BtoB(Business to Business)とは、企業が企業に対して商品やサービスを提供する取引形態のことです。製造業における原材料・部品・生産設備の調達から、問屋・卸売業、法人向けのITシステム・クラウドサービス、人材ソリューションにいたるまで、多種多様な産業分野でBtoB取引が行われています。
一般消費者を直接のターゲットとするBtoCとは異なり、BtoB取引では取引先企業ごとに個別の販売価格や契約条件が設定されたり、都度の見積もり作成、与信管理(掛け売り・売掛決済)、複雑な受発注管理といった企業間特有の実務が発生します。
そのため、BtoBの本質を理解するためには、単に「取引相手が法人である」という違いだけでなく、企業間取引ならではの独自のビジネス構造や業務フローまでを正しく把握することが重要となります。
また、企業間の受発注オペレーションにおいては、EDIなどが長年にわたり活用されてきましたが、近年ではWeb受注システムや「BtoB-EC」を導入し、受発注から顧客管理にいたる業務全般をデジタルシフトする動きが拡大しています。
この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、BtoBの基本定義から企業間取引ならではの仕組み、さらには受発注業務のデジタル化にいたるまで、BtoBビジネスを深く理解するために必要な基礎知識を分かりやすく解説します。
国内の代表的なBtoB企業5社を紹介
BtoBビジネスの実態やスケール感を具体的に理解するため、まずは日本国内を代表する主要なBtoB企業5社の事業モデルと実績を紹介します。
① 株式会社キーエンス(電気機器・FA機器メーカー)
株式会社キーエンスは、世界46カ国250拠点でグローバルに事業を展開する、ファクトリー・オートメーション(FA)分野を中核とするBtoB企業です。
各種高精度センサや測定器、画像処理機器、レーザマーカなどを展開しており、自動車、半導体、液晶、電子デバイス、IT機器、情報通信、金属鉄鋼、食品、医薬品、物流・倉庫など、現代のあらゆる製造・流通業界の工場・生産ラインで幅広く導入されています。
キーエンスの最大の特徴は、代理店や問屋を介さず顧客へ直接提案を行う「ダイレクトセールス」、自社で直接生産工場を持たず企画・開発・設計のコア領域に経営資源を集中させる「ファブレス経営」、注文された商品を即座に納品する「全商品当日出荷体制」という、独自のビジネスモデルを確立している点にあります。
2026年3月期の連結売上高は1兆1,692億円を記録し、前期(1兆591億円)から10.4%増という高い成長率と利益率を継続して達成しています。
② キオクシア株式会社(半導体メモリメーカー)
キオクシア株式会社は、NAND型フラッシュメモリやSSDなどの開発・製造・販売を世界的規模で手掛ける半導体メモリメーカーです。
法人向け市場においては、一般クライアントPC用から大容量エンタープライズサーバー/ストレージ、クラウドデータセンターインフラ、さらには最新のAIシステムにいたるまで、多種多様な高度デジタル社会を支えるメモリ・SSD製品を供給しています。
主な顧客領域は、スマートフォンなどの各種モバイル機器、PC、データセンターサーバ、車載システム・産業機器など多岐にわたります。2026年8月には、急速に需要が拡大するAIアプリケーションに特化したSSD「KIOXIA GP1シリーズ」の開発を発表するなど、最先端のAI・データセンター分野への製品展開を推し進めています。
キオクシアグループ(持株会社キオクシアホールディングス連結)の2026年3月期における売上収益は2兆3,376億円を計上しています。
③ ファナック株式会社(産業用ロボット・FA機器メーカー)
ファナック株式会社は、世界中の製造現場における自動化を支える「FA事業」「産業用ロボット事業」「ロボマシン事業」の3大事業と、それらを支える「サービス事業」を展開するBtoBメーカーです。
FA事業では工作機械メーカーを主要顧客とするCNCやサーボモータを供給し、ロボット事業では製造ラインの溶接、加工、搬送、組み立て、塗装などの工程を自動化する産業用ロボットを提供しています。
主な顧客層は製造業を中心に、産業用ロボットは自動車・電子部品メーカーをはじめ、物流、食品、医薬品業界などあらゆる生産現場で幅広く活用されています。
2026年3月期の連結売上高は8,578億円に達しており、このうちロボット部門の売上高は3,786億円(前期比14.9%増)と、全社売上の44.1%を占める主力事業として市場をけん引しています。
