製造業におけるホームページ制作では、単に自社の製品カタログ情報を並べて掲載するだけでは十分ではありません。自社の会社概要、事業領域、独自のコア技術、保有設備、導入実績などを整理し、「自社がどのような企業であり、どのような製品・技術で顧客の課題を解決できるのか」を分かりやすく発信することが重要です。
製造業のホームページを訪問するユーザーは、新規案件を探している見込み顧客、既存の取引先、パートナー企業、求職者、株主・投資家など多岐にわたります。また、特定の製品名や型番をピンポイントで検索して訪問するユーザーだけでなく、具体的な用途や課題から解決手段を探しているユーザーも数多く存在します。
そのため、ホームページ制作においては、単に「掲載する情報コンテンツ」だけでなく、「誰にどのような価値を伝えるのか」「探している情報へ迷わず到達させるための導線をどのように設計するのか」という戦略的な視点が不可欠となります。
製造業のホームページを制作する際は、以下の「7つのポイント」を押さえておくことが重要です。
◆製造業のホームページ制作における7つのポイント
② 自社の強みを「顧客に伝わる言葉」で具体的に伝える
③ 複数の切り口から情報を探せる構造にする
④ 製品ページには比較・検討に必要な情報をそろえる
⑤ 写真や動画を活用して製品・設備・現場を伝える
⑥ 顧客の検討段階に合わせて問い合わせ・資料請求の導線を設ける
⑦ 海外顧客を想定する場合はホームページを多言語化する
また、取り扱う製品点数や仕様パラメータ、管理項目が膨大になりがちな製造業においては、ホームページを公開した後に、最新の製品データや関連資料を正確かつ効率的に更新し続けられる管理体制を整えておくことも重要となります。
この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、製造業におけるホームページの成功事例を交えながら、制作時に外せない7つの要点から、運用開始後の効率的な製品情報管理アプローチまでを解説します。
参考すべき製造業のホームページ事例5選
自社ホームページの新規構築や大規模リニューアルを検討するにあたり、高度な情報設計と導線設計によって成果を上げている製造企業5社の事例を紹介します。
事例① 株式会社キーエンス
株式会社キーエンスの公式ホームページは、膨大な数の製品を取り扱う製造企業にとって、目的製品へストレスなく到達させる「高度な検索・情報設計」の参考になる事例です。
◆キーエンスのホームページ
同サイトでは、製品を単なる「型式番号」や「フリーワード」で検索できるだけでなく、「商品カテゴリ」「導入対象となる業界」「具体的な用途」などから探せる構造となっています。例えば「改善事例」コーナーにおいては、自動車、金属、半導体・液晶、食品・医薬品といった業界別に改善事例を提示し、そこから関連する自社製品へとスムーズに誘導しています。
さらに、製品カタログのPDFだけでなく、技術資料、取扱マニュアル、CADデータ、データシートなど、顧客が社内での選定比較や設計導入の検討段階で必要とするあらゆる資料を会員向けにダウンロードできる環境を整えています。
製造業のホームページを訪問するユーザーは、必ずしも正確な製品名や型番を最初から把握しているわけではありません。そのため、製品カテゴリ分類だけでなく、業界や用途といった「複数の入り口」を用意して目的の製品へ迷わずに到達させる設計は、製品点数が多岐にわたる企業ほど手本とすべきポイントです。
参考・出典(画像):株式会社キーエンス
事例② THK株式会社
直動案内機器大手のTHK株式会社のホームページは、単なる製品情報の検索にとどまらず、設計担当者が製品を選定・導入設計するまでに必要な技術情報を一連の流れで確認できる事例です。
◆THKのホームページ
製品情報ページにおいては、キーワード検索や製品タグ検索に対応し、製品カテゴリごとにラインナップが階層整理されています。
また、会員制の「THKオンラインサービス」内では、2D・3D CADデータのダウンロード、精度・寿命の自動計算ツール、製品電子カタログ、取扱説明書、トラブル対応FAQなど、設計者の選定業務をデジタル上でサポートするコンテンツが網羅されています。
個別の製品詳細ページからも、該当製品のCADデータや関連仕様書、マニュアル等へアクセスできる構造になっており、設計者が選定作業時にストレスを感じない情報設計が徹底されています。
