ネットショップを始める際に必要な「BASE」や「STORES」などといったサービスは基本的に無料で利用できます。そのため、個人でも手軽にネットショップを開業できるようになりました。
ただ、ネットショップの開業を検討している方の中には、以下のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
「副業でネットショップを開業したいが、何から始めたら良いのか?」
「趣味で製作したハンドメイド商品を売るなら、どのサービスを選べば良いのか?」
また、サービス自体は無料であっても、開業準備や運営にはそれなりの手間がかかるもの。下調べや、最低限の知識も必要となります。
本日は、ネットショップを始める際に知っておきたい基礎知識と、個人向けのサービスの概要について解説します。
目次
① ネットショップの作り方は大きく分けて2つ
② 個人で始めるネットショップにはどのようなものがある?
③ 個人で始めるネットショップのメリット・デメリット
④ ネットショップの開業に必要な5ステップ
⑤ 個人でも気軽に使えるおすすめの無料サービス10選
⑥ ネットショップを成功させる4つのポイント
ネットショップの作り方は大きく分けて2つ
ネットショップを個人で開業するときのサービスは、初心者でも使いやすい「ASP」か集客力の高い「ショッピングモール」を検討するのがおすすめです。
① ASP
ASPとは、分かりやすく言うとネットショップ作成サービスのことです。ネットショップ作成サービスを利用して、インターネット上に自分のショップを立ち上げることができます。ASPには有料サービスと無料サービスが存在し、BASEやSTORESは無料ASPに該当します。
② ショッピングモール
インターネット上にさまざまなネットショップが並ぶ形態を、実店舗と同じようにショッピングモールと呼びます。代表的なショッピングモールはAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどで、無料サービスとしてメルカリShopsなどがあります。
個人で始めるネットショップにはどのようなものがある?
個人で始めるネットショップには、どのようなタイプがあるのでしょうか。ここでは主な2つのタイプについて解説します。
①副業、趣味
副業を認める企業の増加に伴い、副業としてネットショップを始める人や、自分の趣味の延長で商品を販売したいという人が増加しています。ネットショップの開業のハードルは下がっているので、まずは無料ASPなどを活用して、副業や趣味としてネットショップを始めてみるのがおすすめです。
なお、ネットショップの運営によって得た利益は雑所得に該当するため、利益(年間の売上から経費を差し引いた額)が20万円以上となる場合、確定申告が必要です。
②個人事業主、フリーランス
個人事業主とは、法人を設立せず、個人で事業を運営する人を指します。ここで言う「個人」は一人という意味ではなく「法人」と対になる言葉であり、手続きを行えば従業員を雇用することも可能です。所轄の税務署に開業届を提出することで、個人事業主として事業を立ち上げることができます。
フリーランスについては、法令上の用語ではないため明確な定義はないものの、基本的には特定の企業との雇用関係がなく独立して仕事を請け負う人を指します。個人事業主と似ていますが、厚生労働省発表の資料においては「実店舗がなく、雇人もいない」ことをフリーランスの条件として定義づけています。また、開業届を提出しないケースもあります。
ネットショップの運営の経験がない場合、いきなり個人事業主やフリーランスとしてネットショップを開業するにはリスクが潜んでいます。事前に入念なリサーチを行いましょう。
個人で始めるネットショップのメリット・デメリット
ここでは、ネットショップを始める前におさえておきたい個人運営のメリットやデメリットについて解説します。
個人運営のメリットは「低コスト」
ネットショップの大きなメリットは、実店舗よりも低コストで始められる点です。個人で開業する場合は全ての業務を一人で行うため、手間はかかりますが人件費はほとんどかかりません。他者を通すことがないのでストレスが少なく、隙間時間を活用でき自分のスピード感で運営できるというメリットもあります。
個人運営のデメリットは「業務負担」
ネットショップの開業・運営には非常に多くの業務が必要となるため、大きな負担になりやすいです。ネットショップ作成のほか、商品の仕入れ、梱包、出荷、メールへの対応など、開業後も継続的な業務が発生します。商品写真の撮影やプロモーション・マーケティングなど、業務全般で幅広い知識が必要になるため、全てを一人でこなすことは予想以上に難しいでしょう。
ネットショップの開業に必要な5ステップ
次に、ネットショップの開業に必要な5つのことについて解説していきます。
