ECモール運営の3つの問題と「PIM(ピム)」が有効な理由

複数のECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど)を運営することで販売機会を拡大できますが、商品情報管理の負担も増大します。そのため、複数のECモール運営における商品情報管理では、以下の3つの問題が生じやすくなります。

複数のECモール運営で生じる商品情報管理の3つの問題

① 多重管理により運用負荷が増大する
② ECモール間で情報の不整合が生じやすい
③ 運用ルールが属人化しやすい

これらの問題を回避するために有効な仕組みとして、PIM(Product Information Management:商品情報管理)があります。PIM(ピム)を導入すると、商品名、説明文、画像、属性、SKUなどの商品に関連するあらゆる情報を一元管理し、各ECモールの仕様に合わせた商品情報の管理と配布が可能になります。

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当する筆者が、複数のECモールの運営で生じがちな商品情報管理の3つの問題、ECモールの商品情報要件の違い、PIM活用時の3つのポイントについて解説します。

ECモールの商品情報管理に「PIM(ピム)」を導入する

複数のECモール運営では、商品情報の多重管理による運用負荷の増大や、ECモール間での商品情報の不整合の頻発といった問題が生じやすくなります。

これらの問題を回避するために有効な方法の1つが、PIM(Product Information Management:商品情報管理)の導入です。PIM(ピム)を導入すると、商品名、商品説明、画像、仕様、属性、SKUなどの商品に関連する情報を一元管理し、商品情報を複数のチャネルで最適に運用できるようになります。

◆PIMを使用した商品情報の一元管理とECモールへの配信イメージ

PIMを活用した商品情報の一元管理とモール連携

出典:筆者作成

ECモールごとに必要な商品情報の項目や形式は異なるため、全体共通の情報と情報を使用する複数のチャネル別の情報を一元管理・運用できるPIMは、複数のECモール運営における商品情報管理に最適なツールです。

以下は、表計算ソフトを使用した手作業での商品情報管理と、PIMによる商品情報管理の特徴についてまとめた表です。

表計算ソフトを使った手作業での管理とPIMによる管理の違い(複数のECモール運営での商品情報管理の場合)

表計算ソフトを使用した手作業 PIM
情報の整合性 ECモールの担当者が個別に管理するため、データの更新漏れや表記ゆれ、バージョンの差異が生じやすい 共通情報もECモール固有の情報も1か所で管理できるため、整合性を維持できる
データ登録・更新作業の負荷 各ECモールの運用部門が、同じ情報をそれぞれのシステムやファイルで登録・更新しなければならない PIMだけでデータの登録・更新を行えば良いため、重複作業を削減できる
ECモール別の対応 ECモールの担当者がそれぞれ必要な情報をかき集め、項目や表現の違いを個別で管理する必要がある 共通情報とECモールごとの情報を一元管理でき、各ECモールに自動配信できる
運用面 データの更新/運用ルールはECモールの担当者に依存しやすく、引き継ぎや作業分担が難しくなりやすい PIMを中心にデータの更新/運用ルールを明確化できる

先ほどの図に示したように、PIMは共通情報とECモール別の情報の両方を一元管理する商品情報管理基盤として機能するため、PIMを導入することでECモールごとのデータに関わる業務の負担を軽減し、すべてのECモールで一貫した商品情報を配信することが可能になります。

PIMの詳細については関連記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

関連記事:商品担当者が「PIM(ピム)」を10分で理解するプロの徹底解説

複数のECモール運営で生じがちな商品情報管理の3つの問題

複数のECモール運営の商品情報管理では、次のような問題が生じやすくなります。

複数のECモール運営で生じる商品情報管理の3つの問題

① 多重管理により運用負荷が増大する
② ECモール間で情報の不整合が生じやすい
③ 運用ルールが属人化しやすい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