④ 株式会社MonotaRO(事業者向けEC・卸売業)
株式会社MonotaROは、製造業や建設業などの法人・個人事業者向けに、工具、保護具、各種作業用品、オフィスサプライなどの「間接資材」を販売するBtoB企業です。
主力の通販サイト「monotaro.com」を通じて、製造・建築・整備現場などで使用される商品をオンラインで販売しています。
顧客基盤は全国の中小事業者から大企業まで幅広く、中堅・大企業向けには企業の購買プロセス管理やコスト削減を支援する「エンタープライズモノタロウ」を展開しています。2025年12月期においては、同社単体のエンタープライズ事業売上高が1,063億円に達し、前年比23.5%増という成長を遂げました。
また、2025年12月期の連結売上高は3,338億円を達成しています。先進的なBtoB-ECプラットフォームを活用して、法人向け資材販売と調達購買業務の効率化を支援している点が、MonotaROのBtoBビジネスにおける強みです。
⑤ 株式会社NTTデータ(ITサービス・システムインテグレーション)
株式会社NTTデータは、NTTデータグループの国内事業会社として、官公庁・自治体、大型金融機関、大手製造業、流通・小売業など、国内のあらゆる主要法人・公共組織向けに情報システムの構築や総合ITサービスを提供するBtoBシステムイングレーター(SIer)です。
事業構想の策定やITコンサルティングから、大規模システム開発、インフラ構築、運用・保守にいたるまでを一貫支援しています。
2026年5月には、国内市場における成長戦略を加速させるため、「コンサルティング×AI」を戦略の中核に据えた組織体制への変革を発表しました。全社横断の「コンサルティングセグメント」を新設し、「テクノロジーセグメント」を再編することで、企業のAI活用や業務プロセスのDX推進を支援する体制を整えています。
持株会社である株式会社NTTデータグループ全体の2026年3月期における連結売上高は、国内外のITサービスおよびデータセンター事業の好調に支えられ、前期比7.9%増の5兆46億円に達しました。
BtoBとBtoCとの違い
BtoBビジネスと特に対比させて語られることが多い取引形態が、企業が一般消費者に向けて直接商品やサービスを提供する「BtoC(Business to Consumer)」です。
BtoBとBtoCでは、単に取引相手の対象が異なるだけでなく、購買の目的、意思決定のプロセス、一回あたりの取引金額規模、販売価格や契約条件の決定方法にいたるまで、ビジネスのあらゆる側面で根本的な構造上の違いが存在します。
◆BtoBとBtoCの基本的な違い
| BtoB | BtoC | |
|---|---|---|
| 取引相手 | 企業・法人・各種組織 | 一般消費者(個人) |
| 購入目的 | 事業活動に必要な商品・サービスの購入 | 個人で使用する商品・サービスの購入 |
| 取引金額 | 高額・大口・大量取引が中心 | 比較的小規模・小口な取引が中心 |
| 意思決定 | 担当者や上司、決裁者など複数人が関わる場合がある | 原則として購入者本人が判断する |
| 取引期間・頻度 | 継続的な取引になる場合がある | 単発の購入が多い |
| 価格・取引条件 | 取引先ごとに異なることが多い | 原則として同じ販売価格・条件が適用される |
出典(画像):筆者作成
BtoB取引においては、購入される商品やサービスはすべて企業の事業活動のために利用されます。具体的には、製造業が工場で使う生産設備や電子部品を調達したり、企業が社内の業務効率化のために基幹システムや法人向け人材サービスを契約したりする取引がこれに該当します。
一方、BtoC取引においては、一般消費者が自分自身や家族が生活の中で消費する目的で日常的な商品やサービスを購入します。
また、意思決定のプロセスにおいても決定的な違いが存在します。BtoB取引においては、現場の担当者個人の独断で購入を確定させることは原則としてありません。担当者が候補を選定した上で、上司への稟議提出、関係部門の事前審査、最終決裁者の承認というように、組織内の複数人が関与したプロセスを経て正式発注が行われます。
特に取引金額が大きい場合や長期の継続契約となる場合は、相見積もりの取得やコンペティション、契約交渉を経て段階的に契約が締結されるのが一般的です。
