近年、ブランドや商品の理解を深め、ファンになっていただくためにコンテンツページを設けるECサイトが増えています。単一ブランドとは違い、モール型ECサイトでは、複数のブランドを取り扱うため表現方法などに工夫が必要です。
今回は、「“知る人ぞ知る”を知る面白さ」をコンセプトに、京阪百貨店のバイヤーが発掘・企画した商品を自社のECモールで販売している株式会社京阪百貨店のご担当者様に、生産者の思いや商品ストーリーを丁寧に伝える場所にしたいという思いから、新事業として立ち上げたECモールについてお伺いしました。
<お客様プロフィール>
株式会社京阪百貨店
営業本部 営業政策部長 兼
ECプラットフォーム事業部 担当部長
新宅 義秀 様
ECプラットフォーム事業部 部長 兼
営業本部 営業政策部 EC担当
橋本 尚樹 様
百貨店の新たな取り組みとして始めたEC事業
株式会社京阪百貨店 新宅様(以下、新宅様):
当社は、京都・大阪間と滋賀を運行する「京阪電車」を擁する京阪グループに属しており、「京阪百貨店」は大阪府内に5店舗を運営する百貨店です。本店の守口店は開業から38年とグループの小売業の中核を担っております。
アパレルから食品まで多様な商品を販売しておりますが、地域に密着した郊外型の百貨店として、デパ地下と呼ばれる食品売場にある生鮮食品は、テナントを入れず直営で販売を行っております。
実店舗の他に「京阪百貨店オンラインショッピング」を運営しており、お中元・お歳暮やギフトを中心に販売を行っております。
ーECモール「よろずを継ぐもの」を立ち上げたきっかけを教えてください。
株式会社京阪百貨店 橋本様(以下、橋本様):
アフターコロナの生活様式変容による百貨店実店舗の需要減に伴い、売上を補完する新しい施策やサービスを検討していました。その中で京阪グループが行う流通業、レジャー業をはじめとしたバイヤーの商品開拓力に注目しました。百貨店実店舗での販売にはいくつか条件があるため、バイヤーは素晴らしい商品にもかかわらず販売機会が少ない「知る人ぞ知る」商材を抱えておりました。そういった商品をECサイトで販売できないかと考えました。
企画段階では、「京阪百貨店オンラインショッピング」での販売も検討しましたが、百貨店屋号で商品を露出してもサイトの構成や階層上、魅力を伝えきれない可能性があります。それよりも独自性が高い商品を集積し、それぞれのカテゴリのショップとして、商品にまつわるストーリーや魅力を最大限に表現できる場所を作りたいと考えました。
また、取り扱う商品を京阪百貨店の既存のお取引先様の商品に限定せず、特徴のある商品・サービスの販売ができるよう、モール形式としました。
新宅様:
京阪百貨店の実店舗、ECサイトは地域密着型ということもあり、お客様の割合は京阪エリアが80%から90%を占めるのに対し、「よろずを継ぐもの」では関西圏が25%、東京が20%となります。離島や、道の駅の商品がメディアに取り上げられたことで、全国のお客様にご利用いただいております。モール展開を行ったことで、販売エリアが全国へ広がったことは、京阪百貨店にとっても大きなポイントとなりました。
お客様の年齢層も、京阪百貨店は50、60代の女性が主ですが、「よろずを継ぐもの」は30代後半から50代の女性が多い印象です。
▲営業本部 営業政策部長 兼
ECプラットフォーム事業部 担当部長
新宅 義秀 様
ebisumartは価格面と標準機能の豊富さが導入の決め手
橋本様:
モール事業の立ち上げにあたり、複数のシステムを比較検討する中で、ebisumartは比較的安価にモール型のECサイトを構築できることが分かりました。標準機能も多く、価格面と機能面で導入を決定いたしました。
各出店者様にご対応いただく、のしや手提げ袋といったラッピング対応もebisumartの機能で設定することができました。今後は配送オプションのバリエーション拡大、各店舗内でのフリーワード検索など機能を追加していく予定です。
▲ECプラットフォーム事業部 部長 兼
営業本部 営業政策部 EC担当
橋本 尚樹 様
橋本様:
