現代のBtoBビジネスの現場において、AIの業務活用は急速な広がりを見せています。総務省が公表した最新のデータによると、「何らかの業務で生成AIを使用している」と回答した日本企業の割合は55.2%(※)にのぼっています。
この客観的なデータが示す通り、AIはもはや一部のIT先進企業だけが実験的に利用する特別なテクノロジーではありません。今や業種や企業規模を問わず、日々のリアルな実務の中に当たり前に組み込まれ始めるフェーズへと移行しています。
しかしながら、AIは単にシステムとして社内に導入しさえすれば、自動的に経営成果が生まれるというような単純なものではありません。事実として、現在の日本企業におけるAI活用の多くは、テキストの簡易的な要約やメール文面の作成といった、局所的な「日常業務の効率化」の枠にとどまっているのが実態です。
これからの時代、AIを「導入したか否か」という表面的な結果ではなく、「自社のどのコア業務に、どのようなロジックで組み込むか」という運用の本質が問われることになります。まったく同じAIツールを採用したとしても、その活用方法の解像度次第で、企業の生産性や市場における競争力には、すでに格差が生まれ始めています。
筆者の見解として、この活用の格差を埋め、自社のAIプロジェクトを成功へ導くためには、すでにAIを実務へ融け込ませ、具体的な成果(ROI)を上げているBtoB企業のリアルな成功事例をインプットすることが最善の近道であると考えます。
この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、さまざまな業種のBtoB企業がAIをどのように実務に生かしているのかを「7つの具体的な事例」とともに詳しく紹介します。あわせて、現在の日本におけるAI活用のリアルな現状や、導入で失敗しないための実践的なポイントについても専門的な視点から解説します。
※出典:総務省「令和7年版 情報通信白書│企業におけるAI利用の現状」
BtoB企業におけるAI活用事例7選
一般的な話として、BtoB企業のAI導入において重要なのは、自社のビジネスモデルや現場の運用フローに最適化した形でテクノロジーを噛み合わせることです。
ここでは、製造、商社、建設、物流、流通など、異なる業種や業務プロセスにおいてAIを実務に組み込み、具体的な成果を創出しているBtoB企業7社の事例を紹介します。
◆BtoB企業におけるAI活用事例7選
事例② パナソニック コネクト(製造・ソリューション)
事例③ 伊藤忠商事(総合商社)
事例④ 大林組(建設・ゼネコン)
事例⑤ フライスター×ユーザックシステム(食品・受発注)
事例⑥ 日本通運(物流)
事例⑦ アスクル(BtoB通販・物流)
ここからは、これら7社の具体的な取り組み内容と、実務にもたらされた成果について、一つずつ深掘りして解説していきます。
事例① NEC(製造・ITサービス)
調達交渉をAIが代行し、合意までのリードタイムを約80秒に短縮
一般的に、製造業や流通業における部品・資材の「調達業務」は、無数のサプライヤーとの間で納期や数量、価格の調整を行う必要があり、現場の担当者に多大な時間的コストと精神的負荷を強いるアナログな交渉領域でした。
NEC(日本電気株式会社)は、この調達領域におけるサプライヤーとの煩雑なコミュニケーションを完全自動化する「NEC 調達交渉AIエージェントサービス」を開発し、2025年12月より提供を開始しています。
同社が独自開発した「自動交渉AI」が、バイヤー企業とサプライヤー双方が受け入れ可能な妥協点を高度なロジックで探索し、人間を介することなく、取引先と自動交渉を行う仕組みです。
◆「NEC 調達交渉AIエージェントサービス」による自動交渉の流れ
NECグループ内で行われた実証実験では、約1,300品目にも及ぶ部品調達を対象に実務運用したところ、購買側の担当者が介在せずAIのみで合意が達成された割合(自動合意達成率)が95%に達し、従来はメールや電話の往復で時間を要していたサプライヤーとの調整時間を、わずか約80秒に短縮できました。
出典:NEC「NEC、調達交渉を自動化するAIエージェントサービスを提供開始」(2025年12月2日)
事例② パナソニック コネクト(製造・ソリューション)
AIアシスタントの全社活用で、年間約44.8万時間の業務時間を削減
パナソニック コネクト株式会社は、自社開発のAIアシスタント「ConnectAI」を国内の全社員約11,600人に展開し、2023年2月から実務利用を開始しました。
