ECサイトを運営している方は、集客からいかに効率よく注文を獲得するかお悩みではないでしょうか?
パーソナライズ施策は、ユーザー一人一人に合わせた広告であり、集客したユーザーのCVRを向上させる施策とも言えます。
集客ばかりがWeb施策ではありません。ユーザー一人一人に合わせた「接客」「追客」、つまりパーソナライズ施策を実施すればCVRのさらなる向上が見込めます。
毎日、アクセス数等のWebのKPIに追われていると、ECサイトを訪問するユーザーが、実店舗に来店するのと同じく人間である意識が薄れてしまいがちですが、Googleアナリティクスでの1アクセスは、ただの数字ではなく1人の人間です。
ですから実際の店舗のように、一人一人に合わせたオファーをWeb上でも提供できれば、あなたのECサイトもまだまだ売上を伸ばす余地があるのです。
ECサイトにおけるパーソナライズの目的は、マスマーケティングによる「1対多」の非効率性を減らし、できる限り個人の嗜好に合った接客に近づけることで、購買に至るまでの獲得効率を上げることにあります。
この記事では、インターファクトリーでWebマーケティングを担当している筆者が、ECサイトの各パーソナライズ施策から導入の方法を紹介します。
パーソナライズの事例「Googleの検索画面」
この記事を読んでいるあなた自身も、毎日のようにパーソナライズされたWebサイトを閲覧しているのではないでしょうか。その代表例と言えるのが、Googleです。Googleは検索結果をパーソナライズしています。最も分かりやすい例が、地域によるパーソナライズです。
例えば、「英会話スクール」と検索した渋谷のAさんの検索結果には、渋谷周辺の英会話スクールが地図とともに表示されます。同じく横浜のBさんが「英会話スクール」と検索すると、横浜周辺の英会話スクールが表示されます。このようにGoogleは検索ユーザー一人一人に合わせてパーソナライズを実施しているのです。
地域によるパーソナライズを例に挙げましたが、この他にもGoogleはユーザーのサイト接触履歴や嗜好に合わせて、一人一人の検索結果をパーソナライズしています。
このように多くのユーザーが利用するサイトでユーザー一人一人に合わせたパーソナライズ施策を行うことで、ユーザーが享受できるメリットは大きく、ユーザーは短い時間で目的のページに到達することができます。
ECサイトにおけるパーソナライズ施策
この記事では、ECサイトにレコメンドエンジンを導入することを前提に、パーソナライズ施策を解説します。
レコメンドエンジンの導入
パーソナライズ施策を導入するには、まずはレコメンドエンジンを導入します。レコメンドエンジンの会社には「ASP」と「パッケージ」があります。以下の比較表をご覧ください。
◆レコメンドエンジン比較表
初期費用 | 月額費用 | 導入日数 | カスタマイズ | |
---|---|---|---|---|
ASP | 0円~ | 数万円~ | 1週間後~ | △ |
パッケージ | 数十万円~ | 数十万円~ | 1か月後~ | ○ |
レコメンドエンジンは気軽に導入できるASPから、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)と連携できる本格的なものまで数十社の会社から提供されています。もしレコメンドエンジンの導入が初めてで、どのサービスが良いのか分からない場合は、手軽な金額で始められるものが良いでしょう。
なぜなら、いきなり高額なレコメンドエンジンだと「高機能がゆえに使いきれない」「導入に時間がかかる」というデメリットがありますし、最初からレコメンドエンジンそのものを理解してないため、クライアントとして最適な要件を定義できない場合があるからです。
ASPのレコメンドエンジンである程度の効果が見えてくると、「ASPでは物足りない」「もっとこんな機能が欲しい」という要望も生まれます。レコメンドエンジンの効果が見えてきたタイミングで自社に合うサービスに乗り換えてみるのがいいでしょう。ただしこのやり方だと、顧客行動データを一から蓄積しなおすデメリットが生じますので、念頭に置いておきましょう。
それでは次に、レコメンドエンジンを使った具体的なパーソナライズ施策を説明します。
3つのパーソナライズ施策
パーソナライズ施策として代表的な3つの施策を説明します。
◆代表的な3つのパーソナライズ施策
② レコメンドメール
③ レコメンド広告
先に紹介したASPやパッケージのレコメンドエンジンのシステムが使われるのは①と②です。③に関しては広告配信システムがレコメンドエンジンとして利用されます。混乱しやすいポイントなので「レコメンド広告に関しては配信先ベンダーのシステムを使う」と念頭に置いて、次の説明をお読みください。
① レコメンド
まずパーソナライズ施策の代表的施策のレコメンドから解説します。優れたレコメンドで有名なのはAmazonです。Amazonは「ユーザーの閲覧履歴」「ユーザーの購入履歴」と「同じ商品を買ったユーザーの履歴」から、最適なレコメンド商品を画面に表示します。しかも現在も進化を続けています。
また、Amazonが優れているのはレコメンドのアルゴリズムだけではなく、レコメンド広告のタイミングです。ユーザーの購買意欲を刺激するよう、あらゆるタイミングでレコメンド商品を表示しています。
