担当者必見!「メガネのECサイト」で実施すべき5つの施策


一般的なファッションアイテムや雑貨の購入に比べ、視力矯正としての機能性と日常的に利用する実用性、そして顔の印象を変えるファッション性という要素を持ち合わせているメガネの購入では、商品の検討と選択から購入手続き、そして購入後の使用において顧客が疑問や不安を抱えやすくなります

そのため、メガネのECサイトでは、他のECサイトよりもより多くの工夫と機能が必要になります。また、ECサイトの弱点でもある「実際の着用イメージ」に対する顧客との誤差をいかに減らすことができるかという点も重要です。

メガネのECサイトにおける重要な施策は以下の5つです。

◆メガネのECサイトにおける5つの施策

施策① 視力データや保証関連の情報を一括管理するための仕組みを導入する
施策② 商品の見せ方を工夫し、「試着」に関する不安を軽減できる機能を実装する
施策③ リピーター獲得に向けて、「定期購入」や「まとめ買い」の機能を実装する
施策④ 購入体験の向上に向けて、「店舗受取」や「来店予約」の仕組みを導入する
施策⑤ 顧客の不安を軽減するために必要な仕組みと体制を構築する

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、国内メガネブランドのECサイト事例と、メガネのECサイトにおける5つの主要な施策を紹介します。

国内メガネブランド5社のECサイト事例

メガネ販売は商品選びの複雑さと試着ニーズへの対応が求められるため、他の小売と比べるとECサイトでの販売は難しい面もありましたが、近年は大手ブランドのECサイトを中心に、デジタル技術を駆使して、アクセシビリティに対応した魅力的なUI設計、購入時/購入後の充実したサポート、そして手軽に利用できる試着サービスなどが提供されています

ここでは、実際にメガネのECサイトではどのような購買体験を顧客に提供しているのか、国内のメガネブランド5社のECサイト事例を見ながら解説していきます。

事例① JINS

JINSでは、ECサイトでも実店舗と同等の購買体験を提供するための手法の一つとして、スマートフォンやPCのカメラを使用して画面にユーザーのリアルタイム映像を表示し、選んだメガネの3D試着ができる「VIRTUAL FIT(バーチャルフィット)」サービスを提供しています。ECサイトに顔写真をアップロードするなどの手間もなく、画面には実際にメガネをかけているかのような映像が映し出されるため、気に入ったメガネを手軽に試着することができます。

また、種類が豊富にあるフレーム、レンズ、オプション(ブルーライトカット、遠近両用など)などの情報も分かりやすく整理されているので、直観的な操作で商品を選んで試着でき、商品が気に入ったらそのまま購入手続きに進むことができるため、とても使いやすいECサイトになっています。

また、JINSはECサイトでオンライン限定商品を展開するなど、店舗との差別化も図りつつ、実店舗とECサイトのオムニチャネル戦略にも積極的に取り組んでいます

参考:メガネ通販のJINS【公式】

事例② Zoff

Zoffは購入後のサポートと多彩な商品展開に注力しており、購入後サポートでは、「フレーム保証」(1年間、無料で修理/交換)、「レンズ度数保証」(6か月間、2回まで無料で度数交換)、「18歳までのレンズ保証(1年間、2回まで無料で度数交換)」などのサービスを提供しています。

また、ブランド、アーティスト、キャラクター、アニメなど、多彩なコラボレーション商品も積極的に展開していて、それらの限定アイテムは実店舗とオンラインストアの両方で購入することができます。

Zoffでは、充実したアフターサービスを通じて顧客に安心感を与え、トレンドを捉えた多彩な商品展開を通じて顧客の興味関心を高める取り組みで顧客満足度の向上を図っています。

参考:メガネのZoffオンラインストア

事例③ メガネスーパー

メガネスーパーはコンタクトレンズに特化したオンライン販売を展開しており、消耗品ならではの顧客ニーズに応えるために、定期購入やまとめ買い割引などのサービスを充実させています。

また、LINE公式アカウントとの連携にも取り組んでいて、LINEでも割引クーポンの配布や注文受付を行っています。顧客は使いやすいチャネルを利用して、いつでもスムーズにコンタクトレンズの購入や商品に関する問い合わせなどができます。

メガネスーパーでは、簡単でお得に商品を購入できる仕組みと、SNS連携による一貫したECサービスを提供して顧客の利便性を高めています。

参考:メガネスーパー公式通販サイト

事例④ 眼鏡市場

眼鏡市場では、商品の選び方や注文方法の分かりやすい解説動画を公開するなどして、ECサイトで初めてメガネを購入する顧客にも配慮しています。

ECサイトで購入した商品は、受取先に自宅や勤務先、コンビニも指定できるため、自分のライフスタイルに合わせて最適なタイミングで受け取ることができます。

また、全国の実店舗でフィッティングやメンテナンスなどのアフターサービスを提供するための体制も確立しており、顧客満足度の向上につながっています。

参考:眼鏡市場オンラインショップ

事例⑤ OWNDAYS(オンデーズ)

