クイックオーダー(一括注文)とは品番と数量の入力で注文できる方法


クイックオーダー(一括注文)は、商品番号と数量を入力するだけで商品を簡単に注文できるシステムです。通常の注文システムでは名前やカテゴリで商品を検索してカートに入れていきますが、クイックオーダーでは商品検索の手順を省略できるため、簡便かつ迅速に注文することができます。特に、BtoBで複数の商品を注文する場合などに重宝される機能です。

クイックオーダーの運用方式には以下の3種類があります。

◆クイックオーダーの3種類の運用方式

① フォーム入力方式
② スプレッドシートアップロード方式
③ 代理注文方式

いずれの方式にもメリットとデメリットがありますが、現在、BtoB向けECサイトのクイックオーダーで多く使用されているのは、①②の方式です。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、クイックオーダーについて詳しく解説します。

クイックオーダー(一括注文)の3種類の運用方式

クイックオーダー(一括注文)は、以下の3種類の方式で実現することができます。

クイックオーダーの3方式の特徴とメリット/デメリット

運用方式 特徴 メリット/デメリット
① フォーム入力方式 注文主が、ECサイトの専用フォームに品番と数量を入力する ・シンプルなUIで使いやすい
・単品注文にも適している
・大量注文がしづらい
② スプレッドシートアップロード方式 注文主が、専用のスプレッドシートに品番と数量を入力して、アップロードする。アップロードファイルの形式はCSVが多い ・大量注文に適している
・単品注文には適さない
・スプレッドシートの入力に慣れが必要
③ 代理入力方式 注文主から電話やFAX、電子メール等を受けて、販売店側が代理で注文内容を入力する(データ入力は①②のいずれかの方式で行う) ・電話・FAX・口頭注文に対応可能
・販売店側の負荷が高い

出典:筆者の経験に基づき独自に作成

まず、ECサイトでの通常の注文手順をおさらいしましょう。

◆ECサイトでの通常の注文手順

① カテゴリを選択(あるいは商品検索)
② 商品を選択
③ 数量を入力
④ 注文を確定

多くの商品を取り扱っているECサイトなどでは特に、商品を特定して選択するまで(①②)で、時間を取られがちです。

クイックオーダーでは、商品番号さえ分かれば直接カートに入れることができるため、複数の商品を購入する場合にはとても便利です。

それでは、先ほど紹介したクイックオーダーの3種類の実現方式を一つずつ解説していきます。

① フォーム入力方式

ECサイトに一括注文専用の入力フォームを用意して、商品番号と数量を入力するだけで注文票が作成できます商品画面で商品を選択する必要がないため、一度に複数の商品を注文する場合に大変便利です。

一括注文専用フォームの例

一括注文フォーム

引用(画像):EBISUMARTサポートサイト「商品一括投入

この方式のデメリットは、入力フォームが複数画面にわたったり、入力行が足りなくなったりするほどの大量注文の場合は、複数回に分けて注文しなければならないなど、使い勝手が悪くなる点です。

② スプレッドシートアップロード方式

指定のスプレッドシートに商品番号と数量を入力し、ファイルアップロード画面でスプレッドシートをアップロードする方式です。

スプレッドシートアップロード方式の例

(図中の「1.」~「3.」の手順で実行する)

一括注文フォームの操作方法

引用(画像):EBISUMARTサポートサイト「商品一括投入

この方式のデメリットは、スプレッドシートの誤入力や破損などによりアップロードが失敗するリスクが高い点です。そのため、スプレッドシートをアップロードする際にデータチェック機能を実装したり、スプレッドシートを正しく作成するためのマニュアル等を用意したりする必要があります。

③ 代理入力方式

方式①②のいずれかの機能を使って、注文主に代わって販売店側で注文手続きを行う方式です。ECシステムに慣れていない、または、アクセスすることができないユーザー向けの手段となるため、電話やFAXなどによるアナログ注文のデジタル化と受発注の一元管理を目的として採用されるケースもあります。

この方式のデメリットは、注文主から電話やFAX、電子メールなどで届いた注文を販売店のスタッフがECシステムに登録することになるので、販売店側の負荷が高くなる点です。

