医療機器の製造に携わる製造業者は、臨床現場の各診療科や使用用途に応じた多種多様な医療機器・医療資材を製造しており、各企業によって得意とする製品分野やコア技術、生産管理体制が異なります。
そのため、医療機器製造業者について調査する際は、各社が取り扱う個別の製品ラインナップだけでなく、業界構造全体の特徴を理解しておくことが重要です。
医療機器製造業においては、主に以下のような「3つの構造的特徴」が見られます。
◆医療機器製造業に見られる3つの特徴
② 製品化までに多くの部門が関わる
③ メーカーが開発や製造の一部を外部委託するケースもある
また、医療機器の製造においては、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく製造所ごとの製造業登録や、国際的な品質マネジメントシステムに基づく品質管理など、一般的な工業製品製造業とは異なる法的要件が設けられています。医療機器製造業者について理解を深めるには、こうした法的要件や製造管理の仕組みについても把握しておく必要があります。
この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、国内の主要な医療機器製造業者17社を一覧形式で紹介しながら、医療機器製造業ならではの産業特性、関係する法律、ならびに品質管理の仕組みについて分かりやすく解説します。
国内の主な「医療機器製造業者17社」の一覧
日本国内には、高度な画像診断装置、外科手術機器、生命維持装置、検体検査機器など、多岐にわたる医療分野で世界的な技術力を有する医療機器製造業者が存在します。
まずは、国内市場をけん引する主要な医療機器製造業者17社について、それぞれの主な製品分野と代表的な医療機器製品を一覧表で紹介します。
◆国内の主な医療機器製造業者17社の一覧表
| 企業名 | 主な製品分野 | 代表的な医療機器製品 |
| ① テルモ株式会社 | 循環器・治療関連 | カテーテル、ガイドワイヤー、人工肺 |
| ② オリンパスメディカルシステムズ株式会社 | 内視鏡・内視鏡治療 | 消化器内視鏡、内視鏡関連機器 |
| ③ シスメックス株式会社 | 検体検査 | 血球分析装置、尿検査装置 |
| ④ 日本光電工業株式会社 | 生体情報の計測・治療 | 生体情報モニタ、心電計、AED |
| ⑤ ニプロ株式会社 | 透析・注射輸液 | ダイアライザー、注射針、輸液セット |
| ⑥ 株式会社島津製作所 | 画像診断 | X線診断装置、血管撮影システム、PET装置 |
| ⑦ 富士フイルムヘルスケアマニュファクチャリング株式会社 | 画像診断・内視鏡 | CT、MRI、超音波診断装置、内視鏡 |
| ⑧ 朝日インテック株式会社 | 血管内治療 | ガイドワイヤー、カテーテル |
| ⑨ 日機装株式会社 | 透析・血液浄化 | 血液透析装置、ダイアライザー |
| ⑩ フクダ電子株式会社 | 生体情報の計測・治療 | 心電計、生体情報モニタ、AED |
| ⑪ 株式会社ジェイ・エム・エス(JMS) | 輸液・透析・外科治療 | 輸液セット、注射針、透析関連機器 |
| ⑫ マニー株式会社 | 外科・眼科・歯科 | 手術用縫合針、眼科ナイフ、歯科用根管治療機器 |
| ⑬ メディキット株式会社 | 血管内治療・透析 | 血管造影用カテーテル、人工透析用留置針 |
| ⑭ 株式会社トプコン | 眼科検査・診断 | 眼底カメラ、OCT(光干渉断層計) |
| ⑮ SBカワスミ株式会社 | 血管内治療・血液関連 | マイクロカテーテル、ステントグラフト、血液バッグ |
| ⑯ オムロンヘルスケア株式会社 | 生体情報の計測・呼吸器関連(家庭用・医療用) | 血圧計、心電計、ネブライザ |
| ⑰ HOYA株式会社 | 眼科・内視鏡 | 白内障用眼内レンズ、医療用内視鏡 |
参考:テルモ株式会社、オリンパス株式会社、シスメックス株式会社、日本光電工業株式会社、ニプロ株式会社、株式会社島津製作所、富士フイルムヘルスケアマニュファクチャリング株式会社、朝日インテック株式会社、日機装株式会社、フクダ電子株式会社、株式会社ジェイ・エム・エス、マニー株式会社、メディキット株式会社、株式会社トプコン、SBカワスミ株式会社、オムロンヘルスケア株式会社、HOYA株式会社