製造業のホームページにおいては、製品の外観写真や機能特徴をアピールするだけでなく、顧客が社内で比較・選定し、設計CADへ落とし込んで導入検討を進めるために必要となる技術データまでWeb上で完備しておくことで、ホームページそのものを「優秀なデジタル営業兼テクニカルサポート拠点」として活用できます。
特に、製品スペック、詳細寸法図、CADデータ、電子カタログ、取扱説明書などを製品ページから参照できるように導線を整えておくことで、顧客は必要な技術情報をサイト内で探し回ることなく、スムーズに検討を深めることができます。
参考・出典(画像):THK株式会社
事例③ 日東電工株式会社
日東電工株式会社(Nitto)のホームページは、製品の正確な名称や品番を知らない顧客であっても、自社の目的に合致する一品を直感的に探し出せる柔軟な検索アプローチを備えた事例です。
◆日東電工(Nitto)のホームページ
製品検索ページにおいては、キーワード・シリーズ名・品番による検索に加え、「製品分類」「対象業界」「製品機能」という異なる3つの切り口から検索絞り込みが可能です。
「対象業界」では、自動車、住宅・住宅設備、社会インフラ、家電・電子機器、医療分野などに細分化されており、自社が属する産業分野から適合製品へたどることができます。
特にユニークなのが「製品機能」から探せる逆引き検索導線であり、「くっつく」「はがせる」「とおす」「たえる」「すべる」といった、材料やテープ製品が持つ本質的な機能・性質を直感的な言葉で指定して検索できます。
これにより、メーカー側の専門的な化学名称や製品分類を知らないユーザーであっても、自社が求めている効果や機能を起点に最適な製品を絞り込むことができます。
製造業のホームページにおいて、メーカー側の都合や専門的な技術分類だけで情報を整理してしまうと、製品知識の少ない見込み顧客が目的の情報へ到達できずに離脱してしまう原因となります。ターゲット業界、想定用途、あるいは「実現したい機能」など、顧客が解決したい課題の視点からも検索の入り口を用意することが、製品を見つけやすくする鍵となります。
参考・出典(画像):日東電工株式会社(Nitto)
事例④ 三菱電機株式会社
三菱電機株式会社が運営するFA(Factory Automation)分野のホームページでは、単なる製品スペックの提示にとどまらず、顧客が抱える「現場課題」や「業種特有の悩み」を起点として最適な解決策へ導くコンテンツ構成が参考になります。
◆三菱電機FAのホームページ
ソリューションページにおいては、「自動車」「電気・電子」といった業種別アプローチに加え、「設計・立ち上げ効率化」「データ収集・分析」「トータル保全」「現場の安全確保」など、ユーザーが実現したい目的・課題別に最適化されたソリューション情報を閲覧できます。
また、導入事例コンテンツについても、「生産性向上」「短納期化」「品質向上」「コスト削減」といった経営・現場課題や、対象業種、技術トレンドキーワードなどから絞り込みが可能です。これにより、訪問者は自社と同じ悩みを抱えている他社事例を見つけ出し、自社への導入効果を具体的にイメージできるよう設計されています。
一方で、すでに購入希望製品の型番や型名が決まっているヘビーユーザー向けには、型名・製品カテゴリ・シリーズ名からピンポイントでダイレクト検索できる独立ページも用意されており、自社製品を認知済みの顧客と、まだ具体的な製品が決まっておらず課題解決策を探している潜在顧客の両方のニーズをカバーする二段構えの構成となっています。
製造業のホームページでは、「自社の現場で何を解決したいのか」「どの業界・環境で使用するのか」という顧客側の問いに対して回答する情報アクセス導線を構築することで、自社の先端技術や製品の価値をより広く・深く認知させることができます。
参考・出典(画像):三菱電機FA(三菱電機株式会社)
事例⑤ 株式会社安川電機
産業用ロボットやモーションコントロール大手の株式会社安川電機のホームページは、自社の技術、製品、事業が「社会や産業のどこでどのように役立っているのか」をストーリー性をもって伝えるブランディングと情報発信の好例です。
◆安川電機のホームページ
