観光業の名産品・土産品物販でECを成功させる7つのポイント


コロナ禍が収束した現在の国内観光業ではインバウンド需要が大幅に増加しており、同時に名産品・土産品物販業界ではECサイトへの関心が高まっています

観光業の方が、名産品・土産品物販のEC運営で押さえておくべきポイントは以下の7つです。

◆名産品・土産品物販のEC運営における7つのポイント

ポイント① インバウンド対応(多言語対応、海外決済、海外配送)を実装する
ポイント② 店舗で購入してくれた顧客に、ECサイトでの再購入を促す
ポイント③ ECサイトで購入してくれた顧客に、来店を促す
ポイント④ ギフトサービスを提供する
ポイント⑤ SNSで情報を配信する
ポイント⑥ ECモール(楽天市場やAmazonなど)出店時は在庫連携を実装する
ポイント⑦ ブログメディアを開設する

この記事では、インターファクトリーでマーケティングを担当している筆者が、観光業における名産品・土産品物販のEC運営の7つのポイントを解説します。

観光業の名産品・土産品物販のECサイト事例

観光業の名産品・土産品物産のECサイトの事例として、株式会社平田牧場が運営する公式オンラインショップを紹介します。

◆平田牧場オンラインショップ

平田牧場オンラインショップ

出典(画像):平田牧場オンラインショップ

平田牧場のECサイトでは、送料を商品の配送温度帯(常温・冷蔵・冷凍)ごとに設定したり、贈答ニーズに応えて商品別、配送先別に選択可能な「熨斗・名入れ」サービスを提供したりしています。

また会員向けのポイントやクーポンなどによる割引サービスや、メールマガジンで限定セールなどのお得な情報を定期配信するなど、リピーター施策も充実しています。

平田牧場のECサイトは、観光業におけるECサイト運営の手本となる工夫が多く施されているので、特に新たにECを始めたいと考えている名産品・土産品物販の事業者の方にとっては大変参考になるはずです。

観光業の名産品・土産品物販のEC運営における7つのポイント

観光業の名産品・土産品物販のECを運営する際に押さえておくべき以下の7つのポイントについて、一つずつ解説します。

ポイント① インバウンド対応(多言語対応、海外決済、海外配送)を実装する
ポイント② 店舗で購入してくれた顧客に、ECサイトでの再購入を促す
ポイント③ ECサイトで購入してくれた顧客に、来店を促す
ポイント④ ギフトサービスを提供する
ポイント⑤ SNSで情報を配信する
ポイント⑥ ECモール(楽天市場やAmazonなど)出店時は在庫連携を実装する
ポイント⑦ ブログメディアを開設する

ポイント① インバウンド対応(多言語対応、海外決済、海外配送)を実装する

観光業の名産品・土産品物販のECサイトでは、インバウンド対応として以下の3つをECサイトでも対応できるようにする必要があります。

◆ECで必要な3つのインバウンド対応

① 多言語対応
② 海外決済
③ 海外配送

①の多言語対応を実現する場合に、英語や中国語などの外国語ページをゼロから個別に作ろうとすると、かなりの開発コストがかかりますが、例えば「ユニウェブ」などのAI多言語翻訳ツールを利用することで、多言語対応のWebページを手軽に作成することができます。

参考:AI多言語翻訳「ユニウェブ」(株式会社Kiva)

②の海外決済は、クレジットカード決済を実装することで多くの国々に対応することができますが、例えば中国の「Alipay」や「WeChat Pay」などのように、現地で圧倒的なシェアを占めているキャッシュレス決済を利用できないと、ユーザーが購入をあきらめてしまう可能性が高くなります

③の海外配送は、日本郵便のEMSなどの国際配送サービスを利用することで対応が可能です。

参考:「EMS(国際スピード郵便)」(日本郵便株式会社)

①②③の方法を使って、自社のECサイトに不足しているインバウンド対応を個別実装してもよいのですが、今後もインバウンド需要は拡大が期待でき、また、越境ECで積極的に市場を拡大していくのであれば、例えば「WorldShopping BIZ」などのような、ECのインバウンド対応専門のサポートサービスを利用する方法も検討してみると良いでしょう。

参考:越境EC・Webインバウンド対応サービス「WorldShopping BIZ」(株式会社ジグザグ)

専門のサポートサービスは、月額数万円~の料金で自社ECサイトに指定のタグを埋め込むことで利用を開始できるため、インバウンド対応を手軽に実現できます。

「海外転送サービス」「海外物流代行サービス」などとも呼ばれるECのインバウンド対応専門のサポートサービスの導入については関連記事で解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

関連記事:越境ECの始め方3つの中で手軽な「海外転送サービス」とは?

