ECで重視すべき「LTV」とは?計算方法から向上策まで具体的に分かる


ECサイトを運営していると、
「どうやったら利益を最大化できるのだろう?」
「顧客をリピーターにするためには、どうすればいいのか?」
といった悩みが尽きないものです。

これらの課題を解決する鍵となるのが、LTV(Lifetime Value)と呼ばれる指標です。LTVとは、顧客生涯価値のことで、1人の顧客が一生涯でもたらす利益を表します。

近年、ECサイトの運営において、LTVの重要性が注目を集めています。LTVを適切に管理・向上させれば、ECサイトの売上アップと利益率の改善が期待できるからです。

この記事では、LTVの基本的な概念から、具体的な計算方法、向上策まで体系的に解説します。最後までお読みいただくと、LTVの本質を理解し、自社のECサイト運営にLTVの考え方を活用できるようになります。

LTVを意識したEC運営によって、強固な収益基盤を築いていきましょう。

1. LTVとは何か?基本の知識

最初に、LTVとは何か、基本的な事項から確認していきましょう。

① LTVの基本の意味
② LTVの計算式(ECサイトの場合)
③ ECサイトにおいてLTVが重視される理由
④ LTVを軽視したEC運営で起きるリスク

1-1. LTVの基本の意味

LTVは、1人の顧客が一生涯で企業にもたらす利益の合計値です。1人の顧客が初回購入からリピート購入を経て、最後の購入に至るまでの累計利益を表します。

言い換えると、1人の顧客との長期的な関係性において、トータルでどれだけの収益が見込めるかを予測するものです。

LTVが高いということは、1人の顧客から得られる利益が大きく、長期的に見てビジネスが安定していることを意味します。

一方、LTVが低い場合は、コストに見合った利益を得られていない可能性があり、ビジネスモデルの見直しが必要かもしれません。

1-2. LTVの計算式(ECサイトの場合)

一般的なECサイトの場合、LTVの基本的な計算式は、以下のとおりとなります。

LTV = 平均客単価 × 平均購入頻度 × 平均顧客寿命 × 粗利率

なお、実際には、粗利率を乗ずるか否か、マーケティング費用を加味するかなど、組織によって計算式に違いがあります。詳細は後ほどあらためて解説しますので、ここではおおまかなイメージをつかみましょう。

1-3. ECサイトにおいてLTVが重視される理由

ECサイトでLTVが重視される背景は、以下4つのポイントに集約できます。

◆LTVが重視される4つの理由

安定した収益の確保:LTVが高い顧客は、長期的に安定した購入を続ける傾向があります。新規顧客の獲得コストを抑えながらリピーターを囲い込む形で、安定した売上を維持しやすくなります。

マーケティング戦略の最適化:LTVを把握すると、新規顧客獲得に投じられる適正コストが明確になります。獲得コストを上回るLTVが期待できる顧客層に、マーケティング予算を集中させる戦略を組みやすくなります。

顧客ロイヤルティの向上:LTVが高い顧客は、そのブランドに愛着を持って繰り返し購入してくれるロイヤルカスタマーです。顧客ロイヤルティを意識した施策を打つと、さらにLTVを底上げできます。

アップセル・クロスセルの機会:LTVが高い顧客の嗜好を把握できれば、関連商品のレコメンドによって客単価を引き上げられます。スムーズなアップセルやクロスセルによって、さらなるLTVの最大化が狙えます。

つまり、LTVを管理・改善する取り組みが、ECサイトの長期成長と収益拡大を後押しします。

1-4. LTVを軽視したEC運営で起きるリスク

一方、LTVを考慮せずにECサイトを運営すると、さまざまなリスクが伴います。

顧客の長期的な価値を無視した短絡的な施策は、一時的な売上の伸びには貢献するかもしれません。しかし、長い目で見れば、ビジネスの継続性を損なう恐れがあると知る必要があります。

◆LTVを軽視するリスク

過剰な新規顧客獲得コスト:LTVを意識しないと、新規顧客の獲得コストが高騰するリスクがあります。獲得コストに見合わないまま、広告費を投下してしまい、赤字に陥る危険性が高まります。

