国内の5つのPIM(ピム)サービス徹底比較!特徴から費用まで

PIM(Product Information Management:商品情報管理)は、商品の基本情報(商品名、SKU、スペックなど)と、商品に関連するさまざまな情報(説明文や属性情報、動画・画像など)を一元化して体系的に管理し、管理対象のデータを使って販売チャネル(自社ECサイト、ECモール、カタログ、広告など)ごとに最適化したデータファイルを自動で生成・配信できる仕組みです。

小売市場では多品種少量生産が主流となった現在、小売企業が運用する商品情報の種類と件数は激増しています。商品データを正確かつ効率的に運用して売上機会の最大化を図るためには、PIMの導入が不可欠となっています。

近年は国内外のさまざまなPIMサービス(またはシステム)が提供されていて、サービスごとに特徴や強みがあるため、自社のニーズに適したサービスを選ぶことが大切になります。

例えば、はじめてPIMを導入する場合には、インターファクトリーの「EBISU PIM(エビス ピム)」のように柔軟なカスタマイズや外部サービスとの連携が可能なクラウド型PIMサービスは費用対効果を得やすい選択肢の1つです。

参考:公式サイト:EBISU PIM(エビス ピム)

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、国内の代表的な5つのPIMサービスの機能と特徴、押さえておくべきPIMの7つの主要機能とサービス選定時の5つのチェックポイントを紹介します。

国内の代表的な5つのPIMサービス

今回は国内で利用できる代表的な5つのPIMサービスを紹介します。

◆国内の代表的な5つのPIMサービス

サービス名 提供形態 特徴 想定ユースケース・得意領域 料金
① EBISU PIM(エビス ピム) クラウド型 ・商品データの統合管理と多チャネル間の連携に強い
・データ項目を柔軟にカスタマイズでき、ノーコードでの連携設計ができるため、膨大なSKUを扱うEC運用も可能
・複数のチャネルを運営しているBtoC/BtoBのEC事業者向け
・ECプラットフォームの「EBISUMART」や「EBISUMART Lite」とのスムーズな連携が可能
・初期費用 30万円〜
・月額 10万円〜
※ストレージやコネクタ数などの要件に応じて個別見積もり
② CIERTO PIM(シエルト ピム) クラウド型/オンプレミス型 ・DAMサービスの「CIERTO」と組み合わせたコンテンツの制作・管理・配信ワークフローを提供
・自動組版にも強い
・膨大な商品情報とデジタル素材を扱う流通・小売・製造業界向け
・印刷物やWeb/ECで使用する販促用コンテンツの制作・管理・運用を効率化したい企業
個別見積もり
③ PlaPi(プラピ) クラウド型 ・項目やカテゴリーを柔軟に設定できる
・月額制なのでスモールスタートに最適
・中小規模の事業者向け
・複数部門で効率的にデータ共有を行いたい企業
・ライト:月額 1万円
・スタンダード:月額 10万円
・プレミアム:月額 20万円
※ユーザーの追加やオプションの利用には追加料金が必要
④ HANABI Data(ハナビ データ) クラウド型 ・AIによる商品情報の自動補正やテキスト生成、項目マッピングなどの機能を提供
・取引先企業ごとのフォーマットへの自動変換も可能
・取引先ごとに商品マスタフォーマットが異なり、配布データの作成作業の負荷が高いメーカー・卸・小売などの企業 ・ライト:月額 5万円
・ビジネス:月額 10万円
・ビジネスプラス:月額 20万円
・エンタープライズ:見積もり
※エンタープライズ以外は初期費用無料
⑤ motolist(モトリスト) クラウド型 ・商品情報を一元管理し、Web上で取引企業と情報を共有できるBtoB向けサービス ・メールではなく、安全かつ管理可能な方法で、取引先と情報交換を行いたいメーカー・卸などの企業 ・スタンダード:月額 3,828円
・プレミアム:月額 6,578円

出典:EBISU PIMCIERTO PIMPlaPiHANABI Datamotolistの情報をもとに筆者作成

各サービスの特徴と機能を解説します。

① EBISU PIM(エビス ピム)

