【2025年】最新ECサイト成功事例14選:今の時代に必要な戦略が分かる


「ECサイトで売上を伸ばしたいけれど、具体的にどうすればいいか分からない」
「運営コストばかり増加して、なかなか利益が出ない」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

ECサイトの立ち上げ後、軌道に乗るまでは多くの企業が苦戦を強いられます。そのようなときこそ、「成功事例」から学ぶことが有効な打開策となります。

本記事では、2020年代以降の最新事例を中心として、ECサイトで成功を収めている企業14社をご紹介します。アパレル食品、医療、スポーツ、百貨店・テレビ通販など、多岐にわたる業界の先進的な取り組みを取り上げています。

最後までお読みいただくと、ECサイト運営に必要不可欠な戦略や施策のポイントが理解でき、自社のECサイトの課題解決や売上拡大のヒントが得られるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

※文中敬称略

1. ​ECサイトの成功事例【アパレル・インテリア・雑貨】

さっそく、アパレル・インテリア・雑貨業界で先進的な取り組みを行い、成功を収めている4社の事例を見ていきましょう。

① ラウンドアバウト(アパレルブランド展開)
② 西松屋チェーン(ベビー・子どものくらし用品)
③ ペンハウス(文具)
④ 山善(家庭機器のBtoB)

1-1. ラウンドアバウト(アパレルブランド展開)

株式会社ラウンドアバウトの事例は、オムニチャネル戦略によりブランドとお客様との距離を近づけ、ECサイトで成功した取り組みです。

◆基礎DATA

企業名 株式会社ラウンドアバウト
ECサイト名 IN ONLINE STORE
WALKIN STORE WEB SHOP
E.S.P. ONLINE STORE
ESP TRICKSTAR WEB STORE
Blue in Green ONLINE STORE
EC取り扱いブランド数 5ブランド

同社は、自社ブランドの企画・デザイン制作・生産までを一貫して手掛け、実店舗とECサイトを連携させ、お客様に満足度の高い購買体験を提供しています。

◆成功要因

商品の着用感や生地感を伝えるために、ECサイト上に商品紹介動画を掲載:写真だけでなく動画を活用して、お客様に商品の魅力をよりリアルに伝えています。動画ならではの訴求力が購買意欲につながっています。

ブランドのInstagramアカウントを店舗ごとに運用:セールやキャンペーンのお知らせだけでなく、コーディネート提案なども行い、ECサイトだけでは届きにくいブランドの世界観や魅力をSNSで発信しています。

実店舗とECサイトのポイントを統合:オムニチャネルの観点から、実店舗とECサイト間のポイントを統合。店舗とオンラインの垣根を越えてお客様に便利にお買い物を楽しんでいただき、ブランドロイヤリティの向上につなげています。

ECサイトならではの利便性とリアル店舗ならではの体験価値、それぞれの強みを生かしながら、ブランドとお客様との絆を深めるオムニチャネル戦略で成功を収めています。

詳しくはこちら:アパレルのラウンドアバウトがオムニチャネルを進めるためにリニューアルしたECサイトとは

1-2. 西松屋チェーン(ベビー・子どものくらし用品)

株式会社西松屋チェーンの事例は、実店舗販売がメインの中、自社ECサイトを通じてお客様との関係性を強化し、LTV(顧客生涯価値)の向上につなげた好例です。

◆基礎DATA

企業名 株式会社西松屋チェーン
ECサイト名 西松屋公式オンラインストア
ECサイト開始 2021年〜

同社は、赤ちゃんやお子様を持つ家庭の普段の暮らしが「より豊かに、より便利に、より楽しく」という経営理念をもとに活動する、子どもたちのための専門店です。

◆成功要因

実店舗にないサイズや商品をECサイトで展開:実店舗では品ぞろえの関係で置いていないサイズや商品も、ECサイトでは取り扱い、お客様の選択肢を広げています。実店舗とECの在庫を相互活用する取り組みを進めています。

月齢に合わせた子育て情報の配信:マタニティ層に向けて、妊娠中から出産後の月齢に合わせた情報をメールマガジンで配信。子育てに必要な商品の訴求とともに、子育てに関する有益な情報提供で信頼関係を築いています。

