「お酒販売のECサイト」開設時に重要な7つのポイントを徹底解説


お酒を販売するECサイトでは、以下の7つのポイントが重要になります。

お酒のECサイトで重要な7つのポイント

ポイント① 検索フィルター・商品カテゴリの設置
ポイント② セット売り機能、まとめ買い割引機能
ポイント③ ギフト機能
ポイント④ 定期販売・頒布会
ポイント⑤ 特設ページ
ポイント⑥ Amazon Payの導入
ポイント⑦ ユーザーの年齢確認と酒類販売の法令対応

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、お酒を販売するECサイトの新規開設時に知っておくべき7つのポイントと、5つのマーケティング戦略について解説します。

お酒のECサイト事例:「Firadis WINE CLUB(フィラディス ワイン クラブ)」

今回は、インターファクトリーのクラウドECプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」の導入事例の中から、ワインの輸入卸売企業の株式会社フィラディスが運営するワイン通販サイト「Firadis WINE CLUB(フィラディス ワイン クラブ)」のECサイトリニューアルの事例を紹介します。

◆「Firadis WINE CLUB(フィラディス ワイン クラブ)」のECサイト

引用(画像):ワイン通販サイト「Firadis WINE CLUB(フィラディス ワイン クラブ)

◆ECサイトリニューアルによる効果

月商1.5倍、会員数1.4倍増を達成
・ワインのジャンル別に異なるページデザインで世界観を創出
UI/UXが改善されて作業スピードが格段に向上
メルマガ配信でユーザーとのコミュニケーションを強化

同社はECサイトリニューアルによって、新たに3つのジャンル別にデザインしたWebページを用意し、各ジャンルの世界観に合うように商品ラインナップを最適化することで、お酒好きのユーザーに、実店舗と同じようにECでも、利用シーンに応じて快適にワインを選んでもらえる環境を提供しています。

ユーザーの購入体験を重視したECサイトの設計と、ユーザーが求めるサービスを徹底したことが、売上と会員数の増加につながっています

「Firadis WINE CLUB」のECサイトリニューアルについてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。

関連記事:サイトリニューアル後月商1.5倍、会員数1.4倍増―フィラディスがEC運営で心がけるポイント

お酒のECサイトの7つのポイント

ECサイトの会員と売上を増やすためには、顧客のニーズを的確に捉えることが大切です。ここでは、お酒のECサイトを開設する際に押さえておくべき7つのポイントを、一つずつ解説していきます。

ポイント① 検索フィルターと商品カテゴリの設置

お酒には多種多様なジャンルと種類があるため、特にお酒に不慣れな方などは何を買うのが正解なのか分からなくなってしまう場合も多いでしょう。せっかくユーザーが自社ECサイトを訪れてくれても、そこで迷いを生じさせてしまうと、「今日は買うのをやめておこう」あるいは「使い慣れているAmazonのおすすめ商品を買うのでいいか……」という気持ちが芽生えやすく、コンバージョンにつなげることができません

そのため、ユーザーが用途に応じて目的に合う商品をいち早く見つけられるように、ECサイトの目立つ場所に価格帯、産地や銘柄などの任意の条件で商品を絞り込めるフィルターと商品カテゴリを設置する必要があります

例えば、EC大手「ヨドバシ.com」のお酒の通販ページには、検索フィルターと商品カテゴリが常に表示される場所に設置されています。

◆検索フィルター機能(ヨドバシ.com)

ヨドバシドットコムのフィルター機能
◆商品カテゴリ機能(ヨドバシ.com)
ヨドバシドットコムはお酒のカテゴリーの設置

引用(画像):ヨドバシ.com│お酒 通販ページ

ユーザーの購入体験において商品を直感的な選べることは重要な評価指標の一つとなるため、お酒の販売では特に細かなカテゴリ分けが必要になります。また、お酒に不慣れな顧客層に向けて低価格でお得なセット商品を用意したり、新規会員登録を促進する施策(クーポンやポイントの配布)を実施したりすると良いでしょう。

