「海外進出を検討しているけれど、越境ECってどうなんだろう?」
そのような問いの答えを、探しているところかもしれません。
越境(えっきょう)ECとは、国内だけでなく海外にも販売する、国境を越えたEコマース(電子商取引)のことです。
グローバル化の進展と、翻訳技術や物流サービスの充実により、いまや越境ECも当たり前のものとなりつつあります。
日本企業にとって、越境ECは海外市場への参入と売上拡大の大きなチャンスです。一方、言語や文化、法規制の違いなど、越境ECならではの課題も存在します。
この記事では、越境ECの基礎知識から具体的な始め方、注意点まで分かりやすく解説します。
最後までお読みいただくと、自社に最適な越境ECの方法が見つかり、グローバル市場での成功への第一歩が踏み出せるでしょう。
1. 越境ECとは?基本を理解する
まずは「そもそも、越境ECって何?」という方にも分かりやすく、基礎知識から確認していきましょう。
② 越境ECの特徴
③ 越境ECと現地法人によるグローバル展開の違い
④ 日本企業による越境ECの具体例
1-1. 越境ECとは何か
冒頭でも触れたとおり、越境ECとは、自国とは異なる国や地域の人々に対して、インターネットを通じて商品やサービスを販売することを指します。
英語では「Cross-Border E-Commerce」といい、これを日本語訳すると「越境EC」となります。
「越境」の読み方は “えっきょう” で、境界を超えること(とくに国境を越えること)を指す言葉です。
1-2. 越境ECの特徴
越境ECには、以下の特徴があります。
◆越境ECの特徴
・国境を越えたオンラインでの取引:越境ECは、国境を越えてインターネット上で行われる電子商取引であり、自国と異なる国や地域を対象とするのが特徴です。言語、通貨、商習慣の違いなど、さまざまな障壁を乗り越える必要があります。
・海外の巨大市場へのアクセス:越境ECは、自国の市場だけでなく、海外の巨大なマーケットに直接アクセスできるのが大きな魅力です。世界中の消費者や企業を対象に商品やサービスを販売できるため、ビジネスの拡大が期待できます。
・現地ニーズに合わせた商品展開の重要性:越境ECでは、進出先の国や地域の顧客ニーズを的確に捉えた商品展開が求められます。現地の嗜好や文化、ライフスタイルに合わせた商品開発やローカライゼーション(現地への適応)が成功の鍵を握ります。
越境ECは、グローバル化が進む中で、国境を越えたビジネスチャンスを提供してくれる有望な販売チャネルと言えるでしょう。
1-3. 越境ECと現地法人によるグローバル展開の違い
海外へ事業展開する方法としては、越境ECのほかに、現地法人によるグローバル展開もあります。
違いを整理しておきましょう。
◆越境EC
・定義:越境ECは、自国から他国の顧客に対して直接商品やサービスを販売する形態を指します。オンラインプラットフォーム(自社のECサイト、Amazon、Tmall※など)を通じて、異なる国の顧客に商品を提供します。
・特徴:自国から他国へ商品を国際配送します。海外の顧客に対する外国語での対応や関税の対応が必要です。
◆現地法人によるグローバル展開
・定義:現地法人によるグローバル展開は、企業が進出先の国に法人を設立し、現地で直接事業を展開することを指します。販売・製造・マーケティングなどの現地業務を直接管理する形態です。
・特徴:現地に法人や事務所を設立し、その国で直接事業を運営します。法人税や労働法など、進出先の国の法律や規制に従う必要があります。
これらの違いを理解して、企業はどちらの戦略が自社にとって最適かを判断することが重要です。
越境ECは、日本国内にいながら海外展開できるという点で、参入障壁が比較的低いと言えます。
(※)Tmallとは、中国の大手ECプラットフォームを指します。日本の「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」に相当する大規模モールです。
1-4. 日本企業による越境ECの具体例
近年、多くの日本企業が越境ECに積極的に取り組んでおり、その成功事例が注目を集めています。
・ヤーマン:「ヤーマン」は美容機器メーカーで、Tmall(中国)などのプラットフォームを活用し、越境ECを通じて中国市場で成功を収めています。現地の顧客ニーズに応じたライブコマース(ライブ配信を通じた商品販売)などを利用し、現地の顧客との関係を深めています。
