失敗しないための「サプリメントECサイト構築」7つのコツ

サプリメントのECサイト構築では、その商材特性から、アパレルや家電などの一般的なECサイトと同じ感覚でプロジェクトを進めると、販売開始後に売上が伸び悩んだり、運用が回らなくなったりして失敗につながるリスクがあります。

一般的にサプリメントは、日常的・継続的な利用を前提に購入されることが多い商品です。そのため、1回限りの「単品購入」だけでなく、「定期購入(サブスクリプション)」や「セット販売・まとめ買い」に柔軟に対応できる販売・システム設計が重要になります。また、健康や身体へダイレクトに関わる商材(食品)であるため、薬機法や景品表示法上といった法的リスクへの配慮も欠かせません。

そのため、サプリメントECサイトを成功させるためには、構築の設計段階からサプリ特融の要件を整理し、以下のコツを押さえておくべきだと筆者は考えます。

◆失敗しないための「サプリメントECサイト構築」7つのコツ

① セット販売やまとめ買いに対応する
② 単品購入から定期購入へ移行しやすい導線を用意する
③ 定期購入の条件を分かりやすく表示する
④ 周期変更・休止・解約に対応できるマイページを設計する
⑤ユーザーレビューを掲載する
⑥ 成分・原材料・摂取目安・注意事項を正確に掲載する
⑦ 医薬品的な表現や優良誤認を避けた表現をする

サプリメントECでは、単に商品を並べて決済させるだけでなく、表示内容の適正さや、ユーザーがストレスなく継続購入できる仕組みまで含めてシステムを設計することが重要です。一般論として、初期費用や導入スピードだけで安易にカートシステムを選んでしまうと、運用開始後に必要となった機能追加や外部システムとの連携に対応できず、結果的にサイトのツギハギやリプレースを余儀なくされる失敗ケースが多く見られます。

この記事では、株式会社インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、サプリメントのECサイト構築で失敗しないためのコツや最適な構築方法について詳しく解説します。

サプリメントのECサイト構築を成功させる7つのコツ

ここでは、サプリメントECサイト構築を成功させるために押さえておきたい、7つのコツをそれぞれ詳しく解説します。

◆サプリメントのECサイト構築7つのコツ

コツ① セット販売やまとめ買いに対応する

一般的にサプリメントは、日常的に継続して利用されやすい商材であるため、ECサイトにおいて「同じ商品を複数個まとめて購入したい」というニーズが一定数存在します。そのため、単品販売だけでなく、セット販売やまとめ買いにもシステム面で対応できるようにしておくことが客単価向上のセオリーです。

例えば、2個セットや3個セット、家族向けのバルク(まとめ買い)売り、あるいは「一定数量以上の購入で●割引」といった段階的な割引を用意できると、客単価の向上だけでなく、ユーザー側の買い忘れ防止にもつなげやすくなります。

ここで、セット販売をシステム上に実装する際は、以下の要件を管理画面側・フロント側でそれぞれ定義しておく必要があります。

◆セット販売の実装における主な設計ポイント

価格の対比表示:単品商品とセット商品の価格差を分かりやすく表示する

お得感の明示:セット商品の割引率や、まとめ買い限定の特典(送料無料など)を明確に伝える

在庫の自動連携:単品の在庫とセット商品の在庫をシステム上でリアルタイムに連動させる

運用の柔軟性:キャンペーン期間や対象商品を、EC担当者がシステム管理画面から簡単に設定・変更できるようにする

実際の成功事例を挙げると、健康食品ブランド「DHC公式オンラインショップ」では、同一の商品ページ内に「通常購入(単品)」のほか、「2個セット」や「4個セット」といったまとめ買いの選択肢が同じ商品ページ内に並べて掲載されています。

セットごとの総額、割引率、付与ポイント、そしてそれぞれのカートインボタンが整理されて表示されており、ユーザーが単品購入とまとめ買いのコストパフォーマンスを直感的に比較しながら選べる設計になっています。