EBISU PIMは、複数チャネルが別々に管理している商品データを統合し、各チャネルに一貫した情報を配信することを目的に開発されたサービスです。膨大なSKU数に対応できる柔軟なデータ項目設定やノーコードでの連携設計が可能で、データ更新や管理・運用業務を効率化できます。

商品情報の更新頻度が高いEC事業者や、複数の販売チャネルの運営に伴うデータ整合性の課題を抱えている企業に最適なサービスです。

また、ECプラットフォームサービスのEBISUMART(エビスマート)」「EBISUMART Lite(エビスマート ライト)とスムーズに連携できるため、ECとPIMの組み合わせ導入を検討している企業にとって魅力的な選択肢となるでしょう。

参考:EBISU PIM

② CIERTO PIM(シエルト ピム)

CIERTO PIMは、DAM(※)サービスの「CIERTO」と組み合わせたコンテンツの制作・管理・配信ワークフローを提供し、商品情報と販促用のデジタル素材の統合管理を可能にします。

複雑なSKU管理も可能なデータモデルを採用しており、カテゴリごとの属性や画像・PDF・動画などのデジタル素材の最適な管理が可能です。膨大な商品情報とデジタル素材を複数の販売チャネルで運用している業種(小売、流通、製造など)で高い導入効果が期待できるサービスです。

参考:CIERTO PIMCIERTO

※DAM(デジタルアセット管理)…動画・写真・グラフィックなどのデジタル素材(アセット)を一元管理するシステム

③ PlaPi(プラピ)

PlaPiは、Excelやスプレッドシートを使った商品情報管理からの移行など、スモールスタートでPIMを導入したい企業に最適なクラウド型サービスです。商品の属性情報やカテゴリー情報を柔軟に設定でき、PDF・Excel・画像・動画などの多様なデータをひも付け管理も可能です。

低価格の月額料金、無償トライアルの提供、最短1週間ほどで導入できるなど、導入のハードルが低く、中小規模企業にとっても検討しやすいサービスです。

参考:PlaPi

④ HANABI Data(ハナビ データ)

HANABI DataはAIによる商品説明文の生成、誤記補正、データ項目のマッピング支援などの機能を提供しており、データの入力/管理業務の負荷を軽減します。

商品情報と一緒に販促用のデータや画像、PDFなども管理でき、また、取引先ごとに異なるフォーマットへの自動変換機能も備えています。取引先とのさまざまな形式の商品データのやり取りを効率化したいメーカー、卸、小売などの企業に適したサービスです。

参考:HANABI Data

⑤ motolist(モトリスト)

motolistは、商品情報を一元管理し、Web上で取引先企業と効率的にデータを共有するための仕組みを提供しています。商品の基本情報と一緒に画像や動画、PDFなどの資料を管理でき、また、アカウントを付与することで、取引先企業もそれらの情報の閲覧やダウンロードなどが可能になります。

30日間の無料トライアルを含む低価格プランもあるので、「Excelでの商品データ管理に限界を感じている」「取引先企業からの問い合わせ対応に時間を取られている」といった課題を抱えているメーカー、卸、小売などの企業に適したサービスです。

参考:motolist

サービスごとに特徴や強みがあるため、自社の業務フローやデータ運用の要件や課題を洗い出したうえで、最適なPIMサービスを見極めましょう。

PIMサービスの導入検討時に確認すべき7つの機能

PIMの目的は企業内に散在している商品に関する情報を一元管理し、商品データの管理・配信業務を効率化することです。そのためPIMサービスには、データの一元管理の機能を中心に、運用の効率化を支援するための機能が搭載されています。

今回は、PIMサービスの導入検討時に確認すべき7つの機能を紹介します。

◆PIMの7つの機能

機能① 属性情報管理
機能② デジタル素材管理
機能③ データの品質管理
機能④ データのインポート/エクスポート
機能⑤ マルチチャネル配信
機能⑥ 変更履歴/権限管理
機能⑦ 外部システム連携

