スポーツ・アウトドア業界では、ブランドや競技ごとに事業部が分かれていたり、ブランドごとにサイトが運用されていたりするケースが多く、統合したECサイトを構築するのに時間がかかる点や、ゴルフクラブの試打など実店舗のニーズが強いこともあり、EC化に課題を抱える事業者様も少なくないのではないでしょうか。
今回は、ゴルフやラケットスポーツ用品の販売を行う株式会社ダンロップスポーツマーケティングのご担当者様に、DXの核となるBtoB、DtoC-ECサイトの立ち上げにより、自社だけでなくECサイトを利用するお客様の効率化や利便性の向上にもつながったお話を伺いました。
※インタビューは新型コロナウイルス対応として、マスク着用、換気といった感染予防対策を徹底した上で実施し、写真撮影時のみマスクを外しています。
<対談プロフィール>
株式会社ダンロップスポーツマーケティング
デジタル推進部 部長
和田 祐二 様
ゴルフ営業推進部一課
兼 デジタル推進部一課
マネージャー
小磯 里美 様
デジタル推進部二課
兼 ゴルフ直販部一課
守屋 美穂 様
株式会社インターファクトリー
取締役CMO 三石 祐輔(インタビュアー)
お客様のスポーツライフをもっと豊かにする、ダンロップスポーツマーケティング
株式会社ダンロップスポーツマーケティング 和田様(以下、和田様):
当社は、住友ゴムグループとして国内におけるゴルフ、ラケットスポーツ用品の製造販売を行っており、2022年に設立50周年を迎え、ダンロップスポーツの伝統や技術の詰まった製品を次世代へ継承、お届けするとともに、お客様のスポーツライフをもっと豊かにすべく、さまざまな挑戦を行っております。
ーDXの取り組みについて教えてください。
和田様:
当社のデジタル施策をさらに加速するため、2022年1月にデジタル推進部が立ち上がりました。デジタル推進部は、社内申請書類のデジタル化と、デジタルによる営業支援の推進、ECサイトの運営などを行っています。
社内申請書類のデジタル化は2022年10月よりスタートし、2か月ほどで全ての申請書類をデジタル化いたしました。スタート当初は申請書類の作り直しや、フロー変更など非常に苦労しましたが、設立50周年のタイミングで大きな変化を遂げることができました。現在では申請書類を提出する側と受理する側の双方が、時間や場所にとらわれることがなくなり、効率化につながっています。
ebisumartで行ったEC化も挑戦の一つです。
以前は、直販事業と卸売が主な販売ルートでしたが、営業担当者の業務効率化を図るツールとしてBtoB向けの受発注システム(以下、BtoB-ECサイト)を2021年11月に立ち上げました。
その後、コロナ禍で直販事業におけるEC比率が高くなったことや、お客様へタイムリーに商品をご提案できる環境作りのために、自社ECサイト(以下、DtoC-ECサイト)を2022年5月に立ち上げました。
当グループには福利厚生の一環として社員販売がありますが、従来は紙で申請を行っていたため、商品が届くまでに時間がかかっていました。DtoC-ECサイトを立ち上げたことで、ebisumartの機能を利用して社員販売もEC化できました。紙で申請していた頃よりも早く商品が手元に届くようになり、社員にも喜ばれています。
▲株式会社ダンロップスポーツマーケティング
デジタル推進部 部長
和田 祐二 様
BtoB、DtoCの両ECサイトでご導入いただいたebisumartについて
和田様:
現在ではクラウド型のECプラットフォームを提供する会社は数多くありますが、ebisumartはまだ同様のサービスがあまりない頃からスタートし、数多くの企業様が利用されている点に安心感を持ちました。
また、ebisumartは拡張性が高く、カスタマイズで機能を追加できる点も決め手になりました。高いセキュリティ環境が標準スペックとして提供されている点も大きかったです。他社のシステムでは、オプションでの提供や、導入までに時間がかかるようでした。セキュリティ面では、かなり優位性があったと思います。
問い合わせ数23%減!取引先の効率化にもつながったBtoB-ECサイト
株式会社ダンロップスポーツマーケティング 小磯様(以下、小磯様):
お取引先様からのお問い合わせを多くいただいていた商品の納期については、商品チームと協力しながら、なるべく早く、多くの情報をECサイトに載せたことで、お問い合わせ数を減少することができました。開設前と比べ、FAXや電話の数が23%減少し、1年間で約3万枚のFAXを削減できました。オペレーター業務を削減できたことで時間の余裕が生まれ、人的ミスも減少しています。
情報更新が早いBtoB-ECサイトは、お取引先様が必要な情報を営業担当者に連絡することなく知ることができるため、お互いの効率化につながっています。
