カシオ計算機株式会社様は「創造 貢献」を経営理念に掲げ、時計、教育、楽器、システム、そして新たな領域である医療機器を世界中で展開しています。医療機器部門では、病気の早期発見につながる“質の高い医療”を画像技術でサポートする「D’z IMAGE」を提供するとともに、ebisumartを活用して医療関係者向けのECサイトの構築・運営を行っています。
今回は、カシオ計算機株式会社のご担当者様に、ebisumartご導入の背景やECサイトのデータ活用などについてお伺いしました。
<お客様プロフィール>
カシオ計算機株式会社
メディカル企画開発部
事業推進チーム リーダー
髙木 翠里 様
マーケティング室
石田 智也 様
マーケティング室
岩田 憲雄 様
企画開発室
柳 由紀夫 様
皮膚がん・子宮頸がん診断に画像技術で貢献するカシオ計算機株式会社
カシオ計算機株式会社 髙木様(以下、髙木様):
当社は1957年に創業し、「創造 貢献」を経営理念に掲げ、G-SHOCKをはじめとした時計や教育、楽器、システム、医療機器など、さまざまな製品を世界各国に提供しています。
特に新規領域である医療機器においては、将来につながる新しい価値創造を目的にカシオ計算機が持つこれまでの技術を活用し、皮膚観察用のスコープやカメラ、子宮頸部観察用カメラを提供しています。これらは医工連携を通じて、より精度の高い診断サポートを実現しています。
当社独自のカメラ技術や画像処理技術に加え、将来的にはAIによる画像診断サポートサービスを提供し、医療分野へのさらなる貢献を目指していきたいと考えています。当社の強みは、ハードウェアとAIの両方を自社で専用開発している点にあります。技術者同士の連携がスムーズであるため、より良い製品の提供が可能となっています。
医療分野は、高齢化や新型コロナウイルス感染症などの影響から医療需要が増加しているものの、医師不足に陥っています。また、都市部で受けられる診療が地方では受けられないといった医療格差も深刻です。
当社では、こうした課題をカメラ技術や画像処理技術を生かして、疾病の早期発見につなげ、診療時間の短縮、重症化によるリスクの回避を行うことで、患者様・医療関係者の方々の負担軽減を目指しています。
▲メディカル企画開発部
事業推進チーム リーダー
髙木 翠里 様
カシオ計算機株式会社 岩田様(以下、岩田様):
従来の医療機器メーカーは、営業担当者が直接お医者様の元へ出向き、商品説明を行うケースが一般的でしたが、当社では発注の全てをECサイトに集約しております。
主に学会への出展やDM配信、専門誌への広告などでECサイトをご案内し、全国の開業医、勤務医の皆さまに直接ご購入いただいております。
また、業界の慣習的にお医者様が販売代理店様に購入を依頼するケースもありますので、その場合は販売代理店様専用のページからご購入いただいております。
新規事業のために立ち上げたECサイトについて
━ECサイトの役割について教えてください。
カシオ計算機株式会社 石田様(以下、石田様):
お客様と直接取引をする場合、法人登録や契約書の締結などで取引開始までに非常に時間がかかりますが、ECサイトでクレジットカード決済やクロネコ掛け払いをご利用いただくことで、個々の契約を省略することができるので、取引も大変スムーズで重宝しています。
また、営業担当者が直接対面で販売を行う形式を取っていないため、ECサイトをご覧いただくだけで商品情報や使い方などが全て分かるようにサイトを構築しており、商品の詳細情報を伝える手段としてもECサイトを活用しています。
━ebisumartをご導入いただいた背景を教えてください。
カシオ計算機株式会社 柳様(以下、柳様):
マーケットサイズが限られていることから、付加価値率をより高めていくために、事業立ち上げ時からECサイトでの直販のみを行うと決めていました。
当社にはもともと、G-SHOCKや他の製品を販売しているECサイトがありましたが、さまざまな制約から同じサイトで医療機器を販売することが難しかったことと、医療機器は他の製品と取り扱いが大きく異なり、内製でのECサイト構築のハードルが高かったため、ebisumartのようなEC構築ソリューションを活用してECサイトを立ち上げることになりました。
