越境ECの4大メリット|成功事例や適したサイトまで深堀り解説

「社内で検討を進めるために、越境ECのメリットを具体的に把握したい」

国内市場では、依然限られたシェアを奪い合う状況が続き、売上も伸びにくくなっていますよね。そのため、新たな販路として越境ECを検討している方も多いのではないでしょうか。

越境ECには、【販路拡大】【リスク分散】【ブランド価値向上】【実施ハードルの低さ】の4大メリットがあります。

事実、大手企業や中堅メーカーなどを中心に、越境ECによる成功体験によりブランド認知や価値が向上し、成功した日本企業が増えています。

参考:経済産業省「令和5年度中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業(リテールテックを活用した最新ビジネスモデル調査)調査報告書

実際に、越境ECへの進出によって成果を上げている企業もあります。たとえば、売上全体の5%が海外売上になったケースや、訪日外国人の継続的なリピーターを獲得したケースも見られます。

このように越境ECは、単に海外向けの売上を作るだけでなく、中長期的に新たな顧客基盤を築く施策としても有効です。

ただし、どのECサイトでも越境ECで成功できるわけではありません。

・越境ECのメリットが、自社ECの課題解決につながるか
・自社ECサイトに、越境ECの適性があるか

これらを見極めないまま進めると、不発に終わってしまう可能性があります

この記事では、越境ECの4大メリットや事前に知っておくべきデメリット、越境ECで成功しやすいケースを解説します。

◆この記事を読むと得られるメリット

・越境ECのメリットから導入すべき理由の理解が深まる
・越境ECのメリットを体現した事例から導入イメージやノウハウを学べる
・越境ECの導入時のポイントを理解して、失敗を回避できる

越境ECのメリットを具体的に理解し、自社にとって導入するべきか判断しましょう。

1.【越境ECのメリット(1)販路拡大】低コストでシェアや商機を拡張できる

越境ECのメリットの1つ目は、低コストで海外への商機を広げられることです。

Amazonなどの海外ECモールを活用すれば、国内ECで使っている仕入れや発送フローを流用できるからです。そのため進出にかかる負担が少なく、比較的低コストかつ短期間で販売を始められます。

EC事業を運営している担当者・責任者を対象に行ったディーエムソリューションズ社の調査によると、越境EC事業の初期年間予算のボリュームゾーンは100~500万円という結果でした。

出典(データ):PR TIMES「【越境EC事業化にあたっての意識・実態調査を公開】EC事業者1000名が回答した越境ECの初期予算や実施期間の最適解とは?

かつ商機があるので、投資費用を早期に回収できる可能性も十分にあります。あくまで一例ではありますが、キャラクターグッズを扱うEC事業者では、越境ECで毎月平均40万円弱の売上を獲得することに成功しました。

越境ECは、成長市場に参入できるうえ、コストや人的リソースを抑えて始められるため、販路拡大における大きなメリットの1つと言えます。

2.【越境ECのメリット(2)リスク分散】日本一極集中から脱却できる

メリット2つ目は、国内市場に依存する状態を脱し、リスクを分散しながら安定した収益基盤を築きやすくなることです。

越境ECによって海外市場も売上の柱にできれば、国内の需要減少や景気変動、為替の影響といった中長期的なリスクを抑えやすくなります。

実際、世界におけるEC市場規模は拡大傾向にあり、2026年に8兆USドル(約1,146兆円)に達する予想です。

出典:日本政策金融公庫 国民生活事業「各国における越境ECの状況

同時に、日本製品に対する海外需要も高まっています。下記の日本製品の海外需要の高さを示す調査結果からも、約9割の海外消費者が日本の商品やブランドに魅力を感じていることが分かりました。

※調査対象:越境ECで日本が進出しやすい8か国(アメリカ・中国・台湾・イギリス・シンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア)
※質問内容:『日本の商品やブランドについて、「欲しい」と思ったことはありますか?(単一回答)』
出典(データ):ディーエムソリューションズ株式会社「日本製品の海外需要に関する実態調査