問題① 多重管理により運用負荷が増大する

複数のECモールを運営している場合、同じ商品の情報をECモールの仕様に合わせて個別に登録・更新する場面が増えます。こうした運用では、1つの商品に対し、管理者が複数存在するため、商品情報は多重管理されている状態となります。

そのため、どの情報が最新版なのかが分かりづらくなり、データ更新が発生するたびに最新情報を確認するための手間が増えていきます。

また複数のECモールを運営していると、商品名、属性項目、画像要件、バリエーション表現などの仕様がECモールごとに異なるため、データの登録・更新の手順を標準化しにくい面もあり、商品数やSKU数が増えることで多重管理の負荷は増大します。

問題② ECモール間で情報の不整合が生じやすい

ECモールごとに商品情報を個別に管理していると情報の不整合が生じやすくなります。最初は同じデータを使用していても、運用していく中で価格改定、仕様変更、訴求文言の見直し、画像の差し替え、注意事項の追記などの情報更新が個別に行われることで、共通情報の管理も煩雑になるからです。

◆ECモール間で起こりうる不整合の例

・楽天市場の商品ページだけ古い商品情報が掲載されている(更新漏れ)
・Amazonの商品ページだけ古い版で情報更新してしまう(更新ミス)
・ECモールごとに商品名やスペックの表記がばらついている(表記ゆれ)
・ECモールによって商品説明や注意事項の内容が異なる(情報のズレ)
・Yahoo!ショッピングだけ差し替えた画像や仕様書が反映されない(仕様違い)

同じ商品について販売チャネルごとに異なる情報が発信されていると、ユーザーは何が正しい情報か分からなくなるため、問い合わせや返品などの対応を増やす要因にもなります。複数のECモール運営における商品情報管理では、情報の一貫性が重要になります。

問題③ 運用ルールが属人化しやすい

複数のECモール運営では、ECモールごとにデータ更新の優先度や手順、カテゴリの属性などのルールが異なります。そのため、属人的な運用をしていると、「ノウハウを持った担当者しか運用できない」という状況に陥りかねません

◆ECモールごとに異なるノウハウの例

・「この表現だと承認されやすい」
・「このカテゴリには、この属性を入れないと後で面倒」
・「この画像はこの順番で差し替えた方が事故りにくい」
・「ここの変更は、この順番で行わないと全体の整合性が崩れる」

ECモールごとに運営に必要な知識が異なる点は仕方ありませんが、商品情報の管理手順と運用ルールが明文化されない状態で運用を続けていると、商品情報管理が属人化し、運用の継続性と効率性は著しく低下します。

これらはすべて、商品情報を多重管理していることで生じる問題です。そのため、ECモール運営の商品情報管理を効率化するためには、商品情報を1か所に集めて一元管理するための仕組みを構築することが重要です。

PIMの導入前に「3大ECモールの商品情報登録の要件」を比較

掲載する商品情報の項目や仕様、登録方法はECモールごとに異なり、例えば、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングでは、商品ページの考え方、登録単位、商品名、画像ルール、カテゴリや属性の設計方法などが違ってきます

そのため、複数のECモールを運営している企業は、ECモールごとに異なる仕様やルールに合わせた商品情報管理が必要になります。

ECモールによって異なる項目としては、以下のようなものがあります。

◆ECモールによって異なる項目(例)