ポイント② 店舗で購入してくれた顧客に、ECサイトでの再購入を促す

皆さんは、観光地でお土産を購入して帰宅した後で、次のような気持ちになることはありませんか。

「お土産の数が足りないかも……」
「すごくおいしいのにあと少ししかない!」
「もっとたくさん買っておけばよかった……」

筆者はよくこうした気持ちを味わっているのですが、そんな時にお土産の箱や袋の中にECサイトのチラシを見つけると、早速アクセスしてつい追加購入してしまう可能性が高まります。このように、最適なタイミングでECサイトの存在を伝えることで、追加購入や再購入の後押しにつながります。こうしたチラシにはQRコードを掲載しておくと、ユーザーがスマートフォンで簡単にアクセスできるので便利ですね。

QRコードは以下のようなサービスを利用すると無料で簡単に作成できます。

参考:QRコード作成【無料】/QRのススメ

また、SNSの公式アカウントやECサイトの会員登録をしてもらうことで、新商品やキャンペーンなどの情報を配信できるため、継続的な来店促進アプローチを展開することも可能になります。

ポイント③ ECサイトで購入してくれた顧客に、来店を促す

ECサイトで素晴らしい購入体験をした顧客は、店舗にも行ってみたいと感じるようになります。ECサイトだけで果物の加工食品を販売している事業者の方の話では、商品を気に入った顧客が、実際に加工工場を訪ねてきてくれることもあるそうです。

購入した商品が顧客にとって「特別なもの」になればなるほど、店舗に対する関心は高まりますので、ECの商品を発送する際は、店舗情報を掲載したチラシなどを同梱するなどして来店を後押しすると良いでしょう。また、ECサイトにも店舗紹介のコンテンツを掲載し、いつでもチェックしてもらえるようにしておきましょう。

ポイント④ ギフトサービスを提供する

観光業の名産品・土産品物販のECサイトではギフトサービスを提供できるようにしておきましょう。ギフト用途には、ギフトで商品を贈られた人が商品を気に入った場合には、さらに別の人にギフトとして贈るために購入してくれるというように、従来の自社の顧客層とは異なる層の顧客を新たに獲得できる可能性が生まれるというメリットがあります。

ECサイトでギフトサービスを提供する場合には、「熨斗・名入れ」などのギフト専用機能が必要になります。ECのギフト機能については関連記事で解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

関連記事:ギフト向けECサイトに必要な5つの機能をECのプロが徹底解説

ポイント⑤ SNSで情報を配信する

店舗やECサイトを利用してくれた顧客と定期的なコミュニケーションを取れるように、SNSの公式アカウントをフォローしてもらえるように工夫しましょう。例えば、フォローしてくれた方に対してプレゼントや割引特典を用意する方法も効果的です。

また、レジ周りにSNSのQRコードを掲示することで会計時にフォローを促しやすくなったり、会計待ちの間にフォローしてもらえたりするので、必ず用意しておくようにしましょう。

SNSをフォローしてもらえると、定期的に情報を発信できるようになります。例えばInstagramではSNSアカウントに外部サイトのURLを貼り付けることもできるため、ECサイトへの誘導もスムーズになります。

◆Instagramの平田牧場の公式アカウント(プロフィール欄)

平田牧場Instagram

引用(画像):Instagramの平田牧場の公式アカウント

SNSで販促色の強い投稿ばかりをしていると、ユーザーに飽きられてフォローを解除されてしまうリスクが高まるため、観光地やブランドなどの情報も織り交ぜて投稿するなどして、ユーザーにストレスを感じさせないSNS運用を心掛けましょう