そのため、国内の売上が景気や為替の影響で落ち込んだ場合でも、拡大し続ける海外市場と海外需要によって売上を補える可能性があります。

このように、越境ECは国内依存のリスクを分散し、事業の安定化につなげやすい施策だと言えます。

3.【越境ECのメリット(3)ブランド価値向上】海外の実績を国内に還元できる

越境ECの3つ目のメリットは、海外で得た販売実績やレビュー評価を、国内市場におけるブランド価値の向上につなげられることです。

◆海外の実績を国内に還元した場合の例

成功体験の活用 ・ブランド価値の強化
・商品力の強化
・販売戦略の最適化
失敗体験の活用 ・市場ニーズの可視化
・商品開発の指針

成功体験だけでなく失敗体験も、今後の国内の事業成長を支えてくれる例を、下記にてご紹介します。

3-1.越境ECでの成功した実績の活用例

越境ECで成功した事例は、国内市場におけるブランド認知を促進し、信頼の証明になります。

◆成功した実績の活用例

・ブランド価値の強化:海外での販売実績やレビュー、購入理由などは、国内のマーケティングやPRでも強みとして打ち出せます。また海外でも評価されているという事実が、ブランドへの信頼感や付加価値の向上につながるでしょう。

・商品力の強化:海外で好評な特徴を日本市場向けにアレンジすることで、商品の魅力が向上し、訴求の精度も高まります。

・販売戦略の最適化:越境ECで得た「売れ筋」や「購入タイミング」などのリアルな実績を分析し、国内ECのターゲット選定や見直し、広告運用に活用・反映できます。

結果的に海外で販売した成功体験がブランドの価値を向上させ、国内の売り上げ拡大につながります

3-2.越境ECでの失敗した実績の活用例

ポジティブな事例だけでなく、越境ECの失敗事例も発見や学びがあり、ブランド価値の向上につながる可能性を秘めています。

◆失敗した実績の活用例

・市場ニーズの可視化:「サイズが合わない」「この機能が足りない」など、ネガティブなレビューも国や地域ごとの嗜好性や文化の違いを把握する重要な情報源になります。失敗事例を分析すれば、海外市場に導入する前の貴重なテストマーケティングデータとして活用でき、市場ニーズの可視化が期待できます。

・商品改善:海外で得たレビューや反応をもとに改善を重ねることで商品の質が高まり、その成果を国内販売にも生かせます。

ネガティブな事例もブランド価値向上の実現につながるメリットと言えます。

4.【越境ECのメリット(4)実施ハードルの低さ】仕入れから発送までのフローを国内ECとほぼ同じ方法で運用できる

越境ECのメリット4つ目は、既存ECサイトの運用フローを生かせば、比較的低いハードルで始めやすい点です。

商品の入庫から在庫保管・管理、出荷・輸送までの、ECサイト運用におけるコア業務の約7割が国内ECと越境ECとで共通しているためです。

国内ECと越境ECの共通点や、追加フローを下記表でまとめました。

業務フロー 国内ECと越境ECの共通点 越境ECで必要な対応
商品入庫
既存のオペレーションを100%活用可能
例)国内ECの運用ルールや業務フローなど
特になし
在庫保管・管理
フローや在庫データは国内ECと共通
輸出可否や法令など
国独自の項目の確認が必要
受注処理
受注の処理手続きは国内ECと共通
各国の言語や通貨、
決済方法の設定が必要
梱包作業
梱包作業は国内ECと共通
配送時の破損対策などの梱包ルールの整備
現地の言語に対応した書類の準備が必要
出荷・輸送
出荷・配送の対応は国内ECと共通
国際配送にあたり
配送業者の検討、
輸出書類や追跡可否の確認が必要

