ECサイトや、企業サイトにWeb接客ツールの導入をしている企業が増えております。
Web接客ツールとは、PC、スマホを問わずWebブラウザーを通して、ECサイトや企業サイトに訪れたユーザー、一人ひとりにあわせたオファー(情報やキャンペーン等)を提供する施策で、具体的には、離脱率を下げて、CVR(コンバージョンレート)を上げるためのツールです。
Web接客ツールは、国内でも数十社あると言われており、どういったタイプのWeb接客ツールを入れてよいのか、判断に困ると思います。また、すでにWeb接客ツールを導入している方は、機能の多さに、上手く運用できていない方も多いのではないでしょうか?
本日は、あなたの会社に導入すべきWeb接客ツールの選び方と、Web接客ツールの具体的な使い方について、インタファクトリーでWebマーケティングを担当している筆者が解説してまいります。この記事を最後まで読めば、あなたの会社に導入すべき、Web接客ツールを選ぶことができるでしょう!
最後に、弊社のパートナー企業でおススメのWeb接客ツール12社を紹介いたします!
導入すべきWeb接客ツールは、オファー型か?チャット型か?
Web接客ツールには、大きくわけて下記の2つです。
・チャット型
当ブログでは、オファー型を中心に解説しますが、チャット型のWeb接客ツールについては、文末で触れますので、こちらをご覧ください。
オファー型には、シナリオ設定タイプとAIタイプの2種類!
オファー型とは、下記のようにクーポンや情報をスマホやPCの画面に表示するタイプのことです。購入や問い合わせを迷っているユーザーに割引情報などの情報を出して、CVRを上げることができます。
全てのユーザーにバナーを表示させることもできますし、特定のページや特定の行動をしたユーザーにバナーを表示することもできます。
◆オファー型のクーポンやインフォメーションの例
また、どのバナーが良いのか?最適化を行うA/Bテストの機能が、Web接客ツールにはありますので、その機能を使い、クリエイティブバナーの最適化を進めます。
さらにWeb接客ツールのオファー型には、CVRを高めるための2つのタイプがあります。
② AIタイプ
Web接客ツールを選ぶときには、この2つのタイプから選ぶことなるでしょう。では、各タイプのメリットとデメリットを比較いたします。
①シナリオ設定タイプのメリットとデメリットとは?
シナリオ設定型とは、EC担当者やWeb担当者が、自分でシナリオを設定するタイプです。シナリオの設定要素は、だいたい下記の要素になります。
◆シナリオ設定要素
・ページ遷移(どういうページ遷移をしたか?)
・滞在時間
・訪問回数(新規か?リピーターか?)
・ブラウザーの閉じるボタンを押すと出現
・バナーのABテスト
〇 シナリオ設定タイプのメリット | × シナリオ設定タイプのデメリット |
・細かい設定が可能なため、CVRを徹底に最大化可能 ・アイデア豊富なEC・Web担当者の場合、それを実行しやすい ・SEO流入があるWebページが多い場合は、特に施策しやすい |
・EC、Web担当者のスキルや経験に依存 ・何からはじめていいのかわからない ・豊富な機能を使いきれない ・設定が面倒で、導入までに時間がかかる ・担当者が退職すると、ノウハウの引き継ぎが困難 |
シナリオ設定タイプは、良くも悪くも、担当者の能力に依存します。PDCAサイクルの回し方がわからないと、宝の持ち腐れになります。 逆に、担当者の能力が高ければ、最高のツールとなり、数多くのシナリオを設定し、CVRをどんどんあげることが可能です。(後ほど、シナリオ設定の例を紹介いたします)
このように、シナリオ設定タイプは、担当者の能力をフル活用してくれる反面、経験が浅い担当者には使いこなせない弱点があります。では、AIタイプの接客ツールはどうでしょうか?
②AIタイプの接客ツールのメリットとデメリット
AIタイプは、最適化を担当者の代わりに、AIが自動で行ってくれるのが特徴で、手間がかかりません。それでは、メリットとデメリットを解説いたします。
〇 AIタイプのメリット | × AIタイプのデメリット |
・タグを挿入するだけで手間がかからない ・AIが自動で最適化するため成果を出しやすい ・経験の浅い担当者や、忙しい担当者にも最適 ・担当者が退職しても問題ない |
・成果が出るまで一定の時間がかかる ・細かく設定したい担当者に向かない ・オファーを出したくない画面やタイミングで出てしまうことも(Web接客ツールの各社の仕様によります) |
AIタイプは、タグを入れて、バナークリエイティブを用意すれば、すぐに開始でき、しかもAIが勝手にAIテストを実施し、CVRをどんどん勝手に高めてくれるイメージです。企業のEC・Web担当者は、仕事が多いため、このように勝手に最適化してくれるツールは、助かるはずです。またAIにしかできない、独自の解析により、検討しているユーザー(迷っているユーザー)にのみクーポンを出す機能などは、人間技ではなかなかできません。成果報酬型であれば、デメリットも少ないでしょう。
反面、経験豊かなEC・Web担当者にとっては、カスタマイズできる要素がない(もしくは少ない)ため、物足りないかもしれません。AIタイプのWeb接客ツールも各社から、サービスから提供されており、中には「半AI、半設定タイプ」という両方を兼ね備えたタイプもあります。
シナリオ設定タイプとAIタイプのどっちを選べばいいの?
