越境ECの消費税はどうなる?還付の仕組みから海外税制まで解説

越境ECに取り組もうと考えているビジネス担当者や個人ユーザーの皆さん、輸出先が海外だからといって消費税の厳しい仕組みに悩まされるのではと不安に感じることはありませんか。

この記事では、越境ECではそもそも消費税がなぜかからないのかを解説し、仕入れ時に払った消費税をどうやって取り戻すのか、さらに海外で求められる税金の対応までを整理しています。

ぜひ最後までお読みください。

越境ECの基本:なぜ海外への販売は「消費税」がかからないのか?

越境ECでの商品販売において、日本の消費税が適用されないのは、これが「輸出取引」に該当するためです。

消費税は国内消費に対する課税であり、日本国内での消費が行われない場合は非課税となります。この仕組みは、販売者にとって価格面での競争力を高める要素となり、グローバル市場への参入を後押しします。

① 「輸出免税」の仕組みと対象となる取引

「輸出免税」とは、日本から海外に商品が渡る際に、その取引に消費税がかからない制度です。

​対象となるのは、商品の譲渡や無形資産の提供など、多岐にわたります。たとえば、ソフトウェアの販売がこれに該当します。免税が適用されるためには、輸出許可証や契約書、インボイスなどの書類を適切に整備することが重要です。

​また、運送に関しては、国際運送業者の領収証や輸送控えも求められることがあります。書類不備があれば免税が認められなくなるおそれもあるため、注意が必要です。

② 日本の消費税(10%)が免除されるための条件

日本の消費税が免除されるためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。

​まず第一に、取引は「輸出取引」であることが求められます。これを証明するためには、輸出許可書や契約書、インボイスなどの文書を適切に整備することが必要です。

また、原則課税方式の選択も、免税適用には欠かせません。これにより、輸出先でのさらなる経済的メリットが期待できます。

③ 注意海外の購入者(エンドユーザー)には現地の税金がかかるケースも

越境ECでは、日本の消費税が適用されないという利点がありますが、忘れてはいけない点が、海外のエンドユーザーにはその国の税制に基づく税金がかかることです。

​たとえば、EUでは「VAT(付加価値税)」が課税されることが一般的です。この税金は商品代金や送料にも適用され、ユーザーが負担します。同様に、アメリカの多くの州では売上税が追加されることがあります。

これらの現地税金については、ユーザーに事前に詳細を説明し、後からの不意な負担を避ける配慮が求められます。この情報提供によって、期待外れなコストに対する不満を防ぎ、ユーザーとの良好な関係を構築することが可能です。

「消費税還付」でキャッシュフローを改善する方法

越境ECでは、売上には消費税がかからない一方で、仕入れに含まれる消費税の還付を受けることで、資金繰りを改善できます。

この仕組みを正しく理解すれば、利益率を高めるアイデアにもなります。

① 消費税還付とは?仕入れにかかった消費税が「戻ってくる」仕組み

仕入れ時に支払った消費税は、販売の際に課税されなければ戻ってくる仕組みです。

​越境ECでは輸出免税により売上側で消費税は課されない代わりに、仕入れで支払った消費税が控除され、還付の対象になります。国内での消費に課税される消費税を、輸出品には課さないという国際的な原則に基づく制度です。

​結果として、仕入段階で負担した消費税分が資金として戻り、キャッシュの流れを助けてくれます。

② 還付を受けられるのは「課税事業者」のみ!免税事業者との違い

消費税還付を受けるには、消費税の課税事業者であることが必須です。基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者、または課税事業者を選択した事業者に限られます。

​免税事業者のままでは、そもそも納税義務が免除されているため還付も受けられません。また、原則課税方式を選んでいる必要があります。簡易課税方式を選んでいる場合も還付は対象外になるので注意が必要です

③ 具体的な還付手続きの流れと、確定申告時の注意点

還付の手続きは、まず課税事業者としての届出を税務署に提出し、原則課税方式を採用します。そのうえで、年間の売上・仕入データを整理し、消費税確定申告書とともに「還付申告」に必要な書類(付表など)を添えて税務署に提出します。

​申告後、還付金は通常1~2か月ほどで振り込まれますが、e‑Taxを使うとより早く受け取れることがあります。書類の記録は必ず保管し、不備がないよう丁寧に準備することが重要です。

輸出免税に必要な「3つの証明書類」

輸出免税を適用するには、越境ECで海外へ販売した事実を的確に示す書類が不可欠です。

​国税庁も、輸出取引に対応する輸出許可書や郵便・通関の記録などの保存を求めています。

① 国際郵便(EMSなど)や国際宅配便(クーリエ)の「発送控え・受領証」

国際郵便やクーリエ経由で海外へ発送した取引では、「発送伝票の控え」「引受けを証する書類」、あるいは「受領証(依頼主控え)」などを証明資料として保存する必要があります。

