仏壇・仏具は比較的高額で、購入の意思決定に心情や宗教的な顧客の背景が強く関係する商材なので、消費者の行動にも他商材のECサイトと異なる点があります。
仏壇・仏具のECサイトでは、「購入」だけでなく、「検討」「相談」「来店予約」なども重要なプロセスとなるため、基本的な物販機能に加えて、顧客とコミュニケーションを取るための仕組みと導線を設計することが重要になります。
仏壇・仏具のECサイトの構築・運用におけるポイントは以下の7つです。
◆仏壇・仏具のECサイトの構築・運用における7つのポイント
ポイント② 価格帯で商品を探せる
ポイント③ カタログ請求ができる
ポイント④ 商品の対応宗派を明示する
ポイント⑤ 商品ページで使用方法を丁寧に紹介する
ポイント⑥ 販売タイミングに合わせてECサイトのトップページを変える
ポイント⑦ SEO対策(ブログの開設、WordPressとの連携など)
この記事では、株式会社インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、仏壇・仏具のECサイトの構築方法と成功させるための7つのポイントについて解説します。
仏壇・仏具のECサイトの7つのポイント
仏壇・仏具のECサイトの構築・運用で押さえておくべき7つのポイントについて、一つずつ解説します。
ポイント① 「来店誘導」を意識した導線設計
仏壇・仏具は、数十万円以上の商品も多く、特に仏壇などのように大型商品もあるため、他のECサイトと比べると、商品購入までのハードルが高くなります。
また、宗派や、仏壇・仏具に関する知識がないと、「自分の宗派で使える商品はどれか」「何を基準に選べばいいのか」など、購入すべき商品が分からないという場合もあり、スタッフに相談することなく商品を選び、購入することは困難です。そのためECサイトでは、店舗にスムーズにアクセスできるような仕組みが必要になります。
例えば、仏壇・仏具業界大手の「お仏壇のはせがわ」(株式会社はせがわ)のECサイトでは、店舗情報への誘導コンテンツを利用者がすぐ分かる場所に設置しています。
◆「お仏壇のはせがわ」の公式ECサイト
引用(画像):「お仏壇のはせがわ」公式サイトの画像に筆者が加筆して作成
店舗検索機能に加え、商品ページからも取り扱い店舗の情報に簡単にアクセスできるようにし、店舗ページでそのまま来店予約ができるようしておくと良いでしょう。
ポイント② 価格帯で商品を探せる
仏壇には1万円程度の商品もあれば数百万円以上もする商品もあります。そのため、直接声掛けして接客することができないECサイトでは、顧客が予算に応じた商品をすぐに見つけられるようにする工夫が必要です。
「三善堂オンラインショップ」(株式会社 三善堂)では、商品一覧ページの目立つ場所に、価格帯を選択して商品を絞り込める機能を設置しています。
◆「三善堂オンラインショップ」の商品一覧ページ

引用(画像):三善堂オンラインショップの画像に筆者が加筆して作成
価格帯で商品を絞り込めるようにすることで、顧客は予算に合った商品をスムーズに探せるようになります。また、商品の比較検討がしやすくなるため、予算より少し高めの商品を購入してもらえる可能性も生まれます。
ポイント③ カタログ請求ができる
仏壇・仏具の購入では家族や親族などが集まって検討するというケースもあり、複数名での閲覧や検討がしやすい紙カタログが好まれます。顧客の利便性とECサイトへの信頼を高めるためにも、ECサイトでカタログ請求ができるようにしておきましょう。
ポイント④ 商品の対応宗派を明示する
日本の仏教にはさまざまな宗派があり、例えば古くからある伝統的な宗派としては、法相宗、律宗、華厳宗、真言宗、天台宗、日蓮宗、浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗、時宗、臨済宗、曹洞宗、黄檗宗の「十三宗五十六派」があります。
参考:「平安祭典(株式会社平安)」公式サイトの知恵袋(コラム)「仏教における『宗派』とは?宗旨・宗派の違いや意味を解説」(2022年3月21日掲載)
そのため仏壇・仏具販売では、「商品がどの宗派に対応しているか」という情報を明示する必要があります。例えば、商品一覧ページと商品ページの商品画像に、対応している宗派名や「全宗派対応」などが一目で分かるアイコンを付与するなどが良いでしょう。
仏壇・仏具の特性上、顧客の心情や購入背景に対する配慮が求められます。分かりやすい情報を提供して誤注文の発生を防ぐことも、顧客のストレスを軽減するための配慮の一つです。
ポイント⑤ 商品ページで使用方法を丁寧に解説する
例えば家電や家具、アパレルなどのように使い方がイメージしやすい商品では詳しい解説は必要ありませんが、仏壇・仏具には、実は使う機会やニーズがあっても使い方や用途がよく分からないために購入されづらい商品もあります。そのため、商品ページに、使用方法や使用イメージなどの情報を掲載しておくことをおすすめします。
