EC担当者必見!ECに在庫連携を実装するための3つの方法


複数の販売チャネルを持つ企業のEC担当者の中には、自社ECサイトと、実店舗、あるいは他のECサイトやECモール店舗などとの間で、商品の在庫情報を効率的に連携できるようにしたい、と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

企業の持つすべての販売チャネルの在庫情報を一元管理することで、効率よく在庫切れや過剰在庫の発生を抑えて機会損失を防ぐことができるようになり、利益と顧客満足度が向上します。

また、リアルタイムの自動連携を実装することで在庫管理を適正化できるため、業務の効率化と事業全体の最適化も可能になります。

自社ECに在庫連携機能を実装する方法として、以下の3つがあります。

◆自社ECに在庫連携機能を実装するための3つの方法

① SaaS型の在庫管理サービスを利用する
② 自社ECシステムに在庫連携機能を実装する
③ 大手ECモールのフルフィルメントサービスを利用する

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、自社ECサイトと他の販売チャネルの在庫連携機能の実装方法を解説します。

自社ECに在庫連携機能を実装する3つの方法

ECで在庫を効率的に管理して機会ロスや過剰在庫のリスクを低減するためには、複数の販売チャネルの在庫情報を一元管理するために、リアルタイムの在庫連携が求められます。本記事では、自社ECに在庫連携機能を導入するための3つの方法を紹介します。

在庫連携機能の3つの実装方法とそれぞれの特徴

SaaS型の在庫管理サービスを利用する 自社ECシステムに在庫連携機能を実装する 大手ECモールのフルフィルメントサービスを利用する
コスト 利用サービスによって異なるが、②と比べて低コストで導入できる 開発規模によって異なるが、ほとんどの場合、非常に高くなる サービス利用料金が必要
メリット 短期間で導入でき、標準的な在庫管理機能を利用できる 個別のカスタマイズや機能追加が可能で、自由度が高い 商品の保管・在庫管理から発送までの一連の業務を委託でき、大手ECモールの高品質なサービスを自社サービスとして提供できる
デメリット 個別のカスタマイズや機能追加ができない 導入までに時間を要し、開発コストも高い 特定のECモールへの依存が強まる

それでは一つずつ見ていきましょう。

SaaS型の在庫管理サービスを利用する

ほとんどのSaaS型在庫管理サービスには、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピング、Qoo10などの大手ECモールとの在庫連携機能が用意されているので、低コストかつ短期間で在庫連携機能を実装できます。

在庫管理サービスを利用することで、在庫情報をリアルタイムで更新・連携できるため全体最適の在庫管理が可能になり、機会損失を防ぐことができます。

近年はさまざまなサービスが登場していますが、月額数万円程度で利用できるサービスもあります。規模と予算に合わせて選択できることも魅力の一つとなり、多くの企業でこの方法が採用されています。

ただし、在庫管理サービスの標準機能やオプション機能では自社の要件を満たせず、個別機能のアドオンや大規模なカスタマイズが必要となる場合には、ASPの在庫管理サービスでは対応できません。そのため、次の②の方法で、要件を満たす機能を実装する必要があります。

自社ECシステムに在庫連携機能を実装する

自社ECシステムに新たに在庫連携機能を実装する方法です。

現在利用している、あるいは新たに採用するECプラットフォームの標準機能にも「在庫管理機能」が搭載されているケースもありますが、EC内の在庫情報を管理するための基本的な機能であることが多く、外部システムやECモールとの連携機能は備えていません

シンプルな在庫連携の場合には、①のSaaS型の在庫連携サービスと自社ECシステムを連携させれば良いのですが、個別機能のアドオンや大規模なカスタマイズが求められる場合には、独自の在庫管理機能の開発が不可欠となります。