実店舗やアプリからECサイトへの誘導施策:店頭でのご案内やLINE・アプリのプッシュ配信など、多様なタッチポイントからECサイトへの誘導を図り、認知拡大とともに購入率のアップにつなげる施策を展開しています。

同社は、実店舗とECサイトの垣根を越えて、お客様のお買い物をトータルでサポートする体制を整えています。

マタニティ・ベビー用品という商品特性を踏まえた、きめ細やかなコミュニケーションとサービスが、ファンづくりとLTVの向上に直結しています。

詳しくはこちら:西松屋チェーンが自社ECサイトで目指すEC収益の最大化とお客様とのコミュニケーションとは

1-3. ペンハウス(文具)

株式会社ライムラックス(ペンハウス)の事例は、ECサイトを軸としながら、リアルイベントやSNSなどを通じてお客様との距離感を縮め、ファンづくりを進めているところが特徴的です。

◆基礎DATA

企業名 株式会社ライムラックス
ECサイト名 世界の筆記具ペンハウス
ECサイト開始 2003年〜(2023年にスマホアプリ構築)

筆記具の魅力や職人の思いを丁寧に伝える読み物コンテンツやメルマガが人気を集めています。

◆成功要因

丁寧な商品写真とコンテンツ制作:商品の美しさや職人の思いが伝わるメインビジュアルを社内で撮影し、商品詳細ページや読み物コンテンツに活用。文具の魅力を視覚的に訴求しています。

メルマガでのファンコミュニケーション:週1回のメルマガ配信で、商品への思いや文具ファンとしての視点を交えた読み物を提供。あえて少しフランクな文体で、お客様との距離感を縮めています。

スマホアプリでの顧客接点強化:2023年にスマホアプリを構築。読み物コンテンツの更新通知や希少在庫商品の優先案内など、購買意欲の高いお客様とのタッチポイントを強化しています。

同社のECサイトは、商品購入の場としてだけでなく「筆記具の図鑑」として情報収集の場にもなっており、こだわりの品ぞろえと丁寧な情報発信が、ファン獲得の原動力となっています。

詳しくはこちら:世界の筆記具「ペンハウス」をより身近な存在に。ライムラックスがEC、スマホアプリで目指すお客様との距離感とは

1-4. 山善(家庭機器のBtoB)

株式会社山善の事例は、法人・個人事業主向けのBtoB-ECサイトの立ち上げにより、自社の業務効率化だけでなく顧客の業務効率化も実現した好例です。

◆基礎DATA

企業名 株式会社山善
ECサイト名 山善ビズコム
ECサイト会員数 2年で10万人突破

カスタマイズ性の高いクラウド型プラットフォームを採用し、時代の変化に合わせて進化し続けるECサイトを目指しています。

◆成功要因

見積もり機能による差別化:商品の個別見積もりが可能な機能を実装し、モールや卸売りにはない特徴的なサービスを提供。依頼から回答までスピーディな対応を実現しています。

属性に合わせた顧客体験の提供:会員登録時に法人・個人事業主・個人の3種類から属性を選択でき、それに合わせてバナーやクーポンの表示を変えるなど、きめ細かい接客を行っています。

メルマガ配信による集客強化ebisu growthのサポートを受けメルマガ配信を開始。HTMLテンプレートの活用で効率的な配信を実現し、想定以上の集客効果と購入につながっています。

同社は、3か年計画の売上目標を2年で達成するなど順調に成長を遂げています。自社ECサイトならではの柔軟な企画や、お客様との直接的なつながりを生かした運営が、高い成果につながっていることが分かります。

詳しくはこちら:2年間で会員数10万人突破!山善がお客様からの要望を実現するために立ち上げたBtoB-ECサイトと、成功のための取り組みとは

2. ECサイトの成功事例【食品】

消費者の食品のEC利用が定着しつつある中、食品業界でもECサイトを通じた販売強化の動きが加速しています。

ここでは、自社ECサイトを戦略的に活用し、ブランド価値向上と売上拡大を実現している2社の事例を見ていきます。

① 小樽洋菓子舗ルタオ(洋菓子)
② 銀座菊廼舎(和菓子)

2-1. 小樽洋菓子舗ルタオ(洋菓子)