当初は汎用的な質問対応が中心の運用でしたが、現在では経理部門における決裁文書の自動作成支援や、法務部門における下請法に準拠した厳格な契約書チェックといった、専門性の高い定型業務を代行する「業務特化型エージェント」へとシステムの用途を深化させています。
その結果として、AI活用による年間業務時間の削減効果は約44.8万時間に達し、前年比で2.4倍という驚異的なスケールメリットを実証しました。この要因は、全社的な利用習熟度が上がり、社員のAIに対する向き合い方が単に知識を「聞く」だけのフェーズから、複雑なタスクを主体的に「頼む(エージェントとして動かす)」フェーズへとシフトしたことにあります。
◆生成AI活用の進化プロセス:「聞く」から「頼む」へのシフト
汎用ツールを導入するだけでなく、自社の業務に合わせて作り込み、社員の活用スキルを高めた点が成果につながっています。
出典:パナソニックホールディングス「パナソニックコネクト、『聞く』から『頼む』へシフトしたAI活用で年間44.8万時間の削減を達成」(2025年7月7日)
事例③ 伊藤忠商事(総合商社)
生成AIをバックヤードの効率化から、営業・投資などの「稼ぐ」コア業務へ拡大
一般的に、多くのBtoB企業におけるAI活用は、前述したような社内業務の効率化が主流であり、企業の売上や利益を直接生み出す「フロントラインの営業交渉」や「巨額の投資判断」にAIを本格導入するケースは、未だ少数派にとどまっています。
総合商社大手の伊藤忠商事株式会社は、この「攻めのデータ活用」において先進事例を構築しています。同社は2023年に専門組織「生成AIラボ」をいち早く立ち上げ、全社用のセキュアな生成AI環境を構築しました。
そこから単なる汎用機能の利用にとどまらず、社内に蓄積されてきた膨大な経営情報や有識者の知見をシステム側で結合させ、企業の利益に直接貢献する独自の「経営支援AIプラットフォーム」へと進化させています。
◆経営支援AIプラットフォームのデータ統合と活用イメージ
具体的な実務への組み込みも、同社の中核ビジネスの深部にまで及んでいます。
例えば、素材の輸入販売では、従来は担当者個人の経験や勘に依存しがちだった製品選定プロセスにAIを融合させました。顧客との商談中に、AIが膨大なデータから必要な情報を瞬時に参照・コスト算出までを並行して行い、最も高い利益と顧客メリットを生む「最適な製品プラン」を即座に提示できる体制を確立しています。
さらに、事業投資の領域においても、投資対象企業のスクリーニングから、財務・市場の深掘り調査、社内申請用のドキュメント作成にいたる各ステップでAIを活用しています。
社内の広範なデータベースだけでなく、過去の投資プロジェクトにおける「失敗の教訓」のデータをAIにインプットしておくことで、投資の目利き精度を科学的に高める先進的な試みを続けています。
出典:伊藤忠商事「生成AI活用」
事例④ 大林組(建設・ゼネコン)
手描きのスケッチから建物の外観デザイン案を瞬時に生成し、顧客との合意形成を大幅に効率化
一般的に、建築設計の初期フェーズにおいて、建物の大まかな立体構成の検討から、ファサード(建物の正面外観)のデザイン案を構築する作業は、設計者が膨大な時間と手作業のスキルを費やして何通りもの完成予想図を描き起こす、非常に重労働なプロセスでした。
大手ゼネコンの株式会社大林組は、この設計初期におけるクリエイティブな試行錯誤の時間を短縮するため、米国のSRI Internationalと共同で、シンプルなスケッチや3Dモデルの骨組みから多種多様な建物の外観デザイン案をAIが自動提案する最先端技術「AiCorb®(アイコルブ)」を開発しました。
同社は2023年7月からこのシステムを実務で社内運用しており、グローバルな設計者向けプラットフォーム「Hypar」と連携させることで、建物の構造的なボリューム検討から意匠性の高い外観デザインの生成までを、システム上で一気通貫で進めるインフラを確立しています。
◆AiCorb®が手描きスケッチから生成した建築ファサードデザイン候補
実際の建築ビジネスでは、顧客の要望を聞き取りながら、何種類もの外観イメージを提示してコンセンサスを図る対話が何度も繰り返されます。
AiCorb®が設計の初期段階をシステム側からバックアップすることで、例えば打ち合わせの場で顧客から「もう少しガラス面の比率を増やしてモダンな印象にしたい」「緑化を取り入れたい」といった要望が出た際、設計者がその場で描いたラフなスケッチをもとに、わずか数秒で高精細なデザインのバリエーション候補をスクリーンの前に具現化して提示することが可能になりました。
これにより、従来なら数週間を要していたデザインの持ち帰りと修正を排除し、プロジェクト初期の意思決定を高速化させることに成功しています。