「私たちの事業」では、自社の事業を紹介すると同時に、自社のモーション制御技術やロボット製品が社会インフラや先端製造現場のどこで活躍しているのかを分かりやすく提示しており、単に個別の製品を陳列するだけでなく、企業としての技術的バックボーンと社会的価値を深く理解できる構成になっています。
また、導入事例ページにおいては、顧客が導入前に抱えていた具体的な課題、導入選定された製品・ソリューション、および導入後に得られた実際の定量的成果を事例ごとに分かりやすくストーリー形式で展開しています。自社製品のスペックを説明するにとどまらず、実際の現場活用シーンを通じて自社技術の真の価値を伝えています。
製造業のホームページにおいては、単に製品の型番スペックを網羅するだけでなく、「自社がどのような事業を推進している会社なのか」「どのようなコア技術を保持しているのか」「その技術や製品が顧客のどのような課題解決に貢献しているのか」というストーリーまで一貫して提示することで、訪問者の企業全体に対する信頼感やブランド理解を高めることができます。
参考・出典(画像):株式会社安川電機
製造業のホームページに掲載すべき情報
製造業のホームページにおいては、単に製品カタログ情報を羅列するだけでなく、企業概要、事業展開、コア技術、生産設備、品質管理体制など、顧客が企業と製品の総合的な価値を正しく理解するための情報を網羅的に掲載することが求められます。
◆製造業のホームページに掲載したい主な情報
| 情報 | 主な掲載内容 | 掲載時のポイント |
|---|---|---|
| 会社情報 | 会社概要、所在地、沿革、拠点、役員一覧など | 企業としての信頼性の担保となる基本情報を明確に提示する |
| 事業内容 | 事業領域、提供サービス、対応分野、ビジネスモデルなど | 自社が「何を提供し、どの産業に貢献しているのか」を具体的に伝える |
| 技術・強み | 加工技術、開発力、対応可能範囲、独自技術など | 「高い技術力」などの抽象表現だけでなく、何ができるのかを示す |
| 製品情報 | 製品一覧、製品詳細、スペック、用途、関連資料など | 顧客が目的に合った製品を探し、比較・検討できる情報を用意する |
| 設備・生産体制 | 保有設備、生産拠点、生産能力など | 発注前に「対応可能な加工サイズや受託生産能力」を判断できる情報を示す |
| 品質管理・認証 | 品質管理体制、検査体制、取得認証など | 製品の品質レベルや生産体制に対する客観的信頼性を証明する |
| 実績・導入事例 | 納入実績、導入事例、課題解決事例など | 製品や技術が実際にどのように活用されているのかを伝える |
| サステナビリティ関連 | 環境、人権、労働安全、サプライチェーン、ガバナンスなどへの取り組み | 事業活動を通じた社会・環境への取り組みや企業としての方針を伝える |
| ニュース | 新製品発表、展示会出展、受賞歴、経営トピックスなど | 企業の最新情報を継続的に発信する |
| 採用情報 | 募集職種、仕事内容、働く環境、社員紹介など | 求職者が仕事内容や企業について理解できる情報を用意する |
| 問い合わせ・資料請求 | 問い合わせ、見積依頼、技術相談、資料ダウンロードなど | 顧客の目的に応じて次の行動へ進める導線を用意する |
製造業のホームページにおいては、これらの情報を「会社」「事業」「技術」「製品」で相互に関連付けて提示することが重要です。例えば、製品詳細ページから関連する要素技術や導入事例へとリンクで遷移できれば、顧客は製品単体のスペックだけでなく、その企業が保持する技術的バックボーンや信頼性まで深く理解できます。
また、新規顧客の開拓を優先するのか、既存取引先への情報提供を重視するのか、あるいは採用強化や企業ブランドの認知向上を目的とするのかによって、優先でトップ層に配置すべき情報は変化します。
そのため、ホームページ制作においては、まずサイトの「目的」と「メインターゲット」を明確に定義した上で、掲載情報の優先順位と情報導線を整理することが重要となります。
さらに、新製品の追加、スペック変更、設備の更新などが発生した際には、ホームページ上の情報も遅滞なく更新しなければなりません。掲載コンテンツを充実させるだけでなく、公開後も常に正確かつ最新のデータを維持できる管理体制を構築しておくことが重要です。
製造業ではサステナビリティに関する情報発信も重要