株式会社ケイシイシイの事例は、「今日一人熱狂的ファンを創る」ことを使命に、ECサイトでも独自のサービスを展開し、お客様との絆づくりを実現しているのが特徴です。

◆基礎DATA

企業名 株式会社ケイシイシイ
ECサイト名 小樽洋菓子舗ルタオ(LeTAO)公式オンラインショップ
ECサイトリニューアル 2019年
単月の会員登録数 リニューアル前年比170%

チーズケーキの常識を変えた「ドゥーブルフロマージュ」をはじめ、季節限定スイーツなど幅広い商品を展開しています。

◆成功要因

きめ細かなギフトサービス:のし・ショッパーの選択やメッセージカードへのオリジナルメッセージ登録など、ギフトニーズに応える細やかなサービスを提供しています。

顧客グループに応じた優遇制度:会員別に一定の条件でグループを設定し、よくご利用いただくお客様には優待をご案内するなど、ファンづくりを重視したサービスを展開しています。

運用業務の自動化による効率化:会員向け誕生日ケーキプレゼントや特別送料の適用など、これまでカスタマーサポートが手動で行っていた作業を自動化し、業務効率を向上させています。

同社は、ECサイトのUI・UX改善を継続的に進め、お客様の特別な時間を演出する「プレミアムギフトスイーツ」ブランドとしての価値向上に取り組んでいます。

詳しくはこちら:EC会員数170%に増加—ブランドのファンを大切にする「小樽洋菓子舗ルタオ」が独自サービスを実現するためにebisumartと共に目指す未来とは

2-2. 銀座菊廼舎(和菓子)

株式会社菊廼舎本店の事例は、創業1890年の老舗和菓子店が、伝統を継承しながらお客様への丁寧な対応をECサイトでも実現した好例です。

◆基礎DATA

企業名 株式会社菊廼舎本店
ECサイト名 銀座菊廼舎 online shop
ECサイトリニューアル 2018年
会員数 リニューアル後10か月で約1.78倍
購入単価 リニューアル後約130%の伸び率

同社は、「冨貴寄(ふきよせ)」にお客様のオリジナルメッセージを入れた雲平(干菓子のプレート)を入れられるサービスを提供しています。

◆成功要因

オリジナルメッセージサービスの利便性向上:「冨貴寄」へのメッセージプリントを、ECサイトで簡単に注文できるようにしました。注文時にイメージ画像が確認でき、電話よりも注文しやすくなりました。

若い世代への訴求:SNSでの写真投稿が増加し、20代後半から30代前半の女性客が増加しています。出産内祝いなどの写真が「#銀座菊廼舎」とともに投稿されるなど、新たな顧客層の開拓につながっています。

細やかな改善の積み重ね:たとえば、「冨貴寄」を最良な状態でお届けするために手作業での缶詰めを行い、何度も配送テストを行うなど、老舗の和菓子店として細やかな改善を積み重ねています。

同社は、「ECサイトを通してご注文いただいてから、商品の蓋を開けた時にまるで宝石箱を開けたような感動を感じ、美味しくお召し上がりいただく時までを細かく想定」しながら取り組みを続けており、その深いこだわりが印象的です。

詳しくはこちら:サイトリニューアル後、会員数1.78倍増。老舗和菓子店 銀座菊廼舎がクラウドECで実現したこだわりとは

3. ECサイトの成功事例【美容・健康・医療】

美容・健康・医療業界では、消費者の健康意識の高まりを受けて、関連商品のEC市場が拡大傾向にあります。ここでは、自社の強みを生かしたECサイト運営で成功を収めている3社の事例をご紹介します。

① カシオ計算機(医療機器)
② カズマ(コンタクトレンズ)
③ ファイテン(ボディケア他)

3-1. カシオ計算機(医療機器)

カシオ計算機株式会社の事例は、これまで培ってきたカメラ技術と画像処理技術を応用し、医療機器分野に新規参入した事例です。

◆基礎DATA

企業名 カシオ計算機株式会社
ECサイト名 カシオ医療機器 オンラインストア
医療機器の主要製品 皮膚観察用のスコープやカメラ、子宮頸部観察用カメラ

国内シェア20%以上を獲得した皮膚観察用のダーモカメラ・ダーモスコープをはじめ、ECサイトを活用した直販で医療機関への販路を拡大しています。

◆成功要因

オンライン完結型の販売モデル構築:営業担当者による販売が一般的な医療機器業界で、ECサイトに発注のすべてを集約。学会出展やDM配信、専門誌広告などでECサイトを案内し、全国の医療機関に直接販売しています。