既存のオペレーションを活用しながら、大幅に工数を増やすことなく商圏を広げることができます。

5.越境ECのメリットを上手く活用しECサイトの売上を伸ばした好事例

越境ECのメリットを実際に体現した成功事例があります。ここでは、次の3つの事例を紹介します。

どのような工夫で海外市場を開拓し、売上を伸ばしたのかを見ていきましょう。

5-1.事例(1)ディスカウントストア|販路拡大・実施ハードルの低さが生かせた例

1つ目は、ディスカウントストア「多慶屋」の事例です。

多慶屋は、訪日外国人の帰国後のファン化と、それによる継続的なリピーターの獲得を実現し、低コストで販路の拡大に成功しました。

元々、インバウンドにより来店する訪日外国人が増えているものの、帰国後のリピートにつなげられていないという課題がありました。

そこで、リピート購入へつなげるため、店舗を訪れた訪日外国人にECサイトのURL・QRコードを記載したチラシを配布。

帰国後もECサイトへつなげる導線が功を奏し、商機を拡大しました。

5-2.事例(2)木製ハンガー|リスク分散で売上を伸ばした例

2つ目の事例は、株式会社ナカタハンガーです。

同社は、日本製ハンガーをスーツの本場である欧米へ販路を拡大し、販路拡大とリスク分散を実現しました

国内では高級ハンガーの需要に限りがあり、販路拡大が課題となっていました。

そこで、海外でも需要を掘り起こすために越境ECを開始し、SNSなどを活用した情報発信にも注力しました。

その結果、2020年のサイトオープン後、2023年には海外売上が全体の5%を占めるほど好調に推移し、倍増ペースで売上を拡大しています。

5-3.事例(3)日本酒文化|海外評価を日本へ還元してブランド価値向上させた例

3つ目の事例は、旭酒造の事例です。

日本国内で進む「日本酒離れ」に危機感を抱き、いち早くパリやニューヨークなどの海外市場へ進出し、逆輸入的なブランディングで国内の地位を回復させることに成功しています

「獺祭」が有名な旭酒造は、日本酒をフランスの三ツ星レストランや海外のシェフとのコラボレーションを通じて、日本酒文化を海外へ発信し、高い評価を得ました。

「海外で認められた日本酒」という事実を国内でも発信し、逆輸入的なブランディングが日本でのブランド価値も高め、特別なお酒として高い地位を確立しています。

6.越境ECの5つのデメリット

越境ECはメリットだけでなく、始めるうえで生じるデメリットが5つあります。

◆越境ECのデメリット

(1)海外配送により費用や対応コストが増大する
(2)輸出先の法規制により販売先が制限される
(3)海外の決済インフラ導入にコストがかかる
(4)多言語対応によりCSや販売に負担がかかる
(5)海外趣向のサイト構築や販売促進を行う負担がかかる

法規制による販路制限など、すべてを回避できるわけではありませんが、直前になり困らないよう、必要な対応を正しく理解したうえで、準備を進めることが大切です。

6-1.海外配送により費用や対応コストが増大する

越境ECにおける1つ目のデメリットは、配送遅延や送料負担、そして返品対応の煩雑さです。

海外配送は、輸送距離が長いだけでなく、複数の国や配送事業者を経由することが多いです。また、燃料価格や為替の影響で送料が変動しやすく、荷扱いが荒いという特徴もあります。

そのため、国内配送と同じ物流品質を保つことが難しく、手間やコストが増大します。

ですが、これらは「担当者の努力」ではなく「サービスの選択」だけで解決できる問題です。

◆配送における課題の対策例

配送遅延や送料、返品といった物流課題には、破損や未着、返品が起こる可能性を前提に、対策しておくことが大切です。

・配送遅延や破損などは「補償付き配送」を標準にする:日本郵便(国際郵便)の場合、国際保険付郵便EMS(国際スピード郵便)の損害賠償制度などがあります。民間輸送会社の自社ネットワークの国際宅配便(クーリエ便)も書類や小包の追加補償制度や、提携会社の保険をかけることができます。

・梱包時に「海外用梱包ルール」を設ける:国内基準よりも緩衝材を増やすなどの対策とマニュアルを整備をすることで、返品率を下げることができます。

・返品のルールを告知する:注文確定時に「お客様都合の返品は送料自己負担」と明記しておくことで、返品対応についても整備が可能です。

6-2.輸出先の法規制により販売先が制限される

越境ECにおいては、輸出先の法規制により販売先が制限されることもデメリットの1つです。

日本が自国の産業や国民の安全を守るためにルールを設けているように、各国も独自の法規制をしています。

各国に独自の法規制があるため、日本では差しさわりのない商品でも、海外では「禁制品」として発送できない場合があります

商品によっては、突然の法規制で「成分検査・認証」が必要になり、販売そのものを断念せざるを得ないケースもあるため、常に情報をアップデートして把握する必要があります。