◆DHC公式オンラインショップにおけるセット販売の設計イメージ

DHC「パーフェクトサプリマルチビタミン&ミネラル」のセット販売

出典:DHC公式オンラインショップ ※一部筆者加工

単品購入、セット販売、まとめ買い、そして後述する定期購入など、ユーザーの購入意欲や利用ペースに合わせた選択肢をサイト上に用意することは、ユーザーの利便性を高めながら、結果として店舗の客単価やリピート率の向上に直結する有効な施策であると筆者は考えます。

コツ② 単品購入から定期購入へ移行しやすい導線を用意する

一般的に、サプリメントは中長期的な摂取を前提とするため、定期購入(サブスクリプション)やリピート購入と相性が良い商材です。

一方で、最初から定期購入(継続義務や毎月の決済)を選ぶことに心理的ハードルを感じ、「まずは単品で試してみて、自分に合うかどうかを検討したい」と考える慎重なユーザーも多く存在します。そのため、単品購入と定期購入のどちらも選びやすく配置しつつ、定期購入へ自然に移行できるような「購入導線」を設計することが重要です。

例えば、サプリメントを販売する「ファンケルオンライン」の商品ページでは、カートボタンの手前にある注文エリア内に「定期便」と「1回のみ(単品)」の選択肢がタブやチェックボックス形式で同列に表示されています。

定期購入を選ぶことによる価格メリット(例:●%OFFや送料無料など)や特典が分かりやすく比較できるようになっており、単品購入の導線も用意しつつ、定期便の魅力を自然にアピールする画面設計(UI)になっています。

◆ファンケルオンラインの商品ページにおける注文エリアの設計イメージ

ファンケル「カロリミット」のカートイン周りの設計

出典:ファンケルオンライン│【健康食品・サプリメント】カロリミットより一部筆者加工

サプリメントECにおいて定期購入の比率を高めることは重要ですが、初回顧客に対して定期購入のみを強く押し付けすぎるとかえって購入のハードルが上がり、新規獲得が低下する要因になりかねないと筆者は考えます。

まずは単品購入という「入口」を広く用意し、価格や利便性を明確に比較させたうえで、ユーザーが納得して定期購入へ移行できるような導線を整えておくことが、中長期的な売上成長の鍵となります。

コツ③ 定期購入の条件を分かりやすく表示する

サプリメントECで定期購入を導入する場合は、割引率や特典といった「お得感」を訴求するだけでなく、ユーザーが契約内容を誤認しないような、分かりやすい購入フローを設計する必要があります。

特に、初回限定価格、2回目以降の価格、解約までに必要な支払総額(購入縛りがある場合)、配送周期、そして解約条件などは、ユーザーが申込確定ボタンを押す前に必ず視認できる位置に表示することが重要だと考えます。

消費者庁の特定商取引法ガイドによると、通信販売の「最終確認画面」において、商品の分量、販売価格、支払時期・方法、商品の引渡時期、申込期間、そして申し込みの撤回・解除(解約)に関する事項などを、注文確定の直前に簡単に確認できるよう表示することが義務付けられています。

定期購入契約の場合は、さらに以下のような細かい項目も最終確認画面での表示対象となります。

・各回に届く商品の文量
・2回目以降に発生する代金
・各回の請求時期
・次回分の発送時期など(解約手続きの関係上)

出典:消費者庁「通信販売における“最終確認画面”について

実際の優良な規約表示の事例として、サプリメント通販を行う「サントリーウエルネスオンライン」が用意している「オトク継続便のご案内」では、オトク継続便の変更・終了の手続きについて、「次回お届け予定日の7日前までに連絡が必要であること」が明記されています。また、支払い方法の種類や送料の有無、お届け日数なども案内されており、ユーザーが定期購入の利用条件を迷わず確認できるページになっています。

◆サントリーウエルネス「オトク継続便のご案内」イメージ

サントリーウエルネスの「オトク継続便のご案内」

出典:サントリーウエルネスオンライン|オトク継続便のご案内「送料・お支払い方法について」

一般的に、定期購入はサプリメントECにおいてストック型の安定した売上をもたらす重要な仕組みです。しかし、条件表示や導線設計が不十分なまま申し込みへ進ませてしまうと、ユーザーの不満を買い、問い合わせ増加や解約・クレームにつながるだけでなく、特定商取引法上の法律違反リスクに直結してしまいます