取引開始までの時間短縮:クレジットカード決済やクロネコ掛け払いの導入により、法人登録や契約書締結の手続きなど個々の契約を省略できるようになりました。取引のスムーズな開始を実現しています。

データを活用したマーケティング:大学病院・クリニックなど医療機関の属性ごとに注文が増えるタイミングを分析し、効果的なDM配信を実施するなど、ECサイトのデータを活用しています。

同社は、自社技術を応用した新規分野への挑戦を、ECサイトを核に展開しています。業界の慣習にとらわれず、柔軟に最適解を求める先進的な取り組みが秀逸です。

詳しくはこちら:皮膚がん・子宮頸がん診断に画像技術で貢献するカシオ計算機の自社ECサイト活用方法とは

3-2. カズマ(コンタクトレンズ)

株式会社カズマの事例は、お客様のストレス軽減と快適なお買い物環境の実現を追求し、ECサイトを継続的に改善している好例です。

◆基礎DATA

企業名 株式会社カズマ
ECサイト名 アットコンタクト
ECサイトリニューアル 2011年
主力ブランド 「CREOシリーズ」

同社は、ネット販売が普及して間もない2006年よりECサイトでの販売をスタートし、リニューアルやアプリ構築などを経て、進化を続けています。

◆成功要因

定期購入サービスの継続率向上:解約時のアンケートを導入し、度数変更希望者には解約せずに変更できる方法を案内。きめ細かいフォローで継続利用を促進しています。

商品選択時の利便性向上:欠品商品の度数をグレーアウト表示するなど、システムを改善。商品選択時の誤りを防ぎ、カスタマー対応の工数も削減しています。

アプリを活用した顧客接点強化:ポイント還元率の優遇やクーポンガチャの導入など、アプリ独自の特典を充実させ、LTV(顧客生涯価値)の向上を図っています。

同社は「生きるをずっと、心地よく」という理念のもと、売上などの定量指標だけでなく顧客満足度も重視し、ストレスのないお買い物体験の提供に注力しています。

詳しくはこちら:コンタクトレンズのカズマがebisumartと共に築く、快適なお買い物環境とは

3-3. ファイテン(ボディケア他)

ファイテン株式会社の事例は、実店舗とECサイトの強みを生かしたO2O施策により、お客様とのコミュニケーションを深めている好例です。

◆基礎DATA

企業名 ファイテン株式会社
ECサイト名 ファイテンオフィシャルストア
ECサイトリニューアル 2018年
売上 ECサイトリニューアル後2倍以上に成長

同社は、「すべては健康を支えるために」をコンセプトに、ボディケアグッズをはじめとする商品を展開し、リアルとデジタルの両面でお客様との接点を創出しています。

◆成功要因

ポイントプログラムの統合:リニューアルを機に実店舗とECサイトで保有ポイントを一元化し、チャネルを越えた相互利用を可能にしました。ECサイト限定のキャンペーンを店舗顧客に紹介できる機会も増え、顧客接点を拡大しています。

実店舗のお客様への情報発信:ECサイトやアプリを活用して、メールやプッシュ通知で実店舗のお客様へお得な情報やキャンペーンの告知ができるようになりました。実店舗スタッフからも活用されています。

カスタマイズ性の高い基盤整備:自社の多くの独自ルールに対応できるクラウド型プラットフォームの採用やレビュー機能の追加、基幹システムとの連携により、運用効率と顧客満足度を向上させています。

同社は、実店舗とECを往来しながら商品を選んでいただく購買体験の設計と業務効率の向上を両立して、ECサイトを進化させ続けています。

詳しくはこちら:EC売上2倍へ成長!ファイテンのユーザーとコミュニケーションを深めるO2O施策

4. ECサイトの成功事例【スポーツ】

スポーツ用品のEC市場は、アスリートの活躍や健康志向の高まりなどを背景に年々拡大しています。ここでは、スポーツ用品メーカーとして長年の実績を誇る2社の、EC活用事例を取り上げます。

① ダンロップスポーツ(ゴルフ用品・各種ラケットスポーツ用品)
② バタフライ(卓球用品)

4-1. ダンロップスポーツ(ゴルフ用品・各種ラケットスポーツ用品)

