新人EC担当の方へ!ECサイトの「代理店管理機能」とは?


「代理店管理機能」は、BtoB(toB/C)向けECサイトの主要な機能群の一つです。メーカーなどと代理店契約を結んだ代理店が商品を販売するためのEC機能で、メーカーは各代理店に、代理店販売を行うECサイトと、割引率の設定や料金計算、支払いなどの管理機能を提供できます

ECシステムに新しい機能を導入する場合、多くのシステム導入と同様に、小さく始めて定期的に機能追加を行う段階的な導入方法をおすすめします。

特に代理店管理機能は、メーカー(ECサイトの運営元)、販売代理店、エンドユーザーが利用する機能のため、運用開始後にシステムで効率化できるオペレーションや利用者の潜在的な需要が浮き彫りになることも少なくありません。そのため、最初は自社にとって最低限必要な機能を実装して運用を開始し、定期的に代理店のニーズをヒアリングしながら、より効果的な機能を追加していくのがよいでしょう。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、BtoB(toB/C)ECサイトの「代理店管理機能」について説明します。

メーカー、代理店、エンドユーザーの関係性を理解しよう

以下は、ECサイトの代理店管理における相関を示した概要図です。

◆ECサイトの代理店管理における相関図(概要)

上図の例では、メーカーは、代理店とエンドユーザーが使用するECサイト(管理画面や注文画面など)とEC機能を提供し、受注後に商品をエンドユーザーに直接配送します。代理店は、自社の販売活動や販売チャネルを通じて集めた顧客(エンドユーザー)に対し、メーカーが用意したECサイトを介して商品を販売します。

代理店契約では、メーカーは代理店に対して販売手数料(コミッション)を支払う必要があり、一般に1回の注文ごとに契約時に決められた料率に応じたコミッションが発生します。そのため、ECシステムにもコミッションを管理するための機能を組み込む必要があります。

代理店管理機能の5つの主要機能

今回は、ECシステムに実装すべき代理店管理の機能群の中から5つの主要な機能を紹介します。

機能① 代理店向けの管理画面

代理店販売用のECサイト管理画面では、次のような機能を提供します。

◆代理店向けの管理画面で提供される主な機能

・受発注管理
・会員管理
・売上管理
・割引申請
・帳票作成(見積書や注文書など)
・配送状況の参照
・代理店情報管理(自社の企業情報や契約情報など)
・マーケティング関連(メルマガ配信や資料配布などを行うための機能)

WebサイトではUI(ユーザーインターフェース)設計も大切なポイントとなります。管理用サイトも、分かりやすく、使いやすい画面を開発するようにしましょう。

機能② コミッション管理

大規模メーカーにはさまざまな商流があり、契約している代理店も多くなります。代理店ごとに企業の規模や売上高も異なるため、メーカーが代理店に支払うコミッション(販売手数料)の料率も代理店契約ごとに異なるケースが多いです。

販売手数料率は代理店契約情報なので、ECサイト上で当事者以外の情報を閲覧できないようにする必要があります。そのためECサイトの運営元であるメーカーには、ECサイトの権限管理とアクセス制御の徹底運用が求められます。

機能③ 申請・承認ワークフロー

メーカーにとっても商品が売れるのはうれしいことですが、各代理店が勝手に割引販売を行ってしまうと、メーカーの価格やブランド戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。また、メーカーの提示価格での販売を遵守している代理店との間の公平性や信用が損なわれることになります。

とはいえ、代理店としてはキャンペーンや大量注文などで割引販売を行いたい場合もあるので、あらかじめ「代理店は事前に割引販売の申請を行い、メーカーが審査結果を通知する」といった申請・承認ルールを策定し、各代理店に周知しておきましょう

システムを実装する際には、例えば下記のような承認フローの経路と階層を複数設定したいケースなども考慮し、自社と各代理店で必要なワークフローを明確にする必要があります。

◆割引率によって承認階層が異なる場合(例)

・割引率が5%以下の場合、代理店担当者のみが承認
・割引率が10%以下の場合、代理店担当者および部門責任者が承認

実際の取引では、メーカーと代理店の担当者間で、あらかじめ電話やメール等で値引き交渉を行い、成立後に事務的な手続きを行っている場合が多いです。そのため、ECシステムで申請の差し戻しが発生する機会はほとんどないかもしれませんが、事務手続きのデジタル履歴としても役立ちます。

