ネットショップの運営は、適切な在庫のコントロールが重要となります。余剰在庫は経営負担、在庫切れは機会損失となり、売上に直結しやすいため、以下の5点に気を付けることが重要になります。
・料金体系や機能が自社に相応しいものか
・自社が展開しているショッピングモールやカートに連携しているか
・サポート体制は整っているか
・セキュリティ対策は万全か
本記事では、代表的な在庫管理システムや選び方などについて解説していきますので、この5点を踏まえた上で、自社にぴったりのサービスを見つけてください。
目次
① ネットショップで在庫管理が必要な理由とは?
② ネットショップの在庫を管理する3つの方法
③ 代表的な在庫管理システム7選
④ 在庫管理システムの5つの選び方
ネットショップで在庫管理が必要な理由とは?
ネットショップで在庫管理を行う主な目的は、以下の4つです。
① 商品の在庫切れを防ぐ
在庫管理の目的の一つが、商品の在庫切れを防ぐことです。
商品の在庫切れが続くとどうでしょうか。ユーザーが自社のネットショップを訪れてくれても、欲しい商品が在庫切れとなれば、本来売れるはずだった商品が売れず、ユーザーは他のネットショップに流れてしまいかねません。在庫切れが頻発すれば、ショップの評価の低下にもつながります。
適切な在庫管理によってストックを常に把握し、販売機会の損失とならないようにしたいところです。人気商品などは特に売上に影響するため、ニーズに合わせた在庫数を確保できるようにしておきましょう。
② 商品とショップの質を保つ
在庫管理を実施することで、商品とショップの質を保持することにつながります。
先に在庫切れの話をしましたが、逆に在庫が多すぎても長期保管による品質の劣化を招く可能性があります。特に、賞味期限のある食品や経年劣化しやすい商品が売れ残ってしまうと、最悪の場合処分しなくてはならなくなるかもしれません。
在庫管理を適切に行うことで、保管している時間が短縮され、品質低下のリスクを回避することができます。商品の品質が良ければ顧客満足につながり、その結果ショップの評価を上げることにもつながるでしょう。
③ 余剰在庫を防ぐ
余剰在庫を防ぐことも、在庫管理の理由の一つです。
有形商材を扱うため、ネットショップの在庫管理には倉庫が必要です。売れない商品の長期保管により、特に季節ごとに変わるアパレル品や、随時モデルチェンジしていく化粧品やおもちゃといった商品の商品価値が落ちてしまうことも考えられます。そうなると、セール品としての販売や処分となり、経営負担につながってしまいます。
また、余剰在庫があることでほかの商品を置く場所が圧迫されてしまったり、棚卸しの効率に影響したりして、業務の負担を増やしてしまう可能性もあるでしょう。
④ 商品の売れる時期を把握する
在庫管理をすることで、リアルタイムで消費者のニーズを理解することに役立ちます。
データに基づき、時期にあわせて人気商品や売れ筋の商品は多く仕入れ、ニーズが低い商品は少なく仕入れることで、余剰在庫や欠品による損失を防ぐことができます。
つまり、顧客のニーズに合わせた商品展開をすることで、販売での収益を上げることができます。
ネットショップの在庫を管理する3つの方法
ネットショップの在庫を管理する主な方法として、次の3つを紹介します。メリット・デメリットもあわせて見ていきましょう。
① 自分で在庫管理を行う(おすすめ度:△)
最も基本的なものが、エクセルなどで在庫管理表を作成して、自分で在庫管理する方法です。
自分で在庫管理を行うメリット
自分で在庫管理を行う場合、システムを外注するよりもコストを抑えられる点が最大のメリットです。特にエクセルの操作に慣れている人にとっては導入しやすいでしょう。
自分で在庫管理を行うデメリット
自分で在庫管理を行う場合のデメリットは、人件費のコストが増加する場合がある点や、リアルタイムでの在庫数の確認が難しい点、手入力によるヒューマンエラーなどのリスクなどが挙げられます。
取扱商品数が少なかったり、規模が小さかったりする場合は、自分で在庫管理を行う方が効率的なケースもあるかもしれません。ただし、商品数が多く、規模が大きいショップの場合は、システムを導入しデジタル化した方が、メリットが大きくなるでしょう。
② 在庫管理システムの導入(おすすめ度:○)
2つ目の方法は、在庫管理システムの導入です。在庫管理システムとは、受注や商品登録、発注・仕入れ数などを管理できるシステムです。Web上で在庫数をいつでも確認できるほか、複数のネットショップにある在庫の管理を一元化することもできます。
在庫管理システムを導入するメリット