※各社の公式情報をもとに作成しています。グループ企業が医療機器の製造実務を担うケースも含みます。また、記載の代表的製品は各社が取り扱う製品ラインナップの一例であり、製造・供給するすべての製品を示すものではありません
このように、国内の医療機器製造業者によって、主軸として手掛ける医療分野や要素技術は異なります。また、製品の企画・開発から製造・販売までを自社グループで完結させる企業もあれば、特定の要素技術や一部の製造工程をパートナー企業へ外部委託するケースも見られます。
医療機器製造業者への理解を掘り下げるためには、単に取り扱う製品ラインナップだけでなく、各社の事業戦略や製造サプライチェーン、品質保証体制にも目を向けることが重要です。
医療機器の製造業に見られる3つの特徴
医療機器製造業においては、すべての企業が同一の製品カテゴリや同一の製造工程を扱っているわけではありません。医療現場の診療科や具体的な使用用途によって求められる機器仕様が異なるため、製造業者ごとに得意とする製品分野や技術的コアが存在します。
ここでは、製品分野や業務遂行範囲の観点から、医療機器製造業に見られる「3つの特徴」について詳しく解説します。
特徴① 診療科ごとに製造業者が得意とする製品が異なる
医療機器は、使用される診療科や医療分野によってその形態や機能が多岐にわたります。そのため、医療機器製造業者側にもそれぞれ独自の強みを持つ専門の診療科や得意製品分野が存在します。
例えば、循環器科においては血管内治療用カテーテルやガイドワイヤー、消化器科においては各種内視鏡機器、放射線科・画像診断分野においてはCTやMRなどが使用されるなど、分野ごとに求められる技術や精密加工設備が異なります。
また医療機器業界においては、診療科ごとに使用される機器の種類やターゲットとなる専門医が異なるため、診療科や製品カテゴリごとに市場が形成される傾向があります。製造業者側も、自社が得意とする特定の診療分野に対して複数の関連製品群を展開することで、高い専門性と市場シェアを確立しています。
したがって、医療機器製造業者を分析する際は、単に「医療機器を製造している企業」と捉えるのではなく、「どの診療科やどの製品カテゴリにおいて優位性を持っているのか」を見極めることが重要です。
特徴② 製品化までに多くの部門が関わる
医療機器製品は、製造現場の工場だけで企画から製品化までを完結させられるものではありません。企画・研究開発、臨床開発、生産技術・製造、薬事・品質保証、マーケティング、営業・販売、アフターサービスに至るまで、多岐にわたる専門部門がそれぞれの役割を担い、連携しながら製品を市場へ供給しています。
例えば、研究開発部門が製品の設計や技術開発を推進したのち、製造部門が量産に向けた手順書整備や生産体制を構築します。さらに薬事・品質保証部門においては、薬機法に基づく各種申請手続きや、製造管理・品質管理を維持するためのコンプライアンス管理体制を確立します。
このように医療機器製造業では、単に製品を物理的に組み立てる「製造工程」だけでなく、その前後プロセスである設計開発、品質ガバナンス、ならびに販売後の安全管理まで、広範な業務領域が複雑に絡み合っています。
そのため、製品の仕様書や設計データ、変更履歴といった重要情報も、関係する多数の部門間でリアルタイムに共有しながら業務を進める必要があります。仕様変更が発生した際、部門間の情報共有が不十分であると、部門間で参照データの版ズレが生じ、重大な不適合や回収リスクへ直結する恐れがあります。
つまり、製品化までに多数の部門が関与するという特徴は、業務を分業化するだけでなく、最新の製品マスタ情報を全部門横断で正確に共有しながらプロジェクトを進行させる必要性にも直結しています。
特徴③ メーカーが開発や製造の一部を外部委託するケースもある
大手の医療機器メーカーの中には、製品の企画から開発、製造、販売、保守サービスに至る全工程を自社または自社グループ企業内で完全完結させる体制を持つ企業が存在します。
