ECサイトの基本的な7つのWEB広告と優先順位の解説


ECサイトを始めたばかりの事業者や、売上の拡大を考えている方の悩みは

「効果の高い広告はどれか?」
「どんな広告をすればよいのか?」

という悩みだと思います。結論から言えば

・Googleショッピング広告
・リスティング広告
・リマーケティング広告

の3つを中心に行い、予算に余裕があれば、他のWEB広告のテストをすべきです。

予算に余裕がなければ、この3つの広告以外を検討してはいけません。なぜならECサイトの広告で比較的効率であり、この3つの広告を中心に予算を使うべきだからです

それでは、ECサイトで行うべき各広告について、本日はebisumart(インターファクトリー)でWEBマーケティングを担当している筆者がECサイトの広告について解説いたします。

ECサイトのWEB広告の種類

まず、WEB広告は無数に存在しますが、本日は基本的なWEB(インターネット)広告を紹介いたします。細かい広告運用の解説ではなく、数ある広告の中から、どのように広告展開していくべきかの観点でひとつひとつ解説いたします。

◆ECサイトのWEB広告一覧

①Googleショッピング広告
②リスティング広告
③ディスプレイ広告(リマーケティング広告を含む)
④アフィリエイト広告
⑤メールマガジンの広告掲載
⑥WEB媒体広告(記事広告を含む)
⑦Facebook広告

①Googleショッピング広告

Googleショッピング広告とは、Googleで商品名や商品ジャンル名で検索すると下記のように、検索結果に表示される広告のことです。

◆Googleショッピング広告の掲載位置

広告掲載するための方法は、Google の広告管理システムのGoogle Merchant Center(グーグル マーチャント センター)に登録し、審査で承認されれば無料リスティングが開始され、商品フィードが上記のような検索結果や、あるいは、下記のようなGoogleの検索結果に表示される「ショッピングタブ」を選択すると商品が表示されるようになります。

◆Googleの検索結果のショッピングタブをクリックした画面

Googleショッピング広告は、検索結果に商品画像も出てくるので、比較的効果の高い広告ではあるのですが、1商品で利益を得るという考え方ではなく、ユーザーにECサイトの存在を知ってもらったり、あるいは初回購入では利益が出なくても、リピート購入を促進して利益を得るなど、ECサイトのマーケティング戦略全体で考えていかないと利益が出ません。

つまり広告に数百万円以上の予算を組むことができる企業でなければ、このような戦略を実施するのは困難です。その証拠にGoogleショッピング広告に出店している企業は、誰でも知っている大手事業者やメーカーが多くなっているのです。

ちなみに、このGoogleショッピング広告には無料枠が存在しており、とりあえずショッピングタブの下の方に、無料でGoogle Merchant Centerに登録し、審査が通っている状態であれば、予算をかけずに広告出稿できますので、EC事業者なら絶対に実施すべきです。爆発的効果はありませんが、商品数が多い事業者なら一定の利益を得ることができます。

②リスティング広告

リスティング広告は、ECサイトに限らずインターネット広告として、最も費用対効果が高く、CV件数を多くとれる広告です。なぜなら、Google検索やYahoo検索を行えば、会社の製品やサービスを上位に置くことができるからです。下記写真をご覧ください。このように青い枠の検索結果の上部を押さえることができる広告なので、効果が最も高いのです。

ppc

ただし、ここで言う効果が高いというのは他の広告に比べてという意味であり、ECサイトの商品が3,000円以下の単価の安い商品であれば、利益を得るのは結構難しい面があります。

GoogleとYahooのどちらでリスティング広告を打てばよいのか?

例えばBtoBの場合、リスティング広告は、ターゲットユーザーのほとんどがGoogleを使っており、Yahooでリスティング広告を行っても効果はほとんどありません。このようにリスティング広告においてGoogleとYahooは、ターゲットユーザーの属性によって決めるべきなのです。

それを知るには、Google Analyticsを使えば簡単に知ることができます。

◆Google Analyticsの操作方法

操作①「集客」をクリック
操作②「すべてのトラフィック」をクリック
操作③「参照元/メディア」をクリック

上記の操作を行うと、グラフの下に下記の詳細の検索エンジンの流入元が出てきます。※下記データは筆者の個人メディア

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ここで、GoogleとYahooの比率を見ることで、どちらのリスティング広告を行うべきか判断がつきます。上記の例だと、Googleが52%でYahooが36%の為、Googleのリスティング広告に費用を多く使います。しかし、Yahooユーザーも多い為、GoogleだけではなくYahooの広告も同時に行います。

この数字が、どちらか極端に偏っている場合は、GoogleとYahooの両方を行う必要はありません。

リスティング広告は自社で運用すべきか?広告代理店に依頼すべきか?