ポイント② セット売り機能、まとめ買い割引機能

複数商品のセット販売は、客単価を上げるための有効な施策の一つです。お酒のセット販売では、以下のようなセットが考えられます。

お酒のセット販売の例

・地域別飲み比べセット
・季節限定セット
・味わいお試しセット(辛口、甘口、フルーティー系)
・ギフトセット
・ホームパーティーセット
・お花見セット

利用シーンに合わせたセット商品を提供することで、お酒を買い慣れないユーザーが商品を選びやすくなったり、日頃決まったお酒しか買わないというユーザーも新規開拓のお試しで利用しやすくなったりするなど、幅広いユーザーをフォローできます。

また、まとめ買い割引サービスとして、例えば「対象商品を3点以上購入すると500円OFF」といった商品を用意することで、お酒好きのユーザーの客単価アップが期待できます。

お酒のECサイトを構築する際は、ECシステムでセット販売機能やまとめ買い割引機能が提供されているかどうかを必ず確認し、例えばインターファクトリーのECプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」のように最初から機能が実装されているECシステムを採用するようにしましょう。

参考:
EBISUMART サポートサイト│商品新規登録(セット商品登録)
EBISUMART サポートサイト│まとめ買い割引機能特集

ポイント③ ギフト機能

ギフト需要も多いお酒のECサイトでは、ラッピングの要不要、熨斗(のし)の有無、メッセージカードを添えるかどうか、送り先の複数指定、納品書の送付先などを選択できるようにするなど、実店舗と同レベルのギフト対応サービスが求められます

またギフト利用では、ギフトを受け取ったユーザーが、自分のギフト用途などでECサイトを利用してくれる可能性があるので、商品と一緒にECサイトのアドレスやSNSの公式アカウントなどの情報を掲載したチラシなどを同梱するようにしましょう。

ECサイトのギフト機能については、関連記事で詳しく解説しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

関連記事:ギフト向けECサイトに必要な5つの機能をECのプロが徹底解説

ポイント④ 定期販売・頒布会

毎月必ず同じ商品を購入するユーザーや、ホームパーティーなどのイベントで新商品や珍しい商品を楽しみたいというユーザーのために、定期販売・頒布会の仕組みを準備しておくようにしましょう。

例えば、1年間、毎月1本ずつ異なる銘柄を届ける「月替りフランスワインコース」の頒布会など、ユーザーに毎月商品を自動的に届けて楽しんでもらえるサービスを用意しておくと、売上を安定させることができます。

定期販売・頒布会については、関連記事で詳しく解説しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

関連記事:
ECでこれから定期販売を始める事業者が押さえるべき5つのポイント
ECで頒布会(はんぷかい)を実施する事業者へプロが徹底解説

ポイント⑤ 特設ページ

お酒などの嗜好品の場合には、ブランドや商品の背景やストーリーを伝えることで、商品の魅力を高めることができます。ですから、蔵元の歴史や造り手の想い、商品の誕生秘話や製造過程などの情報を掲載した特設ページを用意しておきましょう。

特設ページを通じてブランドや商品の世界観をユーザーに伝えることで、ユーザーの愛着や購入意欲を促進できます。実店舗と違いECサイトでは接客の機会がないため、ユーザーに親近感を持ってもらうための工夫が不可欠になります。

ポイント⑥ Amazon Payを導入する

お酒のECサイトの主要ターゲットである30〜50代の男性ユーザーは、Amazonユーザーとも重なるので、日頃からAmazonのサービスをよく利用している可能性があります。また、Amazonは多くのユーザーが利用しているサービスでもあるため、使い慣れたAmazonのサービスでの決済を選べるようにしておくことで、ユーザーの購入時の不安やストレスを軽減し、カゴ落ち率の削減効果が期待できます

またお酒などの嗜好品の購入では、「決まったお店でなくても、欲しい商品を売っているお店があればすぐに購入したい」というモチベーションが他の商品よりも高まりやすいため、ふらりと訪れたECサイトで会員登録やカード情報の入力が不要で商品を購入できるAmazon Payは、非常に相性の良い決済方法なのです。

Amazon Payについては、関連記事で詳しく解説しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

関連記事:2つのID決済「AmazonPay・楽天ペイ」導入前に押さえるべきポイントとは?

