ソーシャルコマースは、ソーシャルメディア(SNS)のフォロワーやコンテンツなどの仕組みとECの機能を組み合わせて、オンラインで商品やサービスを販売する方法です。
例えば、商品のPRコンテンツを作成してSNSに投稿し、そのコンテンツを見たユーザーをECサイトに誘導することで、商品購入やEC利用率などのコンバージョンを高めます。
ソーシャルコマースにはいくつかの方法がありますが、代表的な施策としては、ソーシャルメディア(Instagram、Twitter、Facebook、YouTubeなど)のフォロワーを対象とする施策と、ユーザーを対象とするSNS広告施策が挙げられます。
この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、ソーシャルコマースについて解説します。
ソーシャルコマースの仕組み
以下は、ソーシャルコマースの構成イメージです。
◆ソーシャルコマースの構成イメージ
出典(画像):筆者作成
SNSアカウントとECサイトがあれば、いつでもソーシャルコマースを開始できます。SNSアカウントのフォロワー数が少ない場合には、フォロワーを増やすためのSNS施策が重要になります。予算はかかりますが、SNS広告を活用してユーザーの認知度を高めるなどの工夫が求められます。
ソーシャルコマースの代表的なSNSプラットフォーム
今回は、ソーシャルコマースでよく使用されている4つのSNSプラットフォームとそれぞれの特徴を説明します。
① Instagram:ユーザーにブランドの世界観を直観的に伝える
数年ほど前には、若者世代のユーザーが多いと言われていたInstagramですが、現在は幅広い世代で利用されており、BtoBのマーケティングプラットフォームとして多くの企業が採用しています。
Instagramでブランドや商品に関する情報を投稿し、ブランドの世界観を創出することで、興味・関心の高いフォロワーを獲得し、EC販売につなげていきます。
Instagram側もソーシャルコマース機能の拡充に力を入れており、日本でも2018年から、Instagramの投稿画像にリンク用の商品タグを埋め込み、クリックしたユーザーを直接ECサイトの商品ページに誘導できる「Instagramショッピング機能」が実装されています。
◆商品タグ付きのInstagramの投稿画像(例)
出典(画像):Instagram for Businessの公式ページ「Instagramショッピングを始めるために必要なもの」
画像に表示されたタグをタップすると、直接ECサイトの商品ページに遷移するため、ユーザーは投稿を見て興味を持った商品をすぐに確認・購入することができます。
フォロワー数の多いアカウントであれば、新商品リリースやセール期間に合わせてInstagramに投稿することで、売上を増やすことができます。
Instagramショッピング機能は無料で利用できますが、利用を開始するためには、Facebookのアカウントで商品を登録し、「Facebookカタログ」でInstagramショッピングの登録を行う必要があることに留意しましょう。利用開始の手順については、Instagramの公式サイトをご確認ください。
参考:Instagram for Businessの公式ページ「Instagramショッピングを始めるために必要なもの」
② Twitter:商品PRとレビューの拡散でより多くのユーザーとつながる
Twitterを利用したソーシャルコマースの仕組みそのものはとてもシンプルです。ECサイトの商品ページのURLをツイートで投稿すればいいからです。しかし、ユーザーにクリックしてもらうまでの工夫が必要になります。単に商品紹介のツイートを投稿しているだけでは、新規ユーザーの心をつかみ、商品を購入してもらうことはできません。
2019年に若年層を対象に実施されたTwitterに関する調査では、Twitterユーザーの多くがTwitterを「暇つぶし」や「情報収集」のツールとして利用していると回答しています(下図)。
◆Twitterの利用目的
引用(図表):ECのミカタ「若年層のTwitter利用目的は『情報収集』だが約半数がキャンペーン参加経験あり」(2019年10月23日掲載)
一方で、商品購入やサービス利用を検討する際に、Twitterで過去の投稿を検索し、検討している商品やサービスのレビューや口コミを調査する、という使い方をしているユーザーも一定数いるのではないでしょうか。
かくいう筆者も、情報収集のためにTwitterを利用するユーザーの一人です。最近も福岡と千葉に足を運ぶ予定があったため、事前に「中州 出店 美味しい」「千葉 ホタル」といったキーワードで、食事処や蛍を見ることができそうな場所などを調べるのに利用しました。
情報収集ツールとしてのTwitterは、商品やサービスのレビューや口コミのツイートが、新規ユーザーの行動や体験の意思決定の決め手となり得ます。つまり、Twitterに好意的な口コミやレビューのツイートが多いということは、新規ユーザーを獲得する機会が多いということになるでしょう。
商品情報の投稿はもちろんですが、実際に体験したユーザーが投稿している商品やサービスのレビューや口コミのツイートをリツイートすることで、より多くのユーザーに商品やサービスを知ってもらうための機会を生み出すことができます。また、リツイートされたユーザーの顧客ロイヤリティ向上も図れるかもしれません。
リツイートを増やすための施策としては、Twitterでフォロー&リツイートをしてくれたユーザーにAmazonギフト券などをプレゼントするといった、デジタルギフト特典付きのキャンペーンなどがあり、フォロワー数を増やし、ブランドや商品の認知度を高める効果があります。
③ Facebook:6万字超の文章を投稿できるのでコアな情報を配信できる
近年は「Facebook離れ」という言葉もよく聞きますが、Facebookを日常的に利用するユーザーは年齢層が高めで、最先端のソーシャルコマースには向いていないのではないかと思われがちです。しかし今日でも、インターネット広告では、Facebook広告は高いコンバージョン率(CVR)を期待できる媒体の一つであり、ソーシャルコマースでも成果をもたらすプラットフォームであることは間違いないでしょう。