◆輸出の法規制における課題の対策例

専門機関や配送業者の提供サービスを上手く活用し、国ごとのルールの壁を正しく理解しましょう。

・自社の製品や対象国の「禁制品(送れないもの)」を確認する:法律や規制が異なるため、日本郵便や国際宅配便のサイトや内容に応じた機関の情報を確認しましょう。ただし、すべての国の法律を網羅する必要はなく、自社の製品や対象国のみの確認で問題ありません。

a.輸出規制・品目規制、関税などの確認:JETRO
b.軍事転用が可能な商品の輸出の確認:安全保障貿易管理
c.食品類の検疫規制の確認:JETROまたは植物防疫所
d.畜産物の輸出入の確認:動物検疫所

・判断がつかないときは専門家に相談する:食品や化粧品など判断が難しい商品は、JETRO(日本貿易振興機構)の「貿易実務相談」を活用し、専門家からのアドバイスを受けましょう。

・規制が緩い国から始める:アメリカや台湾などの比較的規制が緩い国から始め、規制関連の対応に慣れてから他国へ広げていくと良いでしょう。

6-3.海外の決済インフラ導入にコストがかかる

越境ECにおいては、決済に関するデメリットもあります。

なぜなら、現地で主流の決済手段を導入するとコストが発生する一方で、対応しなければ購入直前の離脱を招きやすくなるからです。

たとえば、海外口座から日本の銀行へ送金する際には、中継銀行の手数料や為替の影響によってコストが発生します。

一方で、海外のサイトという時点で心理的ハードルがある中で、「現地で主流の決済インフラ」が整っていない場合、海外ユーザーの不信感が増して、思ったような売上や成果をあげられない可能性もあります。

対策としては、収益に影響しない価格設定と、目的に応じた適切な決済インフラを導入することが重要です。

◆現地決済に関する課題の対策例

・世界標準の決済インフラ(キャッシュレス決済など)を導入する:複数国で展開する場合、どの国でも対応可能な世界標準の決済インフラを採用して、決済手数料の負担を減らしましょう。

・為替変動等を見込んだ価格設定:あらかじめ商品の価格に転嫁し、世界情勢が変わっても即座に利益を圧迫しない価格設定をすることでコスト負担を緩和できます。

なお、海外顧客が普段利用している代表的な決済手段は以下です。

  PayPal(ペイパル) Payoneer(ペイオニア) Stripe(ストライプ)
特徴 世界最大級の普及率を誇る電子決済サービス Amazon・Upworkなどのマーケットプレイス特化の決済サービス サブスク・SaaS向けの決済サービス
対象国 200か国以上 190か国以上 約40か国
対応通貨 25種類以上 数十の主要グローバル通貨 135種類以上
支払方法 クレジットカード、デビットカード、銀行口座 クレジットカード、デビットカード、現地の銀行振込 カード、ウォレット、銀行引き落とし、ローカルペイ
決済手数料
(海外取引)
4.1% + 40円 + 通貨換算手数料3~4% 1~3%+通貨換算手数料最大3% 2.9% + 30セント(米ドル)+国際送金の場合、最大2%

※2026年3月現在の価格です。

6-4.多言語対応によりCSや販売に負担がかかる

越境ECでは、言葉の壁も大きな課題です。

商品説明文や問い合わせ対応における不自然な文章は「詐欺サイトかもしれない」という不信感につながるリスクがあります。

◆不自然な文章と印象に影響を与える例

お客様に与える影響
安心安全でございますので問題ありません。 日本語が不慣れな印象を受け、対応品質へ不信感を抱く
全文先方の母国語で返答がくる 問い合わせ内容の意図が正確に伝わらず、雑な対応をされていると感じる

