小売り、卸売業、あるいはBtoB事業者においてもEC化が進み、これからECサイトを立ち上げることを検討をしているEC担当者も多いのではないでしょうか。ECサイトで新たな販売チャネルを広げることで、新しい売上を確保することができます。しかし、
「数多くあるECシステムの中からどれを選択すれば良いのだろうか?」
「ECサイトのシステムでは、どのような機能があれば良いのだろうか?」
と、何を基準に選べば良いのか分からない方も多いかもしれません。日本国内には多くのECサイト構築システムが存在しますから、どの業者に頼めばいいのか判断がつかない方が多いと思います。まずはECサイトで必要な機能を知り、構築を依頼しようとしているECシステムにそれが備わっているかどうかのチェックが必要です。
なぜならば、ECシステムの選択を間違えると、後になって機能追加、システム連携ができないことも多く、予算と時間を無駄にしてしまうこともあるからです。
そうならないためにも、本日はebisumart(インターファクトリー)でマーケティングを担当している筆者が、事業を成功させるための「ECサイトに必要な7つの機能」について詳しく解説していきます。
ECサイトに必要な7つの機能
ECサイトに必要な代表的な7つの機能を紹介いたします。
◆ECサイトに必要な7つの機能
機能①会員管理機能
機能②商品・販売管理機能
機能③受注管理機能
機能④コンテンツ管理機能
機能⑤プロモーション管理機能
機能⑥分析機能
機能⑦システム連携機能
機能①会員管理機能
画像引用先:ebisumartサポートサイト
ECサイトは実店舗とは異なり、再来店が非常にしやすいビジネスです。つまり会員管理を行うことで、リピーターにつなげ安定的な売上を狙うことが可能になります。ただ、会員登録を行い、顧客に会員番号を付けて管理するだけではなく、下記の機能がECの会員管理機能には必要となります。
会員ランク機能
年間の購入金額や回数によって会員にランクを付けて、会員ごとに差別化する機能です。ランクを付けることで、ランクに応じたポイント還元率、割引率などの設定ができる機能です。また販売する商品についてもランクによって表示方法に差をつけることで「会員ランク」に特別感を出すこともできるようになります。
例えば、最上位のランク会員になると最新商品を他のランク会員よりも1週間早く購入ができるなどの施策が打ち出せるようになります。さらにメール機能と連携し会員ランクをひも付けることで、メールマガジンをランクに応じた内容で送信することもできるようになります。
アドレス帳機能
毎回同じ配送先を入力する手間がかかると、購入をあきらめるユーザーも出てきます。またユーザーによって、配送先を家と職場など使い分けるニーズもあり、都度入力先を変えるのは結構な手間となります。
ですから、あらかじめユーザーがお届け先を登録できる機能があると便利です。一度登録しておけば、購入時に配送先を入力する手間が省けます。このアドレス帳機能が効果的なサイトの例を以下に挙げます。
・BtoCサイトでギフト商品を扱っている場合
・BtoBサイトで配送先を物流倉庫にする場合
アドレス帳機能はユーザーにとってスムーズな購入フローを築きリピーターを増やすために必要な機能です。
機能②商品・販売管理機能
画像引用先:ebisumartサポートサイト
管理画面上から商品の説明、成分、個数などを登録し、ユーザーが見る画面上に表示を行うものですが、ユーザーへ分かりやすく商品を見せることができる機能があるかがポイントになります。具体的には下記のような機能です。
カテゴリー機能
ユーザーが商品を検索しやすいように、カテゴリーから絞り込みながら目的の商品へ誘導する機能です。そのためにはカテゴリーを階層ごとに登録できる必要があります。
◆アパレルのECサイトの例
第一階層:MENS、WOMENS、KIDS
第二階層:アウター、インナー、小物
第三階層:カットソー、シャツ、ニット
このように大きなカテゴリーから絞り込みをできるようにする必要があります。
バリエーション機能
同じ商品でもサイズ違い、色違い、それぞれの価格や在庫を登録できるようにする機能です。
組み合わせが膨大になるため、CSVファイルで登録できる機能があることも、運用上重要なチェックポイントです。
商品比較機能
多くのユーザーは、商品を比較しながら選択し購入に至ります。その比較を助けるために、選択した商品のスペックや価格を横並びで表示する商品比較機能です。商品紹介ページで購入ボタンとは別に「比較する」ボタンを押すことでリストに加わり、ユーザーが後で、複数の商品を横並びで比較することが可能になります。
定期販売・頒布会などの商品登録機能
定期販売では商品によってお届けする配送周期の設定が必要です。月単位もあれば週単位の商品もあるため、細かい設定ができる必要があります。
・頒布会では月ごとの発送商品登録
・ダウンロード販売ではシリアルコードを管理する機能
これらの機能では、モノやサービスなど商品形態に合わせた販売を行うことができます。定期販売については下記の記事をご覧ください。
決済方法