経済産業省が公表した「2025年版ものづくり白書」のデータによると、日本の製造業は国内の部門別CO2排出量全体のうち「36%」という大きな割合を占めており、脱炭素(GX)の推進と産業競争力の強化を両立させることが求められる分野とされています。
◆製造業のCO2排出量割合
出典:経済産業省「2025年版 ものづくり白書」P2
また、中小企業庁の「2025年版中小企業白書」における調査では、2024年中に取引先から脱炭素化への協力要請を受けた企業の割合は全業種平均で12.0%であったのに対し、製造業においては「16.4%」と高い水準を示しました。
製造業においては、単に自社の工場内だけでなく、サプライチェーン全体での環境対応が求められるケースが増加しています。
◆脱炭素化に向けた協力要請状況(業種別)※赤枠が製造業
出典:中小企業庁「2025年版中小企業白書 第1節 脱炭素化・GX」※一部筆者加工
さらに、上場企業においては2023年3月期決算以降、有価証券報告書内に「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載が法的義務化されました。そのため、サステナビリティ情報は、顧客や取引先だけでなく、株主・投資家に対して企業価値や中長期的方針を提示する上でも欠かせない重要情報となっています。
ホームページ上においても、脱炭素、省エネルギー、資源循環、人権尊重、労働安全衛生、コンプライアンスなど自社が取り組んでいる具体的施策を発信することで、企業の先進性や社会的信頼度を多様なステークホルダーに対してアピールできます。
製造業のホームページ制作で押さえておきたい7つのポイント
製造業におけるホームページ制作で外せない「7つの重要ポイント」を詳しく解説します。
ポイント① ホームページの目的とターゲットによって重視する情報を決める
ホームページの構築に着手する際は、まず「誰に向けて」「何を伝え」「訪問後にどのようなアクションを起こさせたいのか」を明確化します。目的によって、トップページやグローバルナビゲーションで配置すべきコンテンツは異なります。
◆目的と重視する情報
・新規顧客の獲得が目的
=> 独自の強み・コア技術、製品ラインナップ、課題解決事例をアピールし、問い合わせ・見積依頼・資料請求フォームへ誘導する
・既存顧客への情報提供が目的
=> 詳細な製品スペック、CADデータ、取扱説明書・マニュアルPDF、トラブル対応FAQへのアクセス性を優先にする
・採用強化が目的
=> 現場の仕事内容、製造ラインの働く環境、職種別社員インタビュー、社風・評価制度など求職者が求める情報を充実させる
・企業認知やブランディングが目的
=> 事業ビジョン、技術的バックボーン、経営理念、サステナビリティへの取り組みをストーリー性をもって提示する
製造業のホームページには、新規見込み客、既存取引先、取引先、求職者、投資家など異なる目的を持ったユーザーが訪れます。
そのため、すべての情報を一律の優先度で陳列するのではなく、自社が優先する目的とターゲットを定めた上で、情報の優先順位と視覚的な導線を設計することが重要です。
ポイント② 自社の強みを「顧客に伝わる言葉」で具体的に伝える
製造業のホームページにおいて、「業界トップクラスの高度な技術力」「徹底した高品質」「豊富な導入実績」といった抽象的なキャッチコピーを並べるだけでは、初見の顧客に自社の強みや差別化要因は伝わりません。
自社が具体的に何が得意で、顧客の現場が抱えるどの課題をどのように解決できるのかを数値や客観的事実で示すことが求められます。
◆自社の強みや技術を具体化して伝えるための観点
・どのような業界・用途で利用されているのか
・どのような課題を解決できるのか
・他社と比べてどのような点に特徴があるのか
また、製造業においては「社内で日常的に使われている専門用語」と「顧客が製品や解決策を探す時に入力する検索ワード」が必ずしも一致しない点に注意が必要です。社内用語だけで説明するのではなく、顧客が理解できる言葉へと置き換え、用途や解決できるお困りごとの視点から説明することが重要です。
例えば日東電工(Nitto)のホームページでは、専門的な製品分類や対象業界だけでなく、「くっつく」「はがせる」「とおす」「たえる」といった製品の本質的な機能から検索できるナビゲーションを配置しています。専門的な化学品名称を知らない顧客であっても、求めている機能をきっかけに適合する製品へとたどり着ける工夫です。
