多店舗経営者必見!多店舗管理に必要な7つのシステムを解説


チェーンストア展開や複数店展開などの多店舗経営を行う場合には、複数の店舗を適切に管理・運営するためのシステムが必要です。

筆者は、多店舗管理には少なくとも以下の7つのシステムが必要だと考えています。

◆多店舗管理に必要な7つのシステム

① 売上管理システム
② 在庫管理システム
③ 商品情報管理システム
④ 顧客管理システム
⑤ 人事管理システム
⑥ 本部と店舗間のコミュニケーション管理システム
⑦ ポイント管理システム

これら7つのシステムすべての機能を持つ統合システムは、現時点では市場で提供されていません。そのため、例えば「POSシステム」などのように、いくつかのシステム機能がパッケージされたシステムを最初に導入し、足りない機能は外部のシステムとの連携で補完して7つすべてを網羅していく、という方法が現実的な導入アプローチとなります。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、多店舗管理に必要な7つのシステムについて解説します。

多店舗管理システム導入の成功例

今から15年ほど前に、筆者は大手英会話スクールでマーケティング業務に従事していたのですが、当初は多店舗管理のための仕組みが整備されていなかったので、業務の効率化をなかなか実現できない状況でした。

例えば、レッスンに関する情報は店舗ごとに管理されており、顧客が普段と違う店舗でレッスンを受ける場合には、事前に電話やFAXで顧客のレッスンの履歴情報を共有しなければなりませんでした。また、複数の教室でレッスンを担当している講師たちの出退勤やスケジュールなども、エリアマネージャーや店長が電話で確認しながら調整しなければならないなど、アナログで煩雑な運用だったため、スタッフも講師も、主業務以外の調整に時間を取られて非効率な状況に陥っていました。

これらの課題を解決しようと、同社では多店舗管理システムを開発して、導入することに決めました。同社では新システムの導入後、店舗ごとに管理していた情報のほとんどを一元管理できるようになったことで日常業務が劇的に効率化し、スタッフは接客に、講師はレッスンに集中して取り組めるようになったことで、サービスレベルの向上にもつながりました

多店舗管理に必要な7つのシステム

効率的な多店舗管理を実現するためのシステムには、複数のシステム機能が必要になりますが、今回は主要な7つのシステムについて解説します。

◆多店舗管理に必要な7つのシステム

① 売上管理システム
② 在庫管理システム
③ 商品情報管理システム
④ 顧客管理システム
⑤ 人事管理システム
⑥ 本部と店舗間のコミュニケーション管理システム
⑦ ポイント管理システム

それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。

① 売上管理システム

店舗運営において最も基本的かつ重要なシステムの一つで、多くのPOSシステムで標準提供されている機能です。各店舗の売上データを集約し、店舗別や全店舗の日次/週次/月次の売上状況などもリアルタイムで確認できるため、例えば次のようなデータ分析も行えるようになります。

◆データ分析の例

・売上が低迷している店舗の特定
・特定の商品が急激に売れているエリアの特定
・曜日別や時間帯別の売上傾向分析
・エリアごとにグルーピングした売上傾向の把握
・店舗別の売上ランキング

また、ダッシュボード機能を使うと売上データをグラフで可視化できるため、現場の担当者も直感的に状況を把握でき、売上目標の進捗もスムーズに管理できるようになります。

多店舗経営では「リアルタイム性」が大切になります。売上管理システムを導入することで、経営幹部や店長が全社と店舗の売上状況を迅速に把握でき、機会損失の早期発見やプロモーション施策の即時展開、各店舗のピークタイムに合わせたスタッフのシフト調整や商品追加といったオペレーションの最適化が可能になります。

POSシステムで標準提供されている売上管理システム機能を使用する場合には決済方法ごとの売上分析なども容易にできるため、店舗ごとに効果的な決済手段を検討する際に役立ちます。

② 在庫管理システム

店舗運営において最も基本的かつ重要なシステムの一つです。複数店舗を運営していると、ある店舗では売れ行きが好調な商品が、別の店舗では売れ残ってしまうということも珍しくありませんので、在庫管理システムで在庫情報を一元管理することで、店舗だけでなくブランド全体で在庫管理を最適化することができます。