出典:大林組「建築設計の初期段階の作業を効率化する『AiCorb®』を開発」(2022年3月22日)
事例⑤ フライスター×ユーザックシステム(食品・受発注)
FAXの注文書をAIで読み取り、受注業務を93.6%以上の精度で自動化
一般的に、食品業界や製造業、流通業におけるBtoBの受発注実務では、取引先ごとにフォーマットが異なるため、FAXでの注文というアナログな商習慣が今なお残っています。これらは従来のシステムでは自動化が難しく、現場の担当者が確認し、基幹システムへ手入力するしか手がないため、業務の属人化と人為的ミスの発生源として現場の大きな負担となっていました。
パン粉メーカー大手のフライスター株式会社と、業務効率化ソリューションを展開するユーザックシステム株式会社は、この深刻な現場の人手不足と働き方改革へ対応するため、先進的な「受注AIエージェント」を活用したFAX注文書処理の自動化実証実験を行いました。
この仕組みは、同社が独自に構築した「受注AIエージェント」と、画面操作を自動化する「RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)」を高度に融合させたシステムインフラです。複合機で受信したFAX注文書から、AIが製品名や数量、納期といった必要なデータを読み取って解釈し、最終的に基幹システムへ連携するためのデータ出力までをシームレスかつ自動で処理する仕組みを確立しました。
◆受注AIエージェントとRPAを組み合わせた受発注自動化の全体像
実際の業務環境で行われた厳格な実証実験では、得意先ごとにレイアウトや品名の書き方がバラバラであるという過酷な条件でありながら、注文書の正確なデータ読み取りからシステム連携用データの出力までを「93.6%以上」という高い精度で自動化できることを実証しました。
これにより、ベテラン担当者の経験に依存していた受発注オペレーションからの脱却へ向け、非常に大きな成果を収めています。
出典:ユーザックシステム「フライスターの受注業務、『受注AIエージェント』で93.6%以上の精度で自動化に成功」(2025年4月24日)
事例⑥ 日本通運(物流)
倉庫の協働ロボットがAIで最短ルートを計算し、出荷生産性を約2.5倍に向上
一般的に、巨大な物流倉庫における商品のピッキング作業は、人間が広い倉庫内を歩き回って対象の棚を探し出す過酷な肉体労働であり、倉庫内の配置を熟知したベテランの経験に頼らざるを得ない属人化の温床でもありました。
日本通運株式会社は、同社の「NX小牧流通センター」において、ラピュタロボティクス株式会社が提供する協働型ピッキングロボット「ラピュタPA-AMR」を導入しました。
このシステムは、ロボットの頭脳にあたるAIが、その時々の受注状況に応じて倉庫内の「最短ピッキングルート」をリアルタイムに計算してピッキング担当者へ提示し、さらにピッキングした重量物の搬送そのものをロボットが代行する最先端の現場ソリューションです。
この先進的なAI活用の導入効果は極めて顕著でした。稼働開始からわずか3か月という短期間で、出荷工程における作業生産性が、1時間あたり42.9件から110.8件へと、実に約2.5倍にまで向上することを証明しました。
筆者の見解として、日本通運様の事例の真の価値は、テクノロジーによって、熟練者の経験をシステムへと変換し、業務の標準化を成し遂げた点にあります。
AIロボットがルートとナビゲーションをすべて最適化するため、新人スタッフであっても、ベテランと変わらないトップスピードと安定した作業品質でピッキングを遂行できるガバナンスが確立されています。物流業界における深刻な労働力不足への処方箋であると考えます。
出典:
・ラピュタロボティクス「物流倉庫ロボット 製品概要『ラピュタPA-AMR』」
・LNEWS「ラピュタロボティクス/NX小牧流通センターにAMR導入、生産性2.5倍に」(2025年10月1日)
事例⑦ アスクル(BtoB通販・物流)
AIの需要予測で拠点間の在庫横持ち計画を自動化し、計画作成工数を約75%削減
一般的に、中大型のECビジネスや流通業において、ハブとなる主力物流センターと、その周辺に点在する複数の補充倉庫との間で在庫を最適に移動させる横持ち(拠点間輸送)計画の立案は、データマネジメントにおいて複雑な領域の一つです。
過去の出荷傾向から「いつ」「どの倉庫からどの倉庫へ」「どの製品を」「いくつ移動させるか」の最適解を弾き出す作業は、膨大なExcelデータと格闘する担当者の予測スキルに依存していました。
BtoBオフィス用品通販大手のアスクル株式会社は、この課題を解決するため、独自開発の高度な「AI需要予測モデル」を在庫横持ち計画の基幹ロジックに組み込みました。
