「定量発注方式って便利?どういう仕組みなの?」
「定量発注方式を導入したら、発注ミスや欠品を防げる?」
日々の発注業務に追われる毎日の中、「定量発注方式が良さそう」ということを聞いて詳しく知りたいと考えている方は多いのではないでしょうか?
結論から言うと、定量発注方式は「需要が安定した定番商品・材料」や「単価が低い消耗品などの部材」の場合に、発注業務の負担を劇的に減らせる発注方式です。
事前に計算した「発注点(このタイミングで発注すると決めた在庫量)」に達した時点で、機械的に決まった量を発注するイメージです。この方式にすることで、発注タイミングや発注量を判断する必要がなくなり、業務担当者の精神的な負担も軽減できます。
しかしながら、定量発注方式は全ての商品・在庫に向いている発注方式ではないという点に注意が必要です。もっと厳密にタイミングや数量を管理しなければならない在庫も存在します。
また、適当に「発注点」や「発注量」を決めてしまうと、欠品や過剰在庫につながる恐れがあるため、慎重に事前に計算をする必要があります。
この記事では、「定量発注方式とは何か」が分かるだけでなく、「どの商品・材料・部材が定量発注方式に向いているか(ABC分析の仕方)」や、具体的な発注方式の「発注点の決め方」「発注量の決め方(経済的発注量)」「適切に運用するためのルール」まで、初心者でも理解しやすいよう詳しく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、最適な在庫を維持できる仕組みの完成図までイメージできるはずです。ぜひ最後までお読みください。
1.定量発注方式とは
まずは「定量発注方式とは何か」について解説していきます。
◆定量発注方式とは
・定量発注方式と定期発注方式との違い
・定量発注方式の運用例
「どういう仕組みか?」だけでなく、「定期発注方式」との違いや、実際の運用例などを見ながら、深く言葉の意味を理解していきましょう。
ぜひ自社の扱っている商品を思い浮かべて、「どの商品が定量発注方式に向いているか?」イメージしながら読み進めてみてください。
1-1.あらかじめ決めた数量を下回ったら発注する方式
定量発注方式とは、在庫が事前に設定した「発注点」を下回ったタイミングで、あらかじめ決めておいた一定量(発注量)を注文する管理手法です。
※「発注点」とは、事前に「この在庫数になったら発注する」と決めた在庫数のことです。
◆定量発注方式の具体例
・梱包用段ボールの在庫が残り2束になったら、5束発注する
・倉庫にあるネジの在庫が500個を切ったら、1000個発注する
・ミネラルウォーターの在庫が残り10ケースになったら、50ケース発注する
「そろそろ足りないかも」という個人の勘に頼るのではなく、「この数になったら発注」と決めた数に来た時点で自動的・機械的に発注する仕組みなので、経験の浅い担当者でも機械的にミスなく発注業務を遂行できるメリットがあります。
また、毎回同じ数量を発注するため、梱包サイズや配送コストの計算がしやすく、物流効率を最適化できます。
1-2.定量発注方式と定期発注方式との違い
定量発注方式とよく比較されるものに「定期発注方式」があります。この2つを比較することで、「定量発注方式」の理解が深まるので見ていきましょう。
定量発注方式と定期発注方式の決定的な違いは、発注するタイミングを「在庫の量」で決めるか、「あらかじめ決めた日付」で決めるかという点にあります。
◆定量発注方式と定期発注方式との違い
※「定量発注方式」のメリット・デメリット・向いている商品については、さらに詳しく2章〜4章で解説しています。まずは「定期発注方式」との違いを意識してみてください。
1-3.定量発注方式の運用例
実際に「定量発注方式」で在庫発注を運用する場合の運用の仕方は、現場の規模や管理環境に合わせていくつかのパターンがあります。
倉庫でのアナログな目視管理もあれば、ダブルビン方式(二箱管理法)という管理方法、表計算ソフトによる管理、システムと連携した管理、システムによる完全自動化などが考えられます。
◆倉庫でのアナログな目視管理の運用例
例:梱包用段ボールの在庫が残り2束になったら、挟んでいたカードを回収して5束発注する
◆ダブルビン方式(二箱管理法)の運用例
例:ネジを500個ずつ2箱に分け、1箱(500個)を使い切った時点で、補充用として1000個(2箱分)を発注する
◆表計算ソフトによる管理(VLOOKUP・IF関数)の運用例