Facebookの最大の特徴は、1回の投稿で6万字超の文章を投稿できる点です。コアなファンに向けて、詳しい情報を丁寧に発信することができます。
例えば、ヨドバシカメラのFacebookアカウントでは、たくさんの文字と画像で商品の魅力を十分に発信した投稿を行っています。
◆熱心なユーザー向けのFacebook投稿事例(ヨドバシカメラ)
引用(画像):ヨドバシカメラのFacebook公式アカウント(ヨドバシカメラ yodobashi.com)の投稿より
ヨドバシカメラではFacebook投稿にECサイトへのリンクが貼られているため、ユーザーは、そのままECサイトで商品を購入したり、ECサイトで商品情報を確認した後に店舗に足を運んだりすることもできます。
ヨドバシカメラの投稿を見ても分かるように、文字と画像を使って、ユーザーに商品の魅力を十分に伝えられる点が、ソーシャルコマースにおけるFacebookの最大のメリットと言えるでしょう。
Facebookアカウントのフォロワー数が少ない場合でも、Facebook広告は活用すべきでしょう。Facebook広告では、年齢、性別、職業、地域別など、細かいターゲティングが可能なため、適切にターゲティングすることで高い効果が期待できます。
当然ながら、Facebook広告でも同じ広告を出し続けていると効果が弱まるため、周期的に広告を刷新するなどの運用設計が大切になります。
④ YouTube:ソーシャルコマースの事例
YouTubeもソーシャルコマースのプラットフォームとして有効です。
筆者が運営しているYouTubeチャンネルでは、動画の最後に教材販売のお知らせをテキストで表示(図の右上・左下)するとともに、動画の概要欄にECサイトのURLのリンクを貼り付けています(図の赤枠内)。
◆YouTubeを利用したソーシャルコマースの事例
引用(動画):筆者が開設しているYouTubeチャンネル「forUSERSチャンネル」の投稿動画より
筆者はYouTubeを利用したソーシャルコマースで、月に数点を売り上げています。
YouTubeで商品を買ってもらうためには、コンテンツに対する興味・関心が高いユーザーを集める必要があります。日頃からユーザーにとって役立つ情報を投稿することが大切です。
また、ユーザーとのリアルタイムコミュニケーションが可能なオンラインライブ配信も効果的です。以前、筆者が配信したYouTubeチャンネルのオンラインライブでは、1回の配信の中で3点の教材を売ることができました。1回の配信で通常の1か月分の売上を達成したことになります。
オンラインライブの臨場感がユーザーの購入意欲を高めることで、売上につながりやすい状況を生み出すのでしょう。
SNS広告とSNS施策、どちらがベストな方法か?
結論から言うと、各SNSアカウントのフォロワー数が1,000人以上のアカウントであれば、自社アカウントのコンテンツを主軸としたSNS施策をおすすめします。
フォロワー数が1,000人未満の場合には、フォロワー数を増やすためにもSNS広告を活用すべきでしょう。ある程度効果が見込める規模のSNS広告を利用する場合には、数百万円以上の費用が必要になる場合もありますので、あらかじめ費用対効果を検討しておきましょう。
ソーシャルコマースを成功させるためには、ブランドの世界観や商品自体に共感してくれるフォロワーを増やすことが重要です。
フォロワーを増やす
とはいえ、フォロワーを簡単に増やす方法はありません。SNSでは、商品の宣伝ばかりではなく、ユーザーにとって役立つ情報も定期的に投稿するようにしましょう。
例えば家具を販売するのであれば、自社の商品紹介だけではなく、家具を長持ちさせるコツや見栄えや生活動線の良い家具の配置方法など、商品購入の有無にかかわらず、ユーザーの役に立ちそうな情報を発信します。
より多くのユーザーに「役立つ情報を提供してくれるアカウント」として認知してもらうことで、徐々にフォロワーは増えていきます。
ソーシャルコマースではありませんが、筆者はFacebookで開設している、シュノーケリング関連の情報発信用のアカウントでは、夏になると一気にフォロワー数が増える傾向があります。このアカウントでは、筆者が実際に足を運んで海に潜った体験を、シュノーケリングポイントと共に紹介しているので、夏になって遊べる海を探し始めたユーザーが、投稿を見つけてフォローしてくれるからです。
◆Facebookのお役立ち情報投稿の事例
引用(画像): 筆者が開設しているFacebook個人アカウント(東京シュノーケリングブログ)の投稿記事より
ターゲットとするユーザーに喜んでもらえるような情報を、地道に投稿し続けることで、フォロワー数を増やすだけでなく、より顧客ロイヤリティの高いフォロワーを獲得することができます。
ECサイトを開設してソーシャルコマースを始めよう!
ソーシャルコマースではSNSは商品展示の場所にすぎず、商品の購入・支払い手続きを行う場所はECサイトになります。
個人や中小規模の事業者の方が、今からソーシャルコマースに挑戦しようと考えているのであれば、無料のECプラットフォームを利用してECサイトを開設しましょう。
◆無料でECサイトを開設できるECプラットフォーム(例)
・STORES(ストアーズ)
・Square(スクエア) オンラインビジネス
上記のECサービスは、初期費用と固定費が不要でECサイトを開設することができます。また、中~大規模なECサイトの構築をご検討の場合には、インターファクトリーのECプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」もおすすめです。
ebisumartは年商1億円を超える規模の企業で多く利用されており、SNS、SNS専用ツールとの連携実績も豊富です。詳しくは下記の公式サイトより、お気軽に資料請求・お問い合わせください。