ECサイトを手軽に開設できるECプラットフォームサービスはたくさんあります。テレビなどのCMで、「BASE」や「STORES」などの固定費無料で利用できるサービスの名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ユーザーにとって選択肢が複数あるのは良いことですが、いざECサイトを開設しようとすると、どのサービスを利用したらよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。サービスごとにそれぞれ特徴と強みがありますので、目的に合ったサービスを選ぶことが大切です。
今回紹介する「Shopify(ショッピファイ)」は、多彩なオプション機能がアプリ(プラグイン)で提供されている月額制のECプラットフォームサービスです。
Shopifyでは現在8,000以上のアプリが公開されています。たくさんのアプリの中から、必要な機能を、必要なタイミングで、ユーザー自身が実装して利用できる点がShopifyの最大の魅力です。
◆Shopifyで提供されているアプリの種類(例)
・オムニチャネル関連の機能
・SEO対策
・UI/UX最適化支援
・メールマーケティング
・在庫連携
しかし、「手軽に利用できる」と言っても、Web関連の知識や操作が不慣れな方や、EC/Webマーケティングの業務経験のない方には、アプリの選び方やインストール後の設定が困難な可能性もあるなど、Shopifyが適さないケースもあります。
この記事ではインターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、「Shopify(ショッピファイ)」を利用するメリットと、実際にShopifyでECサイトを運用して感じた注意点を紹介します。
ShopifyでECサイトを開設するメリットと注意点
ShopifyでECサイトを開設するメリットと、実際にShopifyでECサイトを運用している筆者が感じている注意点を表にまとめてみました(下表)。
◆ShopifyでECサイトを開設する4つのメリットと4つの注意点
メリット | 注意点 |
① 多種多様なアプリが提供されていて、簡単な設定で実装できる | ① Web/ECシステム関連の実務経験が不足していると、実装や運用が困難な場合もある |
Shopifyはベーシックプランであれば月額33米ドルと、比較的低コストでECサイトを運用できます。また、追加機能が必要になったら、ユーザー自身でアプリを追加実装することができるなど、機能性と拡張性にも優れています。
Shopifyの4つのメリット
それでは、表に示したShopifyの4つのメリットを1つずつ見ていきましょう。
メリット① 多種多様なアプリが提供されていて、簡単な設定で実装できる
Shopifyの公式アプリストアには、現在8,000を超えるアプリが公開されています。アプリには無料版と有料版があり、アプリをダウンロードしてShopifyにインストールすることで必要な機能を利用できます。
◆通常のECプラットフォームとShopifyとの比較
Shopify | 無料プランを設定しているサービス (BASE、STORES等) |
専用パッケージ | |
月額費用 | 33米ドル~ | 無料~ | 数十万円~ |
機能性 | 無料あるいは低料金のアプリで自由に機能を追加できる | 機能が限定されている | 開発費用をかけてカスタマイズすることで、自由に機能を追加できる |
拡張性 | 高い | 低い | 高い |
独自の機能 | △ | × | 〇 |
既存のシステムやサービスに任意の機能を追加する場合は、新規開発や外部ツールとの連携が必要になりますが、Shopifyではそれらの機能を実装するためのアプリが公開されているので、最適なアプリを探して開発不要で必要な機能をアドオンすることができます。
以下は、Shopifyにログインすると表示されるおすすめアプリの画面です。ユーザーは必要な時に、必要なアプリをインストールして機能を利用することができます。
◆Shopifyログイン後に表示されるおすすめアプリの画面(例)
引用(図): Shopifyにログインした際に表示されるおすすめアプリの画面(筆者のアカウントでログイン)
例えば、集客/販路拡大の支援機能では次のアプリが提供されています。
◆Shopifyの集客/販路拡大の支援アプリ(例)
・Facebook & Instagram
・GOAFFPRO Affiliate Marketing(無料プランと有料プランあり)
・Buy Button channel
・AdSIST (アドシスト) 売上UP支援ツール(無料プランと有料プランあり)
このように、開発不要で必要な機能をすぐに実装できるShopifyは、 個人や中小企業だけでなく大手企業でも利用されています。
メリット② APIで外部ツールと連携ができる
Shopifyでは、外部のツールやサービスと連携するためにAPIとリファレンスが提供されていますので、例えば在庫連携のために外部のツールを使いたいという場合には、APIに対応している外部ツールを選ぶことでShopifyとのデータ連携を実装できます。
メリット③ スマートフォンだけでECサイトを運用できる
ECサイトのドメイン設定やWebページデザインのテーマ選択などはPCで設定する必要がありますが、ECサイトの開設後は、スマートフォンだけでECサイトを運用することも可能です。
◆Shopifyのスマートフォン用の管理ページ(例)
引用(図): Shopifyのスマートフォン用の管理者ページ(筆者のアカウントでログイン)
上図のように、スマートフォンでECサイトの設定を行うことができるため、PCのない外出先や店頭などでも、業務を継続することができます。もちろん、商品ページの編集なども可能です。
メリット④ オムニチャネルを実現するための機能もアプリで実装できる
