オムニチャネルに必要な5つのPIM(ピム)機能とは?

オムニチャネルでは、ECサイト、ECモール、アプリ、SNS、実店舗など複数のチャネルをまたいで、ユーザーに一貫した購買体験を提供することが求められます。しかしチャネルごとに必要な商品情報や情報の見せ方が違うため、商品情報管理はやや複雑になります。

例えば、ECサイトでは詳細な説明や仕様情報、SNSでは短い訴求やビジュアルが求められますが、実店舗では接客や購買判断に役立つ情報が求められます。こうしたチャネルごとに異なるニーズに対応しつつ情報の整合性を維持していくためには、商品情報を管理・運用するための仕組みが必要になります。

商品情報の効率的な管理には、PIM(Product Information Management:商品情報管理)の導入が有効です。PIM(ピム)は、商品情報を一元管理し、複数のチャネルごとに最適な形式の情報を自動で生成・配信できる仕組みです。

現在はさまざまなPIMサービス/製品が提供されており、サービスごとに得意とする領域や機能がありますので、自社のオムニチャネルの運用に必要な機能を備えたPIMを選ぶことが大切です。

◆オムニチャネルに必要な5つのPIM機能

① 商品情報を一元管理できる機能
② チャネルごとに情報を出し分けられる機能
③ 外部システムやチャネルと連携しやすい機能
④ SKU/商品の柔軟な構造管理ができる機能
⑤ 複数部門で運用しやすいプラットフォーム

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、オムニチャネルにおける商品情報管理とPIMの役割、必要なPIM機能、PIM導入時に押さえておきたい注意点について解説します。

オムニチャネルでは商品情報の見せ方がチャネルごとに変わる

オムニチャネルでは、複数の販売チャネルを連携させて、ユーザーに一貫した購買体験を提供することが求められます。

同じ商品を販売するからといって、すべてのチャネルでまったく同じ情報を掲載すれば良いというわけではありません。チャネルごとに目的と役割が異なるため、重視すべき情報や見せ方も違うからです。

そのため、オムニチャネルの商品情報管理はやや複雑になります。

◆オムニチャネルの商品情報管理(イメージ)

オムニチャネルにおける商品情報の全体像

出典:筆者作成

上図のように、例えばECサイトでは、詳細説明、仕様・サイズ、レビューなどユーザーの購入判断に必要な情報が重視されますが、SNSでは、短い訴求とビジュアル、実店舗では店頭価格や在庫情報、店舗POP・サイネージではキャッチコピーとキービジュアルというように、チャネルごとにユーザーが求める情報は異なります。

◆チャネルごとの主な役割と重視される商品情報

チャネル 主な役割 重視される商品情報
ECサイト 購入判断をサポートする 詳細説明、仕様・サイズ、レビュー など
ECモール ECモールの規定に沿って販売情報を掲載する 規定フォーマット、属性情報、配送条件 など
モバイルアプリ 小さな画面で簡潔に情報を伝え、再訪や再購入につなげる 短い説明、最適化画像(モバイル向けの画像)、クーポン連携 など
SNS 興味喚起や流入を促す ビジュアル、短い訴求、流入導線 など
実店舗 接客やその場での購買判断をサポートする 店頭価格、在庫情報、接客補助情報 など
店舗POP・サイネージ 一目で商品の魅力を伝える キャッチコピー、キービジュアル、特徴訴求 など

オムニチャネルでは新しいチャネルを追加すると、新たな商品情報や見せ方を管理項目に追加する必要があり、商品情報管理はさらに複雑になります。

そして、各チャネルで掲載する情報は違っていても、ユーザーがすぐに同一商品であることを認識できるよう、情報の一貫性も同時に求められる点が、オムニチャネルの商品情報管理の最も難しいところです。

例えば、商品の仕様変更や価格改定、画像の差し替えが発生した場合、ECサイト、アプリ、実店舗、販促物など複数のチャネルに影響するため、商品情報の管理・運用が一元化されていなければ、データの更新漏れやチャネル間での情報の不整合が起こりやすくなります。

オムニチャネルを通じてユーザーに一貫した顧客体験を提供するためには、こうしたチャネルごとの違いを前提としたうえで、一貫性のある商品情報を提供していくことが重要になります。

商品情報の不整合が、オムニチャネルの顧客体験を分断する

先述したように、オムニチャネルではチャネルごとに求められる商品情報や見せ方が異なりますが、ユーザーがどのチャネルを見ても「同じ商品」であることを認識できるように、一貫性も持たせる必要があります。