その一方で、自社がコアの強みを持つ企画やR&D開発領域へ社内リソースを集中させるため、製造加工や物流、保守サービスなどの一部工程を外部の専門業者へ委託するモデルを採用する企業も増えています。
また、医療機器の受託製造を専門に手掛けるOEM企業だけでなく、製品の開発段階から製造までを請け負うCDMO(※)と呼ばれる高度な受託専門事業者も存在感を高めています。
このように、医療機器製造業においては、自社で全工程を完結させる企業が存在する一方で、外部の製造業者やパートナー企業と役割を分担するケースも多々見られます。
外部企業へ開発や製造を委託する場合は、製品仕様書、図面データ、変更通知など、業務に必要な重要データを社外とも共有しながら製品化を進めることになります。変更内容が適切に共有されない場合、委託先が旧バージョンの設計図面を参照して加工してしまったり、メーカーと受託先の間で製品品質に関する認識のズレが生じるリスクがあります。
そのため、外部委託を推進する場合は、生産体制の整備だけでなく、製品に関するマスタ情報を社外のパートナーとも正確かつ最新の状態で安全に共有できる情報基盤が必要不可欠となる点も業界の構造的特徴です。
医療機器の生産・供給体制は企業ごとに多様であるため、業界を理解する上ではこのような分業構造の存在も正しく把握しておきましょう。
※CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization):特に医薬品や再生医療製品、医療機器の分野において、製品の開発から製造までを一括して受託する企業
医療機器製造業者に求められる2つの要件
医療機器製造業者について調査する際は、取り扱う製品の種類や機能だけでなく、医療機器の製造にあたってどのような法的規制や要件が課せられているのかを理解しておくことが不可欠です。
医療機器の製造業は、一般的な製造業とは異なり、「医薬品医療機器等法(薬機法)」に基づく法的要件をクリアする必要があります。ここでは、医療機器製造業者に求められる主要な「2つの要件」について解説します。
要件① 対象となる製造所ごとに「製造業登録」を受ける
医療機器をビジネスとして製造しようとする場合は、薬機法に基づき、対象となる製造拠点ごとに都道府県知事から「製造業の登録」を受けなければなりません。ここで定義される「製造」の概念には、単なる製品の組み立てや滅菌作業だけでなく、製品の設計行為そのものも含まれます。
ただし、医療機器の製造工程に関わるすべての施設が登録対象になるわけではありません。主に「設計」「主たる製造工程」「滅菌」「国内における最終製品の保管」を行う製造所が登録の対象となり、製造する医療機器の分類や製品形態によって登録が必要となる工程が異なります。
◆医療機器の製造業登録が必要となる主な工程
| 製造工程 | クラスI医療機器 | クラスII〜IV医療機器 (非プログラム) |
プログラム医療機器 |
|---|---|---|---|
| 設計 | × | ○ | ○ |
| 主たる製造工程(主たる組み立て等) | ○ | ○ | × |
| 滅菌 | ○ (滅菌する場合) |
○ (滅菌する場合) |
× |
| 国内における最終製品の保管 | ○ | ○ | △ |
○:登録が必要、×:登録不要、△:原則として登録不要(例外あり)
出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「製造所の登録について」をもとに筆者作成
医療機器は、不具合が生じた際の人体への影響に応じて、クラスI〜IVの「4段階」に分類されています。
◆医療機器のクラス分類とリスク構造
クラスI:一般医療機器
不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが極めて低い医療機器
クラスII:管理医療機器
不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低い医療機器
クラスIII:高度管理医療機器