定期購入を導入する際は、注文完了の「最終確認画面」まで含めて、契約条件を分かりやすく確認できる購入フローの設計となっているか意識しましょう。

コツ④ 周期変更・休止・解約に対応できるマイページを設計する

サプリメントECで定期購入を導入する場合は、新規の注文手続きだけでなく、ユーザー自身が購入状況をオンライン上で確認・変更できる高機能な「マイページ」を用意することが必須となるでしょう。

一般的にサプリメントは、ユーザーによって消費ペースや利用状況が異なります。「手元に商品が余っているから次回の配送を一時的に休止したい」「次回のお届け予定日を少しずらしたい」「支払い方法を変えたい」といった日々のニーズに対してマイページ上で柔軟に対応できないと、カスタマーサクセス(問い合わせ窓口)への負担が増大するだけでなく、利便性の悪さからそのまま定期購入の解約につながるリスクが高まります。

システム構築の設計段階において、マイページに実装を検討すべき主な機能と一般的な構成内容は以下の通りです。

◆マイページで用意したい主な機能一覧

機能 主な対応内容
ユーザー情報の変更 氏名、住所、電話番号、メールアドレス、メルマガ受信設定などの変更
パスワードの変更 ユーザー自身によるログイン情報の変更、セキュリティ管理
お届け先の追加・変更 自宅以外の配送先(勤務先など)の登録や引っ越し後の新住所への変更
お気に入り商品の確認 気になる商品や次回以降に継続を検討している商品のストック確認
購入履歴の確認 過去の単品購入や定期購入の注文履歴、領収書データの確認
定期購入内容の確認 現在申し込み中である定期商品の種類、数量、適用価格、配送周期などの確認
お届けサイクル・次回お届け日の変更 ユーザーの利用ペースや在庫状況に合わせて、次回発送日や配送周期を調整する機能
休止・解約手続き ユーザー自身の操作で休止や解約を申請・完結できる機能
支払い方法の変更 クレジットカード情報の更新や、ほかの決済方法への変更
ポイント・クーポンの確認 保有ポイント数や取得済みクーポンの有効期限などの確認

全ての機能を一律で初期段階から完璧に用意する必要はありませんが、マイページで変更できる範囲が限定されすぎていると、ユーザーは電話やメールで問い合わせをしなければならず、離脱の原因になります

特に継続購入を前提とする定期購入では、配送周期、次回お届け日、支払い方法、そして休止・解約の手続きがマイページ上でスムーズに行えるかどうかが、リピート率(継続しやすさ)にダイレクトに影響すると考えます。

サプリメントECにおいては、定期購入を申し込んでもらった後、ユーザーが自分の利用ペースに合わせて無理なく継続できる環境を作ることが重要です。マイページに必要な機能をあらかじめ設計しておくことで、顧客の利便性を最大化しながら、自社側のバックヤードにおける問い合わせ対応の業務負担も抑えやすくなります。

コツ⑤ ユーザーレビューを掲載する

一般的にサプリメントは、アパレルや家電のように「購入前にスペックや手触りを確かめる」ことができない商材です。そのため、新規ユーザーは購入前に「実際に利用している人はどう感じているのか」「続けやすいのか」「飲み続けやすい味やサイズか」といった情報を求める傾向にあります。

そのため、商品説明や成分情報だけでなく、実際の利用者の声を適切に掲載することは、購入を検討しているユーザーの心理的不安を軽減し、コンバージョンを後押しする強力な要素になります。

例えば、サプリメントの販売を手掛ける「レイデルジャパン公式サイト」では、各商品ページにレビュー機能を持たせるだけでなく、ユーザーの感想を集約して掲載する「お客さまの声」の専用ページが設けられています

さらに、同サイトの特長として、投稿された一つ一つのユーザーレビューに対して、カスタマーサポートからの丁寧な返信コメントがセットで掲載されています。レビューをただ機械的に並べるだけでなく、企業側がユーザーの声に真摯に耳を傾け、必要に応じて補足情報やお礼を返している姿勢が可視化されている点は、信頼感を高めるうえで非常に有効なアプローチであると言えます