上記のメリット・デメリットで、すでに、あなたの会社に相応しいWeb接客ツールが見えてきたと思いますが、下記のような選び方に集約されるでしょう。
明確にやりたい施策がある方は、シナリオ設定タイプを選ぼう!
下記に3つの例をあげます。このように、Web接客ツールを導入する前から、特定の用途で目的がある場合は、シナリオ設定型を選びましょう。
シナリオ設定例1
SEOで流入が多いページ(入口ページ)があるが、CVRが低い!そのページのCVRをあげたい!
シナリオ設定例2
苦戦している高額商品があり、なかなかカートインしない。ユーザーの心の障壁を下げるために、製品情報を表示して、カートインさせたい。このようにページ毎に表示するポッポアップ画面を変更したい
シナリオ設定例3
リスティング広告で、運営しているLPのCVRをより高めために、訪問回数ごとにオファーを変えたい。それ以外の目的はない
このように、目的や課題がはっきりしている場合、あるいはEC・Web担当者がPDCAを回せる経験があり、フルにWeb接客ツールを使える場合は、シナリオ設定タイプのWeb接客ツールを選びましょう。
では、AIタイプの接客ツールは、どのような企業が向いているのでしょうか?
PDCAを回し方がよくわからない!忙しくてツールを使う暇がない方はAIタイプを選ぼう!
EC・Web担当者なら共感してくれると思いますが、実はほとんどのツールは、導入しても使用されない、あるいは、ほとんどの機能を使わないというのが現状です。お恥ずかしい話ですが、私は過去5社以上で、Webのツールを導入しましたが、ほとんどのツールは、導入しておきながら、実践できてないことがほとんどでした。
また、よく使うツールでさえも、一部の機能しか、使わないことが多く、毎月のコストがもったいない思いをしてました。でも、実は、ほとんどの会社が、こういった状況であり、また、一度導入すれば、なかなか解約されづらいのも、Webツールのビジネスモデルなのです。
誰も悪意があるわけではなく、EC・Web担当者とは、仕事が忙しいため、なかなかツールを使いこなすことができる時間や環境がないものなのです。話を戻しますが、Web接客ツールにおいても、その状況は同じでしょう。
ですから、下記に例をあげますが、下記のような方は、AIタイプのWeb接客ツールを導入してみましょう。
AIタイプの導入例①
ツールや広告で成果を出したいが、手間をかけないツールや施策を検討している
AIタイプの導入例②
まずはWeb接客ツールがどういうのか知りたい。最初は手間のかからない方を導入しよう
AIタイプの導入例③
クーポンを出し過ぎて、無駄にコストがかかっている。必要な人だけにクーポンを出して、広告費用を下げたい。
PDCAを回す時間がない担当者や、経験が不足している場合は、AIタイプを導入してみると良いでしょう。また、先に説明したとおり、ツールは、使いこなせないことがほとんどです。ツール導入前から、やりたい事がイメージできない場合で、かつCVRを向上したい方などは、とりあえずAI型を選んでも良いと思います。
先にAI型を入れて、Web接客ツールがわかってきたり、施策が思い浮かぶようになれば、その時は、シナリオ設定タイプのWeb接客ツールに移行しましょう。
Web接客ツールの使い方!5つのステップ
シナリオ設定タイプのWeb接客ツールを導入した方は、
「何からはじめればいいのだろう・・」
とお悩みだと思います。そこで、本日はシナリオ設定タイプのWeb接客ツールを導入した方が、どういった手順でPDCAを回していけば良いのか?具体的な例を紹介いたします。
Web接客ツールステップ① まずはTOPページや、LPなどの流入が多いページでテスト
Web接客ツールは、細かいチューニングができますから、ページ毎に別々のバナーや、特定の動きをしたユーザーにだけ、バナーを出すことが可能です。
しかし、初めてWeb接客ツールを使う場合は、まずは流入の多いページに接客ツールをしかけてみましょう。それはTOPページや、LPなどです。
いきなり細かい施策からやろうとすると、成果を出しにくいので後回しです。まずは流入の多いページにWeb接客ツールを設定して、全体のCVRを向上させる取り組みからはじめましょう。
Web接客ツールステップ② “勝ち訴求文脈”を見つけよう
Web接客ツールを導入した方が、よく行う間違いが、デザインも文脈も違う2つのクリエイティブでA/Bテストを行ってしまうことです。もちろん、それでも良いバナーを見つけることはできますが、非常に効率が悪いです。
なぜなら、CVRが高いバナーを見つけても、「なんで良かったのか?」がわからないからです。それは「文言がよかったから?」なのでしょうか?あるいは「バナーの色が良かったから?」なのでしょうか?