さらに、価格設定や販売条件のアプローチも異なります。BtoCでは基本的に、すべての一般顧客に対して同一の販売価格が提示されますが、BtoBでは年間の取引ボリューム、契約内容、過去の取引実績などに応じて、取引先企業ごとに個別の販売単価や支払条件が柔軟に設定されるケースが大半です。
代金決済の手順においても、BtoCが購入時点での即時決済を基本とするのに対し、BtoBでは納品後に一括して請求書を発行して後払いする「掛取引(売掛決済・請求書払い)」が標準的であり、新規取引の開始前には取引先の信用力を測る「与信審査」が行われるのが通例です。
法律面においても明確な違いがあり、BtoC取引には消費者保護を目的とした「消費者契約法」やクーリング・オフ制度などの法的制約が適用されるのに対し、BtoB取引においては原則として契約自由の原則が適用され、当事者同士の合意内容が優先されるという特徴があります。
BtoB・BtoC以外の企業を起点としたビジネス形態
ビジネスの取引形態には、定番のBtoBやBtoC以外にも、取引相手の性質や流通チャネルの階層構造によって多様なモデルが存在します。ここでは、企業を起点とする代表的なビジネス形態の基本構造と、BtoBとの違いについて解説します。
◆企業を起点とした主なビジネス形態
・BtoE(Business to Employee)
・BtoBtoB(Business to Business to Business)
・BtoBtoC(Business to Business to Consumer)
以下に、それぞれ詳しく解説します。(解説文中の画像はすべて筆者作成)
「BtoG」は企業と政府・自治体との取引
BtoG(Business to Government)とは、民間企業が国や地方自治体などの行政機関・公的機関に対して商品やサービスを提供する取引形態のことです。
◆BtoGの取引構造
代表的な事例としては、IT企業による官公庁・自治体向け基幹システムの構築、道路や庁舎などのインフラ整備、自治体で使用されるオフィス家具・消耗品の納入などが挙げられ、公募プロポーザルや競入札を経て契約が締結されるケースが大半です。
BtoBでは取引相手が民間企業であるのに対し、BtoGでは行政機関となり、厳格な入札ルールや予算執行年度に基づいて取引が進められる点が大きな違いです。
「BtoE」は企業と自社の従業員との取引
BtoE(Business to Employee)は、企業が自社の従業員を対象として商品やサービスを提供する形態です。
◆BtoEの取引構造
代表例としては、自社製品を特別価格で社内販売する社販システムの提供、従業員向けの福利厚生アウトソーシングサービス、社内食堂・オフィスコンビニの導入などがこれに該当します。
BtoBが「外部の他社企業」を対価の発生する顧客とするのに対し、BtoEでは「自社内の従業員」が提供対象となり、社内エンゲージメントの向上や福利厚生の拡充を主目的として運用される点が特徴です。
「BtoBtoB」は複数の企業を介して行う企業間取引
BtoBtoB(Business to Business to Business)とは、起点の企業から中間となる別の企業を経由して、最終的な法人顧客へ商品やサービスが提供される流通形態のことです。
◆BtoBtoBの取引構造
例えば、製品メーカーが直接法人顧客へ直接販売するのではなく、卸業者や販売代理店などを介して最終企業の工場やオフィスへ商材を納品する商流などが典型的なBtoBtoB構造です。
BtoBと同様に最終的な買い手は企業ですが、複数の企業が契約や物流の間に入って多重に商流を形成する点が大きな特徴です。
「BtoBtoC」は企業を介して消費者へ提供する取引
BtoBtoC(Business to Business to Consumer)とは、起点の企業が仲介となる別の企業を介して、最終的に一般消費者へ商品やサービスを提供する流通形態のことです。
◆BtoBtoCの取引構造
代表例としては、メーカーや卸売企業が自社商品を量販店やスーパー、あるいは大手ECモールへ仕入れ納品し、その小売企業・モール経由で最終消費者が購入する従来の商社・流通構造全体がこれに該当します。
BtoB取引が企業間の決済のみで完全に完結するのに対し、BtoBtoCでは中間の企業をサポーターや販路として活用しながらも、最終的に商品を手にして消費するのは「個人」である点が異なります。
なお、BtoBtoBやBtoBtoCの具体的なビジネスモデルについては、以下の関連記事にてより詳細に解説しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。