例:=IF(現在在庫数<=発注点, “発注する”, “”) という数式を用い、ネジの在庫が500個になったら「赤字」で表示されるようにして、発注タイミングを知らせる
◆カートシステムと連携した運用例
例:カートシステムで白Tシャツの在庫が残り20枚になったらメールを受け取り、受け取った担当者が100枚発注する
◆発注管理システムによる自動化の運用例
例:定番の白Tシャツの在庫が残り20枚になったら、システム側で100枚の発注が自動で行われる
システムを活用するほど定量発注方式の精度はもちろん上がりますが、手作業での管理方法についても後半でしっかり解説するので安心してください。
詳しくは「5.定量発注方式で発注する仕組みの構築ステップ」で解説しています。
2.定量発注方式のメリット4つ
前章では、定量発注方式がどういう仕組みなのかを説明しました。ここからはこの方式を導入することで現場にどのような具体的な恩恵があるのか、4つの視点から深掘りしていきます。
◆定量発注方式のメリット4つ
・メリット2:在庫が減ったら発注するため過剰在庫・欠品を防ぎやすい
・メリット3:ルールがシンプルなので自動発注の仕組みを作りやすい
・メリット4:発注・在庫管理コストを最小化できる
定量発注方式は、シンプルなルールのため効率化を図ることができるだけでなく、在庫管理・発注コストを最小化できるというメリットもあります。
自社での在庫管理や発注業務を思い浮かべて、イメージしながら読み進めてみてください。
2-1.メリット1:発注点を監視するだけなので業務負担が少ない
定量発注方式を導入する最大のメリットは、発注担当者の心理的・時間的な負担が軽減される点です。
なぜならば、「発注点に達したら決められた数を発注」というシンプルなルールに従えば良いため、毎回の発注担当者が「いつ発注するか」「何個発注するか」を判断しなくて済むためです。
◆定量発注方式のメリット1:発注の負担が軽減される
・熟練者の「勘」に頼らなくて良いため、新任の担当者でも初日から正確に発注できる
・常に変化する需要を追うストレスから解放され、ルーチンワークとして淡々と処理できる
発注担当者は「発注点(最低在庫数)」だけを気にすれば良く、業務負担が少なくなります。新人や慣れていない担当者でも業務を進めることが可能です。
2-2.メリット2:在庫が減ったら発注するため過剰在庫・欠品を防ぎやすい
定量発注方式は「在庫が減った分だけ補充する」というシンプルなサイクルが基本となるため、過剰在庫や欠品を防ぎやすいのもメリットです。
「売れていないのに発注してしまう」「足りないのに気付かずに欠品させてしまう」といった人為的なミスを防ぎやすい仕組みです。
◆定量発注方式のメリット2:過剰在庫・欠品を防ぎやすい
・在庫が減ってきたタイミングで発注するため、過剰在庫になりにくい
※通常、「最低限これだけは持っておく」という予備の在庫(安全在庫)を踏まえて「発注点」を設定するため、欠品が起こりにくくなります。
需要が安定している商品であれば、定量発注方式は、無駄なく不足なく在庫を循環させ続けられる発注方式と言えるでしょう。
2-3.メリット3:ルールがシンプルなので自動発注の仕組みを作りやすい
定量発注方式はルールが明快なため、ITツールやシステムとの相性が極めて良く、自動化へのハードルが低いのも大きな特徴です。
「A(在庫数)がB(発注点)以下になったらC(発注量)を注文する」というルールがシンプルなので、Excelなどの表計算ソフトでの管理も簡単ですし、システムとの連携も容易です。
◆定量発注方式のメリット3:自動発注の仕組みを作りやすい
・カートシステム・在庫管理ソフトとの連携:発注点に達した瞬間にアラートメールを自動送信できる
・高機能な発注管理システム:発注点に達するとそのまま発注するような「完全自動発注」の構築も可能になる
「定期発注方式」の場合は、発注日のたびに最新の在庫数や今後の需要予測を踏まえた「計算」が必要となるため、システム化にはAI需要予測などの高度な仕組みが不可欠です。
一方、定量発注方式であれば「在庫数 ≦ 発注点」というシンプルなロジックだけで動かせるため、低コストかつスピーディーに発注業務を自動化・効率化することができます。
2-4.メリット4:発注・在庫管理コストを最小化できる
定量発注方式には、発注・在庫管理コストを最小化できるメリットもあります。
定量発注方式の「発注点」を決める時点で、発注にかかる諸経費と在庫を抱えるコストのバランスが最も良くなる「経済的発注量」を計算し、その発注数を守って毎回発注することで、コストを最適化できます。