不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高い医療機器
クラスIV:高度管理医療機器
患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合に生命の危険へ直結するおそれがある医療機器です。
クラスIが最もリスクが低く、クラスIVに近づくほど人体へのリスクが高まります。製造業登録の対象となる工程の範囲も、こうしたクラス分類や医療機器の具体的な区分によって規定されています。
また、「主たる製造工程」とは、単に物理的な組み立て作業を行っているか否かだけで判断されるものではなく、その品目の品質管理監督システムや製品実現に関して実質的な最終責任を持つ施設が登録対象となります。
「国内における最終製品の保管」についても、単なる保管の物流倉庫ではなく、市場への出荷判定時に最終製品を保管している施設が登録対象となります。
保管対象が単体プログラムそのものである場合は登録不要ですが、単体プログラムが記憶された「記録媒体」である場合は、その保管施設は製造業登録の対象となります。他の製造工程に一切関与せず、最終製品の保管業務のみを行う拠点であっても登録対象に含まれます。
なお、医療機器製造業の登録には「5年間」の有効期間が定められており、事業を継続して行う場合は定期的な登録更新手続きが必要です。
「製造業者」と「製造販売業者」は異なる
薬機法上において、医療機器の「製造業」と「製造販売業」は異なるライセンス区分です。
・製造業者:製品の設計や物理的な製造工程を担当する事業者
・製造販売業者:製造された医療機器の品質や有効性・安全性の最終責任を負い、製品を日本市場へ出荷・流通させるための許可を受けた事業者
要件② 製造所ごとに医療機器責任技術者を置く
医療機器製造業者は、登録を受けた製造所ごとに、現場の製造管理・品質管理を監督する実務責任者として「医療機器責任技術者」を配置しなければなりません。
医療機器責任技術者は、製造管理および品質管理に関する業務全般を統括し、製品の品質に重大な影響を及ぼすおそれがある場合には、必要な改善措置が速やかに行われているかを確認し、事業者に対して改善指示を述べる法的な役割を担います。
医療機器責任技術者として選任されるためには、法的に定められた一定の学歴、専門知識、または実務経験を満たす必要があります。
◆医療機器責任技術者の主な資格要件
・大学などで、物理学、化学、生物学、工学、情報学、薬学、医学などの専門課程を修了している
・高校などで対象となる専門課程を修了した後、医療機器の製造に関する業務に3年以上従事している
・医療機器の製造に関する業務に5年以上従事した後、厚生労働大臣の登録を受けた機関が実施する講習を修了している
・上記と同等以上の知識や経験を有すると厚生労働大臣から認められている
なお、人体へのリスクが低い「一般医療機器(クラスI)」のみを製造する製造所においては、資格要件が一部緩和されています。また、製品の「設計」のみを行う製造所においては、製造業者が設計部門の責任者として指定した人物を医療機器責任技術者としてあてることが認められています。
このように、医療機器製造業においては、製造拠点ごとに法的な登録を受け、高度な知識や実務経験を有する責任技術者を配置した上で、製造管理および品質管理を適切に運用できる組織体制を整えることが重要とされています。
これらは、医療機器製造業者がどのような管理体制のもとで製造実務を行っているのかを客観的に理解するための根幹となる制度です。医療機器製造業者について評価する際は、各社の製品分野だけでなく、このような法令上の遵守体制もあわせて確認することで、各社の製造体制をより深く理解できるようになります。
医療機器製造では「QMS」に基づく品質管理が重要
医療機器は人の生命や身体の健康に直接影響を及ぼす製品であるため、個々の製造工程において高い品質を確保し、一定の品質レベルを維持した上で市場へ安定供給できる製造・管理体制を構築することが重要となります。