参考:日東電工株式会社U(Nitto)「製品情報」
ポイント③ 複数の切り口から情報を探せる構造にする
製造業のホームページにおいては、訪問した顧客が探している情報へ迷わず到達できるよう、「製品分類」「使用用途」「現場の課題」など複数のアプローチから製品や技術を探せる柔軟な構造を設計します。
仮に「製品カテゴリ」だけを入り口にしてしまうと、すでに具体的な製品名や品番を認知している既存客には便利ですが、「自社の現場課題を解決できる製品があるか探したい」「特定の用途で使えるパーツを知りたい」といった潜在的な新規顧客は目的の品にたどり着けず離脱してしまいます。
そのため、取扱製品や技術に応じて、「製品分類から探す」「対象業界・用途から探す」「現場の課題・目的から探す」「保有技術・加工法から探す」といった複数の入り口を用意することが効果的です。
三菱電機株式会社のFAサイトでは、型番や製品分類による検索とは別に、「業種別ソリューション」と「目的別ソリューション」という課題解決型ナビゲーションを設置しています。
◆三菱電機FAのソリューションページ
出典:三菱電機FA(三菱電機株式会社)「ソリューション」
また、業務用給湯機器メーカーの株式会社日本イトミックでは、製品一覧とは別に「使用シーン別」「用途別」「施設別」「課題別」という切り口の専用ページを展開しています。
「施設別」カテゴリ内の「工場」向け専用ページにおいては、単に製品を列挙するのではなく、工場特有の「大量の温水給湯が必要」「食品工場での高温熱水洗浄」といった具体的なニーズや現場の課題を解説した上で、最適な製品群を提案しています。
参考:株式会社日本イトミック
このような用途別・施設別・課題別のランディングページは、ホームページ内でのユーザビリティを高めるだけでなく、Google等の検索エンジンで「工場 給湯 熱水洗浄」などの複合キーワードで検索した潜在顧客を直接サイトへ集客するための「検索受け皿」にもなります。
ポイント④ 製品ページには比較・検討に必要な情報をそろえる
見込み顧客が目的の製品を見つけた際、その詳細ページに記載されているスペック情報が不十分であると、検討を中断して競合他社のサイトへ離脱したり、確認のためだけに問い合わせの手間が発生してしまいます。
そのため、十分な製品データが存在する場合は製品ごとに独立した「個別の詳細ページ」を完備し、購買や設計導入の比較に必要なすべての情報を一画面上で確認できる構成にすることが重要です。
◆製造業の製品ページ掲載する情報の例
・適合用途、対応動作環境、使用条件
・製品の高解像度写真、構造図面、外観寸法図
・2D・3D CADデータ
・製品カタログ、仕様書PDF、取扱説明書・マニュアル
・関連アクセサリ、上位/下位モデル、補修パーツ情報
・業界別導入事例・定量的導入効果
・製品選定・導入時によくある質問(FAQ)
直動案内機器大手のTHK株式会社では、個別の製品情報ページにおいて基本スペックだけでなく、2D・3D CADデータのダウンロード、寿命の自動計算ツール、製品電子カタログ、取扱説明書、トラブル対応FAQなど、設計者が社内で採用検討する際に必要となるあらゆる情報・ツールを提供しています。
◆THKの製品情報ページ
出典:THK株式会社「世界標準寸法 SHS形|LMガイド®(LM Guide®)」
製造業におけるBtoB購買検討では、製品の存在を知った直後にいきなり発注に至るケースは稀であり、スペックの精査、他社製品との比較、設計CADへの取り込みテスト、社内稟議という検討ステップを踏みます。そのため、製品ページ単体で検討に必要な技術情報を入手できる環境を作っておくことがコンバージョン率を高めます。
また、詳細スペックや寸法、CADファイル、仕様書PDFなどは、製品のマイナーチェンジや仕様改定に伴って頻繁に更新が発生する項目です。ホームページ上に古い間違ったスペック情報が放置されないよう、製品ページとダウンロード資料の双方を常に最新状態に同期できる体制を構築しておくことも不可欠です。
ポイント⑤ 写真や動画を活用して製品・設備・現場を伝える
製造業のホームページにおいては、文字テキストや数値スペック表だけで説明を完結させるのではなく、写真や実際の動画コンテンツを多用して、製品、保有設備、製造現場のリアルな空気感を視覚的に伝えることが重要です。