また、BtoB-ECサイトを利用することで、お取引先様は当社の営業日を気にせず発注が可能になりました。そのため、お取引先様とその先にいらっしゃるお客様をお待たせすることがなくなり、営業担当者からは「商談が進みやすくなった」という声も上がっております。
▲株式会社ダンロップスポーツマーケティング
ゴルフ営業推進部一課 兼 デジタル推進部一課
マネージャー
小磯 里美 様
メーカーから直接購入できる安心感が売上につながる
和田様:
DtoC-ECサイトは、特に大きなプロモーションを行うことなく、立ち上げから半年ほどで約7,000名の会員登録があり、売上も順調に推移しております。
これはお客様にとってメーカーが直接販売しているという安心感が売上につながっているのだと考えています。
また、そこでしか手に入れることができないオリジナル商品を販売し、「ここに来れば面白い商品が見つかる」と感じていただくことでDtoC-ECサイトの魅力を高めていきたいです。
株式会社ダンロップスポーツマーケティング 守屋様(以下、守屋様):
DtoC-ECサイトの立ち上げにより、複数あるブランドサイトやコンテンツの窓口を一つに集約することができました。ブランドサイトなどで興味を持っていただいた商品を直接DtoC-ECサイトでご購入いただけるようになり、お客様の利便性のアップにもつながっていると思います。
また、流入数が多いブランドサイトをDtoC-ECサイトに集約することで、お客様情報をより多く取得できるようになりました。取得した情報を基に、お客様一人一人と最適なコミュニケーションを図れるよう、アプリなどを用いた多方面からのアクションも検討していきたいと考えております。
▲株式会社ダンロップスポーツマーケティング
デジタル推進部二課 兼 ゴルフ直販部一課
守屋 美穂 様
今後の展望 ━ より多くのお客様にご利用いただけるECサイトへ
守屋様:
今後もよりお客様の使いやすさを重視し、ECサイトのファンを増やしていくことで、当社だけではなく、ゴルフとラケットスポーツ業界全体を盛り上げていけたらと思います。
小磯様:
お取引先様によって発注方法が異なるため、それに合わせて複雑なカスタマイズが必要となります。まだ進められていない点もありますが、3年ほどで想定のシステムに近づけ、BtoB-ECサイトの利用者数を増やしていきたいと考えています。
外部システムとの連携を含めて、新しい施策の実施など、いろいろなことにチャレンジしていきたいです。
和田様:
BtoB-ECサイトとDtoC-ECサイトの相互連携を図り、外部のコンテンツとも連携することで、業態を問わずより多くのお客様にご利用いただけるサイトを目指していきたいです。
ダンロップスポーツマーケティング様
お忙しい中 ありがとうございました。
(取材日:2022年12月)
PROFILE
会社名:株式会社ダンロップスポーツマーケティング
本社:東京都港区
SITE PROFILE
サイト名:ダンロップスポーツ公式オンラインストア
https://d-sports-online.dunlop.co.jp/
株式会社ダンロップスポーツマーケティング様が運営するメーカー直営のDtoCサイトです。DUNLOP・XXIO・SRIXON・Cleveland golfなど、ゴルフ用品・各種ラケットスポーツ用品を幅広く品ぞろえしており、安全にお買い物ができます。ゴルフはボールのオウンネームやキャディバッグのネームプレートへの無料刻印サービス、ラケットスポーツはテニスとバドミントンフレームへのストリング張上げ無料サービスを実施。すべてオンライン上でお申し込み可能です。また、キャンペーンや会員特典も充実しており、商品以外の情報も発信しています。
サイト名: D-NET ONE
※クローズドサイトのため非公開
株式会社ダンロップスポーツマーケティング様が運営するBtoBサイト「D-NET ONE」です。法人向けにゴルフ、テニスを中心としたスポーツ用品を販売しています。
当サイトでは複数の基幹システムとの連携やパスワードのセキュリティ強化、分納対応や代理注文等の法人機能に関するカスタマイズ機能を実装しました。
「ebisumart」について
提供会社:株式会社インターファクトリー
「ebisumart」はECパッケージとASPの両システムのメリットを兼ね備えており、常に最新・最適化されたクラウドコマースプラットフォームです。
サイトリニューアルやオムニチャネル、BtoB-ECなど、業界業種問わず累計750サイト以上の構築実績があり、お客様のECビジネスの成長をお手伝いできるよう、ニーズに合ったECサイトのご提案からサイト運用までワンストップでサポートいたします。