受発注システムに移行すべき3つの理由を解説


取引先と電話やFAX、メールなどで受発注のやりとりをしている担当者の中には、

「上司からWebにできないのかと言われたが、導入するメリットが分からない」
「取引先がWebへの移行を受け入れてくれるか不安」
「そもそもどのように受発注をWebに移行すれば良いのか?」

と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

取引先にWebの受発注システムを使ってもらうには、取引先にメリットを感じてもらうことが重要です。また、個人のユーザー向けのECサイトと、法人である取引先が利用する受発注システムでは、考慮すべきポイントも異なります

この記事では、インターファクトリーでマーケティングの部署に所属する筆者が、受発注システムをWebに移行するメリットと、受発注システムを利用する側の取引先のメリットをそれぞれ解説します。

受発注システムをWebに移行する3つのメリット

移行するメリット①業務効率化

まず、受発注システムをWebに移行する最大のメリットは、業務効率化です。

今でもメールやFAXで注文を受けている企業は多いため、特に休日明けの月曜日などは、FAXの束を確認して、受注情報を基幹システムに手動で入力しなければならず、効率的とは言えません。

Webシステムに移行することで、受注情報の入力だけでなく、付帯業務まで含めた業務効率化が可能です。例えば廃盤になった商品はWebでは注文できなくなるので、取引先が誤って注文してしまうことも防ぐことができます。

◆効率化できる業務(例)

・受注情報の入力
・価格や納期、在庫の問い合わせ対応
・FAXの文字が判読しづらいため電話で確認
・廃盤の商品を指定されたため、後継品を案内
・欠品中のため、個別に納期調整
・注文請書を都度発行し、FAXやメールで送信

上記は全て、Webの受発注システムがなければ基幹システムを都度参照し、個別対応をする必要があった業務です。しかし基幹システムと受発注システムを連携させることで、あらかじめ受発注システム側に在庫や納期、価格等の情報を持たせることが可能になります。

取引先からWebで発注いただき、その受注情報を基幹システムに連携することで、受注情報の入力以外の付帯業務についても、効率化する事が可能となります。

移行するメリット②顧客接点の獲得

売上が多い得意先であれば、定期的に営業担当者が訪問しているケースも多いと思いますが、遠方の取引先や売上が少ない層へは、あまり営業工数を掛けられないケースが多いのではないでしょうか。

また紙のカタログを発行している場合は、コスト的に全ての取引先へ配布できないということもあるかと思います。しかし自分たちの商品を相手に知らせる手段がないと、当然ながら購買の機会は失われてしまいます。

このように営業担当者があまりリーチできていない取引先にこそ、受発注システムを利用して定期的な情報発信をすることで、最低限のコストで顧客接点を得ることが可能となります。

◆遠方や売上が少ない層への情報発信(例)

・1年に1回、決まった商品を買う顧客に「毎年お買い上げいただいているこちらの商品ですが、今年もいかがでしょうか」とメールで案内する

・過去に購入した商品と類似、もしくは上位となる新商品が発売されたときに、興味がありそうな顧客にまとめてメールで案内する

もちろん上記の情報発信は、Webの受発注システムがなくても、営業担当者がフォローすることは可能です。しかし現実的には人手不足などの問題で、フォローできていないという企業が多いのではないでしょうか

「受発注システムは単なる受注を受け付けるツール」と捉えるのではなく、「Webを使ったコミュニケーションツール」として捉えて活用していくことが重要です。

移行するメリット③マーケティング観点

Webの特性として、顧客の購買履歴や行動履歴を元に、さまざまな視点で分析ができるという点があります。

◆アクセス解析(例)

・アクセスは多いがCVが少ない
→興味は持たれているが売れていないので、売価を下げてみる
・アクセスは少ないがCVが多い
→実は隠れた売れ筋商品である可能性が高いので、目立つところに表示することでさらなる売上拡大が見込まれる

◆RFM分析(例)

