BtoBビジネスでも、紙や電子カタログからの注文をECサイトで一元管理できると便利です。そのためには、ECシステムに次の3つの機能を実装する必要があります。
②一括注文機能
③代理注文機能
取引先企業は従来の注文方法でも問題がないため、現在できていることができなくなったり、手間が増えたりするのであれば、ECサイトを利用することはないでしょう。そのため、注文手続きにECサイトを使ってもらうための仕組みが必要です。
この記事ではインターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、ECサイトでカタログからの注文を管理する方法について解説します。
「カタログコード」と「商品コード」が異なる場合
ほとんどのBtoB事業者は取引先企業に紙や電子カタログを配布しており、カタログ掲載商品には、商品マスタの「商品コード」とは異なる識別コードである「カタログコード」を割り当てて運用している場合も少なくありません。
「カタログコード」と「商品コード」の命名・採番ルールは企業ごとに異なりますが、例えば下記のようなケースがあります。
◆カタログコード(カタログ) / 商品コード(商品マスタ)が異なる例
【商品Aの青色】 カタログコード:002 / 商品コード:001-B
【商品Aの緑色】 カタログコード:003 / 商品コード:001-G
上記の例は、カタログコードでは同じ商品の色違いは全て別コードとしていますが、商品コードでは商品Aを示す先頭3桁の後ろに、枝番で色を示すアルファベットを設定しています。
ECシステムでは既存の商品マスタを使用する場合がほとんどのため、カタログを見た取引先企業にECサイトで注文してもらうためには、カタログコードと商品コードの関連付けが不可欠となります。関連付け機能は比較的軽微なカスタマイズで実装できます。
カタログコードを指定してECサイトで注文するために必要な3つの機能
ECサイトで、カタログコードを指定して注文するために必要な3つの機能をそれぞれ見ていきましょう。
①型番検索機能
一般に、ECサイトで商品を注文する場合の動線は次のようになります。
一方、カタログコードを指定してECサイトで商品を注文する場合の動線は次のようになります。
そのため、既存のトップページやカタログページ、新規ページなどに、カタログコードを入力して型番検索ができる検索ボックスなどを設置する必要があります。型番検索機能では、カタログコードと商品コードのどちらを入力しても検索できるようにしておくとよいでしょう。検索ボックスに入力されたコード(例では「カタログコード」)に関連付けられた別のコード(例では「商品コード」)を検索結果として返すプログラムを実装します。
②一括注文機能
一件の注文で複数の商品を購入するための機能です。注文画面で複数の型番と数量を登録、目視できる入力フォームを用意しましょう。
これはFAX等で使用している注文伝票にあたる機能です。従来の注文方法を踏襲した上で、さらに入力された値の誤り検出、入力補助、間違いの可能性が高い値が入力された場合のアラート機能などを実装することで、注文手続きのWeb化に伴う取引先企業の負担を軽減し、誤発注の発生を低減できます。
③代理注文機能
BtoBでは、営業担当が取引先企業から電話やFAX、対面で注文を受けた場合のフローを想定しておく必要があります。そのため、営業担当が取引先企業としてECサイトで注文できる仕組み(代理注文機能)が不可欠です。
従来の注文手続きをWebに移行する場合には、取引先企業にECサイトの利用を依頼し、注文フローを完全に統一できることが理想ではありますが、取引先企業によってはECサイトを利用するためのコストが大きくなる場合もありますし、取引先企業側のIT障害等が発生するケースなども想定できます。
取引先企業の状況やデジタル化の進度に応じて柔軟に対応できるように、代理注文機能の実装も検討しましょう。
すべての注文手続きをECサイトに統合することによる3つのメリット
すべての注文手続きをECサイトに統合するメリットは大きく3つあります。
メリット①ヒューマンエラーによる誤発注の発生を低減できる
