事業者必見！PayPay導入における3つの決済方式を解説

PayPayは、実店舗やEC店舗での支払いでQRコード決済を使えるサービスです。PayPayの導入には、以下の3つの決済方式があります。

◆PayPayの3つの決済方式

方式① ユーザースキャン方式による対面決済
方式② ストアスキャン方式による対面決済
方式③ PayPayオンライン決済

方式①は決済手数料が最も安く手軽に導入できる方式です。方式②はPOSシステムの、方式③はECプラットフォームの導入・連携が必要ですが、PayPay以外のキャッシュレス決済（カード決済等）も一緒に契約・導入することもできます。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、PayPayの3つの決済方式と導入方法を紹介します。

PayPayの3つの決済方式の主な特徴

PayPayでは、実店舗用の2種類の対面決済と、ECやスマホアプリ用のオンライン決済の3つの決済方式が提供されています。

◆PayPayの3つの決済方式

利用場所	決済方式	決済方法
実店舗	方式① ユーザースキャン方式による対面決済	店舗で提示されたQRコードを顧客がスマホで読み込み、顧客のPayPayアプリ画面で支払い金額を入力して決済手続きを行う
実店舗	方式② ストアスキャン方式による対面決済	顧客のスマホに提示されたアプリのバーコードを店舗側がバーコードリーダーで読み取り、自動でPOSの決済処理を完了できる
ECサイト/スマホアプリ	方式③ PayPayオンライン決済	ECの購入手続きの支払画面で「PayPay」を選択、または、スマホでQRコードを読み取ることで表示されるPayPay画面で決済手続きを行うことで、自動でECの決済処理を完了できる

PayPayの3つの決済方式の導入方法

それでは、PayPayの3つの決済方式の導入方法をそれぞれ見ていきましょう。

◆PayPayの3つの決済方式

方式① ユーザースキャン方式による対面決済
方式② ストアスキャン方式による対面決済
方式③ PayPayオンライン決済

方式① ユーザースキャン方式による対面決済

ユーザースキャン方式のメリットは、店頭への導入コストが小さいことと、決済手数料が抑えられることです。実店舗に「PayPay for Businessアプリ」をインストールしたスマホやタブレットを設置し、店舗のQRコードを取得することで、PayPay決済を利用できるようになります。

◆ユーザースキャン方式の導入で準備すること

・スマホまたはタブレット端末
・PayPay加盟店用の公式アプリ「PayPay for Business」のダウンロードとインストール
・PayPayの利用申し込み
・取得したQRコードの掲示（レジの横などに掲示する）
※アプリは加盟店審査の可決後に利用できます

参考：PayPay for Business

上記の準備ができたらユーザースキャン方式によるPayPay決済の利用を開始できます。決済時は、レジ横に掲示してあるQRコードを顧客がスマホで読み取り、表示された画面で支払金額を入力したところで、一度店員が内容を確認します（下図）。

◆ユーザースキャン方式によるPayPay決済の様子

ユーザースキャン方式は、顧客による金額入力や店舗スタッフの確認等が必要になるため決済が完了するまでに時間がかかるため、例えばスーパーなどではレジ待ち行列の発生要因となる可能性があります。

方式② ストアスキャン方式による対面決済

ストアスキャン方式は、顧客が提示したPayPayアプリのバーコードを専用の機器で読み取ると自動でPayPay決済が完了します。そのため、方式①のユーザースキャン方式よりも、短い時間で決済が完了しやすくなります。

◆ストアスキャン方式によるPayPay決算（バーコード読み取り）の様子

◆ストアスキャン方式の導入で準備すること

・PayPayの利用申し込み
・POSシステム（POSレジやPOS用タブレット）
・バーコードコードリーダー（1万5,000円～）
・キャッシュレス決済用端末

ストアスキャン方式では、POSシステム、バーコードリーダーを使用するため、導入時には1店舗あたり7万～数十万円ほどの初期費用が必要になります。

PayPay決済による売上をPOSシステムで管理できるため、PayPay決済の利用実績などの分析も容易に行えます。

これから新たにPOSシステムを導入する場合は、POSレジのクラウドサービスの利用を検討するとよいでしょう。例えば、小売事業向けに多彩なソリューションを提供しているSquareが無料で提供しているPOSレジアプリなどを使うと、初期費用を抑えてPayPayを導入できます。

参考：Square POSレジアプリ　無料のPOSレジアプリ

方式③ PayPayオンライン決済

方式①②はいずれも実店舗での対面決済方法ですが、方式③はECサイトやスマホアプリの支払い方法にPayPay決済を導入するための方式です。

例えば、ビックカメラ.comでは、スマホアプリでの買い物の場合には、支払い方法に「PayPay」を選択するとPayPayアプリの画面が表示され、PayPay決済が行えます。

◆スマホアプリでPayPay決済を選択

出典（画像）：ビックカメラ.com（公式アプリ）での注文手続きのPayPay決済画面を筆者が撮影

Webブラウザでの買い物の場合には、支払い方法で「PayPay」を選択してQRコードを表示し、それをスマホのカメラで読み込んでPayPayアプリで決済を行います。

◆WebブラウザでPayPay決済を選択

出典（画像）：ビックカメラ.com（Webサイト）での注文手続きのPayPay決済画面を筆者が撮影

ECサイトで最も利用されている支払方法はクレジットカード決済ですが、10～20代の若者はクレジットカードの所持率が低いことに加え、昨今は個人情報の流出や詐欺などの事件も増えているため、PayPayなどのQRコード決済を導入して支払い方法の選択肢を増やすことで、ECサイトのかご落ち率の改善にもつながります。