◆レイデルジャパン公式オンラインショップにおける商品レビューのイメージ ※クリックで拡大

レイデルジャパンの商品レビュー

出典:レイデルジャパン公式サイト│お客さまの声より一部筆者加工

ただし、ECサイト上にユーザーの声を掲載するにあたっては、法的な規制への厳格な注意が必要です。

消費者庁は、2023年10月1日より景品表示法に基づく「ステルスマーケティング(ステマ)規制」を施行しています。これにより、実際には事業者側の広告・宣伝であるにもかかわらず、一般消費者が「純粋な第三者の感想」であると誤認してしまうような不当表示が厳しく規制されるようになりました。SNSの投稿だけでなく、ECサイト内のレビュー投稿もその対象に含まれる可能性があります

そのため、購入者に対して特典や割引を提供してレビュー投稿を促す場合は、配慮が必要です。特典を提供すること自体が直ちに違法になるわけではありませんが、事業者がインセンティブを付与して投稿をコントロールしているにもかかわらず、それが広告やPR、インセンティブ支給によるものであることが分からない形(例:事業者の関与を隠して「純粋なお客様の声」として掲載するなど)で露出すると、ステルスマーケティング規制に抵触するおそれがあります。

出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」、「ステルスマーケティングに関するQ&A

筆者の見解として、最も理想的なのは、商品のクオリティや顧客満足度が高く、過度なインセンティブ(特典)に頼らなくても自然とポジティブな声が集まるような商品力とCRM(顧客関係管理)の体制を築くことです。

サプリメントのECサイトにおいて、ユーザーレビューは商品購入の成否を左右する大きな要素です。だからこそ、景表法やステマ規制のルールを正しく守ったうえで、ユーザーの率直な声を適切に掲載できる運用ルールを整えておきましょう。

コツ⑥ 成分・原材料・摂取目安・注意事項を正確に掲載する

サプリメントは直接口に含むものであるため、成分や原材料の情報がきわめて重要になります。そのため、ECサイト上の商品ページにおいても、成分、原材料、栄養成分、摂取目安、アレルギー物質、注意事項などを正確かつ漏れなく掲載する必要があります。

法律上の事実を挙げると、消費者庁の食品表示基準により、容器包装に入れられた一般用加工食品および添加物については、健康食品であっても「栄養成分表示」を行うことが義務付けられています。

出典:消費者庁「栄養成分表示について

◆サプリメントECで商品ページに記載すべき主な商品情報

管理項目 掲載する内容の例
成分情報 配合成分の種類、機能性関与成分の含有量、必須栄養成分など
原材料情報 原材料名(使用割合の多い順)、添加物、由来原料など
摂取目安 1日あたりの目安量、具体的な飲み方、摂取時の注意点など
アレルギー情報 食品表示法で定められたアレルギー特定原材料(およびそれに準ずるもの)の有無
注意事項 妊娠中・授乳中の方、通院中の方、薬を服用中の方への個別の注意書きなど

実際の優れた情報開示の事例を挙げると、サントリーウエルネスの代表的なサプリメント「セサミンEX」の商品ページでは、成分情報、原材料迷、アレルギー物質(28品目)、1日の摂取目安量に関する注意書きなどが、専門の仕様書やタブを用いて詳しく、整然と掲載されています。

◆サントリーウエルネスの商品ページ

サントリーウエルネス「セサミンEX」の商品ページ

出典:サントリーウエルネスオンライン|【公式】セサミンEX ※一部筆者加工

このような詳細データを購入前にしっかりと確認できる状態を整えることは、ユーザーに安心感を与えて購入を後押しするだけでなく、誤飲や体調不良によるトラブルを未然に防ぎ、ブランドの誠実さを伝えるために不可欠です。

サプリメントECにおいては、このような情報は商品ページごとに手作業で入力するのではなく、項目ごとに管理し、抜け漏れや表記ゆれを防ぐ設計にしておくことが重要と考えます。

コツ⑦ 医薬品的な表現や優良誤認を避けた表現をする

サプリメントECでは、商品ページやLPなどのWebサイト内だけでなく、Web広告やSNS、メールマガジンなどで使用するクリエイティブに対して、公開前に各種法規制に基づく厳密なリーガルチェック体制を構築しておく必要があります。