・累計購入回数と累計購入金額が多い得意先だが、最終購入日から半年間購入がない
→他社で購入している可能性があるので、特別セールを開催する
・3か月サイクルで交換が必要な消耗品を複数回連続で購入しており、前回購入日から2か月半が経過している
→買い替え時期が近いので、購買機会を逃さないために、追加購入を促すメールを配信する

上記のような分析は、基幹システムでも全くできないというわけではありませんが、基幹システムは安定した硬いシステムであることが多いので、フレキシブルな分析には向いていないケースがほとんどです。

その点、Webの受発注システムは購買データを蓄積するものなので、分析の結果から売上向上に向けた施策を柔軟に打つことができるようになります。例えば、BtoB向けのMAツールを導入することで、顧客接点から、One to Oneマーケティングを実現することもでき、このようにデジタル化することでWEBマーケティングにおいて大きな恩恵を受けることができるのです。

受発注システムを利用する取引先の3つのメリット

取引先のメリット①詳細な情報がすぐ得られる

当たり前のことと思うかもしれませんが、取引先はスピード感を求めています。例えば在庫を知りたいだけなのに、都度営業担当者に問い合わせをし、電話がつながらなかった場合は折り返しを待って、というケースが発生すると取引先は面倒に感じます。

最悪の場合、すぐに回答できた他社に発注してしまうかもしれません。Webの受発注システムであれば、いますぐに在庫が確保できるのか、納期はいつなのかという取引先の疑問を即時解消することができます。

また、Webならではの検索性を生かし、詳細な商品情報を得ることも可能です。商品の特性やスペック、画像等、紙のカタログとは比べものにならないくらいのスピードで多くの情報を得ることができます。

それによって、取引先ごとの課題や、用途から商品を探ることもできるので、非指名買いも生まれやすいと言えます。

取引先のメリット②売れる商品の情報が得られる

多くの取引先は、新しい商品を提案してほしいというニーズを抱えています。特に卸売業では、エンドユーザーに売れる商品を知りたいというニーズが大きいです。

しかし、現実的には全ての顧客に営業担当者がアプローチをすることは難しいでしょう。さらに顧客属性によって売れ筋商品は変わってくるので、画一的に案内することもできず、かなりの工数を要します

Webの受発注システムなら、市場でトレンドの商品や、いま売れている商材等の情報を簡単に得ることができるようになります。このようにマーケティング機能を活用し、購買履歴からクロスセルを提案することで、売上拡大も期待できるでしょう。

また、経営陣がこのような情報をタイムリーに得られることで、経営にも活かすことができるので、結果として、会社全体の経営効率が良くなるのです。

取引先のメリット③土日祝日でも発注が確定できる

路面店などの場合、土日祝日は店頭に顧客が増えるため、商品を発注するケースも多いでしょう。しかし仕入れ元のメーカーが休みの場合、発注が確定できず、せっかくの購買機会を逃してしまう可能性もあります。

受発注システムを使えば、基幹システムの在庫や納期などの情報が連携されているため、土日祝日でもその場で発注を確定させることができるのです。

また、土日に受発注ができることを、取引先以外にもアピールすることができるので、会員を増やし売上を増やすことにもつながるのです。

アカウント発行単位は取引先と相談して決める

Webの受発注システムを導入しようとするとき、多くの企業が最初につまずく問題が、「アカウントの発行単位」です。

ほとんどの場合、以下の2つから選択することになるでしょう。

◆アカウント発行単位

それぞれの方法について解説します。

①取引先1社につき、1アカウントを発行

筆者の経験では、8割強の企業が選ぶのが「1社につき1アカウント」の方法です。運営側の企業からすればアカウント管理も簡単なため、選択するケースが多いでしょう。

しかし取引先1社につき1アカウントの場合、複数人でアカウントを利用することになるので、取引先の社内では、誰が発注したか記録に残らないという課題があります。また、アカウントを複数人で使うことに関しても、セキュリティの観点からあまり好ましい状態とは言えません

