1兆円市場の玩具業界のECサイトに必要な5つの機能を徹底解説


一般社団法人日本玩具協会の調査報告によると、2023年度に国内の玩具市場規模が初めて1兆円を超え、過去最高となりました

参考:一般社団法人日本玩具協会|玩具市場規模データ「2023年度の日本の玩具市場規模が初の1兆円超え 前年度比107.1%の1兆193億円で過去最高を更新」(2024年7月9日発表)

玩具市場のEC化率は、コロナ禍の外出自粛の影響で25%程度まで上昇したものの、2022年に入り、実際に外出して体験したいという「リアル回帰」の傾向が強まったことで、EC化率は低下しているようです。

参考:日本ネット経済新聞「日本玩具協会、玩具市場は6.7%増で過去記録 EC化率は低下傾向」(2023年6月15日掲載)

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、玩具市場規模の公開データを読み解くとともに、玩具業界のECで必要な機能について解説します。

2023年度の国内玩具市場規模は初の1兆円超え!

下図は、2003~2023年度の、国内玩具市場規模と15歳未満の人口の推移を示したグラフです。青色の折れ線グラフは15歳以下の人口の推移、オレンジ色の棒グラフは各年度の市場規模を示しています。

◆日本国内の玩具市場規模及び15歳未満人口の推移(2003~2023年度)

日本国内の玩具の市場規模の推移2003年から2023年

引用(グラフ):一般社団法人日本玩具協会|玩具市場規模データ「2023年度の日本の玩具市場規模が初の1兆円超え 前年度比107.1%の1兆193億円で過去最高を更新」(2024年7月9日発表)

上図を見ると、2003年度以降は15歳以下の人口の減少とともに国内の玩具市場規模も縮小していましたが、2014年度に2004年度と同程度に回復した後、2021年度以降に急伸長し、2023年度に国内玩具市場初の1兆円超えを達成しました。

市場が拡大した2014年以降から現在まで15歳以下の人口は減り続けているにもかかわらず、カードゲーム、ホビー、ぬいぐるみ、ミニカー、ハイテク系トレンドトイなどの市場が2023年度に急伸長した要因として、日本玩具協会では次の2つを挙げています。

◆2023年度に国内玩具市場規模が急伸長した2つの要因

・インバウンド層にも人気のある商品分野であること
・ターゲットに、「キダルト層」(キッズ+アダルト=子どもの心を持った大人層)を含めた商品分野であること

これは、国内玩具メーカーが「子どもの人口が減っているのなら、大人にも刺さる商品を開発・販売しよう」と努力した成果であり、また、日本の漫画やアニメは海外でも人気があるため、近年のインバウンド客の増加※に伴い、関連玩具の購入が増えているのでしょう。

※出典:日本経済新聞「24年の訪日外国人、38%増え最多の3450万人 民間試算」(2024年7月16日掲載)

経済産業省の統計データには国内玩具業界のEC化率は示されていませんが、日本玩具協会の報告では、2023年度にEC化率は25%程度まで伸びたものの、現在は低下しているようです。

参考:日本ネット経済新聞「日本玩具協会、玩具市場は6.7%増で過去記録 EC化率は低下傾向」(2023年6月15日掲載)

2023年度の国内物販市場全体の平均EC化率は9.38%ですから、玩具市場がいかに急伸長したかが分かります。ただし、全体の平均EC化率には、店頭購入が好まれる生鮮食品などの業界が含まれているため、注意して読み解く必要があります。

以下は、玩具市場と同様に高単価商品がありギフト利用もある、家電と家具の物販市場の2023年度のEC化率です。

◆家電と家具のEC化率(2023年度)

・生活雑貨・家具・インテリア:31.54%
・家電:42.88%

出典:経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2024年9月発表)

家電市場や家具市場と比べると、玩具業界のEC化率25%という数字はそれほど高くありません。また、コロナ禍以降、玩具市場はEC化率が低下しているということですが、家電市場や家具市場のEC化率は伸びている点にも注目すべきです。

コロナ禍以降、玩具市場のEC化率が低下している理由について、筆者は以下のように推測しています。

◆コロナ禍以降、玩具市場のEC化率が低下している理由(筆者の推測)

・購買行動におけるリアル回帰が進んでいる
・贈答行動における対面需要が回復し、ギフト購入がECから店頭に回帰している

そもそも、日本は小売店舗の利便性が高いため、玩具業界に限らずEC化が進みづらい環境なので、店舗へのリアル回帰の傾向が強まっているのだと考えることができます。また、「家電や家具と比べると、玩具は趣味や嗜好品の側面がより強い商品なので、店舗に足を運んで購入したいという意欲が高いのではないか」と推測することもできます。