ECサイトでは注文登録時の入力値のチェック機能や入力補助機能、発注前の確認画面などのヒューマンエラーを防ぐ仕組みを実装することで、電話やFAXでの注文時に発生していた記入漏れや書き間違いなどによる誤発注を低減できます。
メリット②受注データの一元管理と分析が可能になる
すべての注文手続きをECサイトに統合することで、受注データの一元管理と分析が可能になります。ECシステムの分析機能や専用の分析ツールを使って集計レポートなどもリアルタイムで作成できます。
◆集計レポートの例
・エリア別の注文実績
・チャネル種別(カタログ/ECなど)ごとの注文実績
アナログ受注では紙ベースの情報を集めて手作業で集計したり、システム部門に依頼して基幹データを抽出してもらったりする必要がありましたが、必要な時に、必要な人が、必要なデータを簡単に活用できるようになるため、業務効率が大幅に向上します。
また、カタログ経由での注文実績を可視化することで、カタログの費用対効果や影響度を測ることができるため、効果的なカタログの製作と配布計画などの検討にも役立てることができます。
メリット③マーケティング機能を利用できる
BtoBではBtoCのように衝動的な欲求に基づく購入機会は多くありませんが、新商品のプロモーションやイベント告知などに、ECサイトのマーケティング機能やMA(マーケティングオートメーション)ツールを活用することで訴求効果を高めることができます。
マーケティング機能を利用することで、ECサイトのマイページなどに設置したバナー広告をクリックしたユーザーに対して、新製品のプロモーションや購入特典のお知らせを自動でメール送信するなどの運用も可能になります。
紙のカタログのニーズがなくならない理由
Webカタログだけでなく、電子カタログのダウンロードを提供している企業も多いですが、依然として紙のカタログが好まれる場合も少なくありません。紙のカタログのニーズがなくならない主な理由として、次の3つが挙げられます。
①取引先のデジタル成熟度が高くない
例えば、デジタルを利用した業務が少なく、パソコン操作に慣れていない従業員が多い職場などで、備品等の調達を行う必要がある場合は、パソコンやモバイル端末などがなくても、いつでもすぐに手に取って欲しい商品を見つけることができる紙のカタログのほうが重宝されます。
②事務用品などの比較的自由に選んで購入される商品
商品単価が少額な事務用品やオフィスの備品等、取引先企業の担当者が商品を見比べて任意購入することが可能な商品もあります。その場合、空き時間などにパラパラとめくって商品を見比べることができる紙のカタログほうが利便性が高くなります。筆者も以前の勤務先では、事務用品を調達する際にはWebカタログや電子カタログではなく、業務中でもさっと目を通すことのできる紙のカタログを利用していました。
特に商材の商品数やデザイン変更や商品の入れ替わりが多い場合などは、紙のカタログのほうが欲しい商品を直観的に見つけやすくなります。比較的安価かつ消耗品の事務用品は、スペック等で比較検討する必要もさほどないため、Webカタログを利用するメリットがあまりありません。
③営業ツールとして利用しやすい
自社の営業担当が挨拶や営業のために取引先企業を訪問する際に、情報を手土産の形で届けられる紙のカタログは重宝します。「今季の最新カタログができました」というように会話のきっかけとして利用したり、その場でカタログを開いて新商品をおすすめしたりすることもできるため、心強い営業ツールとなります。
また、リーフレットなど他の営業ツールと比べると、比較的厚さがあり、情報がまとまっているカタログは、処分や紛失の可能性が少なく、デスクの片隅に置いてもらいやすいため、何かの拍子に見てもらえる可能性が高くなります。
デジタル時代の今日では、紙のカタログは無駄なコストのように感じられるかもしれませんが、誰でも手軽に使用することができる販売ツールなのです。
まとめ
紙のカタログコードを使用してECサイトで注文するための基本的な仕組みはいたってシンプルですが、取引先企業の慣習や自社の営業手法を考慮したUX/UIを実装することが重要になります。
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