リスティング広告は、GoogleとYahooにアカウントを作って、直接リスティング広告を行うこともできますが、広告代理店にアカウントの運営を依頼するのも一般的です。その場合どちらにすべきでしょうか?

まずは、リスティング広告の運用の自社運用と代理店運用のメリットとデメリットをまとめてみました。

◆自社運用と代理店運用のメリット・デメリット

メリット デメリット
自社運用 ・運用費がかからない
・ノウハウが自社で蓄積できる
・設定ミスなど迅速に対応できる
・ワークロード負荷がかかる
・リスティング運用の仕方を覚えるのが大変
代理店運用 ・運用を任せられる
・代理店にノウハウあれば、効果が拡大できる
・運用費が広告費の20%と高い
・ノウハウが自社に蓄積されない
・設定ミスの対応が遅い

結論を言えば、リスティング運用経験がある。あるいはインターネットリテラシーが高いECサイト担当者がいる場合は、自社で運用するのが良いでしょう。なぜなら、中・小規模のECサイトの予算では、広告代理店の良い担当がつかない為、効果を劇的にあげることはできない点と、自社での運用も一定のレベルに達すれば、広告代理店の運用能力が差がつかない為です。

まず、代理店にお願いすると運用費として広告費の20%を持っていかれます。月間リスティング予算が500万円を超えると、ディスカウントすることは可能ですが、それでも15%程度が限界でしょう。

つまり、代理店へのリスティング広告依頼は安くはなく、リスティング広告は担当者の経験やスキルによって、効果に差が出てきます。しかし、予算が少ない(月間1,000万円以下)事業者には良い担当は絶対につきません。

そして、リスティング広告の場合、効果を高める裏技などは存在しません。むしろ日々どこまで細かく設定ができるかが運営で一番重要な点になってくるのです。そういった面からも自社でリスティング広告運用を行うのがよいでしょう。ノウハウも自社に蓄積できるという利点があります。

ちょっと余談!ECサイト担当者にとっての代理店を使うメリット
本質的な話ではありませんが、EC担当者としては、広告代理店にリスティング広告を依頼する大きなメリットがあります。それは売上・目標未達を広告代理店のせいにできるというメリットです。「そんな幼稚な話がビジネスであるわけない!」と思われるかもしれませんが、企業のEC担当は、上司や部門長に、目標をコミットしており、達成しない場合の言い訳として代理店が悪者にされることはよくあることなのです。

ただし、自社にリスティング広告運用のノウハウや、リテラシーが高いメンバーがいない場合は、代理店に依頼を検討しましょう。

その場合は、リスティング広告をどの代理店に依頼すべきか?という課題があると思いますが、インターネットマーケティングを10年行った経験からは、大きな有名な代理店は避けて、小さい代理店の方が、こまめに運用してくれる可能性が高いです。

なぜなら、大きな代理店は、クライアント数も多く、その中で予算の少ないECサイトに良い担当をつけてくれる可能性は少ないからです。

リスティング広告の弱点は効率の限界があること

リスティング広告の弱点は、効率には限界があるこです。

例えば、CPAが1万円の商品があった場合、100万円を投下すれば、100件のCVする計算になりますが、200万円を投じても、CVは200件ではなく150件だったりと効率が落ちるのです。企業や業態によって違うのですが、ある一定の予算を超えると効率が悪くなる為、たとえ予算があっても、リスティング広告には限界があるのです。

③ディスプレイ広告(リマーケティング広告を含む)

ディスプレイ広告とは、Yahooのサイドバナーや、スマートフォンの下部に出てくるバナーのことです。ディスプレイ広告の特徴は、膨大なデータからユーザー個々に最適なバナーを表示することで効果を最大化する広告ですが、結論から言えば、ディスプレイ広告の一種のリマーケティング広告以外は、する必要がありません。

なぜなら、筆者は過去に3000万円を投下して、ディスプレイ広告を行った経験がありますが、CVが7件しか取れませんでした。これはリスティング広告におきかえると300件のCVが取れる計算ですから、まったく採算が合いませんでした。