※経済的発注量とは、在庫維持費用(保管費など)と発注費用(注文処理費、送料など)の合計コストが最小となる、1回あたりの最適な発注量のことです。
◆定量発注方式のメリット4:発注・在庫管理コストを最小化できる
・毎回の発注数が固定なので、配送コストや梱包サイズを一定にでき、無駄が発生しない
・無駄な「まとめ買い」や、送料の高い「小分け発注」も防ぐことができる
・仕入れ先との交渉においてボリュームディスカウントを引き出しやすくなる
単に欠品を防ぐだけでなく、コストを下げることができるのも定量発注方式の大きなメリットです。
3.定量発注方式のデメリット2つ
2章では定量発注方式のメリットを紹介しましたが、ここからは逆にデメリットを見ていきましょう。
◆定量発注方式のデメリット2つ
・デメリット2:定期的な在庫確認が必要になる
デメリットを読み進めることで、定量発注方式は「ラクに管理できる」という大きなメリットがある一方で、「定量発注方式が適さない商品もある」ということに気付くはずです。
定量発注方式はどんな商品に向いていて、どんな商品が向いていないのかをイメージしながら読み進めてみてください。
3-1.デメリット1:需要が安定しないものには適さない
定量発注方式の最大の弱点は、「需要の変動が激しい商品」や「季節性が極めて強い商品」の管理には向かないという点です。
「常に同じ量を、同じ基準で発注する」という性質上、急なトレンドや大幅な需要増減に柔軟に対応することが難しいからです。
◆定量発注方式のデメリット1:需要が安定しないものには適さない
・需要が急拡大したのに発注量が一定のままだと、在庫が足りなくなり欠品による機会損失が発生する
定量発注方式は需要予測と連動せずに機械的に発注する仕組みのため、「今回は多めに仕入れよう」「次回は減らそう」といった調整がしにくい発注方式です。
そのため、すべての商品に定量発注方式を適用するのではなく、商品によっては別の発注方式(例えば定期発注方式)を採用するのがおすすめの運用となります。
3-2.デメリット2:定期的な在庫確認が必要になる
定量発注方式はルール通りに実行する仕組みだからこそ、帳簿やシステム上の数字と「実際の在庫数」がズレてしまうと、そのまま発注ミスや欠品、過剰在庫につながる恐れがあります。
定期的に現物を確認して、データのズレを修正する習慣が欠かせません。
◆定量発注方式のデメリット2:定期的な在庫確認が必要になる
・逆に、出荷の記録漏れなどで「データ上はあるはずなのに棚が空っぽ」という状態になると、発注のタイミングを逃して欠品を招く可能性がある
このように定量発注方式は、「少しの数字のズレ」がそのまま在庫管理ミスに直結しやすい仕組みです。
こうしたデメリットを踏まえると、1点あたりの単価が高い商品や賞味期限がある商品など「絶対に過剰在庫も欠品も許されない」というシビアな商品については、定量発注方式を避けるのが無難と言えるでしょう。
そうした商品については、毎回状況を見て発注量を調整する「定期発注方式」などで、人の目や高度な予測を介して管理するのがおすすめです。
4.定量発注方式を選ぶべき商品(材料・部材)の具体例
ここまで、定量発注方式のメリットとデメリットについて詳しく解説しました。
「在庫管理を自動化できる」という強みを最大限に活かすためには、デメリットである「需要変動への弱さ」をあらかじめ回避し、適切な商品(材料・部材)に絞って導入することが不可欠です。
そこで本章では、どのような商品や材料、部材であれば「定量発注方式」でも失敗せず、業務を効率化できるのかを具体的に紹介します。
◆定量発注方式を選ぶべき商品(材料・部材)の具体例
・単価が低い消耗品などの部材
ご自身の状況と照らし合わせて、「どの商品(材料・部材)なら定量発注方式で効率化できそうか」をイメージしながら読み進めてみてください。
4-1.需要が常に一定で安定している商品
定量発注方式を導入するのに最も適しているのは、季節や流行に左右されず、毎日・毎週「常に一定のペースで売れる(または消費される)もの」です。これらは在庫が減るスピードが予測しやすいため、決めたルール通りに補充しても過剰在庫や欠品のリスクが低くなります。
◆定量発注方式を選ぶべき定番商品の具体例
・ネットショップ:リピート購入される定番の商品、一年を通して売れる看板商品など
・飲食店:看板メニューのメイン食材、お米、小麦粉、コーヒー豆、調味料など