Shopifyとの連携が可能なPOSシステムを利用すると、ECサイトと実店舗の会員情報を一元管理することができます。また、SNS連携アプリを利用することで複数チャネルの管理が容易になるので、顧客中心のWebマーケティングも迅速に行えるようになります。
ECサイトの規模や求められる機能によるので一概には言えませんが、従来はECサイトの規模にかかわらず大がかりな開発を必要としたチャネル統合やシステム連携を、アプリだけで実装できるケースもあります。
ECサイトをShopifyで開設・運用する場合の注意点
今回は、筆者が実際にShopifyでECサイトを開設・運用する際に気付いた注意点を4つ紹介します。
注意点① Web/ECシステム関連の実務経験が不足していると、実装や運用が困難な場合もある
Shopfiyを利用するためには、ある程度のIT関連の知識と実務経験が必要になります。筆者もShopifyでECサイトを構築、運用しているのですが、詳細な設定を一つずつ行っていく必要がありました。筆者はSTORESのECサイトも運用しているのですが、チュートリアルに従って操作していくだけでECサイトが完成するSTORESと比べると、Shopifyは目的を理解した上で設定しなければならない項目がかなり多いという印象です。
また、Shopifyの管理画面やリファレンスには専門的な用語が使われており、直観だけで操作方法や設定内容を理解することが難しいので、WebやEC関連の実務経験がない方は勉強していく必要があるでしょう。
EC/Web関連の実務を経験してきた筆者も、リファレンスだけですべての設定を終えることはできず、ECサイトのリリースまでに思いのほか時間がかかりました。
注意点② 日本仕様のUIではない
例えば、「Shopifyペイメント」の決済申請用の画面では、住所の入力欄が米国表記の並びで表示されるなど、画面表示や情報を入力する時に少々戸惑うことがあります。慣れてしまえば問題はありませんが、最初のうちは手間に感じてしまうかもしれません。
注意点③ 外部決済手数料がかかる場合がある
例えばAmazon Payを決済に利用する場合には、外部決済手数料を支払う必要があります。
◆Shopifyのプラン別外部決済手数料率
ベーシック | スタンダード | プレミアム | |
月額費用 | 33ドル | 92ドル | 399ドル |
外部決済手数料(発生する場合がある) | 2.0% | 1.0% | 0.5% |
外部決済手数料の発生有無はサービスによって異なります。以下にその一部を紹介します。
◆外部決済手数料が発生する決済方法(例)
・後払い決済
・QRコード決済
・キャリア決済
・その他、決済代行会社の決済サービス
◆外部決済手数料が発生しない決済方法(例)
・Google Pay
・Shop Pay
・PayPal
もし、決済方法を指定したい場合や利用したい決済代行会社が決まっている場合は、Shopifyのほうが他サービスよりも決済手数料が高くなる可能性もあるので、利用プランごとの外部決済手数料についても、最新情報で確認しておくようにしましょう。
注意点④ 複雑な外部連携には対応できない
複雑なカスタマイズやシステム連携が必要な場合には、Shopifyは不向きです。
例えば、ECシステムと、基幹システムや倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)などの外部システムとの連携は限定的にしか対応できません。Shopifyの外部システム連携方法にAPI連携がありますが、DBなどとの複雑な連携は対応しきれません。
そのため、基幹システムや広範なシステムとの連携を実装したい場合は、フルカスタマイズやシステム連携が可能なパッケージの利用やフルスクラッチで実装するか、インターファクトリーの「ebisumart(エビスマート)」などのフルカスタマイズや外部システム連携に対応しているクラウドサービスを利用する必要があります。
Shopifyが適しているケース
Shopifyが適しているケースとしては以下が挙げられます。
◆Shopifyが適しているケース
② BASEやSTORESでは機能が不足していると感じている
③ Webマーケティングの予算が月数万円程度確保している
④ WordPressなどでのECサイトの構築経験がありシステム設定等に抵抗がない
⑤ECの売上規模が月額10万円以上
また、運用担当者には以下のようなスキルとマインドが求められるでしょう。
◆Shopifyの運用担当者に必要なスキルとマインド
・マーケティング施策を並行で素早く実施したい
・ECシステムの機能だけでなく外部ツールも利用したい
もし、IT関連への苦手意識が強い場合やECやWeb関連の実務経験がない場合には、まずはBASEやSTORESなどを利用することをおすすめします。
◆BASEやSTORESが適しているケース
② 固定費を払いたくない
③ 今すぐECサイトを開設したい
④ 新たな集客は不要で、少数の既存顧客向けのECサイトを開設したい
⑤ ECの売上規模が月額数万円程度
筆者も、年に数回程度の売上が発生するECサイトにはSTORESを利用しています。小規模のECサイトでは、シンプルなBASEやSTORESのほうが使い勝手が良いからです。
複雑なカスタマイズやシステム連携が必要な場合は「ebisumart(エビスマート)」がおすすめ
本日は、小・中規模のECサイトを手軽に開設できるECプラットフォームサービス「Shopify」を紹介しましたが、もし年商1億円を超えるような中・大規模のECサイトが必要な場合や、複雑な外部連携やシステム統合を実現するためにより高度な機能を実装したいという場合は、インターファクトリーの「ebisumart(エビスマート)」がおすすめです。
ebisumartは、フルカスタマイズにも対応可能なクラウドサービスで、お客様の初めてのECサイト構築を専任担当者がしっかりサポートします。また開設後もEC事業の成功を支援する運用サービスなども提供しています。
公式サイトから資料請求もできますので、興味のある方はぜひ一度ご覧ください。