「よろずを継ぐもの」では、情報が溢れる現代において、販売するモノ・コトに関わらず、普段は見落としてしまいがちな「“知る人ぞ知る”もの語り」の数々を、読みものコンテンツや商品を通じて紹介しています。流通量が限定された商品も数多く取り扱っておりますが、希少性だけをお伝えするのではなく、あくまでも生産者様の思いや地域の文化・風習に光を当てた読みものを発信することで商品の魅力や作成までの背景などを訴求していきたいと考えております。
そのため、メインコンテンツである「読み物」では、できる限り商品訴求をせず、社内編集部の独自視点で、お客様にとって「面白い」「役に立つ」と感じた記事を発信しています。
リピーターも増えており、最近では「傘もよう」を展開している傘のコラムの「日本の傘の歴史」というページは大変流入が多くなっています。
▲「日本の傘の歴史」は普段当たり前のように使っている傘にフォーカスし、
豆知識や歴史を紹介している
ーECモール立ち上げ後、周囲の反応はいかがでしょうか。
橋本様:
大手ECモールへ出店すると、どうしても文字数やデザインの制限がありますが、自社で立ち上げた自由度の高い「読み物」のコンテンツは、出店者様や生産者様からも大変良い反応をいただいております。
また、「読み物」のコンテンツはブログを書くイメージで簡単に作成することができますし、それ以外のページもプログラミングの知識を必要とせず、自社内で更新ができるのでスタッフからも好評です。
運営する上での不明点も、サポート担当の方からすぐにご連絡をいただけますし、サポートサイトが網羅的に整備されているので、サポートサイトを見れば解決できるのも助かっています。
今後の展望 ━ 「よろずを継ぐもの」がこだわりの商品との出会いの場所となるように
橋本様:
「よろずを継ぐもの」をオープンして2023年5月末で1年を迎えます。
3月初旬に7店舗目もオープンし、認知度や会員数も順調に拡大しています。
担当者の思いとして今後は、この1年間で培ってきた運営ノウハウを活用し、出店者様への運営サポートに幅を設け、サービス料や手数料などの料率を変えた複数の出店プランをご用意したいと考えています。
新宅様:
作り手のこだわりの商品をより多くご紹介するECモールにできるよう、商品一つ一つのストーリーを丁寧にお伝えするというコンセプトに共感いただける取引先様のご出店数を増やしていきたいです。
京阪百貨店様
お忙しい中 ありがとうございました。
(取材日:2023年3月)
<インタビュアー>
株式会社インターファクトリー
ビジネスディベロップメント部 カスタマーサクセスチーム
武藤 彩(写真左)
大学卒業後、BtoBのアパレルメーカーにてデザイナーとして勤務した後、アパレルECモールの運営会社にて営業部門やディレクション部門のマネージャーを務める。その後大手総合ショッピングモールのファッション部門でECコンサルタントとして従事。ECモールの経験年数は12年以上。
2022年に株式会社インターファクトリー、カスタマーサクセスチームへ参画。
クライアント企業の運用支援、運営コンサルティングを中心に手掛ける。
PROFILE
会社名:株式会社京阪百貨店
本社:大阪府守口市
SITE PROFILE
サイト名:よろずを継ぐもの
https://yorozutsugu.jp/
株式会社京阪百貨店様が運営するECモール「よろずを継ぐもの」です。「“知る人ぞ知る”を知る面白さ」をコンセプトとしており、京阪百貨店のバイヤーが発掘・企画した商品や、京阪グループ内外問わず、サステナブル・ローカル・オリジナル・産地直送などのキーワードを軸にこだわりの商品を販売しています。商品販売の他、記事機能を用いて、トップページにはサイトのコンセプトを表現する読みものエリアを設けています。当サイトはECモールとして運営されており、配送方法やタイムセール、クーポンなどの各機能を出店ショップ単位で登録・編集を行うことができます。
「ebisumart」について
提供会社:株式会社インターファクトリー
「ebisumart」はECパッケージとASPの両システムのメリットを兼ね備えており、常に最新・最適化されたクラウドコマースプラットフォームです。
サイトリニューアルやオムニチャネル、BtoB-ECなど、業界業種問わず累計750サイト以上の構築実績があり、お客様のニーズを迅速に反映しながら、EC事業の成長をお手伝いさせていただきます。