・美容・医療・介護:シャンプー、定番色のヘアカラー剤、使い捨て手袋、マスク、消毒液など
これらの商品・部材の中でも、特に「発注してから届くまでの期間(リードタイム)」が短いものは、定量発注方式に最適です。必要な分をこまめに補充できるため、在庫を最小限に抑えつつ、スムーズな運営が可能になります。
◆【補足】逆に向いていないもの:トレンド品や季節限定商品
4-2.単価が低い消耗品などの部材
1点あたりの仕入れ価格が安く、在庫を少し多めに抱えてもキャッシュフローを圧迫しにくい「低単価なもの」も、定量発注方式に最適です。
◆定量発注方式を選ぶべき低単価部材の具体例
・小売店:レジロール紙、商品を入れるショップ袋、ラッピング用品、セロハンテープなど
・オフィス:コピー用紙(A4・A3)、プリンターのトナー・インク、名刺台紙、封筒など
・ネットショップ:各サイズの段ボール、梱包用テープ、緩衝材(プチプチ)、宛名ラベル、発送用封筒など
・飲食店:割り箸、紙ナプキン、ストロー、おしぼり、コースター、ゴミ袋、洗剤など
・美容・医療・介護:使い捨てケープ、フェイスペーパー、コットン、綿棒、使い捨てのスリッパなど
これらは「考える時間(人件費)」を最小限にするために、仕組み化して回すべき対象です。
◆【補足】逆に向いていないもの:高単価商品や希少品
5.定量発注方式で発注する仕組みの構築ステップ
ここまで解説してきたように、定量発注方式は、一度ルールを決めれば発注業務を自動化できる非常に便利な手法ですが、すべての商品や状況に適しているわけではありません。
需要変動が激しい商品には不向きな側面もあり、自社の状況に合わせた正しい数値設定と、現場で機能する仕組みが伴ってこそ、初めてその真価を発揮します。
そのため、定量発注方式をスタートさせる場合には、正しいステップで仕組みを構築していく必要があるのです。
5章はこの「定量発注方式の正しい仕組みの作り方」を6ステップに分けて詳しく解説していきます。
◆定量発注方式で発注する仕組みの構築ステップ
・最低限確保しておくべき「安全在庫」を決める
・発注のタイミング(発注点)を計算する
・1回あたりの発注量を決める(経済的発注量から決めるのがおすすめ)
・どう運用するかルールを作成する
・発注タイミングに気付ける仕組みを作る
どのステップも重要なので、じっくり読んで理解していきましょう。
5-1.ステップ1:ABC分析で「定量発注方式」にする商品を決める
まず最初に行うのは、自社の商品全体から、どの商品を「定量発注方式」で管理するかを仕分けすることです。この仕分けに便利なのが「ABC分析」という手法です。
ABC分析とは、売上金額や出荷数が多い順に商品をA・B・Cの3グループに分ける方法です。この分類によって、定量発注方式を導入すべきか、あるいは別の手法をとるべきかが明確になります。
| Aグループ (主力商品・最重要) |
売上の約7割を占める、ごく一部の重要な商品です。欠品が許されず、需要の変動も激しいため、常に人の目で細かくチェックして発注量を調整する「定期発注方式」が向いています。 |
| Bグループ (定番品商品・重要) |
売上への貢献度は中程度ですが、出荷頻度が安定している商品です。まさにこのグループこそが、定量発注方式を導入するメイン対象となります。ルール化することで、管理の手間を大幅に減らしつつ、安定した供給が可能になります。 |
| Cグループ (消耗品・一般) |
種類は多いものの売上への貢献度は低い商品です。定量発注方式が適していますが、棚を見て「少なくなったら買い足す」程度の簡易的な管理で十分な場合があります。 |
定量発注方式を導入すべきなのは「Bグループ」がメインで、ものによっては「Cグループ」も検討するのが良いでしょう。一方で、売上高が高いAグループは「定期発注方式」で緻密に管理するのがおすすめです。
いきなり全てを自動化しようとせず、まずはBグループのような「動きが安定している定番商品」から定量発注方式で運用してみましょう。
5-2.ステップ2:最低限確保しておくべき「安全在庫」を決める
定量発注方式にする商品が決まったら、「これ以下になったら欠品してしまう」というデッドライン、すなわち安全在庫を決めます。これは、配送の遅れや急な注文増があった際、欠品を防ぐための「お守り」や「予備」のような存在です。
常に棚に置いておくべき最低限の予備を先に決めておくことで、計算の土台が固まります。
安全在庫の目安は、商品の「需要の安定度」で判断します。