◆商品横持ち計画におけるAI活用イメージ
同社の主力拠点である「ALP横浜センター」においてこのAI需要予測モデルを実務適用したところ、担当者が手作業で行っていた横持ち指示の作成工数を1日あたり約75%削減することに成功しました。さらに、予測の精度が高まったことで倉庫側の無駄な動きが削ぎ落とされ、入出荷の作業効率が約30%向上し、フォークリフトの稼働工数も約15%削減されるという、全体最適化を達成しています。
需要予測の精度が向上したことで属人化していた計画作成を標準化し、同社はこのモデルを全国の物流拠点へ展開しています。
出典:アスクル「物流センターと補充倉庫間の商品横持ち計画にAI需要予測モデルを活用」(2023年11月29日)
BtoB企業の生成AI活用は55.2%にのぼる
ここでは、公的な客観統計をもとに、日本企業全体におけるAI活用の現状について詳しくひも解いていきます。
結論から言えば、生成AIの活用はこの数年で国内企業へ急速に浸透しています。総務省の「令和7年版 情報通信白書」によると、生成AIを「積極的に活用する」または「領域を限定して活用する」という社内方針を定めている日本企業の割合は、2024年度調査で49.7%に達し、前年度の42.7%から着実に増加しています。
また、方針の有無に関わらず「何らかの業務で実際に生成AIを使用している」と回答した企業にいたっては、すでに55.2%と半数を超えているのが実態です。
◆企業におけるAI利用・方針策定の現状
出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」※一部筆者加工
しかし、この数字をグローバルな視点から比較してみると、AIの活用方針を定めている企業の割合は、米国で84.8%、中国では92.8%といずれも8割~9割の水準に達しており、諸外国と比較して日本企業の初動は未だ遅れをとっていると言わざるを得ません。
さらに国内市場を深掘りし、生成AIの活用方針を策定している企業の割合を規模別で見ると、大企業では約56%に達しているのに対し、中小企業では約34%にとどまっています。
中小企業の約半数は「方針を明確に定めていない」と回答しており、AIをビジネスにどう組み込むかという戦略の入り口の段階で、大企業と中小企業との間に非常に大きな溝が開いているのが我が国の実情です。
◆生成AIの活用方針策定状況(国内企業規模別)
出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」
そして、筆者が深刻であると考えるのは、その活用用途における日本企業特有の構造的偏りです。
同白書のデータによると、国内企業で生成AIが特に多く使われているのは「メール文面の作成」「議事録の文字起こし」「社内資料作成の補助」といった日常のルーティン作業(47.3%)であり、その用途の大部分が部分的な事務作業の効率化に集中しています。
◆業務別の生成AI利用率
出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」※一部筆者加工
諸外国の企業がAI導入の目的として「新規顧客の獲得」や「新しいイノベーションの創出」を最重視しているのに対し、日本企業は一貫して「目先の業務効率化」や「人手不足の穴埋め」を目的として挙げる傾向が強いという特徴があります。
筆者の見解として、AIを単なる「手作業を少し楽にするための便利な道具」として捉えているうちは、企業のビジネスモデルそのものを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)や、新たな市場競争力を生み出すことは不可能です。
国内企業の半数以上にAIというテクノロジー自体は行き渡ったものの、その大半が「守りの効率化」のフェーズで足踏みをしており、企業の収益力を直接押し上げる「攻めのデータ活用」にまで昇華できている例は限定的であるというのが、データから読み解くべき日本ビジネスのリアルな現在地であると考えます。だからこそ、前章で紹介した先進7社のような「コア業務への組み込み」へ一歩踏み出すガバナンスが、今まさに求められているのです。
BtoB企業がAI導入を成功へ導くための5つの実践的ポイント
前章で紹介した先進BtoB企業7社の成功の軌跡を分析すると、業種や企業規模こそバラバラであるものの、AIを導入して成果を上げるためのアプローチには5つの共通項が存在することが分かります。
これからAIをビジネスに組み込み、投資対効果(ROI)を最大化させたい担当者が押さえるべきポイントを解説します。
