「SDGs」(持続可能な開発目標)は、2030年までに持続可能でより良い世界を実現するために達成すべき、17のゴールと169のターゲットで構成された国際目標です。目標には、貧困や不平等の解消、環境保護、経済成長の促進などが含まれており、世界中が協力し合い解決すべき課題にフォーカスしています。
各国、業界、企業が、SDGsの達成に向けた取り組みを進めており、EC業界も例外ではありません。
EC事業者が今すぐ実践できるSDGsの取り組みとして、次の7つが挙げられます。
◆EC事業者が行うべき「SDGs」の7つの取り組み
② エコ梱包の実施
③ 配送日時指定で再配達率を下げる
④ 返品商品のリサイクル
⑤ 製品ライフサイクルの情報開示
⑥ 廃棄物の削減
⑦ カーボンオフセットの利用
これら7つは、ほとんどのEC事業者がすぐに取り組めるので、実施していない項目があれば、ぜひ一度検討してみてください。
この記事では、インターファクトリーでWebマーケティングを担当する筆者が、ECで今すぐ始められる「SDGs」の7つの取り組みを紹介します。
EC事業者のSDGs事例「ZOZOTOWN」
まず、EC事業者のSDGsの好事例として、「ZOZOTOWN」の取り組みを紹介します。
ZOZOTOWNの運営元である株式会社ZOZOは、2021年に「ファッションでつなぐ、サステナブルな未来へ。」というサステナビリティステートメントを発表し、ファッション分野におけるSDGsのための取り組みを積極的に行っています。
同社の重点取り組みの一つである「顧客がサステナブルなファッションを選択できる顧客体験の提供」を実現するための施策では、Webメディア「elove by ZOZO」を開設し、ブランドや業界団体のインタビュー記事やファッションに関するサステナブル情報を発信しています。
◆elove by ZOZO
引用(画像):ZOZOTOWN「elove(えらぶ)」
同じく重点取り組みである「廃棄ゼロを目指す受注生産プラットフォームの構築」では、古着販売プラットフォーム「ZOZOUSED」や「買い替え割」という下取りサービスを通じて、循環型の消費活動を促進することで、年間700万点以上の古着を再流通させるなどして、大量生産・大量廃棄の課題に取り組んでいます。
また、受注生産を支援するプラットフォーム「Made by ZOZO」を立ち上げ、アパレル業界特有の過剰在庫の問題の解決に向けた取り組みにも挑戦しています。
さらに、2030年までのカーボンニュートラル実現を目指し、本社ビルや物流拠点での再生可能エネルギーの導入も進めています。
同社は、千葉市教育委員会と連携して市内の小中学校を中心に「出前授業」を2020年から実施しており、地域社会との連携を深めながら、次世代の環境意識を高める教育を推進・支援しています。また、スコープ3削減の一環として、サプライチェーン全体のCO₂排出削減に加え、家庭での衣類ケアに伴う環境負荷の削減も視野に入れた取り組みも行うなど、ファッションとサステナビリティの両立を図っています。
参考:日経ESG「ZOZO、ファッションで持続可能な未来をつくる」(2023年2月27日掲載)
ECですぐに始められるSDGsの7つの取り組み
それでは、ECですぐに始められるSDGsの7つの取り組みを、一つずつ紹介していきます。
① メール便の利用
メール便は、小型荷物を届け先のポストに投函して配達を完了するサービスで、日本郵便やヤマト運輸、佐川急便などの宅配業者が提供しています。郵便受けに入るくらい軽量なので配送時の環境負荷を軽減できるとともに、対面受け取りにおける手間がかからないため配送効率の向上にも寄与します。
例えば、本や雑誌、CD、文房具などのコンパクトな商品を販売しているEC事業者は、積極的に利用すべきでしょう。
◆メール便の利用効果
・再配達が発生しないため配送車の稼働時間が減り、CO₂の排出を抑制できる
実際にメール便の利用を開始する場合には、必ず商品ページにメール便での配送となる旨を明記し、ユーザーが一目で分かるようにしておきましょう。
② エコ梱包を利用する
エコ梱包は、再生紙やバイオマス素材を使った梱包材の使用、簡易包装など、環境負荷の軽減に有効な梱包方法です。