また、CS対応も時差が生じやすく、即座に対応できる体制を整えようとすると人的リソースやコストがかかります。

このような言葉の壁やサポートの負担については、高精度な「AI翻訳」を活用し、定型文を用意して対応をルーティン化するのがおすすめです。

◆多言語対応に関する課題の対策例

「AIツールの活用」と「FAQの整備」などを用いて仕組み化し、語学力や多言語でのやり取りといった心理的・物理的ハードルを解消しましょう。

・クラウド翻訳や翻訳会社に依頼する:「DeepL」などの高精度翻訳ツールや翻訳会社を活用し、多言語に対応をするケースが一般的です。主要なコミュニケーション言語は英語ですが、対象国が限定的な場合、その国の言語に対応するだけでも問題ありません。

・AIチャットボットやFAQを用意する:定型的な質問については、AIチャットボットのようなシステムを活用するのも1つの手です。CS負担を軽減しながら、多言語カスタマーサポート(CS)の体制を構築することができます。

6-5.海外趣向のサイト構築や販売促進を行う負担がかかる

自社ECサイトの構築や海外での認知拡大のための活動をする場合、コストも工数もかかる点も、デメリットの1つです。

サイト構築も販促も国内のノウハウが海外では通用しないケースがあり、「怪しいサイト」と感じて離脱のリスクを高めてしまう可能性があるからです。

そのため、初めての海外進出では、まずは「海外巨大モール」へ出品して市場の反応を確かめるのが近道です

◆サイト構築・販売促進の課題の対策例

初めから完璧な越境EC用のサイト構築を行ったり、仮説頼りの販売促進施策を考えたりするのではなく、既存のモールやSNS、その広告メニューなどを上手く活用し、最小投資で商機を見極めましょう。

・海外ECモールを活用する:数億規模のAmazonやeBayなどの既存プラットフォームの集客力を借りることで、初月から売上を作る経験を積むことが可能です。自社サイトを新規作成する前に、まずはモールで「売れる手応え」を検証しましょう。

・SNSや少額広告で反応を見る:InstagramやTikTokなどのSNSを活用し、視覚的な情報を発信することで、低コストでファンの獲得が期待できます。

また、Facebook広告などを少額で運用し、投資対効果(ROI)を確認しながら商機を見極めることで、失敗のリスクを最小限に抑えられます。

7.越境ECの導入が向いているケース

越境ECのメリット・デメリットを踏まえ、実際にどのようなケースに向いているかをまとめて紹介します。

大きく分けると、次の3つのケースです。

・海外で需要がある日本独自のブランド・商品を持っている
・海外輸送に適した「軽量・コンパクト・高単価」な商品である
・「国内市場が飽和している」または「季節商品」がある

次項で詳しく見ていきましょう。

7-1.海外で需要がある日本独自のブランド・商品を持っている

越境ECを行うかどうかを判断する最も重要な要素が、「海外の顧客が、時間やコストをかけてでも『指名買い』をしたくなるような独自性や日本らしさがある」かどうかです。

越境ECには、高い送料や届くまでに時間がかかるという物理的な壁があります。

「多少高くても、時間がかかってもこれが欲しい」と思えるような付加価値が、物理的な壁を突破し「購入しよう」という動機を作るからです。

◆海外で需要があるブランド・商品例と判断基準

・日本文化に関連する商品:和食、日本酒、伝統工芸、盆栽、アニメ、キャラクターグッズなどの日本を象徴する文化に関連する商品が向いています。

・世界的に評価されている商品:高機能な化粧品や釣り具、包丁といった商品は、「Made in Japan」として高く評価されており、海外での高い需要があります。

・自社製品や類似ジャンルへの関心やポジティブな評価が見られる商品:海外のSNSなどを確認し、反応が良い投稿や口コミがみられる場合など、ECで成果を出せる可能性があるでしょう。

