近年、コストをあまりかけずにネットショップを開業できるサービスが続々と登場しており、ネットショップを開業するハードルは下がっています。とはいえ、ネットショップを開業している事業者の中には、
「補助金と助成金の違いが分からない」
「補助金を活用したいけれど、どれを選べばよいか分からない」
「補助金を申請してから支給までの期間が早いものを選びたい」
「補助金を申請するタイミングを知りたい」
といった悩みや疑問点を抱えている方もいることでしょう。
補助金には審査がありますが、返済の必要がなく、融資よりも自由度の高い使い方ができるといったメリットもあります。本日は、ネットショップの開業およびリニューアルの際にぜひ活用したい、さまざまな補助金について解説します。
※当記事では、補助金制度についてなるべく分かりやすく解説するよう努めていますが、制度・スケジュールの変更や、制度に対する解釈のズレ、説明不足がないとは言い切れません。必ず、経済産業省や各自治体が提供する情報を確認し、当記事は参考や目安程度に留めておいてください。
掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。
この記事で紹介している情報は全て、2024年1月時点での下記補助金のホームページからの引用となります。
引用:
・中小企業庁「事業再構築補助金」
・「IT導入補助金2023」
・商工会議所地区「小規模事業者持続化補助金(一般型)」
目次
① そもそも補助金と助成金はどう違う?
② ネットショップで補助金を活用するメリット
③ ネットショップで使える代表的な補助金
④ ネットショップで補助金を活用する際の注意点
そもそも補助金と助成金はどう違う?
補助金および助成金は、いずれも事業や活動の支援を目的に、国や地方公共団体、民間の組織が原則返済不要の金銭を支給する制度です。補助金と助成金には共通点が多いですが、管轄の省庁や支援分野、支給期間などが異なります。それぞれの特徴は以下の通りです。
①補助金
補助金は、経済産業省が公募するもので、国や地方の経済活性化を目的としています。公募期間は2週間~1か月であり、公募要領に定める要件を満たした上で審査を通過した場合のみ支給されるため、支給までの期間は長めとなります。承認の難易度は高いですが、支援金額は多くなる傾向があります。
参考:内閣府「補助金整理表(経済産業省)」(2018年11月27日掲載)
②助成金
助成金は、厚生労働省が公募するもので、主に雇用のサポートや、労働者の技術開発を目的としています。公募期間は通年のものが多く、公募要領に定める要件を満たし申請することで支給されます。承認の難易度は低く、支給までの金額も短いですが、支援金額も少ない傾向にあります。
ネットショップで補助金を活用するメリット
ネットショップで補助金を活用するメリットとは、開業および運営のコストを抑えられるという点です。
ネットショップは、基本的に実店舗を構える必要がないため、月単位の賃貸料の支払いが発生しません。とはいえ、開業時にはショップを運営するために必要な機器(パソコンなど)の購入、ネットショップの制作、広告費や営業許可などの出費がかさみます。
そのうえ、ネットショップの立ち上げ当初は集客力がないため、資金繰りが厳しくなるかもしれません。また、競合他社と比較して、独自性や優位性を出すためにサイトのクオリティを上げたり、ショップの規模を拡大したりすれば、費用はさらに増すことになります。
そこで、たとえば銀行融資をした場合は、少ない売上から返済する必要がありますが、補助金や助成金であれば、原則として返済不要なため、経営に専念することができるでしょう。
ただし、ネットショップの開業や運営に活用できる助成金は、補助金よりも種類が少ない傾向にあります。助成金は労働者の技術開発や雇用のサポートを目的としており、ネットショップは労働環境の改善につながりにくいという見解もあるため、選択の幅が狭まります。よって、補助金の方が活用しやすいといえるでしょう。
ネットショップで使える代表的な補助金
※2024年度より「デジタル化基盤導入枠」が廃止され、ネットショップ制作がIT導入補助金の対象外となりました。新設された「インボイス枠」でもネットショップは対象外となっているため、ご注意ください。
ここでは、ネットショップで使える主な補助金を4つ紹介します。
② 支給のタイミングが早い「IT導入補助金」
③ 対象が広めで使いやすい「小規模事業者持続化補助金」
④ 地元の事業者を支援する「各自治体が提供するIT補助金」
① 補助額と審査のハードルが高めの「事業再構築補助金」
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス(COVID-19)や物価高騰の影響により事業の存続が懸念されている中小企業等に対し、新分野展開や事業転換、業種転換、業態転換、事業再編といった事業再構築を支援する補助金です。その性質上、他の補助金よりも補助額が大きいことが特徴です。
この補助金の申請において最も重要なのは、事業計画の提出です。提出された事業計画をもとに厳格な審査が行われ、支給の可否が決定されます。支給決定後も事業計画の実現性が重視されるため、当初の目的と乖離した場合には補助金の一部返金を求められることもあります。
なお、補助金額はいずれの枠も100万円からとなっています。中小企業の補助率は3分の2であるため、最低でも150万円以上の支出を伴う事業計画を提出する必要があります。
参考:
・中小機構「事業再構築補助金」
・東京商工会議所「事業再構築補助金とは」
・事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金公募要領(第11回)」
② 支給のタイミングが早い「IT導入補助金」
※2024年度より「デジタル化基盤導入枠」が廃止され、ネットショップ制作がIT導入補助金の対象外となりました。新設された「インボイス枠」でもネットショップは対象外となっているため、ご注意ください。