また、入出庫履歴や棚卸などのデータを利用したトレーサビリティ管理や、在庫数が一定数を切ったらアラートを自動送信して在庫切れを回避するといった運用も可能になります。

さらに、公式アプリやECサイトとデータ連携し、「顧客が商品の在庫状況を確認して商品のある店舗に足を運ぶ」といった動線を提供できるようにすることで、ブランド全体で欠品による販売機会の損失を防ぐこともできます。

在庫管理システムもPOSやECシステムで標準提供されている機能を使用することもできますが、より正確で効率的な在庫管理を実現したい場合には専用システムを導入するのが良いでしょう。また他のシステムとの柔軟なデータ連携を実現するため、API連携に対応しているシステムを選定するようにしましょう。

③ 商品情報管理(PIM)システム

商品情報管理(PIM:Product Information Management)システムを導入すると、商品の名称、詳細説明、価格、画像、SKUなどの商品マスタの情報だけでなく、商品に関連するあらゆる情報を統合管理できるようになります。

店舗数が多くなると、店舗によって発信する商品情報やプロモーション活動に差が生じやすく、ブランド全体の統一感が損なわれる恐れがあります。また、フランチャイズ店と直営店との間で情報格差が生じてしまうようなケースもあります。

商品情報管理システムでは商品情報の新規登録や変更も即時に全店舗に反映できるため、すべての店舗が正確な最新の情報を使用できるようになります。すべての店舗で同じ商品情報に基づき販促活動を展開できるので、店舗プロモーションの標準化も可能になります。

商品情報管理(PIM)システムは、インターファクトリーの「EBISU PIM(エビス ピム)」のように、詳細な設定が可能でAPI連携が容易なシステムを選ぶようにしましょう。EBISU PIMの詳しい情報については、下記の公式サイトをご覧ください。

EBISU PIM(エビス ピム)公式サイト

④ 顧客管理システム

顧客管理システムは顧客ごとに最適なアプローチを実現するためのシステムです。顧客の基本情報、属性、購入や問い合わせの履歴などを一元管理し、データを活用することで、すべての店舗でデータ駆動の統一感のあるサービスを提供できるようになります。

また公式アプリやECサイトと連携し、リアルとデジタルを融合させた顧客体験を提供することも可能になります。実店舗とオンラインチャネルでの顧客の行動履歴も一元管理できるため、例えば、チャネルを横断した購買履歴に基づくレコメンドや特典配布など、顧客ごとに最適な体験を提供できるようになり、ブランド全体で優れた顧客体験を創出することができます。

⑤ 人事管理システム

人事管理システムは、従業員の採用から退職までに関する情報を一元管理して業務効率化を図るためのシステムで、労務管理、給与計算、人事評価、勤怠管理などの幅広い人事業務をサポートします。

◆人事管理システムの主な機能

・従業員情報管理:氏名、住所、給与、スキルなどの基本情報の管理
・労務管理:雇用契約や社会保険、年末調整などの手続きの効率化
・給与計算:給与計算、振込、明細作成の自動化
・人事評価:評価の実施と管理、フィードバックなどの支援
・勤怠管理:勤務時間、休暇、出張、残業の記録と管理
・採用管理:採用活動の情報管理と選考プロセスの効率化
・タレントマネジメント:従業員のスキル分析、育成と配置の支援

すべての従業員情報を一元化することで、必要な人が必要な情報にアクセスして情報を利用できるため、店舗間での人材情報の共有がスムーズに行えるようになります。また、従業員情報を分析し、人材開発や組織開発を戦略的に進めることも可能になります。

また、勤怠情報を一元管理することで、現場のみなし残業などの不正な労働状況にも早期に気づけて是正できるため、健全な店舗運営の推進と離職率の低下が期待できます。

人事管理システムも、他のシステムで標準提供されている機能を利用することができますが、多岐にわたる業務をカバーしたい場合には、機能が豊富な専用システムを選ぶと良いでしょう。