サプリメントを含むいわゆる「健康食品」には法律上の明確な定義はありません。厚生労働省のガイドラインでは、これらを「医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品全般」と説明しています。つまり、サプリメントは原則として全て「食品」の領域に分類されます

ただし食品であっても、商品ページや広告で病気の治療・予防、身体機能の増強などを想起・暗示させる表現を行うと、医薬品的な効能効果を公言していると判断され、薬機法(医薬品医療機器等法)違反のペナルティを受ける可能性があります。

実際に、厚生労働省の指導取り締り方針では、容器や包装だけでなく、インターネット上の広告宣伝物などで医薬品的な効能効果が表示・説明されている場合、無承認無許可医薬品として取り締まりの対象にすると示されています。

出典:厚生労働省「いわゆる『健康食品』のホームページ」、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて

また、科学的根拠が十分に実証されていないにもかかわらず、劇的な効果を期待させるような表示を行った場合、健康増進法上の「虚偽誇大表示」や、景品表示法上の「優良誤認表示」に該当するおそれがあります。

サプリメントECで注意すべき表現と、見直し後の表現例を表にまとめました。

◆サプリメントECで注意したい表現とリライトの方向性

注意が必要な表現例 見直し後の表現例
(食品として許容される範囲)
疾病の治療・予防
(例:糖尿病、高血圧、便秘などに効果があるように見せる)
健康維持や日々の元気をサポートする成分を配合
身体変化の断定
(例:飲むだけで痩せる、脂肪が燃えるなど)
適切な食生活や運動習慣を意識したい方の健康をサポート
身体機能の増強
(例:疲労回復、体力増強、若返りなどを直接うたう)
毎日のコンディション管理、はつらつとした毎日を意識する方に
誤認を招く体験談
(例:利用者の声や専門家のコメントで効果を保証する)
成分そのものの客観的な研究データや開発背景を紹介する
不透明な定期条件
(例:初回価格や割引率だけを強調し、通常価格や解約条件を隠す)
初回価格、通常価格、定期の継続条件、解約方法を同じ画面内に明示する

※上記は表現設計の方向性を示す一般的な例です。実際に使用できる表現は、商品の区分(機能性表示食品など)、成分、届出内容、表示根拠、ページ全体の文脈によって異なります。

特に「機能性表示食品」を扱う場合は、消費者庁へ届出された「ヘルスクレーム(機能性表示)」の範囲を超えた過剰な訴求になっていないかを確認する必要があります。消費者庁の規定によると、機能性表示食品は特定保健用食品(トクホ)とは異なり、国が個別に審査を行ったものではなく、事業者が自らの責任において科学的根拠に基づき適正な表示を行う必要があると説明しています。

出典:消費者庁「機能性表示食品について

実際に、ファンケルの機能性表示食品「カロリミット」の商品ページでは、消費者庁への届出表示や届出番号、届出情報をユーザー自らが確認できる導線がきれいに配置されています。また、商品説明欄では「医薬品ではありません」「機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません」といった免責事項としての注意書きが法律に則って正しく記載されています。

◆ファンケル「カロリミット」の商品説明における適切な表示例

ファンケル「カロリミット」の商品説明文

出典:ファンケルオンライン|【健康商品・サプリメント】カロリミット「商品詳細」 ※一部筆者加工

サプリメントは健康や身体に関わる商材であるため、広告や商品ページの表現ミスが、顧客の信頼低下だけでなく、行政指導や措置命令等のリスクにつながる可能性があります。

そのため、サプリメントのECサイトを構築・運用する際は、運用担当者の注意や知識だけに依存するのではなく、システム側でCMSの更新・編集権限を適切に設定し、複数人でのチェック体制を経なければページが公開されない「承認ワークフロー機能」や「修正履歴の管理機能」などを整えておくことが重要です。

サプリメントECサイトの4つの構築方法

サプリメントのECサイトを構築するための代表的な4つのシステム構築方法について、それぞれ特長とメリット・デメリットを解説します。

方法① 「ASP・定期通販特化型カート」で構築する

ASPは、クラウド上で提供される共通のECシステムを利用してサイトを構築する方法です。無料プランから利用できるなど、比較的低コストかつ短期間でネットショップを開設できるサービスもあります。

