「商品情報の共通化」とは、商品の属性情報やコンテンツなどの多種多様なデータを作成・使用する部門や用途ごとに個別管理するのではなく、共通基盤で一元管理して整合性と精度が保たれた状態で運用できる状態を維持することです。
多品種少量生産が主流となったことで、企業が管理・運用しなければならない商品のSKUや販売チャネルが増加しており、業務効率・情報品質・顧客体験を向上させる基盤となる、「商品情報の共通化」の重要度は高まっているものの、実現している企業はそれほど多くありません。
企業の「商品情報の共通化」を阻む障壁として、以下の3つが挙げられます。
◆商品情報の共通化を阻む3つの障壁
② Excelなどのファイルでデータを管理・運用している
③ チャネルごとに使用するデータの形式や運用方法が異なる
これらを取り除くためには業務フローの整理と改善が必要になりますが、ただシステムを導入するだけでは、データ運用の非効率と不整合を解消することはできないため、業務負荷と運用リスクばかりが蓄積する結果にもなりかねません。
この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、「商品情報の共通化」を阻む障壁や実現方法について解説します。
商品情報が「共通化されていない状態」と「共通化されている状態」の違い
商品情報が「共通化されていない状態」と「共通化されている状態」とでは、商品情報の管理・運用が大きく異なります。
◆商品情報が「共通化されていない状態」と「共通化されている状態」の違い
| 項目 | 共通化されていない状態 | 共通化されている状態 |
|---|---|---|
| 情報の保管場所 | 各チャネルが個別管理 | 1つの基盤で一元管理 |
| データ更新作業 | 各チャネルが個別に更新作業を行う | 基盤のみで更新作業を行う |
| 情報の精度・整合性 | 各チャネルで表記の誤り・揺れ、 情報差分が発生しやすい |
基盤で常に一意の情報を維持 |
| 作業効率 | 手作業かつ重複や手戻りの作業が 多く、効率が悪い |
自動化により人手の作業を最小化 できるため、効率が良い |
| ミスの発生リスク | 業務が属人化しやすいため、高い | 業務が標準化されるため、低い |
| 各チャネルへの情報展開速度 | 情報の収集や加工、授受に 時間がかかるため、遅い |
自動で展開できるため、速い |
| データ活用 | 各チャネルに情報が分散 しているため、活用しづらい |
基盤に情報が集約されているため、 活用しやすい |
| 担当者への依存度 | 属人化しやすいため、高い | 標準化されているため、低い |
| 運用コスト | コスト効率が悪い | コスト最適化が図りやすい |
| 顧客体験 | 顧客接点によって情報や体験に ばらつきが生じやすい |
一貫した情報や体験を提供できる |
出典:筆者作成
商品情報は自社ECサイトやECモール、アプリ、カタログ、チラシなどのさまざまな販売チャネル・顧客接点で使用しているため、商品情報を変更する場合には、各チャネルで使用している情報にも変更を反映する必要があります。
商品情報が共通化されている状態では、一元管理しているデータの正本を更新するだけで、すべてのチャネルに情報が反映されるため、企業全体の業務効率が向上します。また、データの精度向上や一貫した顧客体験の提供など、企業全体におけるポジティブな効果も期待できます。
一方、商品情報が共通化されていない状態ではすべてのチャネルで更新作業を行わなければならず、企業全体で見ると重複作業が増加し、またデータの誤入力や更新漏れといったヒューマンエラーも多発します。また、チャネル間で情報の不整合が生じている状態では、一貫したブランドイメージの構築が困難になったり、意思決定に必要なデータを正確に把握できなくなったりします。
こうした問題は、商品数や販売チャネルの増加とともに複雑化し、担当者や部門などの部分的な運用改善では解消できないため、企業の情報管理運用の再構築が必要になります。
「商品情報の共通化」は複数ある情報管理手法の概念の1つではなく、正確な情報提供と業務の効率化に直結する重要な取り組みなのです。
商品情報の共通化を阻む3つの障壁
実際の業務では商品情報の共通化が十分に実現できていないケースが多くありますが、その背景には、運用上の工夫だけでは解消できない構造的な課題があります。
ここでは、商品情報の共通化を阻む3つの要因について解説します。
障壁① 部門/システムごとにデータの管理・運用がサイロ化している
商品情報を、企画、製造、営業、マーケティングなど複数の部門が独自ルールで管理していると、データが散在し情報が分断された状態(データサイロ化)が生じます。