BtoBビジネスは主に4種類に分けられる
BtoBビジネスの領域は多岐にわたり、原材料や部品の供給から大型設備の製造・販売、卸売、各種法人向けサービスにいたるまで、多様な事業形態が存在します。
ここでは、BtoBビジネスの代表的な展開モデルを「4つの種類」に分類して紹介します。
種類① 原材料・部品メーカー
製品を製造するために不可欠な原材料、化学素材、電子部品などを、メーカーが他の製造企業へ供給するBtoBビジネスです。
例えば、半導体メーカーが電子機器メーカーへメモリやCPUなどの電子部品を供給したり、素材メーカーが自動車メーカーへ高度な樹脂や金属材料を提供したりする取引がこれに該当します。
供給された原材料や部品は、買い手である取引先企業の工場において加工・組み立てが行われ、最終的な完成品の一部として市場へ送り出されます。
種類② 設備・機器メーカー
工場、物流拠点、オフィスなどで使用する生産設備や各種業務用機器を企業向けに開発・販売するBtoBビジネスです。
冒頭で紹介した株式会社キーエンスのFA用センサ・測定器や、ファナック株式会社の産業用ロボットなどがその代表例です。これらの製品は一般消費者の個人的な利用を目的とせず、顧客企業の生産ラインの自動化や業務効率化を直接支えるために導入されます。
大型のプラント・生産設備だけでなく、精密測定器、医療用機器など、企業オペレーションで利用されるさまざまな製品群が取引の対象となります。
種類③ 卸売業
メーカーや一次供給元から商品をまとめ買いし、全国の小売店などの各種事業者へ販売する問屋・卸売のBtoBビジネスです。
例えば、食品卸会社が飲食店やスーパーマーケットへ食材・酒類を供給したり、事業者向け資材商社が建設会社や工場へ工具・消耗品を納品したりする取引が挙げられます。
冒頭で紹介した株式会社MonotaRO(モノタロウ)も、現場用資材や工具を全国の事業者に供給するBtoB卸売事業を展開しています。
種類④ 法人向けサービス業
BtoBビジネスで扱われる対象は、実体のある「モノ(製品・資材)」だけではありません。企業の経営活動や業務遂行を支援する「サービス」も大きな市場を形成しています。
具体的には、ITシステム開発、クラウドサービス、人材派遣、広告・PR、物流・配送アウトソーシング、経営コンサルティングなどが含まれます。冒頭で紹介した株式会社NTTデータのように、企業や官公庁に対して大規模情報システムの構築・運用・ITコンサルティングを提供する事業も、この分類に該当します。
このようにBtoBビジネスは、製造業における素材・部品・設備調達にとどまらず、流通を支える卸売業や企業のDXを支援する法人向けサービス業にいたるまで、あらゆる産業の根幹を支える幅広い分野で展開されています。
BtoB取引に必要な5つの仕組み
BtoB取引には、一般消費者向けのBtoCとは根本的に異なる独自の商習慣が存在します。企業間取引を正確かつスピーディに遂行するためには、取引先情報、顧客別価格、請求・与信、複雑な受発注を適切に一元管理するシステム構造が必要となります。
ここでは、BtoB取引を支える主な「5つの仕組み」を解説します。
仕組み① 取引先管理
BtoB取引においては、取引先企業ごとに個別の契約条件、担当者情報、過去の受注履歴、掛け売り与信枠などをひも付けて管理する必要があります。
また、同一の取引先企業であっても、本社・支店・工場・部署ごとに注文担当者が異なるケースが多いため、企業単位だけでなく「企業配下のユーザー情報」で整理できる仕組みが不可欠です。
厳格な取引先管理を行うことで、「どの企業の、どの拠点の、どの担当者から発注があったのか」を即座に特定できるようになり、取引先ごとの受注金額や購入傾向も正確にトラッキングできるようになります。
企業間ECである「BtoB-EC」においては、単一の法人アカウントに対して複数の担当者IDをひも付けたり、組織の親子関係を設定して全社の購入履歴を一括管理したりするグループ管理機能が標準的に活用されています。
取引先管理については、以下の記事で詳しく解説しています。
仕組み② 取引先ごとの価格・取引条件管理
BtoB取引においては、同一の商品であっても、年間の取引数量、契約形態、取引実績、競合対策などに応じて、取引先ごとに異なる販売単価や条件を設定するケースが大半です。
そのため、BtoBの基盤システムにおいては、商品ごとの標準価格だけでなく、取引先ごとの個別販売単価、卸掛け率、最低注文数量、販売ロット(ケース入数)、専用の支払条件などを識別できる仕組みが必要となります。
