国や地域をまたいでEC事業を展開する「越境EC」を始めたいと思ったら、次の3つのいずれかの方法が考えられます。
方法②自社で越境ECサイトを構築する
方法③海外転送サービスを利用する
この中で、最も手軽に始められる方法は「方法③海外転送サービスを利用する」です。すでに国内でECサイトを運営している場合には、既存のECサイトにタグを設置するだけで越境ECをスタートできます。
この記事ではインターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、越境ECを始めるための3つの方法を紹介するとともに、どの方法を選ぶべきか検討するために、それぞれの特徴を詳しく解説します。
越境ECの始め方はたった3つ!最も手軽な始め方は「海外転送サービス」
越境ECを始めるためには、次の3つの方法が考えられます。
方法②自社で越境ECサイトを構築する
方法③海外転送サービスを利用する
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
方法①海外のECモールに出店する
日本の楽天市場のように、その地域の誰もが知っているECモールは世界各国にあります。以下は世界的に有名なECモールの一例です。
◆有名な海外のECモールと展開地域(例)
・京東商城(JD con):中国
・Amazon海外販売(グローバルセリング):アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジア太平洋、中東
・eBay:世界190か国
海外の有名なECモールに出店する最大の魅力は集客力です。人気のあるECモールには多くのユーザーが訪れるため、商品の需要さえあれば、比較的簡単に売上を上げることができます。また配送方法も、EC事業者が直接発送する「直送モデル」と、商品の保管と配送をECモールの倉庫を介して行う(中国では「保税区モデル」と呼ばれる)方法の2種類から選べる場合が多いです。
このように、海外のECモールでは出店後は比較的運用がしやすいのですが、出店するまでには高い障壁があります。
例えば、「天猫国際(Tmall Global)」では、出店条件に大規模企業であることや認知度の高いブランドを所有していることなどが提示されており、個人や小規模事業者が参入できないECモールもあります。また、ECモールに出店する際には手数料がかかるため、あらかじめ必要なコストを試算し、出店後の運用戦略についても十分に検討しておくことが重要です。
方法②自社で越境ECサイトを構築する
この方法は、日本国内で越境ECを構築する方法です。越境ECサイトでは国内向けECサイトとは異なる以下の対策が必要であり、自社サイトを構築する場合には、これらすべてを自社で実装しなければなりません。
✓集客
✓決済方法
✓配送方法
例えば、越境ECサイトの決済方法をカード決済だけにしてしまうと、ユーザーの利便性が低下します。中国のECモールに出店するのであれば「Alipay(アリペイ/支付宝)」や「WeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信支付)」などを使えるようにするなど、ECモールの展開地域で普及している決済サービスを実装すべきでしょう。
また、商品は日本からの直送となり、国際便による配送料金が高額になります。
越境ECサイトを自社で構築する場合には、運用コストだけでなく、対象地域でのECサイトの認知度を高めるなど、集客のための戦略も十分に練る必要があります。
方法③海外転送サービスを利用する
最も簡単に越境ECを構築できるサービスです。「海外転送サービス」は、国内向けECサイトに海外ユーザーがアクセスしてきた時に外国語のバナーを表示し、海外転送サービス事業者が国内ECサイトでの買い物を代行してくれるサービスです。海外転送サービスを利用した場合には、以下の流れで受発注が行われます。
◆海外転送サービスの受発注の流れ
②海外ユーザーが国内向けECサイトにアクセスすると、代理注文に関する外国語のバナーが表示される
③バナーを見た海外ユーザーが代理注文を申し込む
④海外ユーザーからの注文を受け付けた海外転送サービス事業者が、国内向けECサイトで商品を注文する
⑤EC事業者(国内)が、海外転送サービス事業者の倉庫に商品を発送する
⑥商品を受け取った海外転送サービス事業者が、海外ユーザーに商品を転送する
⑦海外ユーザーに商品が届く
海外ユーザーは表示されたバナーをクリックして注文情報を入力することで、海外転送サービス事業者にECサイトでの注文を代行してもらうことができます。
EC事業者(国内)は海外転送サービス事業者との間で取引が完了するため低リスクで運用することができます。
また、海外転送サービスを利用することで、越境ECサイトで必要な4つの対策のうち3つを解決できるため、導入時の負荷が大幅に低減します。
◆海外転送サービスで対応できる要素
✓決済方法
✓配送方法
ただし、「集客」についてはEC事業者が対策を打つ必要があるため、海外ユーザーの認知度を高めるための施策と組み合わせた上で導入を検討すべきでしょう。
越境ECを始めるならどの方法が最適か?