そのためには、完成した製品に対する出荷前検査だけでなく、製品が作られる製造工程の全プロセスを通じて品質を徹底制御するシステムが必要不可欠となります。
このような医療機器の製造管理および品質管理に関する法的基準を定めているのが、薬機法に基づく「QMS省令」です。
◆QMS省令とは
QMSとは「Quality Management System(品質マネジメントシステム)」の略で、医療機器などの品質を適切に維持・管理するための仕組み。
QMS省令(正式名称:医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)は医療機器の品質を確保するための組織体制や業務手順、管理方法などについて定めている。
参考:厚生労働省「QMS省令」
医療機器の製造部門においては、このQMS省令に準拠してあらかじめ定められた品質管理基準を満たすための製造プロセスを構築し、原材料や部品の調達受入、加工・組み立て、検査に至るまでの各工程で適切な管理を実行します。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)や各都道府県が実施する「QMS適合性調査」においても、事業者内に品質管理の組織的な仕組みが適切に整備され、実際の現場で手順通り有効に機能しているかが適合判定されます。
◆PMDAが実施するQMS適合性調査の概要
出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「QMS適合性調査業務」
上図が示す通り、医療機器の製造現場においては、単に品質管理の手順書やマニュアル等のルールを作成するだけでなく、実際の製造ラインでその手順どおりに正確に運用し、その実施結果を「改ざんのできない客観的記録」として保存できる状態にしておくことが法的に求められます。
このような製造現場における工程管理に加え、医療機器製品の全体的な品質保証体制を設計・監督するのが「品質保証部門」の主要な役割です。
品質保証部門は製造部門や薬事部門と連携しながら、品質管理の手順書や体制を整備するとともに、製造工程内で生じた不適合品の発生原因分析や、出荷後の市場で報告された不具合・品質トラブルの情報を集約し、根本的な再発防止策へつなげます。
品質管理の取り組みは、一度システムや手順書を作れば完了するという性質のものではありません。制定した品質方針や作業手順に沿って日々の業務を愚直に遂行し、その結果を定期的な内部監査等で評価した上で、発見された問題点に対して改善措置を講じるという「PDCAサイクル」を組織全体で継続的に回し続けることこそが、医療機器の品質レベルを維持・向上させるために重要です。
また、医療機器における物理的な品質管理そのものとは別に、製品仕様や関連技術資料に関しても、変更が発生した際には常に「改訂後の正しい最新マスタ情報」を関係部門全員が正確に参照できる状態に保っておくことが重要です。
設計、製造、品質保証、薬事など多数の部門が複雑に関与する医療機器だからこそ、製品に関する情報資産の完全性と最新性の維持が求められます。
医療機器製造業ではPIM(ピム)を活用した製品情報や関連資料の正確な管理も重要になる
医療機器の製品化から市場供給に至るプロセスには多岐にわたる社内部門が関わり、前述の通り外部の受託製造企業と役割を分担するケースも多々存在します。
そのため、製品スペック、取扱説明書、添付文書、CAD図面といった重要情報についても、社内外の関係者が「常に同一の最新マスタデータ」をリアルタイムで参照・活用できる全社共有環境を整えておくことが必要不可欠です。
特に、仕様改定、関連資料の改訂が発生した場合には、変更内容を関係部門および社外パートナーへ迅速かつ正確に共有し、現場に古い情報が残らないようにしなければなりません。
例えば、医療機器の添付文書には、医療従事者に向けた製品の使用目的、操作手順、警告・禁忌事項、使用上の注意などが記載されており、市販後の安全性に関する新たな科学的知見や不具合報告に基づいて改訂作業が行われます。
このように医療機器分野においては、製品情報を一度作成して納品すれば終わりではなく、必要に応じて記載内容を継続的にアップデートし、常に高い正確性を管理し続ける法的義務が存在します。