ECサイトにPayPay決済を導入する場合、ECプラットフォームがPayPay決済に対応している必要があります。PayPay決済に対応しているECプラットフォームの情報はPayPayの公式サイトに掲載されています（下表）。

◆PayPay決済の導入が可能なECプラットフォーム一覧

サービス名	URL
STORES	https://stores.fun/
MakeShop	https://www.makeshop.jp
カラーミーショップ	https://shop-pro.jp
Shopify	https://www.shopify.com
ショップサーブ	https://shopserve.estore.jp
futureshop	https://www.future-shop.jp
おちゃのこネット	https://www.ocnk.net
e-shopsカートS	https://cart.e-shops.jp
カゴラボ	https://www.cagolab.jp
メルカート	https://mercart.jp
Cafe24	https://store.cafe24.com
W2 Unified（旧w2Commerce）	https://www.w2solution.co.jp/w2_unified/
W2 Repeat（旧リピートPLUS）	https://www.w2solution.co.jp/w2_repeat/
aiship	https://www.aiship.jp
EC-CUBE	https://www.ec-cube.net
EBISUMART	https://ebisumart.com
ecbeing	https://www.ecbeing.net

出典：「PayPayをご利用いただける決済代行会社・ショッピングカートサービス」の掲載情報をもとに筆者作成

もし、既存のECサイトがPayPay決済に対応していないECプラットフォームを利用している場合や自社で構築したシステムを使用している場合は、PayPayに対応している決済代行会社を利用することでPayPay決済を導入することができます。

参考：PayPayをご利用いただける決済代行会社・ショッピングカートサービス

PayPay導入に必要な費用の目安

PayPay決済の導入に必要な費用は以下となります。

◆PayPay決済の3つの方式別の導入費用

利用場所	導入方式	導入費用
実店舗	方式① ユーザースキャン方式による対面決済	初期費用：0円～月額利用料：1980円決済システム利用料：1.60％～
実店舗	方式② ストアスキャン方式による対面決済	初期費用：端末費用月額費用：1,980円～決済手数料：2.80％～（PayPayの場合）
ECサイト/スマホアプリ	方式③ PayPayオンライン決済	初期費用、月額費用：なし決済手数料（物販）：3.8% 決済手数料（デジタルコンテンツ）：10％

出典：決済をもっと楽に、便利にPayCAS Mobile│PayPay、オンライン決済│PayPay

実店舗のPayPay導入時の決済手数料

最も実店舗の負担が少なく導入できるユーザースキャン方式（方式①）は、「PayPayマイストアライトプラン」（月額1,980円）に加入しているかどうかで、決済手数料率が異なります。

◆ユーザースキャン方式の決済手数料

PayPayマイストアライトプラン（月額1,980円）	決済手数料率
加入	1.60％
非加入	1.98％

PayPay決済総額が月額52万円以上になる場合は、PayPayマイストアライトプランに加入したほうがお得になります。そのため、最初は未加入で導入し、その後のPayPay決済の利用状況を確認し、必要なタイミングで加入すると良いでしょう。

また、ストアスキャン方式（方式②）でキャッシュレス端末を利用する場合には、PayPayとの直契約ではなく、スマホ決済サービスを契約する必要があります。そのため、PayPayとの直接契約より決済手数料率は高くなり、また、サービスごとに決済手数料は異なります。

◆スマホ決済サービスごとのPayPay決済の手数料（例）

サービス名	PayPay決済手数料
Square	3.25%
Airペイ	3.24%
STORES決済	3.24%
楽天ペイ	3.24%

出典：Square、Airペイ、STORES決済、楽天ペイ（実店舗決済）（2025年5月現在）より筆者作成

スマホ決済は、クレジットカード、電子マネー、QRコードなどの幅広い決済に対応しており、複数種類のキャッシュレス決済を導入したい場合には便利です。

スマホ決済については関連記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

関連記事：スマホ決済大手4社比較！店舗に導入するべき決済端末とは？

PayPayオンライン決済の決済手数料

ECサイトに導入する場合は、ECプラットフォームごとに決済手数料が異なります。

◆ECプラットフォームサービスごとのPayPay決済手数料（例）

出典：STORES、MakeShop、カラーミーショップ、Shopify、ショップサーブ、futureshop、おちゃのこネット、e-shops Pay、カゴラボ、メルカート、Cafe24、W2 Repeat、aiship、EC-CUBE（2025年5月現在）より筆者作成

ECサイトの物販の決済手数料は3.45～6.5％、クレジットカード決済手数料は3～5％程度ですから、PayPayの決済手数料もそれらと大きく変わりませんが、デジタルコンテンツの決済手数料については9％と高くなります。

デジタルコンテンツの決済では以下のようなリスクが生じやすく、決済会社のリスク管理コストが高くなるため、手数料も高めに設定されていると考えられます。

◆デジタルコンテンツの決済におけるリスク

・物理的な商品（ハードウェア）ではないため、不正購入があっても返品/返金の徹底がしづらい
・アプリ内で「意図しない課金」によるトラブルが発生しやすい
・チャージバック（商品購入後の支払いへの不同意）が発生しやすい

スマホアプリにPayPayを導入する場合は、PayPay、あるいはPayPayに対応している決済代行会社と契約する必要があります。また、決済手数料は個別見積もりとなり、業種・業態、アプリの内容や利用者数などによって決定されますが、一般的にはECサイトと同じように物販は3.45～6.5％程度、デジタルコンテンツは9％程度の決済手数料を前提に検討しておくと良いでしょう。