「日本ならではの独自性や品質」を備えた商品を武器に、越境ECで販路拡大を目指しましょう。

7-2.海外輸送に適した「軽量・コンパクト・高単価」な商品である

越境ECの導入期においては、物流コストが利益を圧迫しない商品かどうかも非常に重要な要素です。

海外配送では、国際宅急便の場合、重量だけでなく「サイズ(容積重量)」も関係しているからです。

重くてかさばるのに単価が安い商品では、送料が利益を上回る可能性があり、返品が発生した場合のコストも国内ECと比べて高額なので、送料負けするリスクがあります。

壊れやすい商品の場合、そもそも返品対応自体が困難になるケースも考えられます。

そのため、以下の基準を参考に向いているかどうかを判断しましょう。

◆海外輸送に適した商品例と判断基準

・「軽量・コンパクト・高単価」の3条件を満たしている:国際郵便(EMS)の最小サイズに収まるような小型かつ軽量な商品かつ商品単価が高いものは、送料を安く抑えられ、高い利益率を確保しやすいため向いています。

・返品リスクを想定した「利益マージン」がある:海外からの返品は国内の数倍のコストがかかります。万が一の返品や再送が発生しても赤字にならないよう、十分な粗利が確保できる価格帯の商品を選定しましょう。

・特別な管理や梱包を必要としない「耐久性」がある:商品価格に対する送料の割合が許容範囲内で、衝撃や温度管理などの特別対応が不要な耐久性のある商品が理想です。

物流コストを戦略的にコントロールできる商品ラインナップで、安定した越境ECの運用を実現しましょう。

7-3.「国内市場が飽和している」または「季節商品」がある

3つ目の越境ECの導入が向いているケースは、国内事業の停滞感や季節性のある商品の売り上げの波に課題を抱えているケースです。

日本は冬でも南半球は夏になるため、日本とは真逆の地域で越境ECを行えば、国内では売れないオフシーズンの商品を一年中販売することができます。

商品例と判断基準

・アパレルやアウトドア用品など、季節による売上の変動が激しい:水着やコート、キャンプ用品など、特定の時期にしか売れない商品も、ターゲット国を選べば常に「需要期」となります。これにより、年間を通じたキャッシュフローの安定化が図れます。

・国内の広告単価(CPA)が高騰し、新規獲得の効率が下がっている:需要期には競合も出稿し、広告コストも必然的に上昇します。海外で展開することで、日本よりも安い広告費で新規顧客にリーチでき、販路拡大の可能性が広がります。

・ターゲット国の人口動態やEC市場の成長率が、自社商品とマッチしている:東南アジアなどの成長市場では、EC利用率が急上昇しています。現地ニーズと自社商品の相性を見極めれば、国内ECでは考えられないような急成長も期待できるでしょう。

越境ECで日本の季節や市場に左右されにくいキャッシュフローを実現し、売上の安定化を目指しましょう。

8.越境ECを始める際にまず押さえるべきポイント2つ

これまでの内容を踏まえ、越境ECの第一歩を踏み出すにあたり、押さえておきたいポイントが2つあります。

・スモールスタートで始めること
・越境ECの展開に関わる失敗しやすい点を早めに確認すること

8-1.スモールスタートで始めること

越境ECを失敗しないための定石は、初めから完成形を目指すのではなく、検証や改善を前提に段階的に進めていくことが大切です。

万が一うまくいかなかった場合に、撤退や軌道修正の判断を早くできるからです。

導入初期に心掛けたいスモールスタートのポイントをステップとともに解説します。

◆スモールスタートで始めるときのポイント

以下のステップで、それぞれのポイントを押さえて進めましょう。

(1)1か国・1モールから始める:複数の国やモールに同時に展開すると、管理コストが膨大になります。まずはターゲットを1か国に絞り、AmazonやeBayなどの既存モール1つから販売を開始して、現地の反応や傾向を掴みましょう。

(2)SNS等で需要やニーズが期待できる商品ジャンルや数商品から始める:全商品を掲載するのではなく、SNS等で既にニーズが期待できる商品ジャンルや、数点の商品に絞って出品するのがおすすめです。

(3)SNS等やプラットフォームを活用した既存流入から検証する:高額な広告費をかけず、プラットフォーム自体の集客力や自然流入を活用して「何が売れるか」をテストしましょう。