「それは昔の話だ、テクノロジーが日々進化している」

と思われる方もいるかもしれませんが、ディスプレイ広告の致命的な弱点は3つです。

弱点①サイトを見ている時に、広告が表示されていても、ユーザーの目には入っていない
弱点②バナーが目にはいっても、購入意欲が低い
弱点③ユーザーの多くはスマホで閲覧しており、スマホは文字入力の難易度から申し込みが敬遠される

以上のことから、ディスプレイ広告は中小規模のECサイトでは検討不要です。広告代理店は

「ディスプレイ広告にはテレビCMや交通広告のような効果があります」
「ブランディングや認知度向上に!」
「ディスプレイ広告を行えば、自然検索やリスティング広告からの獲得が増えます!」

などと、企業の事例やデータを元に、説得してきますが、私の経験から成功するのは極めて稀です。製品やサービスが特別ユニークなものを扱っていたり、バナーが突出したデザインが必要になってきますが、筆者には成功経験がないので、それを語ることはできません。

ただし、ここまでの話はディスプレイ広告であって、リマーケティング広告は別です。リスティング広告と同じくらいの効果が見込める広告です。

リマーケティング広告

リマーケティング広告とは、ディスプレイ広告の一種で、自社のECサイトにタグを設置することで、一度ECサイトに訪れたユーザーをバナーで追い続けます。ディスプレイ広告と違い、自分が一度ECサイトまで訪れた商品ですから、広告効果は極めて高く、CVRが高く費用対効果がリスティング広告に匹敵します。

ただし、効果は高くても、リスティング広告と同様に効率の限界が存在します。ですからリマーケティング広告はリスティング広告とセットで行い、限られた予算で費用対効果を最大化させる為の広告と言えるのです。

ECサイトでは、リスティング広告とリマーケティング広告は必ず行いましょう。リマーケティング広告は数多くネットワークが存在しますが、GDN(Google)とYDN(Yahoo)の2つで十分です。なぜならこの二つのネットワークで、ほとんどのターゲットユーザーにリーチできるからです。

 

ディスプレイ広告に関して、少し厳しい論調になりましたが、それは筆者の経験の中からの話です。筆者は運用経験がありませんが「criteo(クリテオ)」などは、ECサイトで非常に効果の高い広告です。なぜなら、運用を人ではなく、クリテオが最適化してくれますし、しかもフィード広告といって、商品データを自動で引っ張ってきて広告に運用できる優れものです。

デメリットは、設定が結構大変なことと、予算がある程度ないと効果を発揮できない点などがありますが、試してみる価値はあります。

④アフィリエイト広告

アフィリエイト広告は、ASPと呼ばれる多くのアフィリエイターを囲っている会社と契約し、あなたのECサイトの製品をアフィリエイターが自分のサイトを使って宣伝する広告です。アフィリエイターのWEBサイト経由でCVした場合に、報酬を渡す仕組みです。報酬のうちの30%程度が仲介しているASPの取り分になります。

アフィリエイトを広告を最大化する方法については、以前下記記事で紹介いたしましたので、詳しく知りたい方は下記記事の後半部をご覧ください。

関連記事:広告主がアフィリエイト施策で集客を最大化するための解説

アフィリエイト広告の要点だけまとめますと、

◆アフィリエイト広告を最大化する為に

・CPAの限界まで、報酬設定を高くする
・アフィリエイターへの説明会をASP経由で行い、自社の製品を説明してアピールする
・月収100万円以上のスゴ腕のアフィリエイターにサイトを宣伝してもらう

といった点が、重要になってきます。アフィリエイターへの報酬単価は、

「競合のA社が2000円だから、うちの会社は2500円にしよう」

という決め方は、一見正しそうですが、間違いです。なぜなら、アフィリエイターはあなたのECサイトサービスに興味はなく、報酬単価にしか興味がありません。ですから、報酬設定を競合他社との中で、決めるのではなくアフィリエイトで提携している全ての会社の中で、高報酬に設定しないと、アフィリエイトで成功するのは困難です。

アフィリエイト広告のデメリットとは?