株式会社ダンロップスポーツマーケティングの事例は、BtoBとDtoCの両ECサイトを立ち上げ、取引先の業務効率化と消費者への直接販売を実現した好例です。

◆基礎DATA

企業名 株式会社ダンロップスポーツマーケティング
ECサイト名 ダンロップスポーツ公式オンラインストア
取り扱い競技 ゴルフ、テニス、バドミントン、スカッシュなど
BtoB-ECサイト導入効果 FAXや電話の数が23%減少し、オペレーター業務を削減

同社では2022年1月にデジタル推進部を設置し、社内のデジタル化とECサイトの運営を一体で推進しています。

◆成功要因

BtoB-ECサイトでの情報公開強化:商品の納期情報をECサイト上で提供し、取引先からの問い合わせを23%削減。FAXを年間約3万枚削減し、業務効率化を実現しました。

複数ブランドサイトの窓口一本化:DtoC-ECサイトで複数あるブランドサイトやコンテンツの窓口を集約。メーカーから直接購入できる安心感とオリジナル商品の展開で、顧客接点を強化しています。

取引形態に応じた柔軟な対応:BtoBでは取引先ごとに異なる発注方法への対応を進め、DtoCでは刻印サービスやストリング張上げなど、きめ細やかなサービスを提供しています。

同社は、BtoB・DtoCのECサイトを戦略的に立ち上げ、ビジネス全体のデジタル変革を推し進めています。顧客ニーズに合わせたサイト作りと、効率的な運用体制の構築が、EC事業拡大の原動力となっている様子がうかがえます。

詳しくはこちら:ダンロップスポーツマーケティングがDX推進のために立ち上げたBtoB、DtoC-ECサイトの効果とは

4-2. バタフライ(卓球用品)

株式会社タマスの事例は、世界的な卓球用品ブランド「バタフライ」が、自社ECサイトのリニューアルによって、お客様の利便性向上と運用効率化を実現した好例です。

◆基礎DATA

企業名 株式会社タマス
ECサイト名 バタフライ・オンラインショップ
ECサイトリニューアル 2017年
主力ブランド 「バタフライ」

同社は「Open the World」を合言葉に、公式サイトならではの安心感と、大会会場限定品など特色ある商品展開を行っています。

◆成功要因

決済手段の拡充:クレジットカードとAmazon Payに加え、若年層向けに後払い決済を導入。決済代行会社の変更もebisumartの連携機能により、スムーズに実現しました。

セキュリティ対策の強化:3Dセキュア2.0と不正利用防止のチェックサービスを導入し、クレジットカードの不正利用被害をほぼゼロに抑制しています。

運用効率の向上:会員情報の表示項目を自由にカスタマイズできる管理画面や、充実したサポートサイトのマニュアルの活用によって、日々の運用業務が効率化されています。

同社は、クラウド型システムの特徴を生かし、独自のカスタマイズを行いながら、より多くのお客様に喜ばれるサービスの提供を行っている点が印象的です。

詳しくはこちら:卓球用品ブランド「バタフライ」を提供するタマスが自社ECサイトリニューアル後に強化したサービスとは

5. ECサイトの成功事例【百貨店・テレビ通販】

消費者の購買行動の変化に伴い、百貨店やテレビ通販の分野でもECサイトへの注力が進んでいます。ここでは、長年培ってきたブランド力をECサイトでも発揮し、新たな成長を遂げている3社の取り組みをご紹介します。

① 京阪百貨店(百貨店)
② 朝日放送グループ ABCファンライフ(TV通販を主体とした通販事業)
③ 札幌テレビ放送(通販番組での紹介商品などの販売)

5-1. 京阪百貨店(百貨店)

株式会社京阪百貨店の事例は、百貨店バイヤーが発掘した「知る人ぞ知る」商品の魅力を、独自のストーリーとともに伝えるECモールを展開した好例です。

◆基礎DATA

企業名 株式会社京阪百貨店
ECサイト名 よろずを継ぐもの
店舗展開 大阪府内に5店舗を展開
ECモール立ち上げ 「よろずを継ぐもの」を2022年5月にオープン

「よろずを継ぐもの」は、読み物コンテンツを通じて商品の背景にある物語を丁寧に伝え、出店者や生産者からも高い評価を得ています。

◆成功要因

コンテンツ重視の商品紹介:社内編集部の独自視点で「面白い」「役に立つ」記事を制作。流通量が限定された商品であっても、その希少性だけでなく、生産者の思いや地域の文化・風習に光を当てた発信を行っています。

