予約販売の5つのメリットとECの「予約販売機能」

ECの「予約販売機能」は、発売日前や現時点で在庫がない商品をユーザーが予約購入できる機能で、在庫がない状況でもユーザーは購入を確定することができます。

予約販売機能は、特に季節品や限定品、在庫切れが生じやすい人気商品などを販売しているECサイトで実装されており、ロイヤリティの高いユーザーの満足度維持・向上をサポートしています。

また、予約販売機能を実装する際は、予約と進捗状況の管理機能(画面と仕組み)も必要になります。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、予約販売を行う5つのメリットとECの予約販売機能について解説します。

予約販売を行う5つのメリット

ECで予約販売を行うことで得られるメリットは次の5つです。

◆ECで予約販売を行う5つのメリット

メリット①~⑤について、一つずつ解説します。

メリット① ロイヤリティの高いユーザーの満足度を維持・向上できる

例えば人気商品を販売しているECサイトに予約販売機能がなかった場合、注文の受付を開始した瞬間に一気に売り切れてしまいます。購入できるかどうかが運次第となると、購入できなかったユーザーを永遠に失うことにもなりかねません。特に、何度も購入に挑戦してくれるような熱心なリピーターの離脱は、ECにとって大きな損失です。

何年か前に、筆者はあるシリーズ商品を収集していた時期があり、当時は新商品の発売が決まると、販売開始日にECサイトにアクセスしたり、実店舗に早朝から並んだりして、何とか商品を手に入れようと奮闘していたのですが、一度も購入することができませんでした。

かなり情熱と労力を注いだのですが、何度も悔しい思いをするうちに、「どうせ手に入らないのだから頑張るだけ無駄だなあ」と思い始め、結局、手持ちのシリーズ商品もすべて処分し、二度と興味を持たなくなってしまったという経験があります。

筆者は熱心なコレクターではなかったかもしれませんが、そのシリーズ商品を10種以上集めており、そこそこのリピーターではあったのではないかと思います。しかし、予約販売を行っていなかったことで、筆者は完全に離脱してしまいました。

もし当時、予約販売の仕組みがあれば、筆者のようなリピーターの満足度を損ねることなく、今もまだリピート購入し続けていた可能性もあります。

筆者と同じような経験をしている方も少なくないのではないでしょうか。

シリーズ商品やキャラクター商品などをはじめとする人気商品を取り扱うECサイトでは、顧客満足度を下げてロイヤリティの高い顧客を失うことのないように、必ず予約販売機能を実装すべきでしょう。

メリット② 顧客情報を収集できる

予約販売を通じて収集できる顧客情報は、商品企画や販売予測に役立ちます。

予約販売で収集できるデータ(例)

・顧客の嗜好
・販売日時に対する予約日時
・予約のきっかけとなった媒体

収集したデータと他のデータを組み合わせて分析・活用することで、ユーザーにより最適なアプローチを展開することも可能になるなど、商品開発からマーケティングまでのすべての顧客接点を最適化して、効果を最大化できるようになります。

メリット③ 「予約販売」というコンテンツを確立できる(SNS/ダイレクトメール)

予約販売サービスはユーザーにとって役立つ強力なコンテンツとなります。

通常、ECの情報発信は次のような媒体を通して行われます。

◆ECの情報発信で利用される媒体

① ダイレクトメール
② SNS
③ ECサイトのトップページやバナー
④ 公式ブログ
⑤ パンフレットやチラシなどの紙媒体

ECサイトを運営していると、定期的に配信する情報、つまり「ネタ」が見つからないという場合がありますが、そんなときにも「予約販売に関する情報」は強力なコンテンツとなります。

メリット④ 受注数を事前に把握できるため在庫管理を最適化しやすい

予約販売をすることで、受注数を事前に把握することができます。

生産/仕入れの前に予約販売を実施することで、在庫を適切に管理しながら商品を販売することができます。

メリット⑤ キャッシュフローが改善する可能性がある

ECサイトの予約販売時に事前決済サービスを提供することで、EC事業のキャッシュフローが部分的に改善する可能性があります。

一般的なECサイトの多くが、クレジットカード決済やコンビニ決済などの決済方法を採用しています。実際に料金が支払われるタイミングは、利用している決済サービスによって異なりますが多くが月次のため、EC事業者が料金を受け取るのはユーザーに商品が届いた後になります。

しかし予約販売で事前決済も可能としておくことで、商品の入荷タイミングやキャンセル期限の設定などにもよりますが、商品を発送する前に料金を受け取ることができるため、一部のキャッシュフローを改善できる可能性があるのです。

ECサイトの予約販売機能で実装したい5つの機能

それでは、実際にECサイトで予約販売機能を実装する際に、組み込みたい5つの機能を紹介します。

今回はインターファクトリーのECプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」の機能に基づいて解説しています。

参考:公式ホームページ「EBISUMART(エビスマート)