各機能をそれぞれ解説します。

機能① 属性情報管理

商品情報の「どの項目を、どの粒度で管理するか」を設定するための機能です

例えば、アパレルではカラー・サイズ、食品では原材料・アレルゲン情報、製造業では型番・部品仕様というように必要な項目は業種や企業によって違います。

そのため、商品の属性情報を柔軟に登録/更新できるサービスを利用することで、自社の要件により最適化した商品データベースを構築でき、複雑なSKU管理、商品点数の増加やラインナップ変更などの運用もスムーズに対応することができます。

機能② デジタル素材管理

画像、動画、図面、PDF、チラシなどのデジタル素材を管理する機能です。

PIMでは、商品に関連するさまざまなデータをひも付けて管理できるため、使用したいデジタル素材を取得するまでの時間を大幅に短縮できます。また、商品単位で素材の差し替えや更新が行えるため、「古い画像を使っている媒体がある」「媒体間で販促物のバージョン違いが混在している」といったトラブルを防ぐことができます。

デジタル素材を管理するための専用の仕組みとして「DAM(ダム、デジタルアセット管理)」がありますが、DAMは企業内の「すべてのデジタル素材」を一元管理するのに対し、PIMのデジタル素材管理機能は「商品に関連するデジタル素材」を商品にひも付けて管理するという点が異なります。

DAMについては関連記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

関連記事:「DAM(ダム)」の活用事例と5つの導入効果を徹底解説

機能③ データの品質管理

商品データの正確性と一貫性をチェックし、一定の品質を維持する機能です。

必須項目の入力漏れ、禁止文字・使用NGタグの使用、数値フォーマットの不統一など、データの不備やエラーをチェックして、不正なデータの混入を未然に防ぎます。

販売活動で使用するデジタル素材などの品質は売上に影響しやすく、特にECを運営している場合には重要な機能の1つとなります。

機能④ データのインポート/エクスポート

ExcelやCSVなどで商品データの一括登録/抽出を行うための機能で、データ移行やデータ連携などで使用します。

機能⑤ マルチチャネル配信

自社EC、ECモール、広告、カタログ、デジタルサイネージなどの複数の販売チャネルごとに最適化したデータファイルを自動で生成・配信する機能です。

チャネルの仕様に合わせてPIMが自動でデータファイルを生成・配信するため、データの配信業務を大幅に効率化できます。

機能⑥ 変更履歴/権限管理

安全にデータの管理・運用を行うための機能で、「誰が」「いつ」「何を」「どのように」変更したかの履歴を自動で記録し、必要に応じて変更前後のデータ比較や変更前のデータに戻すことができます。

また、ユーザーの権限を細かく設定できるため、誤更新、修正漏れ、第三者による更新などが発生するリスクを抑えられるため、例えば複数の部門部署で商品情報を共有したり、厳格な承認フローやレビュー運用を行ったりしている企業では、PIM導入による高い効果が期待できます。

機能⑦ 外部システム連携

PIMと、基幹システム(ERP)、在庫・物流(WMS)、ECプラットフォーム、CMS、DAMなどの外部システムのデータを連携することで、データの二重管理や転記などの無駄な作業を削減し、業務の効率化と生産性の向上が実現できます。

また、商品に関連するデータは複数のシステム間でリアルタイム同期されるので、データの一貫性を維持できるようになります。

PIMサービスを選定する際の5つのポイント

自社の運用に合わないPIMサービスを選んでしまうと、かえって運用コストが増えてしまいます。

ここでは、自社に最適なPIMサービスを選ぶため確認すべき5つのポイントを紹介します。

ポイント① 商品情報(SKU数、属性情報の複雑さなど)に適しているか

PIMの選定で重要なポイントの1つが、自社の商品情報の特性にどこまで対応できるかという点です。カラーやサイズのようにバリエーションが多い商品、技術情報や仕様データが多い製品、取引先ごとに属性が異なる商品など、企業によってデータの特性は異なるため、属性情報を柔軟に追加・編集できるか、SKUの階層はどこまで設定できるかといった点を必ず確認するようにしましょう。