その場合、自社ECシステムは以下の3種類の中のいずれかの方法で構築されている(あるいは、構築する)必要があります。

◆カスタマイズが可能な3種類のECシステム

・パッケージやオープンソースを利用して構築したシステム
・フルスクラッチで開発・構築したシステム
・カスタマイズが可能なSaaS型サービスを利用して構築したシステム

上記の3つのいずれかで構築されたECシステムであれば任意のカスタマイズが可能ですが、新たに在庫連携機能を開発・実装する場合、初期費用だけで数百万円以上かかりコストがかさむため、十分な予算と体力のない企業では難しいでしょう。

開発と保守・運用コストをできるだけ抑えて業務を効率化するために、固有の機能がなければ本当に業務が回らないのかどうかを事前に見極めた上で、現在の業務フローを、SaaS型の在庫連携サービスの機能を軸とした業務フローへと変更できないか検討することをおすすめします。

大手ECモールのフルフィルメントサービスを利用する

大手ECモールが提供しているフルフィルメントサービスを利用することでも、在庫連携を実現できます。

例えば、ZOZOが提供している自社ECの支援サービスの「Fulfillment by ZOZO」を利用すると、ZOZOの倉庫で在庫の保管から商品の発送までの業務を代行してもらうことができ、「自社EC」「ZOZOTOWN店舗」「実店舗」の3種類の販売チャネル間の在庫連携も実現できます。また、ZOZOTOWN店舗用のささげ業務の代行メニューもあり、その中で作成されたZOZO品質のコンテンツを、自社ECに自動連携させることも可能です。

Fulfillment by ZOZOを利用することで、設備費用や在庫管理コストの削減、在庫管理の最適化、業務効率の向上などが期待できる上、大手ECモールのZOZO品質のEC運用が可能になるため、ZOZOTOWN店舗と自社ECを運用している企業にとって、強力な支援サービスと言えるでしょう。

「Fulfillment by ZOZO」のサービスや料金などの詳細は、以下の公式サイトで確認してみてください。

参考:「Fulfillment by ZOZO」公式サイト│国内最大級ファッションECの物流プラットフォームを自社ECでも

在庫連携を実現することによる5つのメリット

ここまでお話ししてきたように、自社ECと他の販売チャネルの在庫連携機能を導入することで、業務効率を大幅に向上できます。その結果、お客様への対応も改善されやすくなることから、顧客満足度の向上にもつなげることができます。

自社ECと他の販売チャネルの在庫連携機能を導入することで、以下の5つのメリットを得ることができます。

メリット① 在庫情報がリアルタイムで更新できる

複数の販売チャネルの在庫情報をリアルタイムで共有し合えるため、ECサイト上には常に正確な在庫状況が表示されます。そのため、「注文が完了したのに、実は在庫がなかった」といったトラブルもなくなり、ユーザーに不要なストレスを与える状況を削減することができます

ECサイトでは、固定客を増やすことで売上を安定させることも重要な課題となりますので、ストレスのない買い物体験を提供することで、ユーザーの満足度を維持することも大切なのです。

メリット② 「在庫切れ」や「過剰在庫」を防ぐことができる

在庫情報を自動連携することで、ECシステムの情報もリアルタイムで更新されるため、正確な在庫数に沿って受発注が行えます。「在庫切れ」や「過剰在庫」などに起因する機会損失とコストの増加を防ぎ、適正な在庫管理が可能になります。

また、複数の販売チャネルの在庫情報を一元管理することで、事業全体で在庫の適正化を図れるようになります。

メリット③ より付加価値の高いEC業務にチャレンジできる

在庫情報を自動連携すると手作業でデータを入力する必要がなくなります。そのため、人為的なミスの発生機会を削減できて、業務を効率的に進められるようになります。

従来はデータの入力や修正作業に追われていた時間を使って、マーケティングやデータ分析など、より付加価値の高いEC業務を戦略的に行えるようになります。

メリット④ 他チャネル間や販売チャネルごとで戦略を効率よく遂行できる

複数の販売チャネルの在庫情報を自動連携して一元管理することで、販売機会ロスが減り、効率的に店舗を運営できるようになります。

例えば、ECサイトと実店舗を運営している場合には、店舗に在庫がない場合にも、店頭でタブレットを使ってECサイトの在庫を確認し、そのまま注文手続きを終えることも可能になるなど、オムニチャネルを実現できるようになるのです。