これらの複雑な価格ルールがExcelや個々の担当者の頭の中だけに閉じた状態で管理されていると、見積もり作成時や受注処理時に古い条件を誤適用してしまうミスが発生します。「取引先×商品×適用条件」をデータベース上でひも付け管理しておくことで、受注時に適正な契約条件を自動参照できるようになります。
BtoB-ECサイトにおいては、ログインした取引先IDを識別し、その企業に割り当てられた専用価格や購入許可商品のみを画面上に自動表示するマイページ機能などが標準搭載されています。
仕組み③ 見積管理
BtoB取引においては、注文確定の前に「見積書」を発行し、提出した価格、数量、納期、スペックなどの条件を双方が事前に確認した上で取引を進めるプロセスが一般的です。特に、取引金額が高額になる場合や、カスタマイズが伴う取引先個別価格の場合は、見積作成と社内承認が重要となります。
そのため、提出した見積データを取引先情報や商品マスタとひも付けて管理し、取引先から発注を受けた後はその見積内容をそのまま正式受注データへ引き継ぎできる仕組みがあれば、入力工数と間違いを削減できます。また、過去の提示見積履歴を参照できれば、同一顧客からの再見積依頼や類似案件の引き合いに対しても対応可能です。
BtoB-ECでは、取引先がWebサイト上でセルフで見積書を作成・ダウンロードし、内容に問題がなければ画面上からそのまま注文を確定できるオンライン見積機能も幅広く利活用されています。
見積機能については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。
仕組み④ 請求・入金管理
BtoB取引においては、注文の都度に現金や決済カードで都度払いするのではなく、一定期間の取引代金をまとめて後日一括で請求・支払処理する「掛け売り」が標準的な商習慣です。
掛け売り運用では、取引先企業ごとに締日、支払日、および与信限度額が異なるため、請求先情報、売掛金残高、入金・消込状況を正確に管理する仕組みが必要となります。
請求書の発行や入金消込作業をすべて手作業で行っていると、バックオフィスの負担が肥大化します。受注システムと請求・会計管理システムを自動連携させることで、請求漏れ、未入金、回収遅延を検知し、未回収リスクを最小限に抑えることが可能となります。
なお、掛け売りについては、以下の記事でも解説していますので、より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
仕組み⑤ 受発注管理
BtoB取引の現場においては、電話、FAX、Eメール、専用Webフォーム、EDIなど、多様なチャネルから注文が届きます。
取引件数や注文SKU数が増加すると、手動での注文内容転記、在庫引当確認、工場・倉庫への出荷指示、納期回答などの処理工数が増大するため、受注から引き当て、出荷完了までを一元的にトラッキングする受発注管理の仕組みが重要となります。
受発注管理システムを整備し、注文データと商品在庫、取引先別の個別の契約価格を連動させてシステム上で処理できるようにすることで、データ転記ミスや納期回答の遅延を解消できます。
さらに、受信した受注データを基幹システム、販売管理システム、WMS(倉庫管理システム)へ自動同期させれば、出荷指示から請求データ作成にいたる一連のバックオフィス処理を自動化できます。
このようなBtoB受発注業務のミスを防ぎデジタル化を推進するために利活用される専門システムが、次項で解説する「受発注システム」です。
BtoB取引で利用される受発注システム
BtoBビジネスにおいては、受注受信から在庫確認、工場出荷指示、請求書発行にいたる一連の業務フローが連続して発生します。そのため、取引規模や受発注件数が拡大するにつれて、電話・FAX・メール送受信といった従来のアナログ作業だけで業務を回し続けることは不可能になります。
これらの受発注業務を効率化するために導入されるのが「受発注システム」です。
BtoB受発注システムには、長年活用されてきたEDIと、近年急速に普及しているWeb受注システムやBtoB-ECが存在します。ここでは、これら2つの仕組みの相違点と特徴について解説します。
EDIは企業間で取引データを交換する仕組み
EDI(Electronic Data Interchange)とは、注文書、受領書、納品書、請求書などの取引データを、あらかじめ規定された標準フォーマットに基づき、企業間のシステム間で直接やり取りする仕組みです。