① ネットショップの方向性を決める
はじめに、ネットショップでどのような商品を販売するかを決めます。どのようなコンセプトでどのようなターゲットを狙っていくか、また予算や集客方法などについても具体的に決めていきましょう。
② 商品の仕入れ先を決める
どのような商品を扱うか決まったら、商品の仕入れ先を確保しましょう。例えばハンドメイド商品であればその材料、セレクトショップであれば既製品を卸してもらう必要があります。在庫切れを起こしてしまわないよう、複数の仕入れ先を検討することも有効です。
③ ネットショップの構築サービスに登録する
ネットショップを始める際には、無料ASPやメルカリShopsなどのネットショップ作成サービスを利用するのがおすすめです。一部のサービスにおいては機能が制限される場合がありますが、何といっても無料から利用を始めることができ、手間も少なく、セキュリティ面でも安心です。このサービスを利用してネットショップのデザインを構築し、商品を登録したのち、運営開始となります。
④ 必要な許可や届け出を確認する
ネットショップで扱う商品のカテゴリによっては、安全な売買のために特定の資格を持っていることや届け出が必要となる場合があります。たとえば、ワインやビールといったアルコール飲料を販売するなら「通信販売酒類小売業免許」、中古品なら「古物商許可」などが該当します。
また、食品を扱う場合は、食品衛生法や景品表示法などの規制対象となるため注意が必要です。飲食店として営業許可を取得済みの店舗であっても、ネットショップを開設する場合は追加の営業許可が必要となるので、必ず所轄の保健所に問い合わせて確認しましょう。
⑤ ネットショップ開業後の運営を考える
個人でネットショップを開業した後は、商品の撮影や商品登録、ページの制作、仕入れ、発送など、あらゆる業務を一人で担当するため、業務負担が大きくなってしまうことも。ショップの人気が出れば出るほど、負担はさらに増してしまいます。特に商品を発送するまでのスピードは、ネットショップの評価にダイレクトに反映されるので、必要に応じて運営を外部委託することも検討しておくと安心です。
個人でも気軽に使えるおすすめの無料サービス10選
個人でも気軽に利用できる無料サービスをいくつか紹介します。
① BASE
BASEは、ショップの開設数が200万を超えている、初心者向けの定番ともいえる無料ASPサービスです。アプリでサービスを提供しており、ブランドの世界観や欲しい機能に合わせてデザインテンプレートやパーツをカスタマイズできるほか、スマートフォンにも対応。さらに、マーケティング機能や各種SNSとの連携も可能で、さまざまな販売方法や決済方法にも対応しています。別途手続きや審査が必要ですが、Instagram販売も可能です。
参考:BASE
② STORES
STORESは、BASEと並ぶ無料ASPサービスです。ギフト設定や再入荷通知など、ネットショップの運営に必要な多くの機能を無料で提供しており、商品登録数も無制限で利用できます。Instagram販売との連携も簡単にできるうえ、英語対応や海外発送にも対応しているので、海外のユーザーもターゲットにしたショップを展開したい場合におすすめです。
参考:STORES
③ カラーミーショップ
カラーミーショップは、現在は従量課金制の有料プランがメインですが、初期費用と月額費用が無料のフリープランも用意されています。有料・無料ともにデザイン性の高いテンプレートが豊富に用意されているため、アパレルや美容、食品などを扱う場合におすすめです。
参考:カラーミーショップ
④ メルカリShops
メルカリShopsは、フリマアプリ「メルカリ」のアプリ内にネットショップを開設できる、月額無料のサービスです。スマートフォンで出品や受発注管理ができますが、「メルカリ」と異なり、匿名での販売はできません。また、値下げ交渉も発生しないため、ハンドメイド商品を販売する人が増えています。
販売手数料が10%と他のサービスよりも高めではありますが、利用者数の多い「メルカリ」のアプリ内での出店であるため、集客力に優れています。
参考:メルカリShops
⑤ Shopify
Shopifyは、カナダで創業され、現在は世界175か国、170万以上の店舗で利用されている世界最大のECショップサービスです。無料でも利用できますが、事業規模や成長に合わせた有償プランの選択が可能となっています。さらに、拡張性に優れている点が特長で、デザインのカスタマイズがしやすく、アプリの組み合わせによってさまざまな機能を追加できることもメリットです。
多くの言語をサポートし、海外通貨や海外発送にも対応しているため、グローバルな展開を検討している場合におすすめです。
参考:Shopify
⑥ minne