将来的な商品ラインナップの拡張や取引先の増加に対応可能な拡張性の高さも、長期運用では重要になります。

ポイント② 実際の運用フローを柔軟に反映できるか

PIMは複数部門で使用するデータ基盤となるため、実際の業務/データフローを無視したシステムは決して定着しません。PIMサービスを選ぶ際は、画面の分かりやすさ、権限設定の粒度、承認フローの柔軟性、更新作業の手間なども確認することが重要です。

商品情報の更新頻度が高い企業や、複数部署が商品データを扱う組織では特に、運用フローのフィット感がPIM導入の成功の鍵となります。

ポイント③ 配信したいチャネルとスムーズに連携できるか

商品情報の一元管理だけでなく、複数の販売チャネルや媒体に正確なデータを自動で配信できることもPIMの最大の魅力です。

自社EC、ECモール(楽天市場・Amazonなど)、広告媒体、販促ツール、取引先、実店舗の販促システムなど、配信先ごとに必要な情報は異なるため、PIMがどこまで必要なデータを管理・抽出できるのか、配布用データの生成をどこまで自動化できるのか、といった点を必ず確認するようにしましょう。

ポイント④ 外部システムとの連携要件を満たせるか

PIMは、基幹システム(ERP)、在庫管理システム、倉庫管理システム(WMS)、ECプラットフォーム、CMS、DAMなどの他のシステムと組み合わせて運用することで効果を発揮します。

そのため、データ連携の方法、連携の実装にかかるコスト、データを同期する頻度、連携先システムの制限事項などを事前に把握しておくようにしましょう。

ポイント⑤ 費用対効果とサポートレベルのマッチ度

導入コストだけに目を向けるのではなく、運用に必要な工数や期待するサポートレベルなどについても、あらかじめ明確にしておきましょう

例えば、データ移行にかかるコスト、データ連携の追加コストの有無、社内の運用負荷、運用開始前のトレーニングや運用後のサポートレベルなども必ず確認し、自社のリソースや将来のビジョンに応じて無理なく運用できるサービスを選定することが、長期的な価値創出につながります。

はじめてのPIM導入ではクラウド型がおすすめ!

PIMサービスの提供形態には「クラウド型」と「オンプレミス型」があり、どちらも商品情報を一元管理する仕組みである点は変わりませんが、導入のしやすさや運用負荷、他のサービスとの連携の可否などが異なります

オンプレミス型は自社サーバにシステムを構築するため、独自要件への対応力やカスタマイズの自由度は高いのですが、導入時や導入後にかかるコストは大きくなります。一方、クラウド型は比較的コストを抑えて導入・運用することができます

下記のような理由から、PIMを初めて導入する企業では、スモールスタートしやすいクラウド型が選ばれる傾向があります。

◆はじめてのPIM導入では「クラウド型」が選ばれる理由

・初期費用が低く、導入しやすい
・サーバ管理や保守が不要で運用負荷が小さい
・アップデートが自動で反映され、常に最新機能を利用できる
・API連携に強く、ECプラットフォームや基幹システムとの柔軟な接続が可能

これからPIMの導入を検討する場合には、「EBISU PIM」をはじめとするクラウド型のPIMサービスから検討を始めることをおすすめします。

まとめ

PIMを選定する際に重要なのは、機能の多さではなく「自社のデータ運用にどれだけフィットするか」です。管理対象のデータと情報の体系、運用フロー、データを利用するチャネル、外部システムとの連携、導入・運用コストなどの要件を明確にし、自社にとって最適なサービスを選びましょう。

PIMについては関連記事でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

関連記事:商品担当者が「PIM(ピム)」を10分で理解するプロの徹底解説

PIMの導入を検討している場合には、インターファクトリーの「EBISU PIM(エビス ピム)」をおすすめします。商品マスタ管理やチャネルごとに最適化したデータファイルの自動生成・配信など、PIMならではの機能を拡張性の高いプラットフォームで提供しています。

サービスの資料や詳細情報は下記の公式サイトでご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。

公式サイト:EBISU PIM(エビス ピム)

セミナー情報

ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。