特に、製品の実際のサイズ感・質感、加工設備の物理的なスケール感、超精密加工の実際の動的プロセスなどは、文章やスペック数値だけではイメージできません。
また、発注前に工場や製造ラインを直接現地視察できない新規顧客にとっては、ホームページ上の写真や動画が「その企業の実態と生産能力」を客観評価するための重要な判断材料となります。
◆写真や動画で伝える内容
・工場や生産設備
・試作、開発、製造、検査などの工程
・製品が実際に稼働している様子
・技術者やスタッフが作業している様子
・製品の操作方法や動作
製造業においては、例えば「お問い合わせ→ヒアリング→試作・設計加工→加工・製造→検査→梱包・納品」といった受注から出荷に至る一連の仕事の流れに沿って、実際の現場写真を掲載することで、顧客は発注後の自社製品の扱いや生産体制をイメージしやすくなり、安心感を持って発注できるようになります。
実際に働くスタッフの顔写真や環境保全の現場写真も、企業としての実体と誠実さを伝える材料となります。
産業用ロボット大手のファナック株式会社では、公式サイト内に「商品紹介ビデオ」の専用コーナーを設け、FA商品、産業用ロボット、小型切削機などの動的映像を配信しています。
CNCの最新加工パフォーマンスや産業用ロボットの動作・実際の活用事例など、静止画写真やカタログスペックだけでは表現できない技術力を映像で直感的に証明しています。
◆ファナック株式会社の商品紹介動画
出典:ファナック株式会社「商品紹介ビデオ」
写真や動画を掲載する上での重大な注意点として、自社の設備や製造現場、スタッフを紹介する部分においては、必ず自社で撮影した写真・動画を使用することです。
安易な無料ストックフォトやAI生成画像だけでは、自社が実際にどのような設備資産や生産体制を保持しているのかが伝わらないばかりか、かえって企業の信頼性を損なう危険性があります。
ポイント⑥ 顧客の検討段階に合わせて問い合わせ・資料請求の導線を設ける
製造業のホームページにおいては、製品や技術の魅力を理解してもらうと同時に、訪問者が検討ステータスに合わせて「次のアクション」を起こせる多様な導線を配置することが重要です。
ホームページを訪れるユーザーの検討フェーズは千差万別であり、まだ情報収集を始めたばかりの潜在層もいれば、複数社のスペックを比較検討している準顕在層、すでに自社仕様への導入を決めておりすぐに見積もりや技術相談をしたい顕在層まで幅広く存在します。
そのため、どのページからも一律で「お問い合わせフォーム」だけへ誘導するのではなく、閲覧しているコンテンツの内容や顧客の検討深度に合わせて、複数の選択肢を提示する設計が求められます。
◆ページごとの導線設計例
| ページ | 導線例 |
| 製品詳細ページ | 「見積もりを依頼する」 「技術相談をする」 「CADデータをダウンロード」 「仕様書をダウンロード」 |
| 技術・ソリューションページ | 「この技術について相談する」 「関連資料をダウンロード」 「導入事例を見る」 |
| 導入事例ページ | 「同様の課題について相談する」 「関連製品を見る」 |
| トップページ・製品一覧ページ | 「製品カタログをダウンロード」 「製品を探す」 「お問い合わせ」 |
全ページから問い合わせフォームだけに誘導するのではなく、「そのページを今読んでいる顧客が、次に欲している情報やアクションは何か」を顧客視点で逆算して導線を設計することがコンバージョン率最大化の要となります。
また、製品カタログや技術ホワイトペーパーをダウンロードしたユーザーに対して、その後のメルマガ配信やインサイドセールスによる定期的な情報提供を行う仕組みを裏側で整えておくことで、Webサイトを単なる受動的な窓口ではなく「継続的な営業パイプライン」として活用できます。
なお、CADデータ、仕様書PDF、製品カタログなどをWeb上で提供する際は、製品詳細ページに掲載されている数値とダウンロード資料内の記載内容に不整合が生じないよう、元となるマスタデータを最新状態に同期しておくことが重要です。
ポイント⑦ 海外顧客を想定する場合はホームページを多言語化する
グローバル市場へ直接事業展開している製造企業や、海外の現地法人・外資系企業からの新規問い合わせ・受注獲得を目指す企業においては、ホームページの「多言語対応」を検討しましょう。