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者の労働生産性向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツールの導入を支援するための補助金です。
IT導入補助金は、補助額、補助率、対象経費によりいくつかの枠・類型に分かれており、ネットショップ制作に対応している「デジタル化基盤導入枠」の場合、補助率は3分の2以下、補助額は最大350万円となります。
また、2023年度からは、ネットショップの新規構築だけでなく、新たな決済機能の導入を伴うリニューアルも対象に加わりました。具体的には、既存のネットショップに新たなカートを導入したり、カスタマーサポートなどの新機能を追加したりした場合、追加した機能が補助の対象となります。
なお、申請時にはITツール導入先の中小企業および小規模事業者だけでなく、ITベンダー・サービス事業者も登録申請を行う必要があるため、IT導入支援事業者と共同して申請・手続きを行うことが必要です。
参考:
・経済産業省 中小企業庁「IT導入補助金とは」
・中小企業庁「IT導入補助金でIT導入、DXによる生産性向上を支援!」(令和5年8月)
・IT導入補助金2023「新規申請・手続きフロー」
③ 対象が広めで使いやすい「小規模事業者持続化補助金」
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が持続的な経営に向けた経営計画に基づいて実施する、販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。商工会議所の管轄地域で事業を営む20人以下の小規模事業者や、一定の要件を満たした特定非営利活動法人が対象となっています。
事業者の取り組み内容により、いくつかの申請類型に分かれますが、ネットショップの構築に対する補助金は「通常枠」に該当し、上限額は50万円、補助率は必要経費の3分の2までの金額となっています。
参考:商工会議所地区「小規模事業者持続化補助金(一般型)」
また、インボイス特例の要件を満たす場合は、補助上限額に50万円が上乗せされます。
④ 地元の事業者を支援する「各自治体が提供するIT補助金」
国の補助金の他にも、自治体が独自の制度を設け、地元の事業者を支援している場合があります。
たとえば、東京都中央区では「ECサイト活用補助金」という独自の補助金制度を提供しています。これは、中小企業がオンライン販売から電子決済までを行うネットショップを構築したり、モール型ネットショップを利用したりする際に、必要な経費の一部を上限6万円まで補助するというもの。ネットショップの新規構築だけでなく、モール型ネットショップを利用する場合の初期登録費用も対象となるので、個人の店舗経営者にも比較的ハードルが低い補助金制度といえるでしょう。
参考:中央区ホームページ「ECサイト活用補助金」(2023年4月1日掲載)
また、茨城県茨木市では「茨木市ECサイト活用等支援補助金」を設けています。これは、インターネットを通じて販路を拡大する市内の中小企業および個人事業主を支援するもので、ネットショップの初期導入費用(サイト構築に係る委託料や、国内のモール型ネットショップへの出店費用等)、海外貿易に係るコンサルタント費用の一部を補助する制度です。
参考:茨木市「茨木市ECサイト活用等支援補助金」(2023年5月8日掲載)
このように、自治体によっては独自のIT補助金を提供している場合があるので、まずは自身の事業拠点となる自治体のホームページを確認することをおすすめします。
IT補助金などの詳細については以下の記事で解説していますので、あわせてご一読ください。
ネットショップで補助金を活用する際の注意点
補助金の活用にはメリットが多くありますが、利用にあたっては気を付けるべきポイントもあります。ここでは、3つの注意点について解説します。
① 同時に同じ経費を複数の補助金申請に使うことはできない
一つの事業が申請できるのは、原則として一つの補助金のみとなります。事業者単位ではなく事業単位で考えるため、事業者が同じでも事業が異なる場合はこの限りではありません。
② 補助金は原則後払いとなる
補助金は原則として後払いになるので、初期費用の不足を補うといった用途には適していません。また、事業再構築補助金のように事業計画を実現できているかを重視する制度もあり、場合によっては返金が必要となるため、注意が必要です。
③ 審査があるため、申請しても補助金を必ずもらえるわけではない
補助金を利用する際には、制度ごとに所定の審査を受ける必要があります。条件を満たしている事業者であれば誰でも申請することができますが、必ず補助金がもらえるわけではありません。補助額だけで判断せず、事業に適した補助金を選択するようにしましょう。
まとめ
ネットショップの構築や運営で補助金を利用する場合、多くの事業者が要件を満たしやすい「小規模事業者持続化補助金」を検討するとよいでしょう。「小規模事業者持続化補助金」は対象が比較的広いというメリットがあります。「事業再構築補助金」は補助額が大きいですが、審査のハードルも高めとなっています。
また、補助金を利用する際には、以下の注意点を押さえておく必要があります。
・同時に同じ経費を複数の補助金申請に使うことはできない
・補助金は原則後払いとなる
・審査があるため、申請しても補助金を必ずもらえるわけではない
申請時には、書類の準備などの手間がかかりますが、今後の運営を安定させるためにも補助金制度を活用するメリットは大きいといえます。ネットショップの開業やリニューアルをする際には、補助金の利用についてもぜひ検討してみてください。
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※当記事では、補助金制度についてなるべく分かりやすく解説するよう努めていますが、制度・スケジュールの変更や、制度に対する解釈のズレ、説明不足がないとは言い切れません。必ず、経済産業省や各自治体が提供する情報を確認し、当記事は参考や目安程度に留めておいてください。
掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。