・ニトリ:日本の家具メーカー「ニトリ」は、Tmall(中国)やmomo(台湾)、Amazon(米国)などのプラットフォームを活用し、グローバルに越境ECを展開しています。ニトリは、各国のプラットフォームごとに適した戦略を採用し、成功を収めています。
・Fake Food Japan:食品サンプルを販売する「Fake Food Japan」は越境ECを展開し、ニッチな市場にアプローチすることで国際市場での成功を収めています。食品サンプルというユニークな商品を用いて、日本の食品文化を広めています。
なお、資生堂やユニクロの海外展開が、広義での越境ECの事例として挙げられることがあります。
しかし、本記事では現地法人によるグローバル展開(現地発送)は除き、日本の拠点から海外配送を行うスタイルを越境ECとして、解説を進めていきます。
2. 越境ECへの参入を検討している方向けの情報整理
越境ECへの参入を検討する際には、市場動向や商品選定、メリットとデメリットの理解が不可欠です。
ここでは、越境ECに関する重要な情報を整理していきましょう。以下のポイントを解説します。
② 地域別の見通し
③ 越境ECでの日本の売れ筋カテゴリ
④ 越境ECのデメリット・リスク
2-1. 世界の越境EC市場規模の拡大予測
まず、市場動向を確認しましょう。
経済産業省の資料によれば、2021年から2030年の世界の越境EC市場は、大きな成長が予測されています。具体的には、この期間内に市場規模が “10倍以上” に拡大する見通しです。
◆参考:世界の越境EC市場規模の拡大予測
出典:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書」(2023年8月発表)
上図の金額を1ドル140円で換算すると、2030年の市場規模は1,111兆3,200億円となります。
越境ECビジネスは、大きな成長が期待される有望分野と言えるでしょう。
2-2. 地域別の見通し
地域別の先行きを概観すると、以下のとおりです。
◆越境EC市場の地域別の見通し
・アジア太平洋地域の高成長:アジア太平洋地域は、今後も越境ECの主要な成長エンジンとなると予想されています。中国をはじめとする新興国の経済発展と、巨大な人口がその背景にあります。
・欧米市場の安定的な拡大:欧米の先進国では、すでにEC市場が成熟しているものの、越境ECは安定的な成長を続けています。クロスボーダー取引(越境取引)に対する顧客の抵抗感が低いことが、市場拡大を後押ししています。
・新興国の台頭:東南アジアやアフリカ、中南米などの新興国でも、越境ECの市場が急速に立ち上がっています。所得水準の向上と、スマートフォンの普及が、越境ECの利用を促進しています。
日本企業が越境ECに参入すれば、これらの成長市場から恩恵を受けられる可能性が高まります。
2-3. 越境ECでの日本の売れ筋カテゴリ
少々古いデータにはなりますが、2017年のジェトロによる調査では、以下が越境ECでの日本の売れ筋品目となっています。
国/地域 | 売れ筋カテゴリ |
中国 | 紙おむつ、子ども向け商品 |
台湾 | アパレル、パソコン・電子通信機器 |
香港 | コンシューマー・エレクトロニクス、メディア製品 |
韓国 | 女性衣類、ボディソープ |
シンガポール | サプリメント(ダイエット)、美容関連製品 |
タイ | 飲料・食品、化粧品・サプリメント |
マレーシア | 粉ミルク、収納箱、飲料、携帯型充電器 |
インドネシア | 電化製品(スマートフォン、タブレット)、化粧品 |
ベトナム | 携帯電話、家電製品、衣類・ファッション用品 |
インド | スマートフォン、パソコンなどの電子機器 |
オーストラリア | 衣料品、音楽・ビデオ、服飾雑貨 |
米国 | メディア製品、電子機器、家庭用製品 |
カナダ | 電子書籍端末、写真用メモリーカード |
メキシコ | 衣服・アクセサリー、スポーツ&フィットネス、コンピューター、情報機器 |
ブラジル | カーアクセサリー、パソコン、周辺機器、携帯電話、スマートフォン |
英国 | 情報・通信機器(コンピューター、携帯通信機器など)、デジタルメディア、娯楽製品 |
ドイツ | 衣料品 |
フランス | 旅行・観光、文化製品(書籍、DVD、音楽など)、ホームテキスタイル |
ロシア | 衣服、電気製品、家庭用製品、携帯機器(電話含む) |
出典(データ):ジェトロ「越境EC調査 データ集」
各国・地域で人気のあるカテゴリが異なることから、地域ごとの文化や経済状況に基づく商品戦略が重要であることが分かります。