​例えばEMSなどを用いる場合、日本郵便が提示する発送控えなどが該当します。これにより、実際に輸出が行われた事実を明示できます。

なお、FOB価格20万円以下の小包やEMSでも、引受けを示す書類が求められます

② 購入者との取引が証明できる「インボイス(仕切書)」や「注文確定メール」

購入者との取引が明らかになる書類も不可欠です。具体的には、商業インボイス(仕切書)や注文確定のメールといった内容が記された記録を使用します。

​これにより、誰に、いつ、何を販売したかが明確になり、輸出取引であることをしっかり裏付けられます。取引内容や日時が曖昧にならないよう、取引時点で確定した記録をきちんと残しましょう。

③ 帳簿への記載と「書類保存義務」

さらに、輸出免税の適用を受けるためには、取引内容を帳簿へ正確に記載し、関連する書類を7年間保存する必要があります。

​具体的には、品名・数量・価格・輸出許可年月日などを含む帳簿と、発送控えやインボイスなどの証憑書類をセットで保存します。国税庁もこれを義務として定めており、税務調査時にも重要な証明となります。

主要国の「海外現地税制」事情

越境ECを進めるなら、販売先国の税制事情は外せません。主要市場であるアメリカ、EU、中国では、制度の違いによって事業戦略が変わることもあります。

各国とも越境ECへの対応が進化中で、免税枠や手続きの簡便さ、優遇税制などには注目すべきポイントがあります。

① アメリカ:州ごとに異なる「売上税(Sales Tax)」

アメリカでは、関税・消費税ではなく主に「売上税(Sales Tax)」が課されます。州ごとに税率が異なるため、販売先で消費者に課税されるケースや、EC事業者が徴収・納税義務を負う場合がある点に注意が必要です。

​さらに、小口輸出に関しては「デミニミス制度」があり、商品価格800米ドル以下では関税も売上税も免除されるため、BtoC越境ECには特にメリットがあります。品目によっては例外もあるため、対象商品の確認が重要です 。

② EU:低額物品にも一律課税される「付加価値税(VAT)」と「IOSS」

EUでは、越境ECにも標準的に「VAT」がかかります。低価格品でもVATを必ず申告・納付しなければならず、未登録だと消費者が通関時に支払う仕組みで「カゴ落ち」のリスクもあります。

​そこで導入されたのが「IOSS」という制度で、150ユーロ以下の輸入商品を販売する際に、事業者があらかじめVATをまとめて申告・納税できます。

これにより消費者も事業者も手続きが簡単になり、購入体験の改善にもつながります。

③ 中国:個人向けの「行郵税」と企業向けの「越境EC総合税」

中国では、通販など個人向け輸入に対して適用されてきたのが「行郵税(こうゆうぜい)」です。これは関税などが一体となった税金で、商品のカテゴリに応じて13%〜50%の税率が課されます。

一方で、近年主流となっている現地倉庫や保税区を活用するモデルには、「越境EC総合税」という優遇税制が適用されます。この制度を利用すると、1回あたり・1年あたりの取引限度額内であれば「関税は0%」、さらに「増値税・消費税が一般の70%に減免」されるという大きなコストメリットがあります。

中国市場へ進出する際は、自社が採用する配送方式によって適用される税制が大きく変わるため、事前に現地の最新ルールを整理しておくことが重要です。

まとめ

越境ECを通じた日本からの海外販売では、販売する段階では消費税が免除される「輸出免税」が適用され、表示価格には国内消費税を含めずに済みます。その一方で、商品の仕入れや広告などにかかった消費税については、「課税事業者」で「原則課税方式」を採用していれば還付を受けられる可能性があります。ただし、免税事業者や簡易課税を選択している場合は対象外となる点に注意が必要です。

さらに、世界各国では越境ECに対する税制度が多様化しており、EUではVAT/IOSS、中国では行郵税など、それぞれ異なる運用が進んでいます。関税や現地税制の負担・徴収義務は、EC事業者の販売国や物流方式によって変化しますので、進出先ごとの税制理解や対応が重要です。

変化の激しい国際物流や各国の税制に対応し、スムーズな自動出荷・在庫連携を実現するためには、プラットフォーム選びも非常に重要です。

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ABOUT US
首藤 沙央里
2019年9月、株式会社インターファクトリーに入社。 マーケティングチームにてオウンドメディア運用を担当し、年間40本以上の記事を掲載。 社内広報、採用広報に加え、EC業界やクラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART」についての情報発信も行う。