とはいえ、玩具業界にとってもECは重要な販売チャネルの一つであることは間違いなく、ECと実店舗のクロスチャネルによってより一層の相乗効果が期待できる市場です。

玩具業界のECで必要な5つの機能

それでは、玩具業界のECで必要な5つの機能を、一つずつ解説します。

機能① ギフト機能

玩具は、誕生日やクリスマスなどのプレゼントとしての需要が高いため、以下のギフト機能の実装が不可欠です。

◆必須のギフト機能

・ラッピングサービスを選択できる
・メッセージカードを作成・同梱できる
・購入者以外の配送先を指定できる

玩具商品は、親から子どもへのプレゼントとしてだけでなく、祖父母や親戚、親の友人など、さまざまな他者がプレゼントとして購入するケースも多く、また近年は、子ども向けだけでなく大人同士のギフト需要も増えているため、シーンに応じて最適なオプションを選択できるギフトサービスを実装しておくと利便性が高まります。

ECのギフト機能については、関連記事で詳しく解説しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

関連記事:ギフト向けECサイトに必要な5つの機能をECのプロが徹底解説

機能② ECモール連携が可能な在庫管理

自社サイトに加え、ユーザーの多いAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECモールに出品・出店するなど、ECを多店舗展開する場合には、すべてのチャネルの在庫情報を統合管理することが重要になります。

販売チャネルごとに個別に在庫管理を行うのは効率が悪く、また、リアルタイムで一元管理していないと在庫切れやチャネル間の在庫差異が発生しやすくなり、販売機会ロスやクレームにつながります。

そのためECの多店舗展開では、複数チャネルの在庫情報を一元化できる在庫管理機能を使用して販売機会の最大化と在庫管理の最適化を実現する必要があります。在庫管理機能は、SaaS型の在庫管理ツールを利用すると、短期間かつ低コストで導入できます。

ECサイトの在庫管理については、関連記事で詳しく解説しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

関連記事:商品管理システムとは企業利益最大化のため導入すべきツール

機能③ セット販売

玩具の場合、単品購入だけでなく、周辺アクセサリーや追加パーツ、コラボアイテムや関連キャラクター商品なども一緒に購入されるケースも少なくありません。そのため、複数商品をひとまとめにして販売するセット販売機能を実装しておくと便利です。

セット販売機能の導入の肝は在庫管理です。例えば、商品Aと商品Bのセット商品を販売する、セット商品購入時に商品Aと商品Bの在庫数をリアルタイムで引き当てることができなければ、商品Aと商品Bの個別購入とセット商品の購入が競合した際に、在庫切れが生じる可能性があります。

こうした事態を避けるために、個別で販売している商品ごとの在庫情報の自動引き当ての仕組みが必要になります。

機能④ 越境EC対応

海外で人気のあるアニメや漫画などに関連した商品も多い玩具業界のECでは、国内だけでなく海外の市場もターゲットとなるため、新しい販路となる越境EC対応は不可欠でしょう。

越境ECに必要な機能を実装する方法はいくつかありますが、例えば、海外転送サービスを利用すると、自社ECサイトにシンプルなスクリプトを埋め込むだけで、越境ECに必要な「多言語化」「海外決済」「海外配送」に対応できます。

ユーザーはECサイトに表示されているバナーをクリックすることで、海外転送サービスを介して商品を購入できます。海外転送サービスでは、EC事業者と海外転送サービス事業者との間で取引が完了するため、EC事業者はリスクを抑えて越境ECを運営できます。

海外転送サービスについては、関連記事で詳しく解説しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

関連記事:越境ECの始め方3つの中で手軽な「海外転送サービス」とは?

機能⑤ 高級商品の延長保証サービス

近年は、大人が自分のために玩具を購入するケースも増えており、数万円もするような高単価商品も販売されていますが、こうした高級玩具の販売では、メーカー保証に加えて延長保証サービスを提供することで、顧客に安心して商品を購入してもらうことができます。

例えば、ロボットなどの精密玩具の販売では、延長保証サービスを選択できるようにしておくことで顧客に安心感を提供でき、購入の後押しとなるとともに、ECサイトに対する信頼度も高まります。

延長保証サービスを開始する場合は、「proteger(プロテジャー)」などのEC専用の延長保証サービスを利用することで、ECサイト側は保険の手続きなどのバックエンド業務を行うことなく、ECで延長保証サービスを提供できるようになります。

ECサイトの延長保証サービスについては、筆者が運営しているブログメディアでも紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

参考:ecAction「家電ECサイトに導入すべき『延長保証サービス』を徹底解説

まとめ

コロナ禍以降、国内玩具市場のEC化率は下がっているものの、今後も玩具業界の重要な販路であることは変わりありません。すでにEC化が進んでいる家電やアパレル業界などでは、販売チャネル間の壁を取り除くオムニチャネル戦略に取り組んでおり、購入予約や返品をはじめとするさまざまなプロセスで、顧客は自分の都合に応じて最適なチャネルを利用できます。

日本の少子高齢化を止めることはできません。玩具業界の企業が生き残るためにはEC化を推進し、実店舗とEC店舗の双方で送客し合うことで販売機会を増やしていくことが重要です。

玩具業界向けECサイトの構築を検討されている方には、インターファクトリーのECプラットフォームの「EBISUMART(エビスマート)」をおすすめします。中大規模向けECに最適なクラウドプラットフォームのEBISUMARTは、システム連携や柔軟なカスタマイズにも対応しています。

サービス詳細、資料請求・お問い合わせ方法は下記の公式サイトをご覧ください

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。