たとえば、中国や台湾では「子ども向け商品」や「紙おむつ」が人気である一方、英国やドイツでは「衣料品」や「情報・通信機器」が売れ筋です。
インドやインドネシアでは「電子機器」が人気であり、オーストラリアやフランスでは「衣料品や旅行関連商品」が売れています。
ただし、上記は2017年の調査データであることにご留意ください。最新情報を踏まえて、自社製品と越境ECの親和性や、チャンス市場となる国・地域を見極める必要があります。
2-4. 越境ECのデメリット・リスク
越境ECには、大きなビジネスチャンスがある一方で、克服すべき課題も存在します。
◆越境ECのデメリット
・言語・文化の壁:現地の言語や商習慣、文化的背景への理解が欠かせません。コミュニケーションの行き違いや、マーケティングの失敗につながるリスクがあります。
・物流の複雑さとコスト:国際輸送には、通関手続きや関税対応、配送の遅延など、多くの障壁があります。輸送コストの増大は、価格競争力の低下を招く恐れがあります。
・カントリーリスク:為替変動や政情不安、法規制の変更など、販売先の国や地域特有のリスクを理解する必要があります。想定外の事態が発生した際の対応力が問われます。
これらのデメリットやリスクは、どのような手法で越境ECを行うかによっても変わってきます。続いて以下では、越境ECの3つの始め方を見ていきましょう。
3. 越境ECの3つの始め方とそれぞれのメリット・デメリット
越境ECを始める方法は大きく分けて3つあります。それぞれのメリットとデメリットを理解して、自社に最適な方法を選択しましょう。
② 自社で越境ECサイトを構築する
③ 海外転送サービスを利用する
以下で解説します。
3-1. 方法① 海外のECモールに出店する
1つ目の方法は「海外のECモールに出店する」です。
世界各国には、その地域で圧倒的な知名度を誇るECモールが存在します。たとえば、中国の天猫(Tmall.com)は有名です。また、欧米の多くの国で、Amazonへの日本からの出品が可能です。
海外のECモールに出店する方法のメリット・デメリットは以下をご確認ください。
◆メリット
・集客力:ECモールのユーザー基盤があるため、商品需要があれば、比較的容易に売上を伸ばせます。
・運用の簡便性:出店後の運用は比較的容易です。多くの場合、直送モデルと保税区モデル(輸入商品を保税区域に保管し、注文後に通関する方式)の2種類から配送方法を選択できます。
・個別サポート:大規模事業者には、ECモール運営側から専任担当者による手厚いサポートが提供されることがあります。
・競合分析:ECモール内の競合他社のショップやビジネスモデルを参考にできるため、継続的な改善や工夫がしやすいと言えます。
◆デメリット
・出店条件:一部のECモールでは、大規模企業や高い認知度を持つブランドの所有が条件となっています。小規模事業者の参入障壁が高い場合があります。
・コスト:出店手数料などの経費発生により利益率が圧迫される可能性があります。財務分析を行い、収益性を慎重に検討する必要があります。
・競争激化:人気ECモールでは、競合他社も数多く出店しています。商品の差別化や価格競争が熾烈化する傾向にあります。
3-2. 方法② 自社で越境ECサイトを構築する
2つ目の方法は「自社で越境ECサイトを構築する」です。
自社で多言語対応の越境ECサイトを構築する方法は、ブランドイメージの緻密な管理や販売戦略の自由度を実現できる大きな利点があります。
しかし、外国語対応や決済システムの構築、複雑な国際物流の管理など、多岐にわたる課題に自社で対応しなければなりません。
◆メリット
・ブランド管理:自社のブランドイメージを細部まで制御できます。デザイン・ユーザー体験・商品説明など、全要素を自社の方針に沿って最適化できます。
・戦略の柔軟性:価格設定・プロモーション・商品ラインナップなど、販売戦略を機動的に調整できます。市場変化や顧客ニーズに即応し、競争優位性を維持しやすくなります。
・顧客データの活用:顧客の購買行動や嗜好に関するデータを直接収集・分析できます。これを基に、精緻なターゲティングによるマーケティング戦略の立案や、商品開発への反映が可能となります。
・差別化:独自の機能やサービスを実装し、競合他社との明確な差別化を図れます。
◆デメリット
・コストと労力:サイトの構築・維持に多大な費用と労力を要し、高額な初期投資と継続的なコストが発生します。
・技術的課題:外国語対応、決済方法(進出地域で普及している決済サービスの実装)、配送方法など、複雑な要素をすべて自社で実装する必要があります。