・商品名
・画像の仕様
・属性項目
・説明文の形式
・バリエーション表現

同じ商品でもECモールごとに、商品名の文字数の上限や推奨される書き方、カテゴリや属性項目、オプション設定の考え方などが異なります。

以下は、国内の3大ECモールの商品情報要件をまとめた表です。

◆国内の3大ECモールの商品情報要件

楽天市場 Amazon(日本) Yahoo!ショッピング
商品情報の運用方法 店舗ごとに商品ページを作成して運用する ASIN単位のカタログが中心で、同一商品に複数の出品者をひも付けて運用する 店舗ごとに商品ページを作成して運用する
登録単位 商品単位で登録し、サイズ・カラーなどはSKU単位で登録する カタログ情報(ASIN)と、価格・在庫などの出品情報を分けて登録する 商品ページ単位で登録し、必要に応じてオプションやバリエーションを設定する
商品名ルール 商品名の長さや詳細仕様は管理画面やマニュアルに依存するが、検索結果や一覧表示を意識した設計が必要 商品名は200文字以下、モバイル表示を踏まえ80文字以下が推奨されている 商品名は全角75文字(半角150文字)以内。キャッチコピーは別項目で管理できる
商品コード・識別子 商品管理番号やカテゴリの指定が必要。カテゴリ運用では全商品ディレクトリIDの考え方が関わる JANなどの商品コードが基本。商品によってはコード免除申請が必要 商品コードは必須。JANコードや型番なども項目として保持できる
画像ガイドライン 商品画像ガイドラインがあり、1枚目画像のテキスト占有率20%以下、枠線なしなどのルールがある メイン画像は白背景、商品が画像の大部分を占めることというルールや装飾表現の制限などがある 商品画像や説明文の入力ルールがあり、誤認を招く表現は禁止されている
カテゴリ・属性の考え方 ECモールのカテゴリと自社のカテゴリを組み合わせて運用する。カテゴリに応じた属性管理が必要 カテゴリごとに属性の整合性が重視される。検索フィルタやカタログ品質と連動 プロダクトカテゴリやスペック項目が定義されており、カテゴリごとの属性設計に沿って登録する

※各モールのルールや項目は、出店形態やカテゴリ、管理画面の仕様変更などによって変わる場合があります。最新情報と詳細は各ECモールのガイドラインを参照してください。

大手ECモール間でも商品情報の仕様やルールは統一されていないため、大量の商品情報をECモールごとに個別管理しているうちに、更新漏れや表記ゆれ、画像の差し替え漏れ、情報の不一致などが頻発するようになります。

商品情報管理の難しさは、商品情報の量だけでなく、商品情報を利用するチャネルごとの個別要件にも対応しながら、情報の質と正確性を維持し続けなければならない点です。

PIM活用時の3つのポイント

PIMを導入したら自動的に商品情報管理の問題が解消されるということはありません。PIMの効果を最大限引き出すためには、あらかじめ商品情報の持ち方や運用ルールを整理しておく必要があります。

ここでは、複数のECモール運営での商品情報管理にPIMを使用する際に押さえておくべき3つのポイントを紹介します。

ポイント① 共通情報と固有情報とに分けて整理する

複数のECモールを運営する場合、商品情報はすべてのECモールで共通する情報と、ECモールごとの固有情報があります。

例えば、商品の基本仕様や共通の画像、品番、SKUなどは共通情報、商品名の仕様、説明文の構成、属性項目、バリエーション表現などは固有情報というように、どの情報を共通化して、どの情報を個別に持つかを整理しておくことが重要です。

ここで正確に整理しておかなければ、ECモールごとにすべての情報を管理しなくてはならなくなったり、逆に共通化しすぎてECモールごとの要件に使用しづらくなったりします。

ポイント② SKU単位で管理できる状態を整える

商品情報は、商品単位だけでなくSKU単位で整理することも大切です。

特にアパレルや雑貨、食品、化粧品など商材では、サイズ違い、カラー違い、容量違い、セット違いなどによりSKUが増えやすく、品番だけで管理しようとすると、SKUにひも付く画像や属性情報を管理できなくなります

また、ECモールごとにバリエーション表現の方法が異なるため、SKU単位で整理が必須となります。

◆ECモール別のバリエーション表現

楽天市場 Amazon
色違い・サイズ違いの管理方法 1つの商品ページ内で、色・サイズをマルチSKUで表現 バリエーションの親子関係(Parent / Child ASIN)で表現