価格競争への陥落:LTVを軽視すると、目先の売上を追い求めるあまり、過度な値引き販売に走りがちです。利益率が悪化する負のスパイラルに陥るリスクがあります。

ブランド価値の毀損:LTVを考えない短期的な施策を繰り返していると、顧客の信頼を失いかねません。ブランドイメージが傷つき、ロイヤルカスタマーが離反していくリスクを招きます。

優良顧客の流出:LTVの高い優良顧客のニーズを的確に把握できていないと、他社に奪われるリスクが高まります。ライフタイム(顧客生涯にわたる期間)での収益機会を逃してしまうことになります。

結果として、LTVを考慮しないEC運営は、一時的な売上は立つかもしれませんが、長期的には事業の継続性が損なわれ、会社経営を危うくするリスクをはらんでいるのです。

EC運営に関わるすべての人が陥りやすい罠であり、十分に注意しなければなりません。

単なる売上高や顧客獲得数ではなく、LTVに目を配っていれば、上記のようなリスクを回避できます。

2. ECサイトにおけるLTVの計算方法

LTVを正しく把握するためには、適切な計算式を用いることが不可欠です。ECサイトのLTVはどのように計算すべきか、見ていきましょう。

① LTVの計算をする前に知っておきたい注意点
② LTV計算の基本的な流れ
③ 売上ベースと粗利ベースの使い分け
④ CACや維持コストを引く・引かないの使い分け
⑤ ECサイトにおけるLTVの計算例

2-1. LTVの計算をする前に知っておきたい注意点

まず注意点として、LTVの計算式にはさまざまなパターンがあり、どのような計算式を用いるかは、組織によって異なります。

たとえば、「売上ベース」なのか「粗利・利益ベース」なのか、新規顧客コスト(CAC)を差し引くのかなど、各社で細かな点に違いがあります。

企業間や部署間で指標の計算プロセスの認識がずれていると、「うちのLTVの算出式はどれを含んでいるのか?」という混乱が生じてしまいます。社内で事前にすり合わせることが大切です。

ここでは上記の前提のもとに、一般的な計算例をご紹介します。

2-2. LTV計算の基本的な流れ

まず、LTV計算の基本的な流れを確認しましょう。

ステップ(A)顧客が生涯でもたらす売上の合計を見積もる
ステップ(B)その売上に対する原価や変動費を引いて、粗利ベースにする
ステップ(C)顧客獲得コスト(CAC)や維持コスト(マーケティング費など)を引いて、最終的な貢献利益を計算する

ステップ(A)の部分の基本的な計算式は、「平均客単価 × 平均購入頻度 × 平均顧客寿命」となります。

平均客単価(AOV):1回の注文あたりの平均注文金額。

平均購入頻度:ある一定期間内に顧客が平均して何回購入するか。たとえば「1顧客あたりの年間購入回数」など。

平均顧客寿命:顧客との取引が継続する期間(年数や月数)。たとえば「平均して3年継続購入する」など。

ステップ(B)と(C)の部分は、前述のとおり各社で判断が必要です。以下に続きます。

2-3. 売上ベースと粗利ベースの使い分け

まず、LTVを売上ベースで見るか、粗利ベースで見るかは、ビジネスの目的や社内リソースによって使い分けます。それぞれの特徴は以下のとおりです。

売上ベースのLTV計算:計算がシンプルで、素早くざっくりとLTVを把握したいときに便利です。ただし、実際の利益(手残り資金)を把握しにくいデメリットがあります。

粗利ベースのLTV計算:実際の利益貢献度に近い指標であり、収益性を正しく評価しやすいのが利点です。ただし、計算にあたって原価率・粗利率の把握が必要となり、計算フローが複雑になるデメリットがあります。

判断基準としては、「何のためにLTVを使うか?」が重要です。

売上規模の把握やマーケティング投資のおおまかな方向性を確認したいだけであれば、売上ベースでも十分です。

一方、顧客ごとの利益貢献を正確に把握し、費用対効果を最適化したい場合は、粗利ベースのほうが適しています。

どちらにすべきか判断できない場合には、まずは売上ベースから始めて、徐々にデータを整備しながら粗利ベースに移行していくのが現実的なアプローチです。

2-4. CACや維持コストを引く・引かないの使い分け

続いて、もう一つよくある質問が、「マーケティング関連のコストを差し引くのか、差し引かないのか?」というものです。

これに関しては、以下3つのパターンが存在します。

(1)顧客獲得コスト(CAC)と顧客維持コストの両方を差し引く
(2)CACのみ差し引く
(3)CACも維持コストも差し引かない

純然たる顧客価値を算出するためには、CACも維持コストも差し引いたほうが正確です。ただし、その分、計算式や管理が複雑になります。

実務現場では、マーケティング費用(広告費)などを別軸で管理しており、LTV 計算では売上や粗利のみを扱うケースも多く見られます。

対応に迷うときは、まずはCACや維持コストを差し引かないLTVで、おおまかに「1顧客あたりの売上(粗利)」を把握すると良いでしょう。その後、必要に応じてマーケティング費用を加味します。