・海外配送の課題:国際配送に伴う高額な送料、通関手続きの複雑さ、配送遅延リスクなど、海外物流特有の問題に直面します。これらは顧客満足度に直結するため、慎重に対策しなければなりません。
・集客の困難さ:対象地域でのECサイトの認知度向上など、集客戦略の綿密な立案・実行が不可欠です。たとえば、進出先の主要検索エンジンでの最適化(SEO)など、専門的なノウハウが必要です。
・予測しにくい先行き:新規参入する海外市場での顧客反応や売上予測を、高精度で予測するのは不可能です。にもかかわらず初期から多大な負荷がかかる自社サイト運用は、リスクが高くなります。
3-3. 方法③ 海外転送サービスを利用する
3つ目の方法は「海外転送サービスを利用する」です。
海外転送サービスとは、自社の国内向けに構築したECサイトで購入された商品を、海外の購入者へ転送する仲介サービスです。
海外転送サービスを活用すると、外国語対応や国際配送などの複雑な課題を専門企業に委託できるため、越境EC初挑戦の企業にとって魅力的な選択肢となります。
◆メリット
・導入の容易性:既存の国内向けECサイトに、必要な設定をするだけで越境ECを開始できます(詳細は利用するサービスによって異なります)。システム改修や新規サイト構築が不要なため、迅速かつ低コストでの展開が可能です。
・言語・決済・配送対応の委託:外国語での顧客対応・海外決済方法の導入・国際配送など、越境ECの複雑な要素は、海外転送サービス事業者へ委託できます。自社のリソース投入や社内オペレーションへの影響を最小限に抑えられます。
・リスク軽減:海外転送サービス事業者との取引で完結するため、為替リスクや返品対応などの国際取引特有のリスクを軽減できます。海外展開初挑戦の企業にとって、安全な選択肢となります。
◆デメリット
・集客課題:海外ユーザーへの認知度向上や集客は、基本的にEC事業者自身が担う必要があります。効果的なマーケティング戦略の立案と実行が求められます。
・ブランド管理:海外転送サービス事業者を介するため、顧客との直接的なコミュニケーションや細やかなブランド体験の管理が困難になる可能性があります。
・利益率への影響:海外転送サービス事業者への手数料発生により、商品の利益率が低下する可能性があります。価格設定や商品選定に注意が必要です。
・サービスへの依存と制約:海外転送サービス事業者の提供する言語や配送地域に制限されるため、展開可能な市場の選択肢が狭まることがあります。また、サービス事業者の新規サービスの導入状況や方針変更により、自社の事業展開が左右される可能性があります。
3-4. 3つの方法の比較表
以上、3つの方法を表にまとめておきましょう。
3-5. 選び方のポイント
それぞれの企業・ブランドによって、判断基準は異なるため、状況に応じて判断することが大切です。
その前提のうえですが、目安として選び方のポイントをお伝えします。
まず、「有名ブランドを持つ企業」の場合、海外のECモールに出店するのがおすすめです。
その理由は、ECモールに自社ブランドの顧客が存在しており、売上に直結しやすい環境が整っているからです。
また、同モール内の競合他社の動向の観察を通じて、貴重な情報収集が可能となります。得られた洞察は、ビジネス成長の大きなヒントとなるでしょう。
次に、「国内向けECサイトを運営していて、越境ECを試してみたい」場合は、海外転送サービスを利用するのがおすすめです。
基本的には、既存の国内向けECサイトに必要な設定をするだけで、低コストでスピーディに越境ECを開始できます。
もう一つ、自社で越境ECサイトを構築する方法がありますが、これに関しては、海外のECモールへの出店や海外転送サービスの利用で、売上が向上したタイミングで検討するのが賢明です。
スタート時からの越境ECサイト構築はおすすめできません。越境EC事業の初期段階に、大きな負担がかかる自社サイトを運用することはリスクが高いためです。
まずは海外のEC運用に慣れることと、海外ユーザーを集客することを最優先にすべきと言えます。
3-6. 海外転送サービスの利用を検討している方へ
海外転送サービスを活用した越境ECの展開をお考えの方は、インターファクトリーが提供するECプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」を選択肢の一つとしてご検討ください。
ebisumartは、「WorldShopping BIZ for ebisumart」という海外転送サービスを標準機能として実装しています。また、その他の提携サービスを利用することも可能です。