既存事業の枠を超えた品ぞろえ:京阪百貨店の既存取引先の商品に限定せず、特徴のある商品・サービスの販売ができるようモール形式で展開。バイヤーの目利き力を生かした独自性の高い品ぞろえを実現しています。

顧客層と商圏の拡大:実店舗・ECサイトが京阪エリア中心(80〜90%)を占めるのに対し、「よろずを継ぐもの」は関西圏25%、東京20%と全国展開を実現。年齢層も30代後半〜50代へと広がっています。

同社は、百貨店の企画力を生かした新しいECの形を追求しています。商品を売り付けるのではなくストーリーを語る切り口は、多くのファンを獲得する施策と言えるでしょう。

詳しくはこちら:京阪百貨店が商品のこだわりを丁寧に伝えるサイトを実現するため、立ち上げたECモールとは

5-2. 朝日放送グループ ABCファンライフ(TV通販を主体とした通販事業)

朝日放送グループ 株式会社ABCファンライフの事例は、テレビ通販用のECサイトに加えて、ライフスタイル提案型のECサイトを新規に立ち上げ、新しい顧客層の開拓と売上拡大を実現しています。

◆基礎DATA

企業名 朝日放送グループ 株式会社ABCファンライフ
ECサイト名 ABCミッケ
itomani
EC売上比率 17%から27%に上昇(リプレース後)

同社は番組制作から販売チャネルまでを一気通貫で行い、メディアとECの連携を強化しています。

◆成功要因

テレビ放送連動時の課題解決:瞬間的なアクセス増加に対応できるシステム基盤を整備。オートスケール機能の活用で、コスト効率の高い運用を実現しています。

在庫管理の一元化:電話受注とECサイトの在庫をリアルタイムで連携。販売機会のロスを防ぎながら、効率的な在庫管理を実現しています。

新たな顧客層の開拓:ビジュアルを重視した30~40代女性向けの新サイト「itomani」を立ち上げ。SNSマーケティングなど新たな集客施策にも取り組んでいます。

同社は、テレビ通販とECの相乗効果を追求するとともに、新たな顧客層の獲得にも挑戦しています。マルチブランド展開による成長戦略の好例といえます。

詳しくはこちら:EC売上比率10ポイント増!ABCファンライフのTV通販用ECサイトと、より幅広いユーザーを獲得するために立ち上げた新規事業とは

5-3. 札幌テレビ放送(通販番組での紹介商品などの販売)

札幌テレビ放送株式会社の事例は、販売管理システムとの連携や使いやすさの向上により、ECサイト経由の売上シェアを伸ばした好例です。

◆基礎DATA

企業名 札幌テレビ放送株式会社
ECサイト名 STVショッピング
ECサイト売上 リニューアル後のECサイト売上は、前年比112%に

北海道産の食品や日用雑貨、公式キャラクターグッズなど、地域性を生かした商品展開を行っています。

◆成功要因

業務効率の大幅な改善:販売管理システムとの連携により、受注データの手入力作業を廃止。在庫の一元管理が可能となり、販売機会の損失を防止しています。

運用担当者の裾野拡大:HTMLの知識があれば誰でも更新できるシステムに刷新。EC担当スタッフを増員し、メルマガなど販促施策の強化にも取り組んでいます。

ユーザーに寄り添った設計:ECサイトの利用ガイドの整備や、地元タレントを起用したテレビCMなど、EC購入に不慣れな層への配慮も充実させています。

同社は、ユーザーにもスタッフにも使いやすいECサイトを実現しています。持続的に成長するために、最も大切なポイントだと言えるでしょう。

詳しくはこちら:EC売上112%にアップ!札幌テレビ放送が実現した誰もが使いやすいECサイトとは

6. 成功するECサイトに共通する3つのポイント

ここまで14社の事例をご紹介してきましたが、業界や業態は異なれど、成功企業に共通するポイントが見えてきました。

① 時代に合わせて適切なタイミングでリニューアルしている
② 顧客ニーズから管理コストまで全体最適を図っている
③ 自社の戦略を実現できるプラットフォームを選定している