複数の部門やシステムによって内容や形式が異なる同一商品の情報が複数存在している状況では、データ精度が低下し、効率的なデータ運用を行うことはできません。また部門間の連携がしづらくなり、結果として、全社横断の取り組みが頓挫しやすくなります。
データサイロ化については以下の関連記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
障壁② Excelなどでのファイルでデータを管理・運用している
Excelなどを使ったファイルによる商品情報管理では、更新履歴や最新版の管理が煩雑になります。また、データの管理・運用が属人化しやすいため、横断的なデータ活用や担当者変更時の継続的な運用が困難になります。
筆者が以前勤めていた会社でWebサイトの更新管理をExcelで行っていた時には、ファイルを複製してデータを更新して都度適当なファイル名を付けて保存していたため、似た名前のファイルが増殖し、最新版がどれかが分からず、情報をすぐに使用できない状態になっていました。
手作業でのファイル管理はそれなりにノウハウが必要で手間もかかるため、「仕事をしている感」は得られますが、実際のところ、生産性を著しく低下させている場合も少なくありません。
障壁③ 利用チャネルごとに使用するデータの形式や運用方法が異なる
複数の販売チャネルやメディアを運営している場合、それぞれの運用に合わせた商品情報が必要になりますが、データ運用を各部門に任せてしまうと、個別最適が優先されるようになり、共通化が困難になります。
商品情報の共通化で得られる5つのメリット
商品情報の共通化を実現することで得られるメリットが5つあります。以下、1つずつ解説します。
メリット① データの登録・更新作業の効率化
商品情報が共通化されていない場合には、複数の場所で管理されているすべての情報の登録・更新作業が必要になりますが、共通化されている場合には、マスタとなるデータを登録・更新するだけで済むため、全社のデータの登録・更新コストを削減できます。
そのため、各部門はデータの登録・更新に費やしていた時間を、本来注力すべき企画や改善業務に充てられるようになります。
メリット② データのばらつきや誤入力の防止
商品情報が共通化されていない場合には、部門やシステムごとにデータの入力方法が異なることで、データのばらつきや誤入力による差分が生じやすくなり、情報の精度と信頼性が低下します。
共通化されている場合には、皆が同じDB内のデータを使用するので、同一商品について部門やチャネル間で意図しない情報差が生じることはありません。
メリット③ 情報配信までのリードタイムの短縮
商品情報が共通化されていない場合には、複数の販売チャネルやメディアで使用している情報の作成・更新作業に多くの時間を要します。その結果、情報をタイムリーに配信できず、販売機会を逃してしまう可能性があります。
共通化されている場合には、1か所で管理している情報を複数チャネルに一斉展開できるため、情報配信までのリードタイムを大幅に短縮できます。
メリット④ 高度なデータ活用
商品情報が共通化されていない場合には、複数のデータを組み合わせた分析や施策の効果検証に時間がかかり、データ駆動の迅速なアクションを取ることができません。
共通化されている場合には、統合基盤のデータを使用した高度な分析が行えるようになるため、精度の高い施策や改善行動も素早く展開できます。
メリット⑤ 属人化の解消と部門間連携の強化
部門ごとに商品情報管理を行っている状態ではデータ運用が属人化し、情報の所在や管理者が不明瞭になりやすく、部門間連携がしづらくなります。
商品情報を一元管理している状態では皆が同じデータを使用するため、結果として、属人化が解消し、部門間連携が強化され、商品情報管理の安定運用を維持できるようになります。
商品情報の共通化の3つの方法
ここまでは、商品情報の共通化の重要性について説明してきました。ここからは、商品情報の共通化を実現する方法について解説します。
商品情報の共通化を実現するための代表的な方法は、下記の3つです。
◆商品情報の共通化の3つの実現方法
② 基幹システムを中心にして管理する
③ 専用の統合基盤を構築する
それぞれ詳しく解説します。
方法① 運用ルールを策定し徹底する
商品情報の命名規則や更新手順、管理フォーマットなどの運用ルールを整備し、部門間で統一するという、最もシンプルな方法です。追加のシステム投資は不要で、比較的短期間で展開できます。
ただし運用ルールによる制御は強制力に劣るため、データ量や関係者の増加とともに徹底が難しくなります。運用ルールが形骸化すると共通化は崩壊するため、事業規模によっては方法②や③との組み合わせ導入を検討する必要があります。
方法② 基幹システムを中心にして管理する
既存の基幹システムを中心にして社内の商品情報を集約し、各部門やチャネルに情報を手動で抽出・配信する方法です。