特にオムニチャネルでは、ユーザーが複数のチャネルを移動しながら商品を比較・検討・購入する傾向が強くなるため、商品としての情報に差異があると、ユーザーは混乱し、ブランドへの不信感につながります。

チャネルごとの最適化は必要ですが、商品情報のズレが原因で、オムニチャネルの購買体験を分断させることのないようにする必要があります。

◆オムニチャネルで起こりやすいチャネル間の情報のズレと顧客体験への影響(例)

起こりやすい場面 情報のズレ 主な影響
「ECサイト」と「実店舗」を行き来するとき ECでは在庫があるのに、実店舗では在庫切れになっている 来店時の失望や購買機会の損失につながる
「SNS」から「商品ページ」へ遷移したとき SNSと商品ページの商品説明が違う 期待とのギャップが生まれ、ECサイトの不信感や離脱につながる
「アプリ」のクーポンや会員特典を使うとき アプリの特典の利用条件と実店舗での案内の内容が違う 利用時の混乱やブランドへの不満を招く
「ECサイト」で見た商品を「店舗」で確認するとき ECと実店舗で商品の仕様やカラーの表記が違う ユーザーが混乱し、購入判断ができなくなる
「店舗受け取り」や「取り置き」を利用するとき 受け取り条件や対象商品情報がチャネルごとに違う 受け取り時のトラブルや体験の分断が起きやすい
「販促物」や「サイネージ」を見て購入を検討するとき 店頭POPとECとで、商品の価格や説明が違う ブランドの情報発信に対する信用が低下する

オムニチャネルでは複数の販売チャネルを連携させて一貫した顧客体験を提供することが前提となるため、チャネル間で情報に不整合があると、利便性を高めるどころか、ユーザーを混乱させ、ブランドの信用と売上が著しく低下する可能性があります

オムニチャネルでは商品情報の整合性が、顧客体験の質を大きく左右します。例えば、ECサイトで在庫があるように見えた商品が、実店舗にはなくて購入できなかったり、アプリで見つけた特典が実店舗では使えなかったりしたら、ユーザーは今後どの情報を信じればいいのか分からず混乱し、期待を裏切られたと感じるでしょう。

こうした失望感は、ブランドへの信頼を著しく棄損します。

オムニチャネルの商品情報管理には「PIM(ピム)」が不可欠

オムニチャネルでチャネルごとに違う「見せ方」に対応しつつ、商品の基本情報やイメージはすべてのチャネルで一貫性のある発信をしていくためには、「PIM(Product Information Management:商品情報管理)」の導入が不可欠です。

PIM(ピム)を使用すると、商品名、説明文、仕様、画像、属性情報など、商品に関するさまざまな情報を一元管理し、複数のチャネルに最適な形式で商品情報を自動配信できます。

オムニチャネルでPIMを導入すると、以下のメリットを得ることができます。

◆オムニチャネルでPIMを導入するメリット

・チャネルごとの見せ方の違いに対応しやすくなる
・商品情報の整合性を保てるようになる
・すべてのチャネルで一貫した顧客体験を提供できる

PIMは、商品の一貫性を維持しつつ、複数のチャネルごとの異なる「見せ方」にも対応可能な、商品情報管理の基盤として機能します。

オムニチャネルのように複数チャネルで商品情報を展開する場合には、PIMを導入して商品情報を集約・管理・運用する仕組みを整備することが、成功の鍵となります。

◆PIMを使用した商品情報管理(イメージ)

PIMを活用した商品情報管理

出典:筆者作成

一貫した顧客体験を提供するオムニチャネルにおける商品情報管理の基盤となるPIMですが、導入検討では、サービスや製品によって機能や強みが異なる点に注意する必要があります。

オムニチャネルを前提とするのであれば、チャネルごとの情報の出し分けや属性管理、他システムとの連携などの機能を備えているかどうかを必ず確認しましょう。

PIMについては、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

関連記事:商品担当者が「PIM(ピム)」を10分で理解するプロの徹底解説

オムニチャネルに必要な5つのPIM機能

ここでは、オムニチャネルに必要な5つのPIM機能を紹介します。

機能① 商品情報を一元管理できる機能

PIMの基本機能です。オムニチャネルでは複数のチャネルで同じ商品を販売することになるため、商品名や説明文、仕様、画像、動画、取扱説明書などを含めた商品情報全体を、1つのプラットフォームで管理できることが重要になります。

必要な情報が分散管理されている状態では、データ更新の手間が増え、更新漏れや重複作業も多発しやすくなります。そのため、特にオムニチャネルでは、商品情報の所管を明確にし、データを1か所で管理・運用していく必要があります。