それぞれ以下で解説します。

6-1. 時代に合わせて適切なタイミングでリニューアルしている

1つ目のポイントは「時代に合わせて適切なタイミングでリニューアルしている」です。

ECを取り巻く環境変化はめまぐるしく、お客様のニーズや期待値も常に変化し続けています。そうした中で、自社のECサイトを進化させ続けることが不可欠です。

事例企業の多くは、時代に合わせて適切なタイミングでECサイトのリニューアルを実行しています

リニューアルの目的は「お客様に提供する価値の向上」「自社の業務効率化」の2つに集約されますが、いずれの場合も、時代に取り残されないためのアップデートが常に意識されています。

6-2. 顧客ニーズから管理コストまで全体最適を図っている

2つ目のポイントは「顧客ニーズから管理コストまで全体最適を図っている」です。

ECサイトの設計・運営には、表の顔としてのフロントエンドと、裏方としてのバックエンド、両面からのアプローチが欠かせません。

成功企業の多くは、顧客ニーズを捉えた使いやすいサイト設計と、社内リソースを最適化する効率的なサイト運営の両立を図っています

販売管理システムなどとのシームレスな連携により、業務を効率化しながら、お客様の利便性を損なわないための工夫を凝らしているのが特徴的です。

コスト、オペレーション、顧客体験などを俯瞰しながら、全体最適の実現を目指す姿勢が見て取れます。

6-3. 自社の戦略を実現できるプラットフォームを選定している

3つ目のポイントは「自社の戦略を実現できるプラットフォームを選定している」です。

ECサイトはあくまでも、ビジネス戦略を実現するための手段の一つです。

どのような機能が必要で、どのような連携が必要かは、自社のビジネスモデルやブランド戦略によって異なります。

成功するECサイトは、自社の戦略を支えるのに最適なプラットフォームを選定しています

汎用性と柔軟性のバランス、初期コストと運用コストのバランスなど、多角的な視点から選定し、自社の成長を支える基盤として育てています。

「ECサイトに振り回される」のではなく、「ECサイトを活用して戦略を実現する」という意識が根底にある様子がうかがえます。

成功するECサイトの構築やリプレースをお考えの方は、ぜひクラウドEC型プラットフォームの「ebisumart」をご検討ください。

ebisumartには、ECサイトを成功に導く機能と仕組みが詰まっています。詳しくは以下の資料にてご確認ください。

7. まとめ

以上、14社の事例をもとに、ECサイトの成功ポイントを探ってきました。

① ラウンドアバウト(アパレルブランド展開)
② 西松屋チェーン(ベビー・子どものくらし用品)
③ ペンハウス(文具)
④ 山善(家庭機器のBtoB)
⑤ 小樽洋菓子舗ルタオ(洋菓子)
⑥ 銀座菊廼舎(和菓子)
⑦ カシオ計算機(医療機器)
⑧ カズマ(コンタクトレンズ)
⑨ ファイテン(ボディケア他)
⑩ ダンロップスポーツ(ゴルフ用品・各種ラケットスポーツ用品)
⑪ バタフライ(卓球用品)
⑫ 京阪百貨店(百貨店)
⑬ 朝日放送グループ ABCファンライフ(TV通販を主体とした通販事業)
⑭ 札幌テレビ放送(通販番組での紹介商品などの販売)

成功するECサイトに共通する3つのポイントは、以下のとおりです。

① 時代に合わせて適切なタイミングでリニューアルしている
② 顧客ニーズから管理コストまで全体最適を図っている
③ 自社の戦略を実現できるプラットフォームを選定している

EC市場が拡大を続けている今、EC戦略なくして企業の成長はありえません。一方で、ECサイトを立ち上げれば売上が上がる、という単純な話でもありません。

事例企業にならい、データに基づく仮説検証を繰り返しながら、ECサイトを進化させ続けましょう。そうした地道な取り組みの積み重ねが、ECを通じたお客様との絆を深め、ひいては、ビジネス全体の発展につながっていきます。


セミナー情報

ABOUT US
首藤 沙央里
2019年9月、株式会社インターファクトリーに入社。 マーケティングチームにてオウンドメディア運用を担当し、年間40本以上の記事を掲載。 社内広報、採用広報に加え、EC業界やクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」についての情報発信も行う。