(4)数値や現場の状況を見て改善を繰り返す:実際に運用すると、想定外の課題やトラブルが発生します。それらを「失敗」と捉えず、データや現場の声を参考に、PDCAをまわして改善しましょう。

「まずは小さく、そして早く」動くことが大切です。失敗のリスクを回避しながら、着実に市場への理解や適応力を養いましょう

8-2.越境ECの展開に関わる失敗しやすい点を早めに確認すること

越境ECを行ううえで失敗しやすい点を早めに確認しましょう。

越境ECの失敗は、金銭的な損失だけでなく、トラブルにより本来行うべきコア業務が停滞し、時間的な損失にもつながるからです。

長期化すれば、ブランド毀損を招き、売上の減少や競合との差が広がる可能性もあるため、失敗内容を正しく理解して状況をいち早く確認・対処することが大切です。

「何が失敗につながりやすいか」を正しく理解し、事前に対策を講じることで、ブランド価値を守りながら着実に成長させていきましょう。

◆越境ECで失敗が起こりやすい「3つの主要領域」と対策

・「市場理解」の不足│ミスマッチを防ぐ:国や地域ごとの顧客ニーズや価格帯を把握し、テストマーケティングを通じて現地の反応を定量的に検証したうえで、自社製品と相性の良い国を見極めることが重要です。

・「物流体制」の不備│顧客満足度の低下を防ぐ:海外配送は複数業者が関わるため、商品未着や遅延が起こりやすくなります。配送の専門家に相談し、現地の商習慣も踏まえながら、顧客満足度を左右する物流体制を整えましょう。

・「知的財産権」の侵害リスク│ブランドを守る:現地企業による模倣品の販売や、商標権や著作権の侵害リスクは軽視できません。ブランドを守るため、現地での商標登録や監視体制を強化し、知的財産権に詳しい専門家とともに対策を打ちましょう。

失敗につながりやすい情報をキャッチし、正しい理解と対策で越境ECを成功へ導きましょう。

越境ECでお困りならEBISUMARTへご相談ください

「今の国内EC運用を止めずに、最小限の工数で海外へ挑戦したい」とお考えなら、ぜひEBISUMARTをご活用ください。

EBISUMARTは、国内EC運用を最大限に生かしながら、最低限の工数でグローバル展開できるようサポートするプラットフォームです。

常に最新の機能にアップデートされるSaaS型でありながらカスタマイズ性が高いため、サイト全体をフルリニューアルしなくても事業の成長段階に合わせて柔軟に機能を拡張できるからです。

必要なタイミングで必要な海外対応機能を追加できるため、初期投資を抑えたスモールスタートと、将来的な本格展開のどちらにも対応できます。

例えば、無料オプション「WorldShopping BIZ for EBISUMART」を活用すれば、言語・物流・決済といった越境EC特有の課題を一括で解消できます。

「越境ECをやってみたいが、まずは何から始めるべきか分からない」という導入検討の段階から並走し、貴社のグローバル展開を成功へつなげていきたいと考えています。

失敗のリスクを最小限に抑え、国内ECから世界へ事業を拡大していきたいと考えている方は、ぜひ弊社のシステムと知見を活用してください。

9.まとめ

越境ECは、国内ECの運用と共通している部分が多く、最小限の投資で海外市場へ販路を拡大していける有効な戦略です。

越境ECのポイントをおさらいすると、以下の3つになります。

・リスク分散や、海外での評価を国内ブランド力へ還元できる
・日本独自の強みや魅力がある「軽量・高単価」な商品が向いている
・1か国・1モールのような「スモールスタート」で始め、専門ツールやAI翻訳で仕組み化することで物流や決済の壁を乗り越えられる

現在の国内EC運用をベースに、事業やビジネスの成長に合わせた多言語・配送連携などを後付けできるシステムやツールをうまく活用し、失敗のリスクを最小限に抑えながらグローバルに展開しましょう。

セミナー情報

ABOUT US
首藤 沙央里
2019年9月、株式会社インターファクトリーに入社。 マーケティングチームにてオウンドメディア運用を担当し、年間40本以上の記事を掲載。 社内広報、採用広報に加え、EC業界やクラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART」についての情報発信も行う。