PIMを活用する際は、商品全体の共通情報だけでなく、SKUごとに管理すべき情報を明確にしておくことが重要です。

ポイント③ 更新ルールと運用フローを明確にする

PIMを導入しても、更新ルールや運用フローを決めておかなければ、属人化は解消されません。「どの情報を誰が更新するのか」「どこを起点とするのか」「いつ各ECモールへ反映するのか」といった役割と運用ルールを明確にしておくことが重要です。

◆運用ルールの例

・商品説明文の修正はマーケティング部門が行う
・商品仕様の変更は商品部門が反映する
・画像の差し替えは所定の承認フローを経て実施する
・ECモールの固有情報もPIMで管理、反映する
・PIMで変更した情報は確認後に各ECモールに配信する

各ECモールの固有情報の管理・運用もPIMで行うようにし、反映手順を標準化しておくことで、更新漏れや表記ゆれなどを防げます。PIMの効果を最大化して商品情報管理を最適化するためには、業務とデータフローを含めた運用設計を行っておくことが大切になります。

「一元管理システム」と「PIM」の違いとは?

PIMのように情報を一元管理するための仕組みとして「一元管理システム」があります。複数のECモール運営の情報管理では、一元管理システムとPIMは同じ役割を担うこともありますが、厳密には両者は管理対象と役割が異なります。

以下は、一元管理システムとPIMの特徴をまとめた表です。

一元管理システムとPIMの管理対象の違い(複数のECチャネルでの利用を想定)

一元管理システム PIM
主な管理対象 受注情報、在庫情報、出荷情報、販売情報 商品情報(商品名、説明文、属性、画像、仕様、SKUなど)
概念 商品が何個売れていて、在庫が何個残っているかをリアルタイムで管理する 商品情報をどのように管理し、各チャネルでどのように使うかを管理する
代表的なツール ネクストエンジン、CROSS MALL など EBISU PIM、CIERTO PIM など
利用部門 EC運営担当、受注担当、物流担当 商品企画、マーケティング、EC運営担当

一元管理システムは、複数のECモールやECサイトにまたがる受注・在庫・出荷などの運営業務をまとめて管理する仕組みです。例えば、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどの注文を1か所で受け取り、在庫数を同期し、出荷指示を効率化することができます。

それに対して、PIMは、商品名、説明文、画像、属性、仕様、SKUなどの商品情報を整理・統合して管理する仕組みです。共通情報だけでなくECモール固有の情報も含むあらゆる商品情報を一元管理し、各チャネルの運用に合わせて配信することができます。

つまり、一元管理システムが受注・在庫・出荷といった販売オペレーションを支援する仕組みであるのに対し、PIMは商品情報を集約・管理し、各チャネルのデータ運用を支援する仕組みと言えるでしょう。

ECモールの商品情報管理にPIMを使用する

複数のECモールを運営する場合には、ECモールごとに商品名、画像、属性、説明文などの商品情報の仕様やフォーマットが違うため、商品情報を一元管理していないと、属人的な運用による業務の非効率やデータの不整合などの問題が生じやすくなります。

そのため複数のECモールの運営では、ECモールごとの管理項目の違いに対応しつつ、商品情報を一元管理するための仕組みを構築することが重要となり、これを実現するために有効な手段がPIMの導入です。

「EBISU PIM(エビス ピム)」は、社内に散在している商品情報を統合し、品番/SKU単位で整理しながら管理できる商品データ統合プラットフォームです。商品情報を「マスタ情報」と「連携先ごとの情報」に分けて管理できます。

チャネルごとに異なる項目や表現も管理でき、また、異なるフォーマットや画像サイズでのアウトプット、ノーコードでのデータマッピング設定、ERP/WMSなど社内システムとの柔軟な連携にも対応可能です。

初期データの整備や移行支援、構成の提案などの導入時のサポートサービスも充実しており、新たにPIMの導入を検討している企業に最適なサービスです。複雑化する商品情報管理にお悩みの方は、ぜひEBISU PIMをご検討ください。

サービスの詳細や資料請求については下記の公式サイトをご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。

公式サイト:EBISU PIM(エビス ピム)

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。