2-5. ECサイトにおけるLTVの計算例

ここまでの解説を踏まえつつ、「CACや維持コストを差し引かない粗利ベースのLTV」の計算例を見てみましょう。

◆粗利ベースのLTV計算の5ステップ

ステップ1(平均客単価の算出):購買データの集計から、1回あたりの平均購入金額を算出します。定期購入の場合は、1か月あたりの平均単価を使うケースもあります。

ステップ2(平均購入頻度の算出):顧客データから、1顧客あたりの年間(または月間)の平均購入回数を算出します。

ステップ3(継続期間の見積もり):過去の購買データから、1人の顧客が平均して何年(または何か月)継続するかを平均顧客寿命として算出します。

ステップ4(粗利率の設定):商品の原価率から、平均的な粗利率を算出します。

ステップ5(LTVの計算):ステップ1〜4で算出した値を使い、「平均客単価 × 平均購入頻度 × 平均顧客寿命 × 粗利率」の計算式でLTVを算出します。

この計算方法の場合、顧客獲得コスト(広告費、キャンペーン費用など)や顧客維持コストは含みません。

社内で「マーケティング費用も含めた最終的な利益貢献度を見たい」というニーズが出てきた場合は、上記で出したLTVからさらにCACを引いたり、維持コストを引いたりして「ネットの貢献利益」を把握する形になります。

3. LTVを活用して向上させるEC運営の手法

LTVは計算して終わりではなく、しっかり活用することが大切です。ここでは代表的な5つの活用手法について、解説します。

① マーケティング投資・広告費の最適化
② 既存顧客向け施策の改善
③ 商品戦略・在庫管理への活用
④ 顧客セグメンテーションとターゲティング
⑤ 経営判断・将来予測

3-1. マーケティング投資・広告費の最適化

1つ目の手法は「マーケティング投資・広告費の最適化」です。LTVを活用すれば、マーケティング投資や広告費の配分を最適化しやすくなります。

◆LTVを活用した広告費最適化の具体例

広告出稿の予算配分の最適化:Google広告などの運用型広告では、「1人あたりのLTV>顧客獲得コスト(CAC)」を目安に投資判断を行います。LTVを下回るような非効率媒体への出稿は再考し、予算配分を見直します。

新規顧客獲得施策の効果測定の高度化:広告経由の新規顧客のLTVを媒体別に分析すると、長期的に利益貢献度が高い媒体を特定しやすくなります。LTVの高い媒体に重点投下して、収益性の高い顧客獲得を目指します。

LTVを広告運用に応用すると、短期的な効果だけでなく長期収益を見据えた投資判断が行いやすくなります。結果として、マーケティング投資のROIを高められます。

3-2. 既存顧客向け施策の改善

2つ目の手法は「既存顧客向け施策の改善」です。LTVは、既存顧客のロイヤリティを高め、継続購買を促す施策の見直しにも役立ちます。

◆LTVを活用した既存顧客向け施策の具体例

優良顧客の購買パターンに合わせたアプローチ:顧客セグメント単位でLTVを分析すると、高LTV顧客の購買傾向や嗜好をつかみやすくなります。そこで得た知見をもとに、優良顧客に合わせたリテンション施策を展開し、リピート率とLTVを高めます。

会員ランクやロイヤリティプログラムの最適化:LTV分析から、売上・利益に大きく寄与している会員ランクを割り出します。該当ランクの顧客を対象に特典を拡充したりキャンペーンを実施したりして、さらなるロイヤリティアップとLTV増加を狙います。

既存顧客のLTVを伸ばすほうが、新規顧客を獲得するよりもコストを抑えられるケースは多く見られます。顧客のステージに応じた施策を立てるうえで、LTVを指標とするアプローチは有効と言えます。

ロイヤリティプログラムについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:ロイヤリティプログラムで真のロイヤリティを生む5つの方法

3-3. 商品戦略・在庫管理への活用

3つ目の手法は「商品戦略・在庫管理への活用」です。商品戦略や在庫管理の意思決定にも、LTVは重要な示唆を与えてくれます。

◆LTVを活用した商品戦略・在庫管理の具体例

LTV貢献度に基づく商品の優先度付け:商品やカテゴリ別のLTV貢献度を可視化すると、利益を稼ぎやすい商材を把握できます。そうした商品を中心に在庫を厚めに確保したり、販促を強化したりして、売上と利益の拡大を目指します。

クロスセルやセット販売の促進施策の立案:高LTV顧客が頻繁に購入する商品の組み合わせを分析すると、効果的なクロスセルやセット販売を考案しやすくなります。関連商品のレコメンドを充実させ、購買単価アップとLTV増加を狙います。

ECビジネスでは需要予測が難しい面がありますが、LTVを商品戦略や在庫管理の根拠にすると、機会損失の回避と収益性向上を両立しやすくなります。

3-4. 顧客セグメンテーションとターゲティング

4つ目の手法は「顧客セグメンテーションとターゲティング」です。LTVは、顧客のセグメンテーションやターゲティング精度を高める指標としても活用可能です。

◆LTVを活用した顧客セグメンテーションとターゲティングの具体例

RFM分析などとの組み合わせによる顧客分類の高度化:RFM分析などの顧客分析とLTVを重ね合わせると、顧客区分がより正確になります。購買履歴とLTVを同時に見ることで、戦略的に育成すべき顧客層を抽出し、最適な施策を検討・実行できます。

LTVに応じた顧客体験のパーソナライズ:LTVがとくに高い優良顧客には、VIP向けの限定商品やイベント案内を行います。一方、LTVが低く離脱しやすい顧客層に対しては、割引クーポンを集中的に案内するなど、段階的な対応を取ります。

LTVを顧客セグメンテーションやターゲティングに取り入れると、貴重なリソースを最も効率的に活用できます。顧客ごとのニーズに合ったアプローチを徹底できるため、全体的なLTV増加を目指しやすくなります。

3-5. 経営判断・将来予測

5つ目の手法は「経営判断・将来予測」です。LTVは、経営判断や将来予測にも組み込みやすい指標です。

◆LTVを活用した経営判断・将来予測の具体例

新規事業・サービス拡充の是非判断:顧客が生み出すLTVを把握すると、新規事業参入やサービス強化の妥当性の見極めに役立ちます。LTVのシミュレーションにより、投資と回収の概算を立てやすくなり、経営の意思決定に有益です。

財務的な計画策定や業績予測への活用:LTVと顧客数の見込みを組み合わせて、中長期の売上やキャッシュフローを試算できます。LTVの算出を通じて「必要な投資と期待リターン」を明示し、データに裏打ちされた経営戦略を打ち立てられるようになります。

経営面でLTVを参考にすると、短期収益だけでなく長期視点の企業価値向上へ向けて進みやすくなります。顧客を軸に据えた施策で、持続的な成長を実現できます。

4. ECサイトのLTV向上はプラットフォームが重要

ここまで、LTVの意義と、その管理・分析手法を説明してきました。最後に重要な鍵となるプラットフォームについて、触れておきましょう。

① LTV向上と好相性のECプラットフォームを採用すべき
② LTVが伸び悩んだらリプレースが有効

4-1. LTV向上と好相性のECプラットフォームを採用すべき

ECプラットフォームには、LTVを高めやすいもの、高めにくいものがあります。

LTVを高めやすいECプラットフォームを選ぶと、顧客管理や分析の精度が上がり、施策展開を円滑に進められます。とくに、以下のような機能を備えたプラットフォームが望ましいでしょう。

◆LTV向上に役立つ機能

顧客管理機能:会員情報や購買履歴を一元化できるシステムを活用すると、顧客データの蓄積や分析が円滑に進み、LTV向上施策を組み立てやすくなります。

高度なメール配信機能:購買履歴に応じたパーソナライズドメールを自動送信できると、適切なタイミングで個別アプローチを行いやすくなります。顧客ロイヤリティの向上が見込めます。