ポイント⑦ 年齢確認とアルコール販売の法令対応

お酒のECサイトでは、ユーザーの年齢確認と法律を順守するための対応が必要になります。日本では20歳未満の若者への酒類の販売は法律で禁じられていますから、年齢確認機能は必須機能です。また、商品ページに注意書きを掲載するなど、法令を順守するための機能と、遵守する姿勢を明確に示す対応が必要になります。

お酒のECサイトに必要な5つのマーケティング施策

今回は、お酒のEC運営で求められる5つのマーケティング施策を紹介します。

施策① ブログメディアによるコンテンツマーケティング

ECサイトでは、ユーザーが「どこで自社を知り、どこからECサイトを訪れるのか」という入り口設計が重要になります。

例えば、ある日飲食店でたまたま飲んだ日本酒が大変気に入ったユーザーは、Web検索で下記のキーワードを入力して検索する可能性があります。

◆お酒を検索するときの検索キーワードの例

「チリワイン スッキリ」
「日本酒 辛口」
「ワイン 重め 希少」

そのため、自社サイトのブログ記事やコンテンツにSEO対策を施し、検索結果の上位に表示されるように対策しておくことで、購入意欲が高まっているユーザーとの接点が生まれる可能性があります

検索結果の上位に表示されるWebページでは、商品の味の特徴や相性の良い食事などの情報を掲載したり、ブランドや商品の背景などのストーリーを丁寧に掲載したりすることで、自然な動線で商品ページに誘導できます。

筆者が個人で運営しているお酒のブログがあり、Web検索で「シャルトリューズ 飲み方」と検索すると、筆者のブログ記事が上位に表示されます。

◆筆者のお酒のブログ記事がSEO第7位に表示される

シャルトリューズ飲み方
上図の記事は、筆者が10年ほど前にバーめぐりにはまっていたときに、経験と取材で得たお酒に関する情報を写真付きの記事にしたもので、お酒好きのユーザーの「検索行動(顧客ニーズ)」に合致したために、広告のない個人ブログであるにもかかわらず、人を集めることができているというわけです。

施策② YouTube動画

YouTubeでは、ユーザーが検索しなくても「おすすめの動画」として興味関心に合ったコンテンツが自動で表示されるので、お酒が好きな視聴者に向けた動画を制作・配信することで、ユーザーとの接点を作ることができます。

◆YouTube動画の企画例

「和食によく合う日本酒特集」
「ワイン3種をとことん飲み比べ」
「日本酒ビギナーにおすすめの逸品」

上の例のように、味わいの比較や相性の良い食べもの、知らない商品との出会いなど、知識欲が満たされやすく、視聴者の興味関心が高まっている状態で視聴されるような企画であれば、自然な流れで商品を紹介することができます

また、ブランドや商品の背景、製造工程のこだわりといったストーリーを伝える手段としても動画は非常に優れています。ストーリーを映像で伝えることでイメージを共有できるため、共感を得やすくなります。また、動画の概要欄にECサイトのリンクを設置しておくことでECサイトへの導線を作ることができます。「お酒好きが新しい情報や商品と出会う場所」としてYouTubeをうまく活用していくことで、ブランドのファンを増やしていくことが可能になります

ただし、動画の場合は他のメディアに比べて高いクオリティが求められますので、サムネイルの作成や動画編集はプロに依頼したほうが良いでしょう。動画の制作費用を捻出することが難しいのであれば、通常の動画より予算と工数をかなり抑えて制作できるショート動画を試してみてはいかがでしょうか。