◆最低限確保しておくべき「安全在庫」の決め方
・需要に波がある商品:1日の平均販売数(消費数)の1週間分など、少し厚めに設定
例えば、1日に平均して定番バッグが5個売れるネットショップの場合で、万が一の入荷遅れや需要増を想定して3日分の予備を持つ場合、「5個 × 3日分 = 15個」が安全在庫となります。
5-3.ステップ3:発注のタイミング(発注点)を計算する
安全在庫が決まったら、いよいよ「在庫が残り何個になったら発注をかけるか」という発注点を算出します。
発注点は、平均販売数にリードタイム(発注してからの待期期間)を掛けたうえで、先ほどの「安全在庫」を足して計算します。
◆発注点の計算式
※リードタイムとは、商品を発注してから到着して販売可能(使用可能)になるまでにかかる日数を言います。
例えば、さきほどの例(平均販売数5個×3日分=安全在庫を15個持つ場合)で、発注してから4日で届いてすぐ販売できる場合、発注点は、(5×4)+ 15 = 35個となります。
現在在庫数が35個まで減った時点が、発注するタイミング(=発注点)となります。
5-4.ステップ4:1回あたりの発注量を決める(経済的発注量から決めるのがおすすめ)
安全在庫数や発注点(発注するタイミング)が決まったら、最後に「一度に何個注文するか」という発注量を決めていきます。
発注量を決める方法はいくつかありますが、「発注にかかるコスト」と「在庫を保有するコスト」の合計が最も小さくなる「経済的発注量(EOQ)」をベースにしつつ発注量を決定するのがおすすめです。
◆経済的発注量(EOQ)の考え方
・経済的発注量は、発注コストと保管コストの合計が最も小さくなる「1回あたりの最適発注量」のことです。
・発注コストを優先すると:一度に大量に注文すれば、発注回数が減り1個あたりの送料や事務手間(発注費用)は安くなります。しかしながら、保管場所が必要になり保管コストもかかります。
・保管コストを優先すると:こまめに少量ずつ注文すれば、手元の在庫が減りスペース代や商品の劣化リスク(在庫保管費用)は安くなります。ただし、発注にかかる送料や単価が上がります。
経済的発注量(EOQ)を決めるための計算式は、以下です。
◆経済的発注量の計算式
たとえば以下の条件の場合、平方根の中は(2×3,000円×1,200個)÷500円=14,400個となり、平方根を計算すると120個が経済的発注量ということになります。
・年間必要量:1,200個
・1単位あたりの年間在庫保管費用:500円
この場合、1回につき「120個」まとめて発注するのが最も経済的であると導き出されます。
ただし、実際には「保管スペースがない」「取引先の発注ロットに合わせなければならない」「送料無料ラインが決まっている」という事情があるケースもありえます。
その場合は、経済的発注量をベースにしながらも、「自社の保管スペースに合わせる」「仕入れ先が100個単位(ロット)なら100個にする」「送料無料ラインが150個からなら150個にする」といった調整を行い、最終的な発注量を決めていきましょう。
5-5.ステップ5:どう運用するかルールを作成する
定量発注方式で発注したい在庫に対して、「安全在庫」と「発注点」「発注量」がすべて決まったら、それを現場の運用に落とし込んでいく方法を検討しましょう。
定量発注方式の最大のメリットは、「誰がやっても同じタイミングで同じ量を注文できる」ことです。しかしながらルールをしっかり整えておかなければ、うまく運用を回すことは難しいでしょう。
お店の規模や在庫管理の方法に合わせて、以下のいずれかの方法で運用ルールを確定させましょう。
◆目視で在庫管理している場合の定量発注方式ルールの例
・在庫表や発注ノートを棚にぶら下げておき、在庫チェック時または発注時にルールを確認する
エクセルで管理している場合の定量発注方式ルールの例
「在庫チェックを頻繁には行わない」という場合には、週1回などを在庫チェックと発注作業の日にして、発注点まで減っている在庫を発注するという方法もあります。
在庫チェックと発注担当者が異なる場合などは特に、運用ルールが漏れないようなルールを考えておくのがおすすめです。
5-6.ステップ6:発注タイミングに気付ける仕組みを作る
定量発注方式では「発注点(タイミング)」にしっかり気付ける仕組みを作ることが重要です。
たとえ忙しくても担当が変わっても「発注点(タイミング)」を見逃さない仕掛けを作っておきましょう。視覚的に気付けるような仕組みが効果的です。