◆ASPサービスの例

・BASE
・STORES

また、サプリメントECは定期購入や単品リピート通販との相性が高いため、通常のASPだけでなく、定期販売機能が標準装備された「定期通販特化型カート」を利用する方法もあります。

◆定期通販特化型カートの例

・侍カート
・たまごリピート魂
・W2 Commerce Repeat

これらの定期通販特化型カートは、定期販売の基本機能が使いやすい点が大きなメリットです。

一方で、初期費用や月額費用は数万円〜十数万円とASPとしては安くはなく、自社独自の複雑な販売フローや特定の基幹システム・倉庫管理システム(WMS)などの外部システムとの高度な自動連携、細かな画面デザインのカスタマイズを行いたい場合には、サービスごとの対応範囲を確認する必要があると考えます。

方法② 「パッケージEC」で構築する

パッケージECは、ECサイトに必要な基本機能をあらかじめ備えた製品(パッケージ)をベースに、自社の個別要件に合わせてカスタマイズして構築する方法です。

ASPよりも自由度が高く、独自の販売フローや管理画面のカスタマイズを行いやすい点がメリットです。サプリメントECで必要となる定期購入、会員ランク管理、独自のキャンペーン施策、商品詳細情報(成分・原材料等)のデータベース管理、外部システム連携などにも、個別開発によって柔軟に対応しやすくなります。

一方で、一般的には初期の構築費用や開発期間はASPより大きくなりやすく、導入後も自社で数年ごとに莫大なコストをかけてシステムの保守やバージョンアップの対応を行う必要があります。システムを自社で長く運用・保守していける十分なIT体制がある企業には有効ですが、中長期的な運用負荷や保守コストも含めて慎重に検討すべきであるというのが筆者の見解です。

方法③ 「カスタマイズ可能なクラウドEC」で構築する

カスタマイズ可能なクラウドECは、常に最新のトレンドやセキュリティに自動でアップデートされるクラウド環境のメリットを享受しながら、個別カスタマイズや独自の外部システム連携にも柔軟に対応できるハイブリッドな構築方法です。

前述のとおり、サプリメントECでは、単品購入、定期購入、まとめ買い、マイページでの変更機能、CRM連携、広告用LP、そして成分情報などのマスタ管理など、フロントからバックヤードまで運用要件が非常に複雑になりやすくなります。そのため、標準機能に業務を合わせるのではなく、ビジネスの成長段階に応じて機能を拡張できる構築方法を選ぶことが重要です。

例えば、インターファクトリーが提供する「EBISUMART(エビスマート)」は、ECサイトに必要な豊富な標準機能を網羅しており、新規立ち上げでもスピーディーにサイトを構築できるクラウド型ECプラットフォームです。最大の特長は、クラウド型でありながら柔軟なカスタマイズ性を備えている点にあり、外部システムとのAPI連携や社内の基幹システム・在庫管理システムとの高度な統合を安全に行うことができます

サプリメントECサイトを中長期的に成長させたい場合は、初期費用や導入スピードの早さだけでなく、「2回目以降の定期施策」「CRM(LTV向上)」「外部システム連携」「将来的な新規施策の追加」までを見据える必要があります。その点で、カスタマイズ可能なクラウドECは、システムの拡張性と運用性のバランスを取りやすいオススメの構築方法です。

公式サイト:「EBISUMART(エビスマート)」

方法④ 「フルスクラッチ」で構築する

フルスクラッチ開発は、既存のECカートやパッケージなどの土台を使わず、自社専用のECシステムをゼロから完全オーダーメイドで開発する方法です。

自社の業務フロー、独自の画面設計、特殊な販売条件、既存の巨大な社内基幹システムとの特殊な連携などを自由に設計できるため、既存のECサービスではどうしても対応できない大規模な特殊要件がある場合に向いています。サプリメントECでも、独自の会員制度や複雑な販売条件、基幹システムとの特殊な連携などがある場合は選択肢になり得ます。