ショート動画では、若い世代向けの商品の紹介から始めることをおすすめします。なぜなら、現在ショート動画をよく視聴するのは若い世代が多いからです。筆者の考えでは、将来的には幅広い世代がショート動画を好んで見るようになるのではないかと考えており、今のうちに試しておくと良いのではないかと思っています。

施策③ Amazonや楽天市場でのマルチチャネル施策

自社のECサイトだけでなく、Amazonや楽天市場などのECモールにも出店することで幅広い層にリーチできる可能が高くなります。ユーザーの中には「絶対に楽天市場でしか買わない」というような、決まった場所での買い物をしたいと考える人が一定数いるもので、実は筆者も買い物はほとんどAmazonで済ませたいタイプです。Amazonも楽天市場も膨大なユーザーを擁するサービスなので、こうした決まった店を好むユーザーと出会うためには、複数のECモールに出店するほうが高い効果を望めます。

ECモールを「初回接点」とし、2回目以降の接点をより利益率の高い自社ECサイトで作れるように、SEO対策やSNS施策など、複数の施策を組み合わせて展開していくことが安定したEC運営のためにも重要になります。

施策④ 実店舗とECサイトの連携施策

お酒などの嗜好品は、感動体験後すぐに次の購買行動につながることも多いため、実店舗や観光地などへの出店でのユーザーとの出会いは、EC誘導の最大のチャンスでもあります

例えば、旅行で訪れた蔵元やお酒の専門店で商品を試飲または購入して飲んだユーザーが「このお酒、おいしい!」と感じた瞬間に、ECサイトの存在を伝えて誘導することができれば、再購入の可能性はぐんと上がります。

実店舗や出店先で配布するチラシやショップカードにQRコードを掲載したり、張り紙や口頭で「ECサイトでも購入できますよ」と伝えたりすることを徹底するだけでも効果を感じることができるはずです。旅行先で手荷物を増やしたくないという人も多いので、「ECなら自宅に直接届けられますよ」という提案は、購入の後押しとなるでしょう。

このように、実店舗での出会いをECに引き継ぐことでリピート率の向上やファンの育成も期待できるようになります。

施策⑤ ユーザーニーズに適した商品やサービスの企画

お酒の楽しみ方も多様化しているため、ユーザーのライフスタイルに合わせた商品を企画することが大切です。例えば、コロナ禍以降、定番化してきた「家飲み」や「オンライン飲み会」に適したセット商品や、「ホームパーティー」などの特別なイベントを盛り上げる商品やサービスなどのシーン提案型の商品やサービスは、ユーザーに響きやすく商品購入のきっかけになります

さらに、「ホームパーティーにおすすめのお酒」や「家飲みをもっと楽しむコツ」といった企画した商品やサービスに関連した内容のブログ記事やYouTube動画を制作・配信することで、Web検索や動画検索経由の新規流入も狙えるようになります

まとめ

お酒のECサイトを開設する場合は、ユーザーニーズと法規制を十分に理解した上で、ECシステムの機能とマーケティングの両面で戦略的な設計が必要になります。

お酒のECサイトでは、多種多様な商品の中から欲しい商品を見つけやすくするためにフィルター機能や商品カテゴリ機能を用いて導線を確保し、ギフトや定期販売・頒布会などの日常利用以外のニーズに対応するための機能を実装する必要があります。お酒のECでは、マーケティング戦略と適切な取り組み次第で、幅広いユーザー層にリーチできる可能性が広がります。

お酒のECサイトの構築をご検討されている方は、インターファクトリーのクラウドECプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」がおすすめです。EBISUMARTは、お酒の販売に必要なEC機能を完全実装しており、外部連携やカスタマイズにも柔軟に対応できます

ECサイトの構築事例やサービスの詳細は下記の公式サイトをご覧ください。

EBISUMART(エビスマート)公式サイト


セミナー情報

ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。