ポイント⑥ ECモール(楽天市場やAmazonなど)出店時は在庫連携を実装する

自社ECサイトだけでなく、楽天市場やAmazonなどのECモールに出店・出品する場合には、在庫連携機能を実装しましょう。在庫情報を個別で管理していると機会損失や受発注トラブルを引き起こす可能性が高くなります。

複数のEC店舗を運営する場合は、在庫管理システムを導入して在庫情報を共有できるようにしましょう。ECに在庫連携を実装する方法については関連記事で解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

関連記事:EC担当者必見!ECに在庫連携を実装するための3つの方法

ポイント⑦ ブログメディアを開設する

自社のECサイトでは、SEO対策のためにもブログメディアを開設することをおすすめします。ブログの運営には3つのコツがあります。

ブログのアクセス数を増やす3つのコツ

① ECサイトと同じドメイン(URL)配下に開設する
② ECサイトと親和性の高いトピック、テーマの記事を掲載する
③ 記事は最低3,000文字以上で作成する

①の目的は、ECサイトとブログメディアを同じドメインで運用することで、ドメインに対するSEO評価(検索エンジンによるWebサイト評価)の効果を最大化することです。

例えば、このブログ記事は「https://ebisumart.com/」配下の「blog」というサブディレクトリで運用されています。つまりECプラットフォーム「EBISUMART」の公式サイト内のコンテンツの一つなので、ブログ記事の評価は公式サイトの評価につながります。

②はブログメディアの開設の目的に関連しており、今回はECサイトを成功させるための手段としてブログメディアを開設するという前提がありますから、ECサイトとまったく関係のない記事を掲載しても効果がなく、逆にSEO評価を低下させる可能性があります。

また、ブログと聞くと日記のようなものを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、よほどの有名人でない限りは、自分本位の記事で人々の関心を集めることはできません。人々の役に立つ、あるいは興味を引く情報を記事にする必要があります。

人々が何に関心を持っているかを知るために便利なツールがあります。例えば、「ラッコキーワード」というキーワード調査ツールでは、商品カテゴリを入力すると(図では千葉の名産品の「落花生」を指定)、検索エンジンのサジェストや関連するキーワードを抽出することができます。

◆ラッコキーワードで抽出された「落花生」に関連するキーワード

落花生のラッコキーワードの結果

引用(画像):キーワード分析ツール「ラッコキーワード

例えば、千葉の観光地で落花生を販売している場合、上図にある「落花生 ゆで方」に関連したブログ記事を掲載することで、検索にヒットしやすくなりブログのアクセス数が増えるといった効果が期待できます。

③の文字数は読者にとって読みやすく、有益な情報を伝えるための分量の目安で、3,000~5,000文字程度で記事を作成すると良いでしょう。記事がユーザーにとって価値のあるものであると検索エンジンに認識させ、評価されることで、SEOの検索順位を高めることができます。

チケット予約システムは、専用システムを利用すべき

最近はインバウンドの影響による観光地の混雑が問題となっており、混雑緩和の解決策の一つとして観光や入店チケットの予約販売が注目されています。

チケット予約システムをECサイトの機能として実装する場合には、数百万円以上の費用が必要となるうえ導入後の保守運用も複雑になります。すでにチケット予約システムはさまざまなサービスやアプリがあり、外部の専門システムを利用するほうが、追加開発するよりも費用対効果が高く、機能も充実している場合が多いです。

まとめ

すでに店舗への集客ができているのであれば、帰宅後にECサイトで再購入してもらえる仕組みを考えることで、さらなる売上につなげることができます。また、SNSの公式アカウントなどでECサイトと連携した情報を積極的に配信するなどし、顧客の目に留まる機会を増やして、店舗とECサイト双方への来店を促進していきましょう。

これから観光業の名産品・土産品物販のECサイトを構築する場合は、インターファクトリーのECプラットフォーム「EBISUMART」をおすすめします。自社のECに最適なインバウンド対応を実装できる、柔軟性の高いEBISUMARTが、ECサイトの効果の最大化とEC運営の成功を強力にサポートします。

詳しくはEBISUMART公式サイトをご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。

公式サイト:クラウドECプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」


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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表取締役。 株式会社インターファクトリーのWEBマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作には「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」などあり、執筆活動にも力を入れている。