OWNDAYSのECサイトの特徴として、視認性と操作性に優れたUIが挙げられます。選択した商品をカートに入れるときに、画面表示に沿ってレンズの種類や度数、オプションなどを簡単に選択・指定できるので、オンラインで初めてメガネを購入する人でも比較的スムーズに購入できます。

さらに、ECサイトにはスタッフによるスタイリング提案コンテンツも充実しており、顧客は着用シーンやイメージを参考にしながら商品を選べるようになっています。

OWNDAYSは使いやすさと提案力を両立したECサイトを実現し、顧客に快適な購買体験を提供しています。

参考:メガネ通販のオンデーズオンラインストア

メガネのECサイトに求められる5つの施策

メガネの購入では、フレームの形やサイズ感、レンズの種類、度数といったさまざまな要素を検討しなければならず、顧客は購入時/購入後に疑問や不満を抱えやすくなります。そのため、実店舗とECサイトの両方で、顧客の疑問を解消して不安を軽減するための工夫が求められます。

そこで今回は、メガネのECサイトにおける5つの重要な施策を紹介します。

◆メガネのECサイトにおける5つの施策

施策① 視力データや保証関連の情報を一括管理するための仕組みを導入する
施策② 商品の見せ方を工夫し、「試着」に関する不安を軽減できる機能を実装する
施策③ リピーター獲得に向けて、「定期購入」や「まとめ買い」の機能を実装する
施策④ 購入体験の向上に向けて、「店舗受取」や「来店予約」の仕組みを導入する
施策⑤ 顧客の不安を軽減するために必要な仕組みと体制を構築する

それでは一つずつ見ていきましょう。

施策① 視力データや保証関連の情報を一括管理するための仕組みを導入する

ECサイトでは会員情報の管理機能は必須の機能です。視力やレンズの度数情報と、保証関連の情報を含む購入履歴をひも付けて管理しておくことで、ユーザーは次回の購入をスムーズに行うことができ、レンズの修理や交換などにも迅速に対応できるようになります。

データを適切に取得して、安全に管理、活用できる環境を整備することは、EC運営における基盤となります。

また、下図のようなECサイトと連携した専用アプリを提供すると、購入商品のオプションや保証に関する情報や自身の視力とレンズの度数の情報を、いつでも手軽に確認できるため、ユーザーの利便性が高まります

◆JINS公式アプリ

JINSアプリ

引用(画像):JINSアプリ登場 !│JINS

施策② 商品の見せ方を工夫し、「試着」に関する不安を軽減できる機能を実装する

実際に触れたり試着したりできないというECサイトの不安を軽減するには、ECサイト上での商品の見せ方を工夫する必要があります。

メガネのECサイトの商品ページには、必ずフレームの寸法や素材、重さなどの詳細なスペック情報と、実物により近いレンズのカラーイメージを掲載しておくことが重要です。

◆Zoffの商品ページ

Zoff商品ページ

引用(画像):「Zoff」の公式オンラインストア│商品ページの画像を筆者が加工して作成

また、スタイリング提案コンテンツやモデルによる着用画像なども、顧客が着用時のイメージをつかむために有効です。

例えばOWNDAYS(オンデーズ)では、ビジュアルと音声で伝えられる動画で店舗スタッフによるスタイリング提案コンテンツを作成・提供しています。

実装にはかなりの予算が必要にはなりますが、バーチャル試着や3Dビューなどの機能をECサイトに実装し、顧客によりリアルな購買体験を提供することで、購入時の不安を軽減し、購買意欲を促進することができます。

施策③ リピーター獲得に向けて、「定期購入」や「まとめ買い」の機能を実装する

顧客一人あたりのメガネ本体の購入頻度はあまり高くありませんが、コンタクトレンズやケア用品などの消耗品には定期的な需要があります。そのため、ECサイトで「定期購入プラン」や「まとめ買い割引」のサービスを提供することで、リピート率と顧客単価の向上が期待できます。

例えば、消耗品の場合はサブスクリプション型サービスの導入なども有効です。また、まとめ買いの場合は特典を付与すると、一度の注文で複数個を購入してくれる可能性が高まります