ただし、開発費用や構築期間は非常に大きくなり、公開後のセキュリティ対応や機能改修も自社で継続的にエンジニアを抱えて行わなければならないため、莫大なリソースと覚悟が必要となる方法です。

サプリメントのECサイトでは制度動向にも注意が必要

サプリメントECサイトを構築・運用する際は、現在の販売方法や表示ルールに対応するだけでなく、今後の法改正や制度変更にも柔軟に適応できるシステム構成にしておくこと」が重要です。

業界の動向を挙げると、近年サプリメントの定義や規制のあり方について、行政主導で議論と見直しが進められています。消費者庁では、サプリメントを医薬品とは明確に区別された「食品の一部」として再整理しつつ、特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品などを横断的かつ厳格に扱う方向性を示しています。

また、安全性を確保するための「GMP(※)」による製造管理の要件拡大や、健康被害情報の行政への速やかな提供、および表示規制の厳格化についての検討・施行が進んでいます。

この背景には、ある製薬会社が販売していた特定成分を含む機能性表示食品において深刻な健康被害が発生し、機能性表示食品制度の安全性や情報提供のあり方が社会的に大きく問われたことがあります

サプリメントを販売するEC事業者にとって、こうした制度変更や法改正は製造会社だけの問題ではありません。1つの法改正によって、ECサイト上の「表示内容」「届出情報の掲載方法」「注意事項の文言」「販売LPの表現」「FAQ(よくある質問)」「カスタマーサポートの対応マニュアル」などを、一斉に変更しなければならない状況が発生するからです。

もし商品ページや広告表現をシステム上にフリーテキストで固定的に作り込んでしまうと、制度変更や表示ルールの見直しがあった際に、何点もの商品ページの修正作業に膨大な時間と人手がかかり、最悪の場合は修正が完了するまで販売停止を余儀なくされるリスクがあると筆者は危惧します。

そのため、サプリメントECサイトでは、商品情報や表示内容を「マスタデータとして一括管理・更新」できる運用体制を整えておくことが非常に重要です。

国や行政の制度動向を注視しながら、必要に応じて商品ページや購入導線、注意事項の表示をスピーディーかつ一括でアップデートできる柔軟なシステムにしておくことで、コンプライアンス違反のリスクを最小限に抑えながら、安定したEC運営を継続しやすくなります。

参考:食品と開発「サプリメントの定義、方向性案示す ~グミなども対象、GMP・健康被害情報の提供について要件拡大を検討」、JBpress「【小林製薬「紅麹」問題】機能性表示食品、民間任せで市場規模は10年で10倍以上 消費者庁は制度見直しに向け検討会」、消費者庁「機能性表示食品を巡る検討会

※GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)とは、原材料の受け入れから製造、出荷までにいたる全ての工程において、製品の安全性と一定の品質を確保するための製造管理基準のこと。

まとめ

サプリメントのECサイトを構築する際は、一般的なECサイトと同じような設計では不十分であると筆者は考えます。サプリメントはユーザーの健康や身体にダイレクトに関わる商材であるため、薬機法や景品表示法、健康増進法を順守した「医薬品的な表現や優良誤認を避けた広告・商品ページの設計」が必要になるでしょう。

また、中長期的なリピート購入がビジネスの前提となるため、単品購入を入口としつつ、定期購入、セット販売、まとめ買いなど、ユーザーの心理的ハードルや利用ペースに合わせた多様な販売方法を用意できるかどうかが成功を左右するでしょう。

インターファクトリーが提供するクラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」は、こうしたサプリメントECに必要な柔軟なカスタマイズ性と、基幹システムやWMSとの高度な外部連携に対応しています。

単品販売からスタートし、将来的に定期購入のルールをカスタマイズしたり、CRMシステムや自動出荷システムとAPI連携させたりなど、自社の成長戦略や運用体制に合わせた「型に嵌まらないECサイト」の構築が可能です。また、クラウド型であるため、業界特有の度重なる法改正やセキュリティ要件の変更にも自動でシステムが最新化されるため、中長期的な保守コストを大幅に抑えることができます

サプリメントECサイトの構築・リプレースを検討している方は、ぜひEBISUMARTの公式サイトをご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。

公式サイト:「EBISUMART(エビスマート)」

ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。