機能④ 帳票出力(見積書や注文書など)

代理店またはエンドユーザーが、見積書や発注書などの帳票を出力するための機能です。帳票機能では、作成者が帳票の発行日や有効期限等を編集できるようにすると、運用時の柔軟性が高まります。

機能⑤ マーケティング関連

代理店の販売活動を支援するための機能です。例えば次のような機能があります。

◆マーケティング関連の主な機能

・メルマガ配信
・資料配布(ダウンロード)
・特設ページの作成/公開
・ブログ
・集計
・簡易アクセス分析/解析

代理店がECサイトを利用している自社の顧客(エンドユーザー)に対し、拡販や分析などのマーケティング活動を行うために必要な機能をECサイトで提供することで、代理店の販売活動を促進、サポートできます。

例えば、アクセス分析(または解析)の簡易機能があれば、エンドユーザーの動向を把握しながら適切なマーケティング活動が可能になります。

また、ブログ機能を利用して情報発信を行うことで、代理店の個性を生かしたプロモーション施策なども実施することができます。マーケティング用ブログは、読者を集めるためのテクニックや継続性も重要になるため運用のハードルが高くなりますが、日記のような体裁のブログなどは、忙しい代理店でも比較的運用しやすいのではないでしょうか。

代理店が販売しやすいECサイトとは?

複数のメーカーのさまざまな商材を取り扱っている代理店も少なくありません。そのため、メーカーにとって、「代理店に、いかに自社商品の販売に注力してもらい、売上を最大化してもらうか」は重要な課題です。

主軸商品として積極的に販売活動をしてもらうためには、商品とサービスの品質はもちろんですが、メーカーに対する代理店の信頼度を高めることも大切になります。

自社の商品に関心が高い代理店などにも協力してもらって定期的にニーズを洗い出し、実現可能な方法を採用していくなど、オペレーションおよびシステムの改善に向けて継続的に取り組んでいきましょう

筆者が以前勤務していたサーバ販売代理店では、メーカーが販売に効果的なLP(ランディングページ)を作成して代理店に提供しており、代理店社内では販売支援の効果だけでなく、メーカーにも対する印象も高かったです。もちろん、商品の良さがあってこそではありますが、代理店の視点に立って支援してくれるメーカーとの仕事では、双方の付加価値が高まるように思います。

メーカーと代理店の双方で配送状況を確認できるようにしよう

最初に示したECサイトの代理店管理における相関図のように、メーカーがエンドユーザーに商品を配送する場合も、代理店が配送状況を確認できるようにしておきましょう。代理店向け管理画面で配送状況を確認できることがベストですが、ECサイトへの実装が難しい場合は、メーカーの配送管理システムのステータスを代理店に通知できるようにするなど、配送情報を共有する方法を検討しましょう

BtoB(toB/C)の場合には、複数回に分けて納品する分納など、細やかな配送管理が必要とされるシーンも多くなります。そのため、代理店担当者が必要に応じて自分で配送状況を確認できるよう、オペレーションとシステムを整備しておきましょう

システム導入はスモールスタートで!

新たに、ECサイトで代理店管理を導入する場合には、はじめは最低限必要な機能に絞って導入すべきでしょう。導入前に必要な機能をすべて洗い出して要件定義を行うことは極めて困難です。実際の運用に合わない仕様の場合にはECサイトとオペレーションが煩雑になりますし、高度な機能であっても誰も使わなければ無駄になってしまいます。結果として、すべての利用者にとって、複雑で使い勝手の悪いECサイトになりかねません

初期導入は小さく始めて、運用後に代理店の要望を取り入れて必要とされる機能を追加していくようにしましょう。

そのためにも、機能追加やカスタマイズにも柔軟に対応できるECプラットフォームを採用することをおすすめします。

BtoB(toB/C)-ECサイトを構築できるECプラットフォームを探している方は、インターファクトリーが提供する「ebisumart(エビスマート)」もぜひ検討してみてください。スタマイズ可能なクラウド型サービスなので、導入後の機能追加にも柔軟に対応できます。

よりBtoB向けの機能について知りたい方は、ぜひこちらの資料をご覧ください。

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。