有名ブランドを持つ大規模事業者は、「方法①海外のECモールに出店する」のがおすすめ!
日本国内や海外で一定の認知度があるブランドや商品を所有している事業者であれば、海外のECモールへの出店がおすすめです。ユーザーが多いためすぐに売上につながりやすく、ECモール内の競合他社のショップやビジネスモデルを参考にして工夫や改善を重ねていくこともできます。
大規模事業者の場合は、ECモール運営側の専任担当者から個別サポートを受けられることも多いです。自社で海外拠点を設置して独自の越境ECサイトを展開したいと考えている場合にも、最初にECモールに出店し、海外ユーザーの傾向や実際の売上を評価してみることをおすすめします。
国内向けECサイトを運営していて、世界的に知名度が高い事業者は、「方法③海外転送サービスを利用する」のがおすすめ!
海外メディアやSNSなどを通じて世界的に認知されている商品やブランドを所有している場合は、すでに集客に必要な下地が整っているため、海外転送サービスの利用をおすすめします。前述したように、海外転送サービスは既存の国内向けECサイトにタグを設置するだけで利用できるようになります。軽微な実装作業のため、ECサイトの運用を外部委託している場合や、コードを触るのには不安があるという場合にも、委託先企業や専門会社に低予算で作業を依頼することができます。
海外転送サービスを利用した時に最大の課題となるのが「集客」ですが、海外メディアやSNSなどの露出を増やす、既存の外国人顧客に口コミを利用するなどの施策を通じ、認知度の向上にも注力していきましょう。
「方法②自社で越境ECサイトを構築する」方法は、方法①③で売上が向上したタイミングで検討しよう
ECサイトの構築は労力と費用がかかる上、越境ECサイトでは、さらに4つの対策(「外国語対応」「集客」「決済方法」「配送方法」)を組み込む必要があります。
新規に参入する海外市場での顧客の反響や売上を予測することは困難であり、越境EC事業のスタート時に大きな負担がかかる自社サイトを運用することは極めてリスクが高く、おすすめしません。
もし出店条件をクリアできるのであれば海外のECモールに出店、難しい場合には海外転送サービスを利用して試験的に運用し、ある程度の集客が見込めるようになった段階で自社サイトの構築を検討するのがよいでしょう。
海外ユーザーに日本のECサイトを見つけてもらうための工夫は簡単ではありません。例えば、日本では検索エンジンとして主にGoogleが使用されていますが、中国では「百度(バイドゥ)」が使用されており、検索結果で上位に表示されるための仕組みとノウハウがGoogleとは全く異なります。
そのため、まずは海外のEC運用に慣れることと、海外ユーザーを集客することを最優先にすべきでしょう。
海外転送サービスの利用を検討している方へ
海外転送サービスを利用して越境ECを始めたいとお考えの場合は、インターファクトリーが提供するECプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」も他社とあわせてご検討ください。ebisumartでは、標準機能として実装されている海外転送サービス「WorldShopping BIZ for ebisumart」や、その他の提携サービスを利用して越境ECサイトを運営できます。
参考: 「ebisumart(エビスマート) - 提携サービス - 越境EC」、「WorldShopping BIZ(株式会社ジグザグ)」
ebisumartの海外転送サービスや、国内・海外向けECサイトの開設について相談したい方は、以下の公式ホームページからお問い合わせください。