もし、取引先から意図しない発注があった場合の原因特定も難しくなりますし、取引先だけではなく、自社もキャンセル手続きの費用負担や負荷がかかってしまうことになるからです。

②発注担当者1人につき、1アカウントを発行

「1社につき1アカウント」の課題を解決するために、「1人につき1アカウント」の方法を取り入れている企業もあるでしょう。

しかし、この方法ではアカウント管理が煩雑になります。発注担当者1人につき1アカウントの場合、新しい発注担当者が増えたり、退職者が出る度に、受発注システムの運営側にアカウントの発行や削除の申請をする必要があり、取引先側も手間が増えてしまいます。

このように、「①1社につき1アカウント」「②1人につき1アカウント」のどちらもメリットとデメリットがあります。また、取引先の企業規模によっても適した方法は異なるので、運営側で安易に判断するのではなく、上記のメリットやデメリットを取引先に説明した上で、相談しながら決める方がお互いに使いやすい受発注システムを実現させることができるでしょう。

また、弊社のクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」では、①②両方の課題を解決するために取引先1社につき、親となるアカウントを1つ発行する機能があります。

親会員は子会員のアカウントを発行したり削除したりすることができるため、取引先の社内で①②どちらの運用にするかを選択することができます。

参考:得意先管理(ebisumartサポートサイト)

法人である以上組織であることを考慮する

受発注システムに限らず、企業間取引のシステムを導入する場合、取引先である法人は組織であるということを考えなくてはなりません

アカウントを発行する際に、安易に「1社につき1アカウント」の方法を選択してしまうというケースも、この当たり前のことをつい忘れてしまっているから起きてしまうことであると考えられます。

組織という視点を持つと、取引先が大手企業の場合、支社があるのではないか、東京の本社と関西の支社では請求先が異なるのではないか、ということが考えられます。

企業間取引のシステムを導入する際の一番の課題は、取引先にそのシステムを使ってもらえるかという点です。

例えば、ある企業には複数の発注担当者がおり、会社全体でいま何をどのくらい注文しているのか、注残がどのくらいあるのかを横断して知りたい、というニーズはよくあります。他にも担当者によっては発注はさせずに受注情報の確認だけができるように権限を設定したいというニーズも多いです。

運営側の業務効率化ばかりに気を取られるのではなく、取引先の事情を考慮し、いかに役割や組織に応じて使いやすいシステムにできるかが重要です。

やはり個人のユーザー向けのECサイトのように、取引先を「個」として捉えてしまい、1社に1アカウントを発行すれば良いと安易に考えてしまっているケースが目立ちます。今一度立ち止まって、組織の実態に合わせ、取引先にとって必要なアカウントを発行できる仕組みや、各担当者の役割に応じた権限を設定できる仕組みなどを実装することで、取引先にとって使いやすいシステムを実現することが重要であることを忘れないようにしましょう。

まとめ

受発注システムにどんなに優れた機能を実装していても、 結局は利用する取引先に使いにくいと判断されてしまえば、使ってもらえないシステムになってしまいます

そのため売上が多い得意先から、その企業の固有の商習慣の都合で、受発注システムに改修を求められる場面も少なからず発生するでしょう。そのようなときにカスタマイズができないASPシステムを利用していると、取引先の要望に応えられず、システムを使っていただくことができなくなってしまうかもしれません

こういった個社ごとの機能を流動的に変えていきたい場合には、カスタマイズができるシステムを選択しておくと、対応がしやすくなります。またクラウドシステムであれば、セキュリティ面も常に最新の状態に保つことが可能です。

これから受発注システムの構築やリニューアルを検討している企業、担当者の方は、カスタマイズ可能なクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」も、他社とあわせてご検討ください。

よりBtoB向けの機能について知りたい方は、ぜひこちらの資料をご覧ください。

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ABOUT US
首藤 沙央里
2019年9月、株式会社インターファクトリーに入社。 マーケティングチームにてオウンドメディア運用を担当し、年間40本以上の記事を掲載。 社内広報、採用広報に加え、EC業界やクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」についての情報発信も行う。