また、他部署でもebisumartを導入してECサイトを構築していたため、メディカル企画開発部で実現したいことを相談した結果、GUI(Graphical User Interface)の優れているebisumartが良いのではないかと考えました。こうした管理ツールは、開発担当者だけでなく多くのメンバーが利用するため、分かりやすいGUIが理想でした。
ebisumartは、多彩な機能が通常機能として含まれているので、コストパフォーマンスが高いと感じたのも導入理由の一つです。
━特に重要視した機能やサービスなどはありますか。
柳様:
ebisumartはカスタマイズできる範囲が幅広く柔軟性があったのに加えて、決済方法の追加なども分かりやすいと感じました。決済については、当初のクレジットカード決済に加え、クロネコ掛け払いを追加しています。
また、ECサイトでは医療機器および周辺機器を販売していますが、組み合わせが事細かに決められた製品の販売や、学会来場者のような特定の方に限定した製品販売なども実現しやすかったです。
━導入効果を教えてください。
石田様:
販路がECサイトのみのため、ebisumartだけで全ての販売情報が登録されています。そのためタイムリーに月の売上などの情報を抽出することができ、非常に分析がしやすいのは導入効果の一つだと思っています。
ebisumartのデータをマーケティング室で分析し、次の施策の検討材料にするなど、データ活用も進んでいます。ECサイトに蓄積された5~6年分のデータから、同じ医療機関でも、大学病院・クリニックなどの属性でそれぞれ注文が増えるタイミングが異なることが分かってきています。それぞれのタイミングに合わせて商品紹介DMを送付するなどの調整ができるようになりました。
髙木様:
皮膚観察用のダーモカメラ、ダーモスコープにおいては2023年までに私たちが想定している市場で国内シェアの20%以上を獲得できており、非常に有効活用ができていると感じています。また、子宮頸部観察用のコルポカメラも、2022年より国内、2023年からは海外での発売を開始し、徐々に売り上げを伸ばしてきている状況です。営業担当者が不在でも全国に販売することができるというのは、ECサイトの導入メリットですね。
今後の展望 ━ AI診断サポートサービスの開始に向け、よりユーザーに寄り添ったUI/UXを目指す
岩田様:
ECサイトを活用し、オンラインのみで医療機器の販売をしているのは業界でも特殊です。当初は難しく感じたこともありましたが、現在では認知も進みスムーズに受け入れられてきていると感じています。
髙木様:
2026年度より、AI診断サポートサービスの提供開始を予定していますが、多くの方にこのサービスを活用いただくには、ハードウェアの販売をさらに伸ばしていく必要があります。そのため、ECサイト内やサイトまでの導線をよりユーザビリティの高いものにバージョンアップし、ユーザーに寄り添ったシンプルなUI/UXにしたいと考えています。
左からダーモスコープ 「DZ-S50」 ダーモカメラ「DZ-D100」 コルポカメラ「DZ-C100」
臨床現場の声から生まれた画期的な医療機器を提供している
カシオ計算機様
お忙しい中 ありがとうございました。
(取材日:2024年7月)
PROFILE
会社名:カシオ計算機株式会社
本社:東京都渋谷区
SITE PROFILE
サイト名:カシオ医療機器 オンラインストア
https://dz-image-store.casio.jp/
カシオ計算機株式会社様が運営する医療機器のオンラインストアです。当サイトでは、臨床現場の声から生まれた皮膚観察用デジタルカメラや子宮頸部観察用デジタルカメラを取り扱っており、医療関係者の方々に向けて、見積もり発行や請求書払いなどのサービスを提供しております。これらのカメラは、カシオ独自のカメラ技術・画像処理技術を活かし、それぞれの観察に役立つ機能を備えた手軽に扱える診療ツールとして、医師の業務をサポートします。
「ebisumart」について
提供会社:株式会社インターファクトリー
「ebisumart」はECパッケージとASPの両システムのメリットを兼ね備えており、常に最新・最適化されたクラウドコマースプラットフォームです。
サイトリニューアルやオムニチャネル、BtoB-ECなど、業界業種問わず累計750サイト以上の構築実績があり、お客様のニーズを迅速に反映しながら、EC事業の成長をお手伝いさせていただきます。