例えばKindleで漫画を購入し、読み終わったところでレコメンドが表示されるのは以前からありましたが、最近では漫画を読み始める前にもレコメンド画面を表示しています。
漫画を読んでいる最中に次の巻をダウンロードすることもできるので、ユーザーには大変便利なタイミングでのレコメンドです。このように最適なタイミングで表示されるレコメンドは、ユーザーのサイトへのロイヤリティを向上させるのです。
② レコメンドメール
レコメンドメールとは商品画面や購入完了画面のタグから収集したデータとユーザーの属性情報を使って、ユーザー一人一人に合わせたレコメンド情報を紹介するメールのことです。
レコメンドメールでは商品のクロスセルはもちろん、休眠ユーザーの掘り起こしにも効果があると言えます。また単に商品をレコメンドするだけでなく、「ポイントの残高」や「お気に入りに残っている商品」などのリマインドにも利用されます。
それでは以下にレコメンドメールの種類を紹介します。
パーソナライズドメール
閲覧履歴と購入履歴に基づいたメールを送付します。最初からパーソナライズされたものを送るわけではなく、一般的には一斉配信のメルマガをHTMLで作成します。メールが開封された瞬間にレコメンドエンジンにアクセスし、エンジンから戻ってくるレコメンドの結果をユーザーに表示する仕組みです。
設置方法は、HTMLメールにタグを埋め込むことで、メール本文の商品紹介エリアにレコメンド商品を表示させることができます。
セグメント別メール
年齢や性別などのセグメント情報や行動履歴を基にユーザーをセグメントに分けて、各セグメントに応じたコンテンツを配信します。ユーザー一人一人ではありませんが、属性情報を基にある程度のパーソナライズを実現します。
セグメント別配信ですので、パーソナライズドメールのようにタグの設置はせず、最初からセグメントに合わせたコンテンツを用意します。
購入後の自動返信メール
閲覧情報と購入情報を使用し、購入後の自動返信メールにクロスセルのレコメンド商品を紹介します。レコメンド商品には、購入品に近い商品を「おすすめ商品」として表示するのが良いでしょう。
また購入後しばらくたってから「お礼メール」を自動で配信する場合も同様に、商品のクロスセルを促します。自動返信メールもHTMLメール本文にタグを設置することで、パーソナライズを実現します。
③ レコメンド広告
レコメンド広告とは、ユーザーの属性・サイト訪問履歴から、ユーザーにマッチしたバナー広告を配信する施策です。レコメンド広告の種類は多数あり、ターゲティング広告とも呼ばれ定義があいまいですが、この記事では以下のように定義します。
リマーケティング広告
リマーケティング広告とは、一度サイトに訪れたユーザーに対してバナー広告を表示し、再訪問からCVを促す広告です。2010年からGoogle広告で実施され、ほとんどの広告配信先が広告メニューとして用意しています。ジャンルにもよりますがリスティング広告の次に獲得(CV)が見込める広告だと筆者は考えます。
リマーケティング広告はユーザーが訪問したサイトやページ単位でしかパーソナライズできませんでしたが、現在はユーザーが閲覧した商品単位でバナー広告を表示する事ができるようになりました。詳しくは次に説明します。
動的リマーケティング広告
動的リマーケティング広告では、広告配信面に「ECサイト」という単位ではなく、過去に閲覧した「商品」という単位でバナー広告を表示できます。クリックすると商品詳細ページまで遷移できるので、注文完了までのステップは短く、ユーザー側も利便性が高い広告です。
動的リマーケティング広告を導入するには、2つのステップがあります。
◆動的リマーケティング広告を導入するための2つのステップ
②広告配信システムから提供されるタグを商品詳細ページに設置する
このようにECサイト内だけのパーソナライズではなく、離脱したユーザーにも広告バナーにレコメンド商品を表示させることで、サイトへの再訪問と購入を促すのです。
まとめ
本日はレコメンドエンジンの導入から、パーソナライズ施策として「レコメンド」「レコメンドメール」「レコメンド広告」の3つを説明しました。ユーザー目線のレコメンドは、顧客ロイヤリティを向上させますが、パーソナライズ施策にはある程度の予算が必要です。
レコメンドエンジンを検討する予算がない、とあきらめてしまうのではなく、いつもユーザーに送付しているメールマガジンをユーザー属性別に分けて、それぞれのセグメントに合わせたコンテンツを配信してみるのはいかがでしょうか。
筆者は過去に、大手英会話スクールでメールマガジンを担当していましたが、特定のセグメントに絞り、そのセグメントに合わせたコンテンツを用意したところ、1回のメルマガ配信で100件超のCVを獲得した経験があります。
レコメンドエンジンを導入し、本格的なパーソナライズ施策を展開できれば理想ですが、自社のメールマガジンをセグメントに分けて配信することも立派なパーソナライズ施策です。
まずはユーザーの立場になって、毎週送っているメールマガジンが「ただの流れ作業になっていないか?」「お客様の役に立っているか?」再検討してみましょう。
また、ECサイトにおいてパーソナライズ施策を実施したいのなら、弊社のebisumart(エビスマート)をご検討ください。ebisumartではさまざまなパーソナライズ施策を実施するツールと連携することが可能です。詳しくは公式サイトをご覧ください。