機能② チャネルごとに情報を出し分けられる機能

オムニチャネルでは複数のチャネルごとに掲載する商品情報が異なります。例えば、ECサイトでは詳細な説明、ECモールでは規定のフォーマット、SNSでは短い訴求、実店舗では接客時に提示しやすい情報など、重視される情報がチャネルごとに違うからです。

そのためPIMには、複数のチャネルごとに、必要な項目を最適な形式で出力できる機能が必要です。情報自体の整合性は維持しつつ、チャネルごとに最適な見せ方で商品データを活用できることが重要になります。

機能③ 外部のシステムやチャネルと連携しやすい機能

複数チャネルの運用はすべてのチャネルを一斉に開設することは少なく、最初に自社ECをオープンしたら、次にECモールへ出店し、さらにSNS運用を始めたり、ライブコマースや越境ECに展開したりというように、あとからチャネルを追加するケースが多いでしょう。

新たなチャネルが増えるたびに、連携用の追加開発が必要になるのでは、運用スピードも遅くなり、費用もかさみます。そのため、あらかじめ外部システムや新しいチャネルとも柔軟に連携できる機能が求められます。

オムニチャネルを継続・進化させていくためには、拡張性の高いサービスを選択することが大切です。

機能④ SKU/商品の柔軟な構造管理ができる機能

ECの商品には、色違い、サイズ違い、セット品など、SKU構造が複雑な商品が多く、特にアパレルや雑貨、製造業などでは、品番やSKU単位で商品情報を正確に管理するための機能が重要になります。

SKU/商品の構造を柔軟に管理できないと、複数のチャネルごとに異なる商品表示や外部システムとの連携への対応が困難になります

機能⑤ 複数部門で運用しやすいプラットフォーム

オムニチャネルの運用には、EC、マーケティング、営業、商品企画、実店舗など、複数の部門や担当者が関わることが多く、商品情報管理が一部門で完結することは稀です。

そのため、PIMは情報共有がしやすいプラットフォームであることが重要です。特定の担当者だけが内容を把握しているといった属人化された状態では、運用の質と継続性が低下します。逆に言えば、複数部門が同一の情報を扱える状態であることが、オムニチャネルの安定した運用につながるわけです。

このように、オムニチャネルの運用に欠かせない機能があるため、上記の機能に加え、自社の運用要件を洗い出し、運用で使えるPIMを選ぶことが大切です。

また長期的な安定運用を重視する場合には、例えばインターファクトリーの「EBISU PIM(エビス ピム)」のように、商品情報の統合管理、チャネル別のデータ活用、柔軟な構造設計、各種連携への対応などのオムニチャネルに必要な要件を備え、保守・運用の負担も少ないクラウド型のサービスを利用すると良いでしょう。

参考:EBISU PIM(エビス ピム)公式サイト

オムニチャネルでPIMを導入する際の4つの注意点

PIMは複雑な仕組みなので、やみくもに導入を進めてしまうと、PIMの効果を十分に活用できない可能性があります。

ここでは、PIMの導入を成功させるために、導入前後で特に押さえておくべき注意点を4つ紹介します。

注意点① 商品情報の定義や粒度をそろえる

商品情報を複数の部門や担当者で個別に管理している場合、管理している項目やデータの粒度がばらついていることが多いです。例えば、ある部門では「サイズ」のデータを「S〜XL」で分類しており、別の部門ではさらに細かい寸法で分類しているといったケースや、「商品説明」の項目に販促用の短いコピーとEC掲載用の詳細な説明が混在しているといったケースもあります。

データ定義がそろっておらず、データの粒度がばらついている状態でPIMを導入しても、正しいデータ運用を行うことはできません。とりあえず、データを1か所に集めることはできても、そのままの状態では使用できないからです。

そのため、導入前に商品情報のデータ項目について、例えば以下のような点を整理しておく必要があります。

◆商品情報のデータ項目の定義を明文化する

・この項目は何を表す情報か
例:サイズは大まかな区分だけでなく、詳細寸法まで含む・データの粒度をどこまで管理するか
例:カラーには、「ブルー」の大分類ではなく、色名を特定できる「ネイビー」「サックス」「ターコイズ」などの詳細な分類を使用する

・使用するチャネルごとに項目を分ける

例:SNS用の短い訴求文、ECサイト用の詳細説明、実店舗用の接客補助情報のようにチャネルごとに項目を分ける

・誰が更新し、どの部門が責任を持つのか
例:「仕様」は商品企画部が、「訴求文」はマーケティング部が主管となり、それぞれ主管部門の担当者がデータを更新する

PIMの導入は商品情報管理の方法自体を改善する絶好の機会にもなります。

注意点② どの情報を正本として管理するかを決める

商品情報にはさまざまなデータが含まれるため、すべてのデータ項目をPIMだけで管理していくとは限りません。例えば、価格は基幹システム、在庫は在庫管理システム、説明文や画像はPIMというように、情報ごとに主体となるシステムが異なる場合があります。