参考:ebisumartサポートサイト「WorldShopping BIZ連携」
越境ECの具体的な始め方や構築費用については、以下の資料にまとめました。ダウンロードしてご確認ください。
4. あらかじめ知っておきたい越境ECの注意点
越境ECには、国内のECとは異なる特有の課題やリスクがあります。最後に、あらかじめ知っておきたい越境ECの課題についてお伝えします。
4-1. 直面しやすい課題 TOP10
越境ECでは、どのような問題にぶつかりやすいのでしょうか。
日本政策金融公庫の資料より、越境ECに取り組む企業の課題を以下に引用します。
出典(画像):日本政策金融公庫「越境ECに挑戦する企業が直面する課題」(2024年1月)
見やすいように、課題項目の部分を割合が多い順に抜き出したものが、以下のリストです。
◆越境ECに取り組む企業の課題
(2)自社ブランド認知度向上の難しさ
(3)物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク
(4)ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応
(5)規制対応や商品開発
(6)商品の価格競争
(7)必要な社内人材の不足
(8)海外ユーザー・現地語への対応
(9)コストに見合った成果が得られない
(10)必要な社内リソース (資金、設備、情報)の不足
4-2. 課題に対する具体的な対策例
上記の課題について、自社でも直面する可能性が高いと考え、先手を打って対策していくことをおすすめします。
◆越境ECの課題解決に向けた具体的な対策例
・市場調査の徹底:進出先の国や地域の市場動向、法規制、提携候補企業などについて、現地の情報ソースも活用しながら入念に調査します。特に、競合企業の動向や価格帯、消費者の嗜好や購買行動などを詳細に分析し、自社の戦略策定に役立てることが重要です。
・ブランディング戦略の策定:現地の文化や価値観、ライフスタイルに合わせたブランドイメージを構築し、SNSやインフルエンサーマーケティングなどを通じて効果的に発信します。自社ブランドの強みや独自性を明確にし、現地の消費者の共感を得られるストーリーを紡ぐことが鍵となります。
・物流・通関のパートナー選定:現地の物流事情や通関手続きに精通した信頼できる物流会社や通関業者と提携します。あるいは、海外転送サービスを利用する際は、サービスの質と実績を見極めることが大切です。
・コンプライアンスの徹底:進出先国の法規制や業界ルールを詳細に調査し、確実に順守する体制を整備します。必要な許認可の取得や、表示義務の遵守など、コンプライアンス違反によるトラブルを未然に防ぐことが、越境ECビジネスの信頼性を高めるうえで不可欠です。
・専門家の活用:ECサイトの構築・SEO対策・プロモーション施策など、越境ECに詳しい専門家やコンサルタントのアドバイスを取り入れます。受講できるセミナーがあれば積極的に受講し、情報を収集しましょう。
これからECサイトを立ち上げる方や、既存ECシステムのリプレースをご検討中の方は、弊社の専門家チームにもぜひご相談ください。
実績豊富なため、実務に即したアドバイスが可能です。
お気軽にお問い合わせいただき、越境ECの情報収集の一端としてお役立ていただければ幸いです。
5. まとめ
本記事では「越境EC」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
まず越境ECの基礎知識として、以下を解説しました。
・国境を越えたオンラインでの取引、海外の巨大市場へのアクセス、現地ニーズに合わせた商品展開が特徴
・越境ECと現地法人によるグローバル展開の違いを理解することが重要
越境ECの動向や重要ポイントについて、以下を解説しました。
・アジア太平洋地域は高成長、欧米市場は安定拡大、新興国も急速に市場が立ち上がっている
・地域ごとに人気カテゴリが異なるため、国や地域の文化や経済状況に基づく商品戦略が重要
・言語・文化の壁、物流の複雑さとコスト、カントリーリスクなどのデメリットやリスクを理解しておく必要がある
越境ECの始め方については、以下の手法があります。
・自社で越境ECサイトを構築
・海外転送サービスの利用
越境ECは言語や文化、法規制の違いなど、国内ECとは異なる難しさがありますが、世界に目を向ける大きなチャンスでもあります。
自社の強みを生かしつつ、課題を丁寧に解決しながら、グローバル市場での成功をつかんでいきましょう。