在庫管理システム導入の具体的なメリットは、在庫一元管理による業務効率化、リアルタイムでの在庫数を確認・共有できること、人件費の削減が期待できることなどが挙げられます。また、システム化によって入力ミスなどのヒューマンエラーを減らせる可能性もあります。
在庫管理システムを導入するデメリット
在庫管理システム導入のデメリットは、まず導入費用や月額費用といったコストがかかる点です。また、在庫管理をデジタル化する過程では、システムの操作方法を覚えたり、導入時のバーコード貼り付け作業が発生したりと、一時的に業務負担が大きくなることも懸念点です。
また、BtoBでの倉庫管理については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
③ 在庫管理をアウトソーシングサービスに依頼する(おすすめ度:△)
3つ目は、アウトソーシングサービスを活用する方法です。商品数やショップの規模が大きくなってくると、作業量も増え、自社で管理しきれなくなってくる可能性があります。しかし、スタッフを雇うと人件費が増加してしまいます。
そこで、在庫管理をまるごと専門サービスに任せると、作業量を減らすことができ、人件費の削減が期待できます。そして、空いたリソースを売上向上のためのマーケティング戦略などにあてることもできます。
アウトソーシングサービスには、小規模なショップでも対応可能なものも存在するため、ショップの規模を問わず利用を検討してみるとよいでしょう。
在庫管理をアウトソーシングサービスに依頼するメリット
具体的なメリットとしては、人件費を削減できることや、コア業務に時間と労力を割けることが挙げられます。商品の入れ替え作業を実施してくれたり、繁忙期と閑散期も柔軟に対応してくれたりするなど、手厚いサポートが受けられる点が魅力です。
在庫管理をアウトソーシングサービスに依頼するデメリット
外部サービスに依頼するうえで懸念材料となるのが、自社のノウハウや企業機密漏えいのリスクです。自社に合ったアウトソーシング業者を見極めるのが難しいうえ、利用料金もかかります。さらに、自社に在庫管理のノウハウが蓄積されないこともデメリットの一つといえるでしょう。
在庫管理システムやアウトソーシングサービスは、利用するシステムやプランにより、機能や料金が異なります。次の項目で記載する選び方のポイントやサービスの詳細を参考に、比較検討されることをおすすめします。
代表的な在庫管理システム7選
在庫管理システムの種類が多く、どれを選んでいいか分からない方も多いでしょう。この記事では、ネットショップにおすすめの代表的な在庫管理システムを7つ紹介します。
① zaiko Robot
「zaiko Robot」は、ハングリード株式会社が提供する在庫管理システムです。他店舗展開しているネットショップ間の在庫を24時間365日、自動で連動することができます。ネットショップだけでなく、実店舗との在庫連動も可能です。
業界最速の在庫反映スピードで、更新間隔オプションを利用すれば最短1分で在庫連動できることが特徴。販売機会を逃さず、売り越しのリスクを減らせます。シンプルかつ分かりやすい画面設計でサポートも手厚いため、誰でも簡単に使いこなせます。
定額制で、商品点数が500以下であれば1,500円から利用でき、料金システムが明快でスモールスタートしやすいこともメリット。また、20日の無料トライアルでは全機能を利用することができます。
◆主なサービス内容
・POS連携
・基幹システム連携(API、FTP)
・スマートフォンからの在庫管理など
◆料金
初期費用(1ショップあたり):30,000円
月額費用(1ショップあたり):1,500円~
・プレミアムプラン
初期費用:100,000円
月額費用:50,000円
・20日間の無料トライアルあり
参考:zaiko Robot
② ネクストエンジン
「ネクストエンジン」は、Hamee 株式会社が提供する在庫管理システムです。受注から在庫の管理、データ分析などの機能を網羅しており、複数のショッピングモールの注文を1つの画面で一括管理できます。契約社数5,000社以上で、導入実績業界No.1のシステムです。
対応ショッピングモール・カートは業界最多の48種類となっており、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなど複数のネットショップやショッピングモールに対応しています。幅広い商品数や事業規模に対応可能であり、導入店舗の成長率は平均186%(※)となっています。
現場から生まれた機能を200以上搭載しており、アプリによるカスタマイズや追加も可能です。市場が変化してもシステムを変更する必要がないので、本格的なネットショップの運営に向いています。