minneは、国内最大級のハンドメイドマーケットです。個人のハンドメイド作家が自らのショップページを作成し、手作りのアクセサリーや雑貨、衣類などの作品を出品しています。登録料や月額は無料で利用できますが、販売手数料は、作品価格+購入オプション価格+送料の10.56%(税込)が発生します。
特に女性ユーザーをターゲットとしたハンドメイド作品を販売したい場合におすすめです。
参考:minne
⑦ Creema
Creemaは、minneと並ぶハンドメイドマーケットです。出品者にプロやセミプロの作家が多いのが特長。登録料や利用料は無料ですが、成約手数料として商品金額の11%、食品の場合は決済総額の一律15.4%(いずれも税込)が発生します。
また、審査が別途必要ですが、台湾や香港サイトでも販売ができるほか、追加の費用無料で海外購入代行サービスを利用できます。
参考:Creema
⑧ Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは、国内を代表するショッピングモールの一つです。初期費用と月額費用に加え、売上ロイヤリティも無料ですが、モール全体の販促施策のため、ストアポイントやキャンペーンの原資負担などがかかる仕組みになっています。集客力が高く、やや高めの年齢層がターゲットの場合に向いています。
参考:Yahoo!ショッピング
⑨ イージーマイショップ
イージーマイショップは、さまざまな販売方法に対応しているネットショップ作成サービスです。無料プランをはじめとする4つの料金プランが用意されており、必要に応じて選ぶことができます。無料プランでも商品ごとに50枚以上の画像を登録できますが、セット販売やオーダーメイドに対応しているのは有料プランのみとなっています。
参考:イージーマイショップ
⑩ FC2ショッピングカート
FC2ショッピングカートは、デジタルコンテンツやダウンロード販売に対応しているネットショップ作成サービスです。写真はもちろん、音楽や動画、電子書籍などのコンテンツを販売できます。無料プランで物足りなさを感じるようになったら、有料プランへのグレードアップも可能です。
参考:FC2ショッピングカート
有料サービスを含むその他の代表的なサービスについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ネットショップを成功させる4つのポイント
ネットショップを開業する場合、多くの方に自分のショップや商品の魅力を伝えることも大切です。ここでは、ショップや商品の魅力を伝え、成功へとつなげるためのポイントを解説します。
ポイント① ネットショップのコンセプトや世界観を決める
自分のネットショップがより多くの方に選ばれ、かつ親しんでもらえるよう、コンセプトや世界観をしっかり作り上げることが重要です。たとえば、「ある特定のモチーフのみを扱うアパレルショップ」のように、訴求したい内容を明確にしておくと、それがそのままショップのコンセプトとなりますし、顧客に選ばれる理由にもなります。
ポイント② 集客を工夫する
個人で運営するネットショップの懸念点として、集客が難しいことが挙げられます。似たようなコンセプトのショップも多数あることから、ショップの存在が埋もれてしまうことも。
解決する方法としては、SEO対策や広告、SNS、ブログ発信などさまざまですが、なかでもおすすめしたいのはSNSです。特にInstagramは、画像や動画で商品の魅力を伝えやすいため、ネットショップと親和性が高く、集客につながりやすくなります。また、Instagramと連携できる無料ASPサービスも多いため、ぜひ活用してみましょう。
ポイント③ 適切な在庫を持つ
ネットショップの在庫が多すぎると余剰在庫となり、売れなければそのまま損失となってしまいます。はじめのうちは売上が伸びにくいため、在庫を抱えすぎないようにしましょう。アパレル系など季節やトレンドの影響を受けやすい商材の場合は、特に注意が必要です。
ポイント④ 固定費用を抑える
開業後も継続的にかかる、月額費用などのランニングコストを抑えることもポイントです。固定費用をできるだけ抑えられれば、マーケティングに適切な予算を割くことができます。無料・低価格帯のサービスは、駆け出しのネットショップの強い味方となるでしょう。
まとめ
近年、さまざまな特色を持つ無料のネットショップのサービスが増えています。商品によっては、必要な許可や届出が必要ですが、たとえ販売経験がない個人の方でもネットショップを開業しやすくなっています。なかでも、定番の「BASE」や、集客力に優れた「メルカリShops」、ハンドメイド商品を軸とした「minne」はおすすめです。
ネットショップは、運営していく過程で、より多くの方に親しまれるショップへと育てていくという側面もあります。最初から完璧なショップを目指すのではなく、まずは無料のサービスから気軽にスタートしてみてはいかがでしょうか。