このように、CVRが高いバナーを見つけるには、知見を積み重ねる必要があります。ですから、最初に行うA/Bテストとは、”勝ち文脈”を見つけることです。つまり文言・訴求のことです。
この時の注意点は、A/Bテストを行うバナーは全く同じデザインにします。同じデザインで、文言(訴求)が異なるものでA/Bテストを行います。できれば、4つ以上は、訴求文脈を考えて、その中で、もっとも良い文脈のバナーを見つけましょう。
◆同じデザインで訴求文脈のみ変えたバナー
このテストは、最低でも1カ月~3ヵ月を行い、明らかな数字の差が出るまで行いましょう。また、”勝ち文脈訴求”というのは、他のバナー文言と比べて圧倒的にCVRが高いもののことを指します。下記のようなケースは、やり直しが必要です。
×文脈ごとにCVRの差があまりない場合
A文脈のCVR:0.78%
B文脈のCVR:0.82%
C文脈のCVR:0.72%
このようなケースで、B文脈を”勝ち訴求文脈”として、採用しても、そもそも、他のA,Cと大差がないために、勝ち文脈とは言えません。筆者は10年以上Webマーケティング経験からわかりますが、勝ちパターンとは、以下のようなものです。
〇文脈ごとにCVRの差がはっきりある!
A文脈のCVR:0.78%
B文脈のCVR:1.22% <==明らかに勝ちバナー
C文脈のCVR:0.72%
このように、他のバナーと明らかに数字がはっきり違う場合こそ、”勝ち訴求文脈”です。これくらい明確な差が出るまで、文言訴求を繰り返し変更した方がよいでしょう。
Web接客ツールステップ③ “勝ちデザイン”を見つけよう
上記で、”勝ち訴求文脈”が見つかれば、あとはデザイン勝負です。勝ちパターンの同じ文脈でデザインを複数用意して、一番CVRが高いデザインを選べば良いでしょう。
◆勝ち訴求文脈でデザインを変えたバナー
このように、文脈とデザインを分けて、A/Bテストを行い、勝ちバナーを見つけることができれば、他の施策にも流用でき、マーケティング施策を積み上げることができます。
Web接客ツールステップ④ 出すタイミングを工夫しよう
①~③の手順で、勝ちバナーが見つかれば、今度は、下記の要素での出し分けも考えます。
・訪問回数(新規か?リピーターか?)
例えば、広告経由とSEO経由でのバナーの出し分けや、新規ユーザーや、リピーターでのバナーの出し分けです。このように、いきなり、Web接客ツールのシナリオ機能をフルに使うのではなく、基本的なバナーの出し分け(TOPやLP)から、複雑な使い方へと運営を広げていくのがコツです。
Web接客ツールステップ⑤定期的に新しいクリエイティブを試してみる
一度、勝ちパターンを見つけて終わりではありません。なぜなら、一度高いCVRを勝ちバナーによって獲得できても、以下の理由により必ず成果は落ちてくるからです。
◆成果が落ち始める理由
・同じバナーにユーザーが飽きる
・ユーザーの価値観の変化
・競合環境の激化
そのため、最低でも半年に一回は、バナーを見直して、ステップ①~④を繰り返すことが、重要なのです。
Web接客ツールのポイントは、ノウハウの積み上げにあり!
Web接客ツールで、成功するには、ノウハウを積み上げることです。ノウハウの積み上げとは、
「このページを見ているユーザーには、この文脈のバナーが効く!」
「訪問回数が3回までは、クーポンは有効だけど、それ以上はクーポンは表示しない!」
このようなノウハウのことです。そして、このノウハウは、業界毎、企業毎に異なるため、担当者がPDCAを回しながら見つけるしかありませんが、AIタイプなら、その手間が省けます。しかし、AIタイプでも、クリエイティブを企画するのは、AIではなく、担当者ですから、AIタイプのWeb接客ツールを導入しても、バナーは自分たちで工夫するしかありません。※Web接客ツールの会社によってはクリエイティブまで作ってくれる会社があります。
Web接客ツールと相性の良い施策とは?