◆商品ページに掲載された商品の使用方法|「お仏壇のはせがわ」
引用(画像):「お仏壇のはせがわ」公式サイトの商品ページの商品説明
上の例のように設置方法や使い方が詳しく解説されていると、商品を利用する目的や利用状況をイメージしやすくなるため、販売機会の拡大につながります。
ポイント⑥ 販売タイミングに合わせてECサイトのトップページを変える
仏壇・仏具には以下のような季節や年間イベントによる需要があります。
◆仏壇・仏具の季節や年間イベントに伴う需要(例)
・春秋のお彼岸(3月・9月)
・年末年始(12月〜1月)
・回忌法要
そのためECサイトのトップページも、例えばお盆の時期には「盆提灯・供物・新盆セット」、お彼岸の時期には「墓参り用仏具の補充や買い替え」というように、イベントごとに商品を訴求するデザインに変更し、ECサイトの常に目につく場所に特設ページや商品ページに誘導するバナーを設置するなどの工夫をしましょう。
トップページのメインビジュアルやサイト内バナーのデザインは、ECサイトを訪れる人の目に最初に留まるため、興味関心を引き付けやすく、購入意欲の促進にも効果があります。
ポイント⑦ SEO対策(ブログ機能、WordPress連携機能)
仏壇・仏具の購入が必要になった場合、多くの人がGoogleなどで検索して必要な情報を集めます。そのため、Web検索結果の上位に自社のECサイトのWebコンテンツが表示されれば、ECサイトの集客に直結しやすくなります。
関連ブログは、ECサイトや公式サイトと同じドメインで運用すると、ドメインに対する信頼性が高まりやすいため、ECサイト内にブログ機能を組み込んだり、WordPressなどの外部CMSとの連携機能を実装したりすることをおすすめします。
仏壇・仏具のECサイト構築の3つの方法
最後に、仏壇・仏具のECサイトを構築するための3つの方法を紹介します。
方法① ASPサービスを利用する
「Shopify」「BASE」「STORES」などのように、Webブラウザでログインして利用できるECプラットフォームで、数千~数万円/月程度の料金で手軽にECサイトを開設できます。
例えば、小規模のECサイトで1日の注文数が10件以内であれば、ASPの利用が適しています。
ECサイトの画面は、標準で提供されるテンプレートを編集したり、新規作成したりと比較的自由に作成できますが、EC機能については、追加やカスタマイズができないことが多く、標準機能のみで運用できることが前提となります。また、他システムとの連携などもできない場合が多いです。
ASPサービスについては、下記の関連記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
関連記事:Commerce Marketing Blog「自社ECサイトで使う最高のASPを見つけるための5つのポイント」
構築方法② パッケージやSaaSを利用してカスタマイズする
中・大規模のECサイトを構築する場合には、この方法が最適です。カスタマイズ規模によっては開発費用が1,000万円以上になるケースもあり、さらに、1日の注文数が100件以上の場合は、他システムとの自動連携が必要になる可能性もあります。
例えばインターファクトリーの「EBISUMART(エビスマート)」のようなカスタマイズ性に優れたSaaS型ECプラットフォームでは、豊富な標準機能が提供されており、複雑なカスタマイズやさまざまな外部システムとの連携も実現できます。
EBISUMART(エビスマート)の詳細や資料請求については、下記の公式サイトをご覧のうえお気軽にお問い合わせください。
構築方法③ フルスクラッチ開発をする
予算が潤沢にあり、固有機能をどうしてもシステム化する必要がある場合に限り選択すべき方法で、開発費用が1億円以上になることも珍しくありません。
この方法では基本的には必要な機能をすべて実装することも可能ですが、EC業界ならではのノウハウやテクニック、最新技術があるため、必ずEC専門またはECサイトの開発経験の多い開発会社を選定するようにしましょう。
スクラッチ開発については、下記の関連記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
仏壇・仏具を購入する際には専門知識が必要となることも多く、また商品も高額なことから商品購入のハードルが高いため、ECサイトでは「誠実な情報提供」と「相談しやすい導線の設計」が重要になります。また、季節イベントに合わせてトップページや商品ページのデザインを変更するなどの工夫も必要です。
インターファクトリーのSaaS型ECプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」は、ECサイトのカスタマイズや外部システムに柔軟に対応できるため、仏壇・仏具のECサイトに特化した機能を実現できます。
EBISUMART(エビスマート)の詳細や資料請求については、下記の公式サイトをご覧のうえお気軽にお問い合わせください。