自社のBtoB向けECサイトにクイックオーダーを実装する3つの方法

BtoB向けECサイトにクイックオーダー機能を実装する方法は以下の3つです。

クイックオーダー機能をECサイトに実装する3つの方法

実装方法 備考 費用感
① BtoB向けECプラットフォームサービスの機能を利用する サービスの標準機能を利用する 追加費用は0円
② ECプラットフォームに機能を追加する カスタマイズで実装する。カスタマイズ不可のSaaS/ASP型サービスでは対応できない 〈カスタマイズ費用〉
100万円程度が目安
③ BtoB向けECプラットフォームを新規構築する SaaS/ASPを利用すると簡単かつ短期間で導入できる。
カスタマイズ要件がある場合には、パッケージやスクラッチで構築する必要がある
〈導入費用〉
SaaS/ASPの利用:10万円~
パッケージやスクラッチによる新規開発:数千万円~

出典:筆者の経験に基づき独自に作成

すでに、BtoB向けECプラットフォームサービスを利用している場合には、サービスで提供されている標準機能やオプション機能を利用できます。通常のECプラットフォームを運用している場合には、追加機能の開発やカスタマイズが必要です。

機能追加が可能なプラットフォームは、自社構築(スクラッチ/パッケージ)の場合か、カスタマイズが可能なSaaS/ASP型サービスを利用している場合に限定されます。

これからBtoB向けECサイトを新規構築する場合はASP型のサービスを利用することで費用を抑えることができます。ただし、標準機能やカスタマイズで個別の要件を満たせない場合には自社構築が必須となるため莫大な費用が必要になります。

取引先ごとにスプレッドシートの様式を変える必要がある場合

スプレッドシートアップロード方式では、以下のような要件がよくあがります。

◆スプレッドシートアップロード方式の要件

・複数の取引先ごとに異なるフォーマットのスプレッドシートをアップロードできるようにしたい

この場合には、ASPサービスの標準機能では対応できないため、次のいずれかの方法で実現する必要があります

◆2つの実現方法

方法① 追加機能を開発する
方法② 取引先から提供されるファイルを、担当者が手作業で指定フォーマットに整形してアップロードをする

対象となる取引先企業数にもよりますが、機能追加の費用対効果の低さから、方法②で対応するケースが多いです。数が少ないとはいえ作業負荷があがってしまうため、新規導入時に統一フォーマットの使用を徹底できるように働きかけるべきです。

スプレッドシートに入力する料金は税抜き/税込みのどちらにすべき?

通常は、スプレッドシートは税抜き価格で作成し、アップロード後にECサイトの画面に表示する際には税込み価格が表示される仕様になっていることが多いです。

余談となりますが、商品価格の表示方式は、内税表示の場合は税込み価格、外税表示の場合は税抜き価格となります。新たにECサイトを構築する際には、自社の方針やルールを確認しておきましょう

クイックオーダーが重宝される3つの業界

今回はBtoB向けECのクイックオーダーについて紹介しましたが、例えば次の3つの業界でもクイックオーダーが採用されています。

① 医療・医薬品業界

医療機関や薬局では医薬品や医療用品を定期的に補充する必要があるため、品番と数量の入力だけで、簡単に素早く注文できるクイックオーダーが業務効率化に役立っています

② 飲食業界

飲食業界では決まった食材を定期的に注文することが多いため、クイックオーダーで簡単に発注できる点で重宝されています

③ 建築・建設業界

建築・建設業界の現場では、工具や資材、部品を頻繁に大量注文するケースが多いため、決まった品番と数量を入力するだけで注文できるクイックオーダーは相性の良いシステムです。

現場で簡単に処理ができるアナログ注文の需要が根強くある業界ですが、モバイル端末とうまく組み合わせて、現場で手軽に入力できるようにすることで、デジタル化が一気に促進されるでしょう

まとめ

クイックオーダーを実現するための3つの方式のうち、「方式①入力フォーム方式」や「方式②スプレッドシートアップロード方式」の機能は、安価なASP型のBtoB向けECシステムでも提供されている場合が多いでしょう。

ただし、「複数の取引先に個別のスプレッドシートを使用したい」など独自のオペレーションに対応させる必要がある場合には、ASP型のサービスでは対応できないため、フルカスタマイズが可能なクラウド型のサービスを選定する必要があります。

インターファクトリーの「EBISUMART(エビスマート)」は、フルカスタマイズが可能なクラウド型のECプラットフォームで、BtoB向けEC構築の豊富な実績を有しています。詳しくは、以下の公式サイトでご確認のうえ、お気軽にお問い合わせください。

公式サイト:EBISUMART│BtoB向けECサイト構築・導入


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。