そのため、「情報の管理主体」を曖昧にしていると、データ更新時にズレが生じやすくなります。例えば、説明文をPIMで更新したが、別システムに更新が反映されていない、といった状態が起きると、オムニチャネルで必要な情報の整合性が維持できません。

こうした問題を避けるには、各情報の正本(起点)を明確にしておくことが重要です。「どの情報を」「どこで管理し」「どこに連携しているか」を明文化しておく必要があります。

導入前に情報ごとの管理主体を明確にしておくことで、「価格は基幹システムで更新する」「商品説明や画像はPIMで更新する」といった複数部門にまたがる運用ルールを徹底できるようになります。

注意点③ チャネルごとの出し分けルールを設計する

繰り返しとなりますが、オムニチャネルでは同じ商品でも、チャネルごとに必要な情報の見せ方が異なります。そのため、PIMでは、「どのチャネルに」「どの項目を」「どのような形式で」配信するのかをルールを設計しておく必要があります。

ルール設計では、チャネルごとの違いを前提にしたうえで、商品情報の一貫性を維持できるようにすることが重要です。正しくルール化していないと場当たり的な運用に戻りやすく、結果として導入前よりも運用負荷が増えてしまう可能性もあります。

◆チャネルごとに設計が必要な項目例

・必須項目と任意項目
・表示形式や文字数
・使用する画像の種類とサイズ
・情報更新頻度

アパレル商品を例にして、具体的に見てみましょう。

アパレル商品のチャネル別情報の設計例

商品基本情報
商品名:リネンシャツ
カラー:ネイビー
サイズ:M
素材:麻100%
商品説明:通気性が高く、夏でも着やすい長袖シャツ
商品画像:全身、前面、背面、素材アップ
チャネル チャネルでの使い方
ECサイト ・商品説明をフルで掲載する
・サイズ詳細も載せる
・画像は5枚使う
SNS ・商品説明は短く要約する
・画像は世界観重視の1枚を使う
・素材の詳細は出さない
店舗POP ・商品名と短い訴求だけ載せる
・「麻100%」「通気性が高い」だけ見せる
・画像は不要

オムニチャネルのPIMでは、「一元管理」と「チャネルごとの最適化」を両立させることが重要です。

注意点④ 導入後の運用体制を整備する

無事にPIMを導入しても、実際に商品情報を更新、チェック、各チャネルへ配信するのは、現場の担当者です。そのため、導入後の運用体制が整備されていなければ、PIMの活用を定着させることができません

特にオムニチャネルの運用では複数の部門が関わることが多いため、商品情報の更新、チェック、各チャネルへの配信タイミングなどを明確にしておく必要があります。

そのため、PIM導入時にはあらかじめ下記のような運用面のポイントを整理しておくことも大切です。

運用面での整理ポイント

・データ更新の担当と頻度
・更新データの反映タイミング
・部門間の連携方法・運用ルールの共有方法
・各チャネルへの情報配信のタイミング
・承認フロー

PIMを導入する際は、これらの注意点を意識し、スムーズにPIMを導入するための情報設計や運用設計を行うようにしましょう。

まとめ

オムニチャネルではユーザーにすべてのチャネルで一貫性のある購買体験を提供することが求められますが、チャネルごとに必要な情報と見せ方が異なるため、商品情報管理がやや複雑になります。

そのためPIMの導入では、オムニチャネルの運用に必要な要件を整理し、自社に最適な機能を備えたサービスを選ぶことが重要です。商品情報を一元管理し、チャネルごとの情報の出し分けが行えるPIMを商品情報管理の基盤とすることで、オムニチャネルが一気に加速するでしょう。

インターファクトリーの「EBISU PIM(エビス ピム)」は、商品情報の統合管理、チャネル別のデータ活用、柔軟な構造設計、各種連携への対応など、オムニチャネル展開に必要な機能を備えたクラウド型のPIMサービスです。完全自社開発の国産PIMサービスなので日本の商習慣や基幹システムとの連携にも強く、企業のオムニチャネル運用に最適な商品情報管理を実現できます。

EBISU PIMの資料のご請求やサービスの詳細については下記の公式サイトをご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。

公式サイト:EBISU PIM(エビス ピム)

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。