ゴミの量を減らしてCO₂排出量の削減につながるエコ梱包は、積極的に利用していくべきですが、その場合は、購入時に「エコ梱包」か「通常梱包」かをユーザー自身が選択できるようにしておくと良いでしょう。
③ 配送日時指定で再配達率を下げる
ECサイトで商品購入時に配送日時を指定できるようにして再配達率を下げることで、配達コストと配達時のCO₂排出量の削減につながります。
具体的には、ECサイトでユーザーが配送希望日時を選択できるようにして、配送伝票にその情報を出力します。実装方法についての詳細は、自社のECプラットフォームのベンダーに相談してみてください。
④ 返品商品のリサイクル
返品商品のリサイクルは持続可能な事業を実現するための軸となる取り組みの一つです。返品された商品を廃棄や過剰在庫として処理するのではなく、リサイクルするなどして資源を有効活用することで環境への負荷を軽減します。
以下は、循環型経済とCO₂排出の削減に貢献するための取り組み例です。
◆再販可能な商品のクリーニング
◆リサイクルや寄付
◆リユースマーケットへの転売
⑤ 製品ライフサイクルの情報開示
製品ライフサイクルの情報を開示することで、消費者が環境に配慮した選択をできるよう支援することができます。製品の製造から使用、廃棄までの環境への影響を明らかにすることが、持続可能な消費を促進します。
以下は、製品ライフサイクルの情報開示の取り組み例です。
◆製造プロセスの情報開示
◆製品使用時の省エネ性能や耐久性の表示
◆廃棄・リサイクル方法の案内
消費者が製品購入時にサステナブルな選択ができるようにすることで、社会全体の環境への意識向上と負荷軽減の行動につながり、責任ある消費と生産の実現に寄与できます。
⑥ 廃棄物の削減
廃棄物の削減は持続可能な社会を実現するための基本的かつ重要な取り組みとなります。エコ梱包の利用や在庫の最適化などを通して廃棄物を削減することが、資源の無駄遣いをなくすことにつながります。以下は、廃棄物を削減するための効果的な取り組み例です。
◆エコ梱包の推進
◆在庫管理の適正化
事業における廃棄物の発生を最小限に抑えるための取り組みを通じて、SDGsの目標12の「つくる責任、つかう責任」を果たしていきましょう。
⑦ カーボンオフセットの利用
「カーボンオフセット」は、自らの企業活動でどうしても避けることができず排出された二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスを、他の場所での排出削減活動や森林保護などのプロジェクトに投資することで埋め合わせる概念です。
国内のカーボンオフセットでは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度である「J-クレジット制度」があります。
カーボンオフセットはCO₂排出削減における合理的な取り組みの一つですから、ぜひ利用を検討してみてください。
J-クレジット制度の詳細は、下記の公式ホームページでご確認ください。
SDGsの取り組みをECサイトにも明示しよう
ECサイトにSDGsの自社の取り組みを掲載して、SDGsに対する企業姿勢を積極的に伝えていくことが重要です。企業の社会的責任を示すことは、環境や社会への配慮に関心のあるユーザーからの信頼を高めることにもつながります。
環境への配慮、労働環境の改善、リサイクルや再利用の推進など、企業がどのようなアプローチでSDGsに貢献しているかを明示することで、消費者は商品購入を通じて社会貢献への参加を選択できるようになります。
まとめ
今回紹介したSDGsの取り組みの多くは、ほとんどのEC事業者がすぐにできるものばかりなので、今すぐ実践可能なものを検討して始めてみましょう。
例えば、配送日時指定の仕組みや在庫の適正化による廃棄物の削減の取り組みなど、ECサイトでSDGsのための取り組みを進める際は、インターファクトリーのECプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」のご利用をおすすめします。
ebisumartは、企業個別の業務フローにも柔軟に対応できるカスタマイズ可能なプラットフォームです。ぜひ下記の公式サイトをご確認の上、お気軽にご相談ください。
公式サイト:「ebisumart(エビスマート)」