ポイント① AIと人の明確な役割分担をあらかじめ定義する
AI活用の出発点は、すべてのオペレーションをテクノロジーに丸投げするのではなく、システム(AI)と人(現場)の役割を上流工程で切り分けることです。
機械的な繰り返しが多く判断のばらつきが少ない作業はAIへ委ね、状況に応じた高度な意思決定や戦略の立案、感情を伴うコミュニケーションは人が担います。
◆AIと人間の理想的な役割分担のバランス
| 該当する実務領域 | AIが担うスコープ | 人間(担当者)が集中すべきコア業務 |
| 製造業の調達交渉 | サプライヤーとの納期・数量・価格の自動折衝 | 長期的なサプライヤー戦略の立案・関係構築 |
| 総合商社の事業投資 | 対象企業の一次スクリーニング、情報調査 | 最終的な投資実行の判断、リスクマネジメント |
| 建設業の意匠設計 | 手描きスケッチからの外観デザインの大量生成 | 顧客の洗剤ニーズの深掘り、確実な合意形成 |
筆者の見解として、この線引きがあいまいなままツールを導入すると、「AIが出力したデータをそのまま実務に使って良いのか」と現場が迷い、確認の手間が増えてかえって非効率化を招きます。
「どこまでをAIに委ね、どこから人間が責任を持つか」を最初にルール化しておくことが重要です。
ポイント② 汎用利用で終わらせず、自社固有のデータや手順に合わせて作り込む
まったく同じAIエンジンを採用したとしても、ただ市販のツールをブラウザで使わせるだけの「汎用利用」と、自社の業務プロセスに最適化した「作り込み」とでは、得られるリターンに差が生まれます。
アカウントを全社に配るだけの受動的な運用では、一部のITリテラシーが高い社員しか使いこなせず、組織全体への定着は望めません。
専門性の高いBtoBの実務においては、社内に長年蓄積されてきたドキュメント、独自のノウハウ、あるいは過去の「失敗の教訓」といった自社固有のデータ資産を、セキュアな環境でAIにインプット・学習させることが本質的なブレイクスルーを生みます。
「自社にしか存在しない独自のデータマネジメントと、最新のAIをどう掛け合わせるか」が、DXの成否を決定づけるのだというのが筆者の見解です。
ポイント③ 属人化した業務を標準化し、人手不足に備える
社内で特定の担当者しか処理できない、いわゆる属人化した業務こそ、AIによる標準化の効果が現れる領域です。
これまでは長年の経験に基づく判断に頼っていた処理をAIがシステム側から支援することで、実務経験の浅い若手や新人であっても、一定以上のクオリティで業務を遂行できるようになります。
◆属人化からの脱却をもたらすAIによる実務標準化の例
・倉庫作業でAIが最適な作業手順を示し、作業品質を安定させる
・経験に基づいて手作業で行っていた需給や在庫の計画づくりをAIで標準化する
社内に埋もれている「特定の誰かしかできない業務」を洗い出し、その業務をシステム構造によって標準化していくことは、技術の承継だけでなく、将来的な人手不足への防壁となります。
ポイント④ 既存のシステムやデータ構造と密結合させて業務フローに組み込む
AIを単独の独立したWebツールとして使ううちは、実務の現場に定着することはありません。既存の基幹システムや社内のデータ連携基盤と組み合わせ、業務フローのシームレスな一環として位置付けて初めて、パワーを発揮します。
例えば受発注領域であれば、AIが読み取ったテキスト注文情報をRPAが自動で拾い上げ、そのまま基幹システムへ流し込んでデータ出力まで自動で完結させるような一連のパイプラインを構築します。在庫・物流の分野であれば、AIが出した需要予測データをそのまま現場のフォークリフトやスタッフの端末への自動指示へ直結させます。
AIを単発の便利道具として外付けするのではなく、システム全体のデータ連携の中に溶け込ませることが、実務へ定着させるための鉄則であるというのが筆者の見解です。
ポイント⑤ 小さく試して効果を測定し、成功確率の高い範囲から横展開する
最初から莫大な投資をして全社で一斉にシステムを立ち上げるのは、BtoBのシステムガバナンスにおいてリスクが高すぎます。まずは特定の「一つの業務」や「一つの物流拠点」にスコープを絞ってスモールスタートを行い、確実に効果を検証してから全体へスケールさせる進め方が現実的です。
例えば、先行して1つのモデル拠点で実証実験を行い、削減できた作業時間、エラー発生率の低下、データの読み取り精度といったKPIを定量的な「数値」としてシームレスに計測します。ここで明確な投資対効果を確認できているからこそ、予算の承認や他部門・全国の拠点への横展開の経営判断を、迷うことなく進めることが可能になるのです。