EDIは通信回線やシステム構成によって、大きく以下の3種類に分類されます。
◆3種類のEDI
| EDIの種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| レガシーEDI | 固定電話回線などを利用する従来型 |
| インターネットEDI | インターネット回線を利用してデータを交換 |
| Web-EDI | Webブラウザから受発注などを行う |
特に、年間取引件数が膨大であり、決まった取引先と定型的な品目の発注データを定期的に継続連動させている大企業間の取引においては、EDIを導入することで受発注処理の自動化と業務効率化を実現できます。
なお、従来主流であった固定電話回線を利用する「レガシーEDI」は、通信インフラのサービス終了に伴い維持が困難となっており、現在ではインターネット回線を活用するインターネットEDIやWeb-EDIなど、次世代の高速通信環境への移行が進められています。
EDIの種類や仕組み、メリット・課題については、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
レガシーEDIに代わる受発注手段としてBtoB-ECも活用できる
前述のとおり、従来型のレガシーEDIがインフラの老朽化に伴い移行を迫られる中、インターネットEDIやWeb-EDIへの切り替えと並行して、柔軟性の高い「BtoB-EC」へ受発注基盤をシフトする企業が増えています。
BtoB-ECを導入することで、取引先はオフィスのパソコンや外出先のスマートフォンから24時間365日いつでもWeb上で商品画像や最新在庫を確認しながら注文を行えるようになります。さらに、取引先ごとの個別の仕入れ価格設定、セルフ見積書発行、リアルタイムな購入履歴照会など、BtoB取引に必要な主要機能をワンストップで網羅できます。
さらに、従来のEDIが「すでに基本契約を締結済みの既存取引先との定型受発注」に特化しているのに対し、BtoB-ECであれば「Web上での新規顧客からの問い合わせ・新規取引アカウントの発行・新規受注の獲得」や「デジタルカタログを活用したアップセル・クロスセル販促」など、単純なバックオフィス処理を超えた「営業・販促・マーケティングツール」としても機能する点が大きなメリットです。
一方で、長年の実績がある既存の大手取引先との間で、毎日数万〜数十万件におよぶ超大量の定型データをシステム間で直接バッチ連動するような運用においては、依然として専業のEDIの方が通信処理スピードや安定性の面で適しているケースもあります。
そのため、EDIとBtoB-ECのどちらか一方だけを二者択一で選ぶのではなく、自社の主な取引先層のIT環境、1日あたりの平均受注件数、既存の業務フローや商習慣に合わせて、双方の強みを生かした最適なシステム構成を選択することが重要となります。
BtoB-ECサイトを構築する5つの方法
BtoB-ECサイトを構築・導入するためには、主に「5つの構築手法」が存在します。
それぞれのカスタマイズ性、導入・開発コスト、初期構築期間、リリース後のシステム更新・保守方法などが異なるため、自社特有の業務フロー、必要な機能要件、および予算規模に合わせて最適な手法を選択することが重要となります。
◆BtoB-ECサイトの5つの構築方法
| 構築方法 | 主な特徴 |
|---|---|
| ① ASP | 低コストで導入しやすいが、独自カスタマイズや外部連携には制約がある |
| ② パッケージEC | 基本機能を備えたシステムを、自社の要件に合わせてカスタマイズできる |
| ③ オープンソースソフトウェア | ソースコードを利用して自由度の高い開発ができるが、保守やセキュリティ対応が必要 |
| ④ クラウドEC | システムを最新の状態に保ちながら、個別のカスタマイズにも対応できる |
| ⑤ フルスクラッチ | ゼロから自社専用のECサイトを開発でき、自由度が高い |
各方法の特徴は以下の通りです。
方法① ASP
ASPは、EC事業者がクラウド上で提供する既存のシステム・機能を、インターネット経由で月額利用する手法です。比較的低コストかつ短期間で手軽にサイトを開設でき、システムの保守もすべて提供事業者側によって自動で行われる点がメリットです。
ただし、個別の独自カスタマイズや自社の既存基幹システムとの自由なデータ連携には制約が存在するため、自社の複雑なBtoB業務フローをASP側の標準仕様へ合わせ込めるかどうかを事前に確認・検証する必要があります。