◆主なサービス内容
・決済サービス連携
・送り状発行システム連携
・倉庫連携
・POS連携
・メール送信など
◆料金
・基本料金:月額3,000円~
・従量課金単価(受注1件あたり):5円~35円
・年間保守費用(契約から1年経過時より):15,000円
・アプリ利用料:有料アプリを利用する場合の利用料
・30日間の無料トライアルあり
参考:ネクストエンジン
③ eシェルパモール2.0
「eシェルパモール2.0」は株式会社スクロール360が提供する在庫管理システムで、受注、在庫、商品、販売、顧客情報を一元管理することができます。ASPでテレワークに対応しているほか、電話やFAXにも標準対応しています。
ネットショップに必要な機能をワンストップで提供しており、事業の成長に合わせたさまざまなカスタマイズが可能。30年の通販実績を持ち、300社以上の中・大規模システムの開発ノウハウが豊富です。
月額費用は受注定額課金と商品課金の合計となっており、半固定課金のため毎月の変動が少ない点もメリット。ショップ数も無制限で利用できます。
◆主なサービス内容
・受注管理用販売データ自動作成
・セット商品ページの作成
・POS連携
・基幹システム連携
・倉庫システム連携など
◆料金
・月額費用(受注定額課金+商品課金):44,000円~
参考:eシェルパモール2.0
④ クラウドK テレビ通販オプション
「クラウドK テレビ通販オプション」は、FutureRays株式会社が提供する在庫管理システム「クラウドK」のソリューションのうち、テレビ・ラジオ通販などに対応しているプランです。
基幹システムをリアルタイムで連携し、放送直後の急激な注文増加に対応できることが特徴。テレビ通販だけでなく、定期販売やサブスクリプションにも対応しています。
標準仕様でAPI連携が可能で、販売可能数管理、受注時引当、最短発送可能日表示、企画サブ(放送日マスタ)など、テレビ通販に必要な機能を多数搭載しています。
◆主なサービス内容
・受注時引き当て
・関連商品オファー
・販売可能数管理
・WMS連携など
◆料金
・月額費用(1端末あたり):10,000円
・保守サポート費用(オプションでの対応):個別相談
⑤ CAM MACS
「CAM MACS(キャムマックス)」は、株式会社キャムが提供する中小企業のためのERPシステムです。受注から発送、財務会計まであらゆるデータを一元管理でき、オムニチャネルにも対応しています。
ネットショップ、卸、実店舗など、全てのチャネルの受注を一つの画面で管理することが可能。クラウドサービスのためテレワークに最適で、セキュリティ面も強固です。
サポート・保守費用込みで月額費用70,000円から利用できるハードルの低さも特徴。中小企業でも気軽にERPを導入することができます。
◆主なサービス内容
・購買管理
・生産管理
・在庫管理
・財務会計
・API連携など
◆料金
・月額費用(基本料金+ライセンス利用料)
基本料金:50,000円
ライセンス利用料(1ライセンスあたり):20,000円
・60日間の無料トライアルあり
参考:CAM MACS
⑥ TEMPOSTAR
「TEMPOSTAR」は、SAVAWAY株式会社が提供する在庫管理システムです。ASPサービスであり、クラウド上で一元管理できるため、いつでもどこでも情報を確認することができます。Yahoo!ショッピングやヤフオク!、Amazon、楽天市場などはもちろん、独自のネットショップなどにも対応しています。
ASPでありながら拡張性に優れており、運用状況にあわせた柔軟なカスタマイズが可能です。実店舗の在庫情報と連携できるほか、物流、伝票、決済の外部サービスとも多数連携することができます。
初期費用は無料で、低価格で利用できるのも魅力です。新機能を随時更新しており、ショッピングモールやショッピングカートの仕様変更にも対応できます。セキュリティ体制やサポート機能も充実しています。
◆主なサービス内容
・在庫管理
・商品管理
・メール送信
・送り状発行システム連携
・外部連携など
◆料金
・月額費用(商品課金+受注課金):10,000円~
・受注課金は定額プランと従量プランから選択可能
・申し込み月は無料
・30日間の無料トライアルあり
参考:TEMPOSTAR
⑦ GoQSystem
「GoQSystem」は、株式会社GoQSystemが提供する通販業務の一元管理システムです。多店舗展開しているネットショップ受注処理をまとめて自動化でき、在庫管理だけでなく商品管理や売上管理も行えます。
初期設定が簡単で、楽天の旧RMSを元にしたデザインで操作がしやすいことが特徴。メールや電話、チャットなどサポート体制が充実しており、LINEによる土日の緊急対応も行っています。