これら5つのポイントは、あらゆるBtoB企業がAI導入で確実な効果を得るための共通の羅針盤です。
しかし、ここで非常に重要な視点があります。ポイント②で挙げた「自社の業務に合わせた細かな作り込み」や、ポイント④の「既存システムとの柔軟な連携」といった、高度なデータガバナンスを支える基盤の部分は、「どのようなITプラットフォームを自社の土台として選択するか」によって、その構築難易度や開発コストが変わってしまうという事実です。
特に、日常的に複雑な企業間取引(BtoB-EC)や膨大な製品データを扱うEC運営の領域においては、最初からAIとの密なデータ連携を前提として設計された最先端のシステムプラットフォームを選択しておくことこそが、数年後の企業のDX競争力を決定づける分岐点になるのだと筆者は確信しています。
AI機能でBtoB-EC運営を支えるECプラットフォーム「EBISUMART」
一般論として、BtoB-ECの本質は、これまでの電話、FAX、メールによるアナログな注文・見積もり対応をWebシステムへ移行し、受発注オペレーションを根底からデジタルデータへと変換することにあります。
インターファクトリーが提供するクラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」は、この高度なBtoB-ECサイトの構築はもちろんのこと、最新のAIをバックヤード運用に深く融合させた「AIを活用したEC運営」を一気通貫で駆動させるインフラです。
同サービスは、事業者ごとの独自の商習慣や複雑な業務フローに合わせた「柔軟なフルカスタマイズ性」をクラウド環境で担保できるECプラットフォームとして、BtoB領域においても業種・規模を問わず豊富な導入実績を誇ります。
現在EBISUMARTでは、目まぐるしく進化するAI時代のデータマネジメントに適応するため、「店舗運営を支えるAI機能の拡充」と「システム自体の設計・保守をAIで進化させるアーキテクチャの強化」という2つのイノベーションを推し進めています。
◆EBISUMARTの主なAI関連機能(一部は順次拡充)
・AIによる不正検知、セキュリティ認証
・AI駆動の開発や保守
・オープンなAI連携基盤(特定のAIに依存せず、最適なAIサービスを柔軟に接続)
これらの機能は、企業間取引において厳格さが求められる「機密性の高い商取引データ」を安全に保護する、強固な統合ガバナンスの基盤上で提供されます。
EBISUMARTは、BtoBに不可欠な「個別のカスタマイズ性」を維持しながら、最先端のAI恩恵をノーコードで享受できるECプラットフォームであると言えます。
参考:
・株式会社インターファクトリー「クラウドコマースプラットフォーム『EBISUMART』がMCPサーバの開発に着手」(2026年5月29日)
・株式会社インターファクトリー「クラウドコマースプラットフォーム『EBISUMART』、AI時代の変化に適応するシステム基盤を強化」(2026年4月2日)
まとめ
本記事では、製造、商社、建設、物流、流通など、ドラスティックにAIを実務に組み込んで成果を上げているBtoB先進企業の事例をひも解いてきました。データが明確に示している通り、AIはもはや一部のIT先進企業だけが触る未来の技術ではありません。
しかし一方で、日本企業のAI活用の多くは日常の効率化にとどまっており、特に中小企業においては活用のための明確な社内方針を策定できていないという格差が広がっています。
筆者の見解として、AIというテクノロジーの進化スピードは指数関数的であり、他社が「守り」から「攻めのコア業務への組み込み」へシフトしている今、自社が「様子見」の検討段階にとどまり続けること自体が、経営リスクであると考えます。
この冷徹な現実は、EC運営の領域においても同様です。BtoBビジネスのオンライン化・デジタル化が猛烈な勢いで加速する現代において、日々のECオペレーションや製品データの管理に「AIという強力なレバレッジをどう組み込むか」が、企業の競争力を左右する分岐点となります。
自社の企業間取引において、属人化を排除し、AIを活用した効率的かつ攻めのEC運営を実現したいと考えるならば、インターファクトリーの「EBISUMART(エビスマート)」をご検討ください。すでに実装・開発が進んでいる先進的なAI機能の数々はもとより、得意先(アカウント)ごとの複雑なクローズド販売価格設定や、見積もりプロセスのWeb自動化など、日本のBtoB商習慣を支える強力なBtoB機能を網羅したECサイトの構築が可能です。
詳しくは、下記の公式ページをご覧ください。

