メリット⑤ 顧客満足度の低下リスクを減らせる

いつでも正確な在庫情報を確認できるため、注文完了後に「売り切れ」や「入荷待ち」だったということもなく、スムーズに商品を購入することができます。小さなストレスであったとしてもそれらが積み重なることで、ユーザーの信頼と満足度は低下します。

5つの在庫連携サービス

最後に、SaaS型在庫連携サービスを5つ紹介します。以下は、サービスごとの特徴をざっくりまとめた表です。各サービスの詳細は提供会社の公式サイトでご確認ください。

◆5つの在庫連携サービスの特徴

サービス名 特徴 提供会社
① zaiko Robot 複数のネットショップ間の在庫数を24時間365日自動で連携できる。在庫管理の手間やミスを低減して売り越しリスクを抑えられる ハングリード株式会社
② ネクストエンジン 受注処理、在庫連携、商品の一括登録などの複数のネットショップ運営を自動化できる。サポートサービスの顧客満足度も極めて高い Hamee株式会社
③ eシェルパモール2.0 複数のネットショップの受注、在庫、商品、販売、顧客情報を一元管理できる。標準機能に加え、カスタマイズや外部システムとの連携にも対応している 株式会社スクロール360
④ CAM MACS(キャムマックス) 中小企業向けのオムニチャネル対応ERP。受注から発送、財務会計までを一元管理できる。データ入力コストを削減し、業務効率化や在庫の適正化を支援 株式会社キャム
⑤ TEMPOSTAR(テンポスター) 楽天市場やAmazonなど複数のECモールと自社ECの受注、在庫、商品情報を一元管理できる。SaaS型であるがカスタマイズ対応が可能なので、事業規模の変動にも柔軟に対応できる SAVAWAY株式会社

参考:「ebisumart」公式サイト│提携サービス

上記の5つのサービスは、すべてインターファクトリーのSaaS型ECプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」の提携サービスです。

在庫連携だけではなく商品情報管理も必要

在庫連携機能を導入する際は、商品情報管理機能の導入も一緒に検討しましょう

商品情報を一元管理することで、誤入力を減らすことができ、商品管理業務の負担を軽減できます。また、複数の販売チャネルで商品を展開している場合には、チャネル全体で一貫性のある情報を提供するために、在庫連携機能と商品情報管理機能が不可欠になります。

商品情報管理については、下記の関連記事で詳しく説明しています。興味のある方はぜひご覧ください。

関連記事:商品担当者が「PIM(ピム)」を10分で理解するプロの徹底解説

まとめ

ECサイトと他の販売チャネルとの在庫連携を実装する場合には、まずはSaaS型の在庫連携サービスを利用できないかどうかを検討するようにしましょう。

大規模ECやBtoB-ECなど、既成の在庫連携ツールでは要件を満たせない場合は、スクラッチやパッケージなどで構築したECシステム、あるいは、外部システム連携や在庫連携にも柔軟に対応できるECプラットフォームサービスを利用して構築したECシステムに機能追加またはカスタマイズを加えて実装する必要があります。

インターファクトリーの「ebisumart(エビスマート)」は柔軟かつ拡張性の高いクラウド型ECプラットフォームで、大規模で複雑な在庫連携も実現できます。EC全般の業務効率化に関する豊富な実績と多彩なメニューで、お客様の理想のECサイトの構築と運営を支援します。

ebisumartのサービス内容や企業の導入事例についての詳細は、下記の公式サイトをご覧ください。

公式サイト:「ebisumart(エビスマート)


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。