月額定額制なので、注文数が増えても同じ料金で利用できる点もメリット。最低利用期間が3か月と短いため、繁忙期のみ利用することも可能です。
◆主なサービス内容
・在庫連携
・商品管理
・物流管理
・売上管理など
◆料金
・月額費用:15,000円~
・20日間の無料トライアルあり
・新規契約のみフリープランあり
参考: GoQSystem
弊社のクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」は、上記すべてのサービスと提携しています。もし興味があれば、弊社のクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」の公式ページもご覧ください。
クラウドコマースプラットフォーム:ebisumartの公式ページ
在庫管理システムの5つの選び方
ここまで7つの代表的なサービスを紹介してきましたが、それらの中から自社に最も適しているサービスを選ぶ際に気を付けてほしいポイントは以下になります。
① 実店舗とネットショップの連携があるか
実店舗を運営しながらネットショップの運営もしている場合、在庫管理システムを導入することで効率化を図ることができます。
業務時間外にネットショップで売れた商品のピッキングや発送作業、それをしながら実店舗の運営をすると負担が大きくなってしまいます。エクセルや手入力で在庫管理するとなれば、なおさらミスも起きやすくなります。
そこで、在庫管理システムで実店舗とネットショップのデータ連携ができれば、業務負担やミスを大幅に軽減することができます。導入を検討する際は、実店舗とネットショップ双方を連携する機能があるかどうかをチェックしておきましょう。
② 料金体系や機能が自社に相応しいものか
在庫管理システムにはさまざまな種類があり、中には食品管理に特化したものや、アパレル業に特化したシステムもあります。
基本的なシステムが共通していても、それぞれの強みや特徴があり、それによりピッキングや伝票処理などの作業効率も変わります。追加料金を払うことで機能をカスタマイズできるものもあり、プランや料金体系もさまざまです。
そのため、自社の物流の特徴やニーズを把握した上で、システムを選択していくことが重要です。
③ 自社が展開しているショッピングモールやカートに連携しているか
在庫管理システムには、楽天市場やYahoo!ショッピングなどの大手ショッピングモールと連携しているものが多くあります。中には複数のショッピングモールと連携でき、一括管理できるものもあります。
自社で利用中のショッピングモールと連携できるシステムを導入することにより、在庫数の管理だけでなく、商品データの変更や、注文番号の管理などを一元管理することができるようになります。また、出品や商品ページの編集もシステム上でできるようになります。それにより、今まで手動で行っていた業務の作業負担を大幅に減らすことができるでしょう。
④ サポート体制は整っているか
在庫管理システムに精通した担当者がいる場合を除いて、基本的にサポート体制が整っているサービスを選定するのがおすすめです。
扱いやすくデザインされたサービスも複数存在しますが、慣れないうちは設定や連携などがうまく行えないことも考えられます。ミスが販売損失やショップ評価の低下につながる可能性もあるので、サポートの有無や問い合わせ先はあらかじめ確認しておくようにしましょう。
⑤ セキュリティ対策は万全か
在庫管理システムで扱うデータには、顧客の情報も含まれています。そのため、顧客情報を保護するセキュリティ対策は万全にしておく必要があります。
特に社内にセキュリティやシステムの担当者がいない場合は、この点を意識することが大切になってきます。どのような対策が実施されているか、どのような環境下で稼働しているかなど、具体的な取り組みを確認するようにしましょう。
まとめ
ネットショップが小規模なうちは手作業で管理できても、事業が成長するにつれて負担は増していくでしょう。そんな時に活躍してくれるのが在庫管理システムです。うまく活用すれば、事業の効率化や売上アップが見込めます。
在庫管理システムを検討する際は、次の5点を意識するのがおすすめです。
・料金体系や機能が自社に相応しいものか
・自社が展開しているショッピングモールやカートに連携しているか
・サポート体制は整っているか
・セキュリティ対策は万全か
在庫管理は、ネットショップの売上を左右する重要な要素の一つです。扱う商品や特定の業界に特化したサービスも存在するので、それぞれの強みや特徴を把握し、自社に合った在庫管理システムを検討しましょう。