◆発注タイミングに気付ける仕組みの例
・在庫が「発注点」の個数になった位置に、商品名と発注量を書いたカードを挟んでおく(出荷作業で商品を取り出し、カードが手元に現れた瞬間に「あ、発注だ」と物理的に気付ける)
・棚やカゴの「発注点」にあたる高さに赤いテープなどを貼っておく(資材や積み上げている商品に有効)
・エクセルの「条件付き書式」で、「現在在庫≦発注点」になったらセルが赤くなって「要発注」と表示されるように設定する
経験が浅くても「次にすべきことが分かる仕組み」を整えておけば、属人化を防ぐことができ、在庫管理を効率化できるはずです。
6.定量発注方式には在庫アラート設定できるカートシステムがおすすめ
5-6では、現場で発注タイミングに気づくための視覚的な工夫(カードやテープなど)を紹介しました。しかし、もしあなたがネットショップ(ECサイト)を運営している、あるいは受注と連動して在庫を卸すような業種であるなら、より確実でスマートな方法があります。
それが、「在庫アラート(通知)機能」が搭載されたカートシステムや在庫管理システムを活用することです。
システム側に「発注点」をあらかじめ設定しておけば、以下のような運用が可能となります。
◆在庫アラート設定できるカートシステムで定量発注方式を運用する例
2.「現在庫数 ≦ 発注点」になった時点で、担当者にアラートが届く
3.通知を受け取った担当者は、あらかじめ決めておいた「発注量」を注文すればOK
このように、システム側で在庫管理を連携できれば、アラート通知が来たら発注というシンプルな「定量発注方式」の仕組みを構築できます。
在庫連携・アラート設定で定量発注方式を運用するならEBISUMART
カスタマイズ対応可能なクラウド型ECサイト構築サービス「EBISUMART(エビスマート)」には、定量発注方式をスムーズに運用するための高度な在庫管理機能が標準で備わっています。
・注文成立時にリアルタイムで在庫を自動減算
在庫管理機能をオンに設定した場合、顧客がECサイトで注文を完了したタイミング(またはショップ管理ツールで受注を新規登録・更新したタイミング)で、システムが在庫数を自動で引き算します。
・「最低在庫数」に発注点を設定して、アラートメールを自動受信
「最低在庫数」に発注点を設定しておけば、「在庫数」が「最低在庫数」以下になったタイミングで、店舗管理者のメールアドレス宛てにアラートメールが自動で送信されます。
・サイズやカラーごとの「バリエーション単位」でも発注点を管理できる
商品全体での在庫管理はもちろん、「ピンクのSサイズ」「イエローのLサイズ」といったバリエーション単位での在庫管理も可能です。
・在庫がゼロになったら購入ボタンを自動非表示にできる
商品在庫数がゼロになってしまった場合に、自動的にECサイト上の「買い物かごに入れる」ボタンをクリックできなくすることができます。在庫がないのに注文を受けてしまうトラブルを未然に防げます。
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7.まとめ
本記事では「定量発注方式」の概要から仕組みの構築方法までを網羅的に解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆定量発注方式とは
・定量発注方式と定期発注方式との違い
・定量発注方式の運用例
◆定量発注方式のメリット4つ
・メリット2:在庫が減ったら発注するため過剰在庫・欠品を防ぎやすい
・メリット3:ルールがシンプルなので自動発注の仕組みを作りやすい
・メリット4:発注・在庫管理コストを最小化できる
◆定量発注方式のデメリット2つ
・デメリット2:定期的な在庫確認が必要になる
◆定量発注方式を選ぶべき商品(材料・部材)の具体例
・単価が低い消耗品などの部材
◆定量発注方式で発注する仕組みの構築ステップ
・ステップ2:最低限確保しておくべき「安全在庫」を決める
・ステップ3:発注のタイミング(発注点)を計算する
・ステップ4:1回あたりの発注量を決める(経済的発注量から決めるのがおすすめ)
・ステップ5:どう運用するかルールを作成する
・ステップ6:発注タイミングに気付ける仕組みを作る
定量発注方式に適した商品は、正しく仕組みを作っておけば発注作業が格段にラクになるはずです。ぜひこの記事を参考に、定量発注方式をスタートしてみてください。


