しかしながら、製品マスタ情報や関連PDF資料が各部門のローカルPCや個別のファイルサーバ等に分散して管理されていると、仕様変更の連絡が関係部門へ正しく行き届かず、現場で誤って古い旧版の作業手順書や資料が使用され続けたり、企業Webサイトや営業提案資料に古い製品スペック情報が残ってしまったりする重大なリスクが懸念されます。
このような情報管理の課題を根本から解決する有効なソリューションが、「PIM(Product Information Management:商品情報管理システム)」の活用です。
PIMシステムを導入することで、複雑な製品仕様データ、各種画像・図面、仕様書PDF、添付文書データなどを単一のデータベースへ集約管理し、社内外の関係部門がいつでも「同一の正しい最新情報」を安全に参照できる基盤を確立できます。
さらに、医療機器特有の品質管理・トレーサビリティ要件に応えるため、PIMに搭載された以下のような高度な管理機能を活用できます。
◆医療機器の製品情報管理に役立つPIMの4つの機能
| 機能 | 内容 |
| ① 承認プロセス | 製品情報の更新時に承認プロセスを設け、確認が完了していない情報の公開を防ぐ |
| ② 履歴管理 | 製品情報の更新履歴を管理し、過去の情報の確認や変更内容の把握に役立てる |
| ③ アクセス権管理 | 部門や担当者の役割に応じて操作権限を設定し、製品情報へのアクセスや編集を適切に管理する |
| ④ アクセスログ | システムへのアクセス記録を取得し、情報管理におけるトレーサビリティを確保する |
これらのシステム機能を活用することで、製品情報の更新・全社共有に関するコンプライアンス管理体制を整備し、旧版資料の誤利用や部門間・社外委託先との認識のズレを未然に防止することができます。
医療機器における製品情報を正確かつ効率的に管理していくためには、情報を一箇所に集約管理するだけでなく、データ更新時の確認チェック体制をシステム化し、関係部門全員がいつでも「常に最新の正データ」だけを安全に利活用できる仕組みを構築することが重要です。
まとめ
医療機器製造業者を理解するためには、各企業がどのような分野の製品を製造しているかだけでなく、高い製品品質を維持しながら市場へ安定供給するための「品質管理・製造体制」に目を向けることが重要です。
また、製品仕様の変更や関連資料の改訂へ迅速に対応し、社内関係部門や外部委託先と常に「正確かつ最新の正データ」を漏れなく共有できる情報統合環境を整えることも、医療機器製造業における重要な取り組みの一環です。
このような複雑な製品情報の集中管理と運用効率化をバックアップするのが、インターファクトリーが提供するクラウド型商品情報管理システム「EBISU PIM(エビス ピム)」です。
医療機器製造業においては、製品型番ごとに多岐にわたる詳細スペック、図面、仕様書PDF、添付文書などを管理・ひも付ける必要があり、取扱製品数や管理項目が増加するほど、データの更新・全社共有にかかる業務負担が大きくなります。
EBISU PIMを活用することで、製品データや各種メディア資材を一元管理し、関係部門が同一の最新マスタデータを参照できるため、データ運用の大幅な効率化と、旧版資料の誤利用による不適合リスクの防止を同時に実現します。
下記のEBISU PIM公式サイトでは、自社における現在の製品情報管理の潜在課題や優先的に見直すべき改善ポイントを確認できる「無料診断」を提供しております。製品データの社内分散や手動での更新作業に課題をお感じの事業者様は、ぜひ下記公式サイトをご覧いただいた上で、「無料セルフ診断」をご活用ください。
◆参考文献
本記事執筆にあたって、下記の書籍を参考にしました。
野村総合研究所 ヘルスケア・サービス産業 コンサルティング部『図解即戦力 医療機器業界の仕組みとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書 [改訂2版]』/技術評論社



