ECサイトでは特に、顧客との良好な関係を長期的に維持していくための取り組みと工夫が大切になります。

施策④ 購入体験の向上に向けて、「店舗受取」や「来店予約」の仕組みを導入する

視力矯正としての目的もあるメガネは、購入後にレンズの度数やかけ心地などの調整が必要になることが多いため、実店舗との連携が不可欠になります。

ECサイトで注文した商品を実店舗で受け取る「店舗受取」サービスを提供することで、商品の引き渡し時にフィッティングしてもらい調整することができます。

また、顧客が来店した際はメガネケースやクリーナーなどの関連商品を提案するなどして、店頭での購入の後押しするのも良いでしょう

また、以下のようなサービスを提供しているのであれば「来店予約」を可能にすることで、事前に顧客のニーズを把握して準備しておくことができるため、より質の高いスムーズな接客が可能になります。

◆来店予約に適したサービス(例)

・商品の購入相談
・購入した商品の受け取り
・商品の修理/交換、メンテナンス、クリーニング
・商品定期メンテナンス

ECと実店舗で統一感のある購買体験を提供することで、顧客満足度の向上と売上の拡大が期待できます。

施策⑤ 顧客の不安を軽減するために必要な仕組みと体制を構築す

メガネの販売では、他の小売と比べて購入プロセスが複雑になりやすいため、購入時のサポートについても、十分に考慮する必要があります。例えば、購入時の疑問の解消をサポートするチャットボットをECサイトに組み込み、専門スタッフによるオンラインの相談窓口を開設するなどし、購入時のレンズ選びや度数の入力などで生じる個別の疑問をその場で解決するための仕組みを構築することが大切です。

また、ECサイトのFAQや購入ガイドなどのヘルプコンテンツを充実させておくことで、顧客に疑問を自己解決するための環境を提供することも大切です。

リアル店舗での対応により近いサポートをECサイトで提供してオンライン購入のハードルを下げることが、コンバージョン率の向上にもつながります。

顧客体験を高めるための2つのポイント

メガネのECサイトでは、商品を選びやすくするための工夫だけではなく、幅広い層の顧客に安心して利用してもらうための配慮したサービス提供が重要になります。

メガネのECサイトでの顧客体験を高めるポイントは次の2つです。

ポイント① 視認性とアクセシビリティを高め、誰にとっても使いやすいサイトを作る

メガネのECサイトを訪れる人には、視力の弱い人や高齢者などを視覚に悩みを抱えている人も多くすべての顧客が快適に利用できるようにするためのアクセシビリティへの配慮は欠かせません。

とはいえ、アクセシビリティに対応するためだけにECサイトを作り直したり、全面改修したりするのは非現実的なので、Webアクセシビリティツールを利用する方法を検討することをおすすめします。

例えば「ユニウェブ」のようなサービスを利用することで、画面の拡大や配色変更などの多彩なアクセシビリティ支援機能を既存サイトに簡単に実装できます。

参考:Webアクセシビリティツール「ユニウェブ」

ポイント② 後払い決済を導入して高額商品の購入ハードルを下げる

高価格帯商品を購入する場合には、ECサイトでの初回購入における心理的なハードルは高くなります。特にメガネの購入では、選んだフレームにレンズを組み合わせると思いがけず高額になってしまうこともあり、実物を確認できないECサイトでの購入に不安を感じる人は少なくないでしょう。

このような不安を軽減する方法としては「後払い決済」の導入も有効な方法の一つとなります。後払い決済を利用すると、商品を受け取ってから料金を支払うことができるため、顧客はリスクを避けつつ購入判断が行えます。

例えば、後払い決済サービスの「Paidy(ペイディ)」はメールアドレスと携帯番号を登録するだけで手軽に利用できます。また、顧客に複数の決済方法を提供することで購入機会損失の予防効果も期待できます。

参考:後払い決済サービス「Paidy(ペイディ)」

まとめ

メガネのECサイトでは、商品の魅力を伝えるためのビジュアルだけでなく、誰もが簡単かつ安心して買い物ができるようにアクセシビリティに配慮したデザインを採用する必要があります。

またECの機能として、視力やレンズの度数情報を含めた会員情報の管理、複雑な購入フローに対応できるEC機能の実装、バーチャル試着やスタイリング提案など着用時の状態やシーンをイメージしやすくするための仕組み、定期購入や実店舗との連携サービスや複数の決済方法などを提供していく必要があります。

顧客の疑問を解消し、安心して買い物をしてもらえるようなECサイトを運営していくことが大切です。

メガネのECサイトのように、複雑で多岐にわたる要件に対応できるECサイトの構築には、インターファクトリーのクラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」がおすすめです。業界ごとのニーズに応じた高度な顧客情報・商品情報の管理や複雑な店舗間連携などのカスタマイズにも柔軟に対応できます。

「EBISUMART」の詳細やECサイトの構築事例については、以下の公式サイトをご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。

EBISUMART(エビスマート)公式サイト


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。