商品情報を一元管理できるようになりますが、基幹システムは業務処理を目的としたシステムなので、商品の基本情報以外の属性情報やコンテンツ管理、チャネル連携などには対応していませんので、それらをどのように管理していくかについての検討が必要になります。
方法③ 専用の統合基盤を構築する
商品情報の共通化を前提として設計された専用の仕組みを導入して、商品情報を一元管理し、各部門やチャネルに必要な情報を自動で抽出・配信する方法で、商品に関するあらゆる情報を統合管理できます。
また、統合基盤の情報更新内容をすべてのチャネルに自動反映できるため、データの登録・更新作業の負荷軽減とデータ品質の維持が可能になります。さらに、商品数やチャネル数が増えても商品情報の共通化を持続できる点も大きな魅力です。
運用するデータ量やチャネル数が増えると、方法①の運用ルールのみでの統制や、方法②の基幹システムを中心とする管理では対応しきれなくなります。そのため近年は、方法③の商品情報管理の統合基盤を構築する方法が注目されています。
PIM(ピム)で商品情報の共通化を実現しよう
商品情報を一元管理し、チャネルごとに最適な情報を自動で配信できる仕組みの1つに「PIM(Product Information Management:商品情報管理)」があります。PIM(ピム)で商品情報管理基盤を構築することで業務効率が劇的に向上します(下図)。
◆PIM導入前後の商品情報管理の違い
出典:筆者作成
まず、図の上段は、商品情報を各部門が個別に管理している状態です。情報配信先が商品情報を作成する際に、複数の情報配信元と個別にやりとりして必要な情報を集める必要があります。
一方、図の下段は商品情報をPIMで一元管理している状態です。情報配信元で生成された商品情報はPIMで統合管理され、複数の情報配信先で必要になる情報は自動配信されます。
PIMの役割は商品情報を統合管理し、全体へ展開する基盤となること
PIMは、商品に関するあらゆる情報を統合管理して、チャネルに最適なデータを自動で生成・配信する統合基盤として機能し、先ほど解説したように以下の商品情報の共通化のメリットをもたらします。
◆商品情報の共通化で得られる5つのメリット
② データのばらつきや誤入力の防止
③ 情報配信までのリードタイムの短縮化
④ 高度なデータ活用
⑤ 属人化の解消と部門間連携の強化
インターファクトリーでは商品情報の共通化を実現する基盤となるPIMソリューション「EBISU PIM(エビス ピム)」を提供しています。EC運用に最適な商品情報管理機能を備えており、商品の属性情報を柔軟に管理でき複数チャネルにも効率的に情報を配信できます。
EBISU PIMの詳細は下記の公式サイトでご確認ください。
商品情報の共通化の取り組みは経営陣が主導すべき
企業の商品情報管理ではさまざまな問題が日常的に発生しており、多くの企業が商品情報の共通化の重要性を認識しているものの、日々の業務を止めたくない、現状でも回っている運用をわざわざ変えたくないといった心理的なハードルが邪魔して、最初の一歩を踏み出せないという企業は少なくないでしょう。
まずは、現状の業務負荷や情報不整合が事業運営に与えている影響を調査・可視化してみましょう。検討を具体化することで、喫緊の課題が明確になります。
商品情報の共通化のような部門横断型のプロジェクトは、現場任せにせず、経営陣が先頭に立ち推進していくことが重要です。特に商品情報の共通化は今後の事業成長の基盤となる取り組みなので、先送りすることなく優先的に取り組むべきでしょう。
まとめ
商品情報の共通化は、業務効率とデータ品質の向上に加え、組織内の連携基盤となり、複数チャネルでの効率的なデータ運用につながる取り組みです。
商品情報が分散したままでは、データの登録・更新作業の負荷や情報不整合などの課題が解消されず、事業運営や顧客体験にも影響を及ぼします。
商品情報の共通化では、環境維持も重要になります。運用ルールを策定するだけでなく確実に運用していくためにも、商品情報を統合管理して業務を自動化するための仕組みである「PIM(ピム)」もあわせて導入することをおすすめします。
インターファクトリーの「EBISU PIM(エビス ピム)」は、多種多様の商品情報を統合管理し、チャネルごとに最適な情報を自動で生成・配信できる商品情報管理基盤です。外部システムとのデータ連携にも柔軟に対応し、膨大な商品種類や複数チャネルの正確な管理・運用が求められる企業の商品情報の共通化を実現します。
EBISU PIMの詳細は下記の公式サイトをご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。