産業用ロボット大手の株式会社安川電機の公式ホームページでは、ヘッダー右上に「Global」切り替えボタンが常置されています。
グローバルポータルへ遷移すると、「America」「Europe」「Asia Pacific」「Middle East & Africa」など地域別に細分化されたサイトを選択でき、日本、中国、韓国、ドイツ、フランス、米国など、各地域の言語に最適化された現地Webサイトへアクセスできる多言語構造が構築されています。
◆安川電機の多言語ページ
参考:株式会社安川電機
ただし、多言語サイト構築にあたっていきなり日本語サイト内の全ページをそのまま翻訳する必要はありません。まずはターゲットとする主要国を明確に絞り込んだ上で、会社概要、主要なコア製品、独自の得意技術、海外問い合わせフォームなど、優先度の高い重要ページから段階的に多言語化を拡張していくのが現実的です。
また製造業においては、専門的な製品名、技術用語、加工パラメータ、対応規格が多数存在するため、単に日本語文を自動翻訳ツール等で直訳するだけでは不十分です。現地のエンジニアやバイヤーが日常的に使用している技術表現や、現地のGoogle等で実際に検索されている技術キーワードに即した自然で正確な専門翻訳になっているかを確認することが重要です。
なお、多言語Webサイト構築の具体的な手順や注意点については、以下の解説記事で詳しく扱っています。ECサイトを主な題材とした解説記事ですが、一般的なBtoB製造業の多言語Webサイト構築においてもそのまま活用できる実践的な内容となっています。
製造業のホームページでは必要に応じて情報の公開範囲も設計する
製造業のホームページにおいては、掲載するすべての情報を一般公開するだけでなく、会員登録やログインを行った認証ユーザーのみが利用できる「会員限定ページ」を個別に設けるサイト構造も有効です。
会員専用の限定領域においては、顧客が自社の設計・導入検討を進めるために不可欠となるCADデータ、詳細仕様書、高度な技術資料、選定シミュレーターツールなどを提供するのが一般的です。
◆Web会員向けに提供できる情報・機能の例
| 情報・機能 | 内容 |
|---|---|
| CADデータ | 2D・3D CADなど設計時に使用するデータ |
| 技術資料 | 製品の技術情報や活用ノウハウ |
| マニュアル・仕様書 | 導入・設計・使用時に必要となる詳細資料 |
| ソフトウェア・ツール | 選定、設計、設定などを支援するツール |
| マイページ | 資料や製品の保存、閲覧・問い合わせ履歴など |
| 会員限定コンテンツ | 導入事例、教育コンテンツなど |
前述の事例で紹介した株式会社キーエンス、THK株式会社、三菱電機FAなどの大手製造企業においても、Web会員登録者に対して限定の技術資料、電子カタログ、取扱マニュアル、CADデータ等のダウンロード環境を整備しています。
ただし、自社製品や技術を「探している初段階」の見込み顧客に対してまで、いきなり会員登録を強制してしまうと、情報収集の大きな妨げとなり離脱を招く危険性があります。
そのため、「製品概要、対応用途、一般的な導入事例などは自由に閲覧できるオープン情報とする」「社内での設計導入や選定比較で必要となる詳細データや計算ツールは会員限定にする」というように、公開情報と会員向け情報を戦略的に設計することが重要となります。
製造業のホームページ制作は実績のある制作会社に依頼する
製造業のホームページ制作においては、一般的なBtoC企業サイトやデザイン重視のコーポレートサイトと比較して、製品スペック、要素技術、生産設備、品質管理体制、課題解決事例など、専門性の高い技術コンテンツを多く扱うことになります。
また、製品名や型番をピンポイントで検索するユーザーだけでなく、現場の用途、課題、対象業界から解決策を探す潜在顧客も訪問するため、製造業界やBtoB取引の購買心理を理解した上で、複雑な情報を分かりやすく体系化する高度な「情報設計力」が求められます。
そのため、制作パートナーを選定する際は、単にデザイン性の高さをポートフォリオで確認するだけでなく、製造業やBtoB企業のサイト制作実績が豊富にあり、製品や技術の特徴を正しく整理して「顧客が必要とする情報へストレスなく到達できる情報構造」を設計できる会社かを確認しましょう。