◆ECサイトの予約販売機能で実装したい5つの機能

※出典:以下に掲載しているすべての画像はEBISUMARTの公式サポートサイト「EBISUMARTサポート」から引用しています。

機能① 商品登録時に予約商品フラグを設定

商品登録時に、商品ごとに予約商品フラグのオン/オフを設定することで、予約商品を管理できます。

商品登録時に予約商品フラグを設定する

管理画面で予約販売フラグを立てる

機能② 予約商品の商品ページに“予約商品”アイコンを自動表示

予約販売フラグをオンに設定した商品は、ECサイトの商品ページに“予約商品”アイコンが自動で表示されるようになります(下図の赤枠部分)。

◆商品ページに“予約商品”アイコンが自動で表示される予約販売のアイコンが出現するこのアイコンがあることで、ユーザーも一目で予約販売であることが理解できます。

機能③ 商品のバリエーション単位で予約商品を設定

予約販売商品と通常販売商品を、商品のバリエーション単位で管理する機能です。

例えば、アパレルなどである複数のカラーバリエーションを展開している商品のある1色だけを限定販売したい場合などには、商品のバリエーション単位で予約商品フラグの設定が必要になります。

◆商品のバリエーション単位で予約商品フラグを設定する

予約販売のバリエーション機能

上図のように、商品のバリエーション単位で予約商品フラグを設定する機能がない場合には、カラーバリエーションの数だけ商品登録をすることで代用できますが、商品点数が多い場合は運用負荷が高くなります

機能④ 予約注文のステータス管理

ユーザーごとに予約注文のステータスを管理するための機能です。

予約注文のステータス管理

予約販売のステータス管理画面

予約注文のステータス管理は煩雑になりやすいため、一目で状況が分かる管理画面を備えた機能を実装することで、運用の効率化とミスの低減につながります。

機能⑤ 在庫切れ商品を予約販売へ自動で切り替える

「通常販売」の商品でも在庫がなくなった場合には、「予約販売」商品に自動的に切り替える機能です。在庫切れによる機会ロスを削減できるので、売上の増加も期待できます

本機能を使用する場合には、売り切り商品(追加発注ができない商品)の自動切替機能をオンに設定してしまうなどのミスが起こらないように十分に注意して運用するようにしましょう。

予約販売の3つのデメリットと運用対策

予約販売を行うことで、ロイヤリティの高いユーザーの満足度維持・向上を図ったり、人気商品の予約販売はECサイトの目玉としてプッシュしたりできるといったメリットがある一方で、運用面での負荷やリスクといったデメリットもあります。特に、通常販売とは異なる予約管理業務が発生するため、導入前には社内体制の整備が不可欠です。

主なデメリットは、以下の3点です。

デメリット① 業務が煩雑になりやすい

予約販売では、「入荷前の商品を扱う」という性質上、以下のような管理業務の複雑化が発生します。

◆複雑化しやすい予約管理業務(例)

・商品の入荷遅延・入荷停止時の対応(顧客連絡・返金処理など)
・予約注文のキャンセル受付やステータス変更
・発送時期に関する問い合わせへの対応

特に人気商品を予約販売する場合は、問い合わせ数や対応件数が一時的に急増する可能性があり、現場への負担が想定以上になるケースもあります。

デメリット② 発送までの期間が長いことで不満やキャンセルが発生しやすい

予約販売は「すぐ届かない」前提での購入になるため、納期への不満や注文後のキャンセルリスクが通常販売より高くなります。

デメリット③ 顧客とのコミュニケーションミスが信頼低下につながる

発送予定の変更や遅延に対して適切な情報提供ができていないと、クレームや不信感の増加を招くおそれがあります。繰り返し利用しているリピーターほど、対応の質が顧客ロイヤリティに直結します。

こうしたリスクを抑えるためには、予約販売の開始前に運用体制を整え、事前の情報発信や自動化を活用することが重要です。

例えば、以下のような対策を行うことで、これらのデメリットを補うことが可能になります。

◆デメリットを補うための運用対策

・社内向けの運用手順書とFAQを事前に用意する
・商品ページに「発送予定日」を明記する
・進捗に応じた自動通知メールを設定しておく
・発送遅延時の一括通知テンプレートを用意する
・予約購入者限定の特典を用意する

予約販売は、正しく設計すればECの収益性を高める有効な販売手法です。導入時はメリットだけでなく、こうした運用面のリスクも十分に理解したうえで、事前準備と体制整備を行いましょう

まとめ

ECサイトで「予約販売」を検討している場合には、ECプラットフォームサービスが提供している「予約販売機能」の詳細機能を確認して、自社に必要な機能を検討するようにしましょう。必要な詳細機能を備えているかどうかで、日々の運用負荷が大きく変わってきます。

「予約販売機能」の主要な詳細機能

✓商品のバリエーションごとに予約商品を設定できる(機能③)
✓予約注文のステータス管理(機能④)
✓在庫切れ商品を予約販売へ自動で切り替える(機能⑤)

ECサイトの予約販売機能を検討している場合には、本記事の例で取り上げているインターファクトリーの「EBISUMART(エビスマート)」をおすすめします。

EBISUMARTは、予約販売機能をはじめ、ユーザーの顧客満足度を高めるために役立つ機能を備えたECプラットフォームです。クラウドサービスなので、ECサイトの運用を中断することなく機能追加やカスタマイズができる高い柔軟性を備えています。

詳細は下記の公式ページをご覧いただき、お気軽にご相談ください。

公式ホームページ:「EBISUMART(エビスマート)」

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。