方法② パッケージEC
パッケージECは、ECサイトに必要な基本機能があらかじめ組み込まれたソフトウェア・システム製品をベースに、自社のBtoB取引要件に合わせてカスタマイズを施して構築する手法です。
ASPよりも機能開発の自由度が高く、取引先固有の複雑な業務フローや基幹システム・WMSとのAPIデータ連携にも対応しやすい点がメリットです。
一方で、カスタマイズの規模に応じて開発費用や構築期間が比例して増大します。また、一度導入した後はシステムが時間とともに老朽化するため、数年ごとにシステムリニューアルが発生する点に留意が必要です。
方法③ オープンソースソフトウェア
オープンソースソフトウェアは、一般公開されているシステムのソースコードをそのままダウンロードし、自社のサーバへインストールしてECサイトを構築する手法です。
ソースコードを自由に編集できるため、企業ごとの複雑な取引先別価格設定や自社独自の業務ロジックなど、細かい個別要件にも柔軟に対応しやすいというメリットがあります。
しかし、導入後のシステム保守、脆弱性に対するセキュリティパッチの適用、バージョンアップ作業をすべて自社社内または委託先開発会社の手で継続対応しなければならないため、IT人材の確保と運用リソースが必須となります。
方法④ クラウドEC
クラウドECは、クラウド上で提供される拡張性の高いSaaS型ECプラットフォームを利用しながら、自社専用の個別の機能拡張や外部システム連携を自在にカスタマイズ実装できる構築手法です。
プラットフォーム自体のインフラや機能がクラウド上で自動で最新状態へアップデートされ続けるため、システムの老朽化を防ぎ、最新のセキュリティと機能を維持できます。
一方で、基幹プラットフォームのソースコードそのものは非公開となっているため、ソースコード全体の完全な開示を自社要件として求める企業には適さない場合があります。
方法⑤ フルスクラッチ
フルスクラッチは、既存のECパッケージやASP基盤を利用せず、ゼロからすべて完全オーダーメイドで自社専用のBtoB-ECシステムを設計する手法です。
自社特有の複雑な商習慣、特殊な受注・出荷プロセス、基幹システムとの高度なデータ同期などに合わせてシステム設計ができます。
しかし、5つの構築手法の中で開発費用および構築期間が最も膨大になります。さらに、リリース後のサーバ保守・システム運用・将来の法改正対応にいたるまで、自社で継続的に運用リソースを投じ続ける必要があります。
BtoB-ECサイトの「5つの構築手法」について、それぞれの具体的なメリット・デメリット、開発費用の相場、自社に合った選び方の詳細については、以下の解説記事にて詳しくまとめておりますので、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
BtoB取引においては、取引先企業ごとに販売価格や契約条件が異なるほか、都度の見積もり発行、掛け売り、月次一括請求、複雑な受発注プロセスなど、一般消費者向けのBtoCとは異なる独自の商習慣が存在します。そのため、企業間取引を正確かつ高効率で遂行するためには、これらの複雑な実務を適切に一元管理できる受発注基盤が不可欠となります。
しかし、現在も電話やFAX、Eメールのバッチ受信、あるいは老朽化した従来型のレガシーEDIなどに頼る受発注業務を行っている企業は少なくありません。
こうした受発注業務の人的ミスや対応コストを解消する手段として、近年はWeb受注システムおよび「BtoB-EC」の導入が進んでいます。BtoB-ECを活用することで、顧客ごとの個別価格表示、セルフ見積作成、受注自動引き当て、リアルタイムな顧客・注文管理をWeb上でスムーズに行えるようになります。
インターファクトリーが提供するクラウドECプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」は、BtoB専用の高度なECサイトの構築に対応しています。
取引先別の個別の価格・掛率設定、得意先グループ管理、セルフ見積もり、与信管理連携など、BtoB取引に必要な機能を標準で備えつつ、クラウドECのメリットを生かしながら自社の複雑な業務フローに合わせた個別機能カスタマイズや基幹システムとの柔軟な外部連携が可能です。
BtoB-ECの新規導入や、長年運用してきた電話・FAX・レガシー受発注業務のデジタル化をご検討中の方は、下記公式サイトをご覧の上、お気軽に資料請求・お問い合わせをご利用ください。