制作実績をチェックする際は、自社と同じ業界の制作事例が存在するかを確認することに加え、「取扱製品点数が膨大なサイト」「高度な技術情報を扱うサイト」「会員限定ページやCADダウンロード機能を備えたサイト」など、自社が求めているシステム要件や規模感に近い構築実績があるかまで精査すると、発注後の失敗を防ぎやすくなります。
製造業のホームページは更新・運用のための製品情報管理も重要
ここまで解説してきたように、製造業のホームページでは、製品スペック、高解像度写真、CADデータ、電子カタログ、仕様書PDFなど多岐にわたる製品情報を掲載します。
これらの掲載コンテンツを充実させればさせるほど、サイト公開後に常に正確かつ最新のデータを維持管理するための「運用管理体制」が成功の鍵を握ります。
新製品の市場投入、仕様変更、製品画像やPDF資料の差し替え等が発生した際には、ホームページ上のデータも遅滞なく更新しなければなりません。
特に、取り扱う製品点数や管理属性項目が多い製造企業においては、ホームページの更新作業そのもの以上に、「更新元となる製品マスタ情報を社内のどこで一元管理するのか」「どのデータソースを最新版として扱うのか」というデータ統合の仕組みが重要となります。
このような複雑な製品情報の集中管理を効率化し、ミスを防ぐ手法として有効なのが「PIM(Product Information Management:商品情報管理)」システムの導入です。
◆PIMの仕組み
出典(画像):筆者作成
PIMを導入することで、製品の基本スペック、画像メディア、関連PDF資料などを単一のデータベースに集約し、社内のあらゆる関係部門が「常に同一の最新マスタデータ」をリアルタイムで参照できる全社共有環境を構築できます。
取扱製品数が膨大である、仕様変更が頻繁に発生する、社内の複数部門で同じ製品情報を個別に二重管理している、ホームページ以外にも紙カタログ、営業提案資料、自社ECなど複数の出力チャネルが存在する、といった課題を抱えている企業は、ホームページ制作と並行して「製品情報管理の基盤づくり」もセットで見直すことが賢明なアプローチとなります。
ホームページを継続的かつ正確に運用し続けるためにも、表側の掲載コンテンツだけでなく、裏側でその根幹を支える製品データをどのように一元管理していくかまでを設計しておくことが重要です。
まとめ
製造業におけるホームページは、単に製品を紹介するだけでなく、自社の企業概要、事業領域、コア技術、生産設備、導入実績などの総合的な情報を提示し、「自社がどのような企業で、顧客のどのような課題を解決できるのか」を正しく伝えるための顧客接点です。
ホームページを制作する際は、まずサイトの「目的」と「ターゲット」を明確に定義した上で、訪問した顧客が必要とする情報へ到達できる使いやすいサイト構造を設計することが不可欠です。
一方で、製造業では取扱製品数や管理スペック項目が膨大になりやすく、写真、CADデータ、仕様書PDFなどの関連アセットも多岐にわたるため、ホームページ上に掲載するコンテンツの充実だけでなく、その元となる製品マスタデータを社内で正確かつ効率的に一元管理できるPIM(ピム)のようなデータ基盤の構築も重要となります。
インターファクトリーが提供するクラウド型商品情報管理システム「EBISU PIM(エビス ピム)」は、複雑な製品情報や画像、動画、仕様書PDFなどを一箇所にまとめて一元管理し、Webサイト、営業提案資料、製品カタログなど各種チャネルへのスムーズなデータ展開と自動連携を実現します。
EBISU PIMの公式サイトでは、自社における現在の商品情報管理の状態や潜在リスクを「7つの質問」から確認できる「無料セルフ診断」を提供しております。所要時間は約1分で、会社名、氏名、電話番号、メールアドレスなどの入力は不要でお試しいただけます。診断結果画面では、現在の運用リスクスコア、PIM導入により削減が期待できる作業工数の目安、優先して見直すべき改善項目を確認できます。
製品情報が複数のExcelファイルや各部署のローカルフォルダに分散している、ホームページの更新作業に時間と手作業がかかっている、どのデータが最新版なのか社内確認作業が頻発している、といった課題をお持ちの企業様は、まずは下記公式サイトの「無料セルフ診断」を活用して、自社の商品情報運用の現在地を把握することからぜひ始めてみてください。

























