで解決したいゴールを明確にしたうえで、運用設計までを慎重に行うことが重要です。

無料ツールの業務利用は慎重に!

Google ドライブやDropbox、Microsoft OneDriveでは無料プランもあり、手軽に利用を開始することができるため、個人利用だけでなく、スタートアップや小規模なプロジェクトでも活用されています。

気軽に使えるから無料プランだからこそ、セキュリティ関連の設定をより慎重に行う必要があります。例えば、共有リンクの設定や退職者アカウントをうっかり放置し続けることで、重大な情報漏えいにつながる恐れがあります。

アクセス権限と共有範囲の制限を徹底できなければ、意図せず外部にデータが流出してしまうリスクは高くなります。特に無料プランでは監査ログや詳細な管理設定の機能を使用できない場合が多いため、トラブル発生時の追跡が困難になるケースもあります。

そのため、無料ツールを業務で活用する際には、最低でも以下のようなルールを決めておきましょう

◆セキュリティ保護に最低限必要なルール

・共有は基本「特定の相手のみ」に設定する
・利用者アカウントとアクセス権限は常に最新状態で管理する
・機密資料はパスワードや二段階認証を組み合わせて運用する
・定期的にアクセス権限の棚卸しを行う

セキュリティや運用ルールを整備して、ツールの持つ最大限のパワーを引き出しましょう。

まとめ

業務の効率化やチーム連携を支える重要なインフラである情報共有ツールの導入では、目的に合わせた情報共有ツールの選定と、厳格な運用ルールと体制の確立が不可欠です。

チャットによる即時連絡、タスク管理による進捗の見える化、ファイルの安全な保管やナレッジの蓄積など、ツールの種類ごとに得意分野がありますので、特徴をしっかり理解したうえで、複数のツールを組み合わせて活用していくとよいでしょう。

SaaS型のツールの利用では特にセキュリティ対策への意識も大切です。便利さの裏に潜むリスクを認識・対策して、安全かつ効率的なコミュニケーション基盤を構築していきましょう。

商品情報管理ツール「PIM」を検討している場合には、インターファクトリーのEBISU PIM(エビス ピム)がおすすめです。APIをはじめさまざまな外部システムとの連携が可能なEBISU PIMは、多品種の商品を扱うEC事業者やメーカーの業務効率化を強力に後押しします。

以下の公式サイトでは資料を無料ダウンロードできますので、興味のある方はぜひアクセスしてみてください。

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。