⑥ 本部と店舗間のコミュニケーション管理システム

多店舗経営では本部と店舗との間の情報伝達はより複雑化するため、指示漏れや伝達ミスが起こりやすくなります。そのため本部と複数の店舗とのコミュニケーションを一元管理するためのシステムが必要になります。

コミュニケーション管理システムを導入すると、本部側では店舗ごとの業務指示や施策を正確かつスピーディーに行えるようになり、店舗側ではやるべきことを簡単に確認できるようになるため、指示漏れや対応遅れを防止できるようになります。

また、写真付きの業務報告やアンケートなどもシステムで行えるため、業務効率の向上にもつながります。

さらに、各店舗の報告状況をリアルタイムに確認できるため、最適なタイミングで迅速なフォローアップや追加指示が可能になり、サービスレベルの向上も期待できます。

コミュニケーション管理システムには、他のシステムで標準提供されている機能も、専用システムもありますので、自社の要件に最適なシステムを選定しましょう。

⑦ ポイント管理システム

全店舗共通のポイント管理システムを導入することで、どの店舗でも同じようにポイントを貯めたり利用したりできるようになり、顧客の利便性とリピート率の向上が期待できます

公式アプリやECサイトと実店舗でポイントを共通化することで、全店舗のポイント利用状況をリアルタイムで確認できるようになるため、効果的なキャンペーン施策や販促活動の立案も可能になります。

ポイント管理システムの機能はPOSシステムなどで標準提供されている場合もありますが基本的な機能だけなので、ポイント施策の強化を考えているのであれば、API連携が可能な専用システムを導入するようにしましょう。

多店舗管理システムの導入に5年を要した事例も!

多店舗管理システムは事業のすべての業務で使用するシステムなので、導入は容易ではありません。例えば、全国にチェーン店舗を展開しているような企業の場合には、最短でも2年以上はかかると思ったほうが良いでしょう。最初に紹介した大手英会話スクールの事例では実際に5年近くかかりました。

システム化がまったく進んでおらず、対面や電話、FAXによる紙ベースでの情報収集と管理を行っているという場合には、業務フローの再構築も必要となり、さらに多くの時間と労力が必要になります。

多店舗管理システムの導入では、最初に現行の業務フロー図を作成して無駄な業務を洗い出し、再構築するという工程が不可欠になります。もし業務フローを整理するノウハウが社内にない場合は外部の専門家に依頼するなどし、業務の整理と最適化を図るようにしましょう。

多店舗管理システムは複数のシステムを組み合わせて構築する

この記事では7つのシステム機能を紹介しましたが、多店舗管理の機能としては他にもいろいろなシステムがあります。

現時点では、必要なすべての機能がパッケージされている多店舗管理システムは存在していないため、もし実現するのであればフルスクラッチでの開発が必要になりますが、莫大な費用がかかるうえ、開発には幅広い分野の深いナレッジとノウハウが求められるため、よほどの理由がない限りは現実的ではありません

通常は、いくつかの主要なシステムをAPIによるデータ連携でつなぎ合わせて構築するケースがほとんどになりますので、各システムはAPI連携が可能なシステムを選定するようにしましょう。

◆多店舗管理のシステム組み合わせ例

・POSシステム(売上管理、顧客管理、ポイント管理、在庫管理を含む)
・人事管理/コミュニケーション管理システム
・商品情報管理(PIM)システム

POSシステムと人事管理/コミュニケーション管理システムを導入することで多店舗管理に必要な基本的な機能はカバーすることができますが、商品情報の最適な管理・運用を行うためには、さらに商品情報管理(PIM)システムが必要になります。

商品情報管理(PIM)システムを導入しよう

商品情報管理(PIM:Product Information Management)システムを導入すると、商品マスタだけでなく商品に関わるあらゆる情報を一元管理できるため、すべての店舗で統一されたブランド展開やマーケティングが行えるようになります。

商品情報管理(PIM)システムの導入を検討されている場合には、インターファクトリーの「EBISU PIM(エビス ピム)」がおすすめです。詳しくは下記の公式サイトをご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。

EBISU PIM(エビス ピム)公式サイト


ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。