レコメンド機能:顧客の行動履歴を解析し、関連商品の自動レコメンドを行う仕組みがあると、クロスセルやアップセルにつながります。LTV拡大の好機を得られます。

ポイントプログラム機能:ポイント還元や特典を柔軟に設定できるシステムを導入すると、リピート購入や高単価商品の購入を促進できます。

レビュー管理機能:商品レビューの収集や管理を効率化できる機能があると、顧客の声をサービス改善に反映しやすくなります。結果としてLTV向上の後押しになります。

具体的なプラットフォームの例としては、インターファクトリーが提供するECプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」が挙げられます。

上記の機能に加えて、アクセス解析、売上分析、マーケティングオートメーションなど、LTV向上に役立つさまざまな機能を備えています。EBISUMARTは、LTV向上に力を入れているEC事業者にとって、非常に強力なプラットフォームです。

詳しくは、以下の資料にてご確認ください。

4-2. LTVが伸び悩んだらリプレースが有効

特定のプラットフォームを長く利用していると、事業拡大や顧客ニーズの変化などにより、機能不足や拡張性の限界が生じる場合があります。

LTVが伸び悩むケースでは、リプレース(乗り換え)を検討する選択肢も考えられます。

機能の制約:カスタマイズ性が低いプラットフォームだと、集計・分析・CRM連携などを十分に行えないケースがあります。結果として、顧客データを活用しきれずLTV向上策の効果が限定的になりがちです。

連携ツールとの相性:外部ツールとの連携がうまくいかない場合、施策の自動化や効率化が進まず、手動作業が多くなるかもしれません。新しいプラットフォームならAPI連携や拡張機能が充実している可能性があり、LTV向上へ向けた取り組みを強化しやすくなります。

サポートやセキュリティの不安:既存プラットフォームのサポートが不十分だったり、セキュリティ機能が古いままだったりすると、施策以前にサイト運営そのものが安定しないリスクがあります。アップデート頻度やサポート体制がしっかりしているプラットフォームなら、安心して長期運用できます。

リプレースは大きな決断ですが、LTVが停滞している状況を打開する有効な方法です。新プラットフォームに移行し、機能不足や連携の課題を解消すれば、ECサイトの基盤を強化してLTVを高める施策を継続的に実施できます。

リプレースについて詳しくは、以下の記事にてご確認ください。

関連記事:ECリプレースの成功の鍵は今の課題と長所を理解すること

5. まとめ

本記事では「ECサイトのLTV」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

最初にLTVの基礎知識として以下を解説しました。

・LTVは顧客生涯価値を指し、1人の顧客が生涯で企業にもたらす利益の合計値
・LTVの基本計算式は、平均客単価×平均購入頻度×平均顧客寿命×粗利率
・ECサイトでLTVが重視される理由は、安定収益の確保、マーケティング戦略の最適化、顧客ロイヤリティの向上、アップセル・クロスセルの機会の4点
・LTVを軽視すると、過剰な新規顧客獲得コスト、価格競争への陥落、ブランド価値の毀損、優良顧客の流出などのリスクが生じる

ECサイトにおけるLTV計算のポイントは、以下のとおりです。

・LTVの計算式は、売上ベースか粗利ベースか、CACや維持コストを差し引くかなど、組織によって異なる
・基本的なLTV計算の流れは、生涯売上見積もり→粗利ベース変換→CACや維持コスト控除の3ステップ
・売上ベースのLTV計算はシンプルだが利益把握が難しく、粗利ベースは正確だが計算が複雑という特徴がある
・CACや維持コストの扱いは、純然たる顧客価値算出には含めるべきだが、実務上は差し引かないケースも多い

LTVを活用して向上させるEC運営の手法として、以下をご紹介しました。

① マーケティング投資・広告費の最適化
② 既存顧客向け施策の改善
③ 商品戦略・在庫管理への活用
④ 顧客セグメンテーションとターゲティング
⑤ 経営判断・将来予測

LTVはECサイトの長期的な収益向上と顧客価値の最大化に不可欠な指標です。LTVを正しく理解し、適切に計算・活用して、ECビジネスの継続的な成長を実現していきましょう。


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ABOUT US
首藤 沙央里
2019年9月、株式会社インターファクトリーに入社。 マーケティングチームにてオウンドメディア運用を担当し、年間40本以上の記事を掲載。 社内広報、採用広報に加え、EC業界やクラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART」についての情報発信も行う。