単体の施策としても、Web接客ツールはCVRや離脱率を下げる施策として、良いのですが、下記の施策と組み合わせれば、もっと効果を出せます。
① コンテンツマーケティング × Web接客ツール
コンテンツマーケティングとは、このブログ記事自体もコンテンツマーケティングの一貫ですが、ターゲットのSEOキーワードを設定し、そのキーワードのためのブログ記事を書いて、SEO上位をとり、そういった記事を増やして、ターゲットユーザーのWeb流入を増やす施策です。
アクセス数を莫大に増やせる、コンテンツマーケティングの弱点は、CVRです。本来CVRが高いキーワードとは、購入意欲の高い「商品名」「サービス名」ですが、コンテンツマーケティングでは、「お悩みキーワード」など、購入意欲が少し遠いキーワードでも、トラフィックを稼ぎます。
◆コンテンツマーケティングのキーワードの例
・「ソファー おススメ」というキーワードでのCVRは低い
このように、コンテンツマーケティングでは、アクセス数が多いのですが、CVRが低いキーワードのブログを書くことが多いです。しかし、Web接客ツールを組み合わせれば、CVRを高めることができるので、コンテンツマーケティングと、Web接客ツールは相性の良い施策です。
しかし、成功するには、ブログ記事の文脈に沿った、”接客”が必要となりますので、ツール導入するだけで成果がでるということはありません。
②Facebook広告 × Web接客
Web接客ツールは、流入元によって広告の出しわけが可能です。企業のFacebookページまで、フォローしてくれるユーザーは、良いリピーターです。それらのユーザーに対してのみ、Webクーポン券を出すことが可能ですし、逆に、リピーターは、クーポンを使わなくても、購入確率が高ければ、クーポンを出さないように設定して、コストを下げることも可能です。
③リマーケティング広告 × Web接客
リマーケティング広告は、1度、ECサイトや企業ページに訪問したユーザーに、再度ディスプレイ広告で、再訪問を促す広告です、CPAが低く、獲得効率の高い広告です。しかし、同じページを単にリマーケティングするより、Web接客ツールの設定で「2回目以上の訪問ユーザー」に対して、クーポンを出すのは良いでしょう。
リマーケティング自体で、違うページに誘導する手もありますが、そこまでの手が回らない企業がほとんどです。しかし、Web接客ツールで、再訪問ユーザーのみにクーポンを設定するだけで、リマーケティングで呼んできた再訪問ユーザーに対して、違うオファリング(ポップアップ画面を使って)を提供することがカンタンに可能になります。
チャット型のWeb接客ツールの解説
本日は、オファー型のWeb接客ツールを紹介していましたが、最後に、チャット型のツールについても解説いたします。チャット型のWeb接客ツールは、海外では一般的ですが、日本ではあまり浸透しませんでした。しかし、ここ数年は、日本でもユーザーにも浸透してきた印象です。
チャット型は、Webサイトの中を行ったり、来たりしていると、ある検討している人に対して、、チャットのポップアップが出現したり、あるいは、PCの画面右下に「担当にチャットで聞いてみる」などの画面が用意されているケースがあります。
日本では、BtoBや高額商品・サービスに使われることが多く、また、お客様のサポートために導入する企業が多いです。チャット型のメリットは、ユーザーとのやり取りが、タイムラインで残るので、説明しやすいことです。デメリットが、人員を用意する必要があることです。
もし、人員を確保できるのでしたら、ECサイトのカート回りにはおススメです。ECサイトの9割以上は離脱されるユーザーです。その中には、カート回りで離脱するユーザーも多くいます。具体的には、クレジットカードのカード番号エラーが発生したケースなどです。そういったユーザーに、チャットで、サポートすることができれば、効果は抜群です。ECサイトで、手っ取り早く、CVRを上げるコツはカート回りを改善することですから、チャットも選択肢になるでしょう。
またこの分野は、AIのチャットBotが進んでおります。完璧なやり取りは難しいですが、深夜などの、人の配置が難しい時間帯を中心に、分野でも、AIが進むことが考えられます。
Web接客ツールには、「オファー型」と「チャット型」に分かれますが、ツールによっては、両方を実装できものもあります。
Web接客ツールの料金体系は様々。最初は成果報酬型がおススメ!
Web接客ツールは、数十社あり、月額10万以上の大企業向けのものや、5000円程度からはじめられるものまであります。テストマーケティングの場合は、最初から高額なものを導入するより、成果報酬型がリスクが少なくおススメです。導入してみて、成果が見えてきた時点で、高機能なものを選んぶのが良いでしょう。
Web接客ツールは、まだまだ導入していない企業は多いです。ECプラットフォームの弊社ebisumartのパートナー企業にも多くのWeb接客ツールの会社がありますので、下記の一覧より、各社のサービスを検討の上、問い合わせてみてください。