不正CVや不正行為が多い

アフィリエイトを行うということは、必ず不正行為する人が一定数混じります。これはどのASPであっても避けることはできません。不正行為の代表的なものは、社名によるリスティング広告不可にもかかわらず、社名リスティング広告を行ったり、資料請求系では、まったく関係ない人の住所を入力してCVしたりするアフィリエイターです。

運営中にこれらの人を見つけたら、ASPに通報して除外してもらいましょう。

作業負荷が大きい

承認作業というものがあり、アフィリエイターによるCVに不正がないか?あるいは、こちらが設定した条件を守っているかという作業が発生します。ECサイトの場合、CVイコール購入となるので、ほぼ承認となりますが、そうではない場合は負荷が大きいです。

また余談ですが、承認作業は、できれば月1回ではなく、週に1回にした方が、アフィリエイターも本気になりますので、マメな管理が必要になります。

⑤メールマガジン広告への掲載

ここで言うメールマガジンとは、自社のメーリングリストではなく、外部のメーリングリストのメールマガジンの広告になります。メールマガジンは、スマホになり、人々がLINEやアプリなど使うようになりはじめて、効果が落ちています。

また、メールマガジン広告は、それなりの商品のリード文を工夫したり、HTMLメールの場合は、クリエイティブを自社で用意する必要がある為、手間がかかります。そして手間の割には効果はあまりありません。

結論を言えば、よほど自社のターゲットユーザーと近しい属性のメーリングリストを囲っていない限り、出稿する意味はありません。

メールマガジン広告のデメリット

メーリングリストの不備による事故

事故はどんなに気をつけても、不意に発生してしまいます。一度起きると、お詫びメールの作成や、クレーム対応など、一時的にECサイトのマーケーティング活動が停止してしまうほどです。筆者も10年間でベンダーが3回のミスを行った為、対応に迫られたことがありました。信頼できるベンダーでしたが、人の手を解する限り、事故は必ず起こります。

⑥WEB媒体広告(記事広告を含む)

集客力のあるWEBサイトに自社の製品の宣伝をしてもらうページ(記事)のことです。筆者の経験からは記事広告のようなものは、ブランディングにはなりますが、CV数はそんなに取れません。

しかし、自社製品の関連検索ワードで上位にいるページの場合は相当のCV数を稼ぐことが可能です。

例えば、前職の経験談にはなりますが、私は前職、大手英会話スクールのWEB担当者でしたので、重要なキーワードは「英会話スクール」あるいは「英会話教室」といったキーワードです。それらのキーワードで検索するとSEOの3位~5位に「オリコン」のサイトが出てきます。

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オリコンのような、英会話サービスと関連するキーワードで検索した場合に上位に出てくるWEBサイトは、強力な集客力があります。

もし、あなたのECサイトと関連するキーワードを検索してみて、オリコンのような広告があるWEB媒体がある場合は、広告出稿は検討してみるべきです。おそらく「お試しのテストマーケティング出稿」を用意しているので、一ヵ月~三ヵ月くらい試しで出稿してみると良いでしょう。

まずは自社サービスに関連するキーワードで検索してみて、そういった媒体があるかどうかを把握するのがEC担当者にとって重要な仕事になります。場合によっては見つけたサイトがアフィリエイトサイトということもありますから、そういった場合は、ASP経由で広告掲載を依頼しましょう。

⑦Facebook広告

Facebook広告は、興味や趣味、あるいは所属会社や学校毎など細かいターゲティングができるのがポイントです。

ただし通常のバナーを載せて、商品ページに誘導しても、ECサイトからいきなりCVはしませんので、ランディングページを使って、興味を持たせる仕組みをつくらないと、カンタンには効果がでません。

Facebook広告の良いところは、少ない金額から、広告代理店の運用は必要ないくらいカンタンに始められることです。筆者も個人として、Facebook広告を使っていますが、非常に設定がカンタンで、だれでもすぐにできる広告と言えます。

Facebook広告はEC事業者にも人気のある広告でしたが、WEB業界全体でサードパーティークッキーを利用した広告サービスに制限が入り、その影響によりFacebook広告も広告効果が下がってきている印象です。

しかし、Conversion APIを利用するなど、新しい方法が出てきておりますが、社内にITエンジニアがいないと、実装は難しいので敷居が高くなります。

ECサイトの広告のまとめ

いかがでしたか?本日はECサイトで行うべき広告を、EC担当者の目線で解説いたしました。結論から言えば、予算が限られている場合は

・Googleショッピング広告
・リスティング広告

・リマーケティング広告

だけで十分です。なぜなら費用対効果が確実に見込める広告だからです。しかしこの3つの広告には共通して、「効率の限界」があるので、予算があっても、お金をかけただけCVできるものではありません。

ですから、平行して広告ではないですが、オウンドメディアを立ち上げて、ECサイトと関連するSEOキーワードを独占し、売上を伸ばす長期的施策もおりまぜる必要があるのです。その点については以前に解説した下記記事をご覧ください。

関連記事:ECサイト売上を集客とCVR改善でアップする具体的方法


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。