販売する商品、対象とする顧客により決済方法のニーズは変わります。以下の決済方法は必要最低限なものになります。
◆ビジネスモデル別決済方法
BtoC(売り切り型):クレジットカード、代引き、コンビニ決済(後払い含む)
BtoC(定期販売):クレジットカード、口座振替、代引き、後払い
BtoB:銀行振込、代引き、クレジットカード
クレジットカード決済やコンビニ決済は、決済代行会社とEC事業者が加盟店契約を別途結ぶ必要がありますが、ECシステムの場合は、あらかじめ何社かの決済代行会社と標準で連携されていることがほとんどです。
実装したい決済方法がECシステムに標準で連携されていないと、連携するための開発費用が別途かかります。その余計な費用を発生させないためにも、あらかじめ導入したい決済方法が標準で連携されているか?その決済方法を提供する決済代行システムが何種類連携されているのかをECシステムの選定時には確認する必要があります。
機能③受注管理機能
画像引用先:ebisumartサポートサイト
注文が入ってから出荷するまでの管理を行うものです。ECシステムにはユーザーが利用する画面の他に、ECサイト事業者が管理を行うための「管理画面」が提供されます。
「銀行振込」や「コンビニ決済」の場合は注文と同時に支払いがされないため入金管理もこの管理画面でステータスを更新します。ただ確認するだけでなく、下記に挙げる機能がないと、その後の運用が煩雑になるため最初に機能がそろっているか確認が必要です。
入力機能
ECサイト上で受注するのがほとんどですが、時には電話での注文を受け付けるシーンも少なくありません。そのときにユーザーの画面にオペレーターが代理入力する運用でも良いのですが、会員であればログインを行う必要があるためパスワードを聞くわけにはいきません。こういったシーンでは管理画面にオペレーターが注文を登録できる機能が役に立ちます。
受注レイアウトカスタマイズ機能(出荷指示など)
商品の在庫がある倉庫側への出荷指示を行う際に、メールでCSVファイルを送信もしくは倉庫側システムにアップロードする運用を行っているケースが非常に多いです。
その際に出荷指示は管理画面からCSVなどのファイルを出力しますが、ファイル送信先の倉庫側システムのレイアウトに合わせる必要があります。出力するCSVファイルを受注管理の画面で項目・並び順を指定できる機能が便利です。
帳票機能
商品を送付する際に同梱する「納品書」「領収書」を別のシステムで出力する運用は二度手間と間違えるリスクが伴います。そのため納品書や領収書は、ECシステムの管理機能から出力できることが望ましいです。
これら帳票は決まったパターンではなく、事業者により異なりますし時には取引先ごとにレイアウトが異なるケースもあります。帳票のフォーマットも自由度が高くカスタマイズができる機能が必要です。
入金自動消込機能
ユーザーがコンビニや銀行振込決済を利用した場合、注文と入金のタイムラグが生じます。ECシステムの管理画面とは別の「決済代行会社が提供する管理画面」で入金の管理を行う運用では、作業が煩雑になります。
下記の例をご覧ください。
◆「EC」「決済代行」の2つの管理画面運用のケース
工程①決済代行会社の管理画面で入金を確認
工程②ECシステムの管理画面に入金者の受注に対し手作業でステータスを更新(「入金待ち」→「入金済み」)
この場合、ヒューマンエラーにより消込漏れが発生した場合、いつまでも商品発送がされずクレームにつながります。
これを回避するために、決済代行会社とECシステムの受注機能をシステム連携することで、ECの管理画面の入金ステータスを自動更新することが可能となります。この運用であれば、決済代行会社の管理画面を操作することなく出荷までの工程を進めることができます。
機能④コンテンツ管理機能
画像引用先:ebisumartサポートサイト
ユーザーに対してECサイト上にコンテンツを提供するための管理機能です。情報を日々更新するために、作成から管理、表示のコントロールもできる必要があります。何をユーザーに提供するかは事業者ごと異なりますが、以下は代表的な例になります。
ランキング機能
ユーザー心理で「よく売れているもの」は信頼ができるもので、購入の後押しにもつながります。販売ランキングを自動で更新・表示する機能が一般的ですが、ランキングを事業者が作成できる機能も必要です。
本当に売れているもののランキングでも良いのですが、特定商品を除いたランキングを作りたいなど、実際にユーザーに見せたいランキングを作成することも時には必要になります。
トピックス機能(フリーページ機能)
お店からの紹介やニュースリリースとして、昔からトピックス機能はどのECシステムにもあります。しかし、トピックス機能の自由度が高いと使い方は広がり、ブログのように利用してコンテンツマーケティング施策として活用する方法も多く見られるようになりました。
例えば商品に関連する「コラム」や「レシピ」をトピックスで作成することで、Google 検索にヒットしやすくなり結果トピックスからの流入が増えるというものです。
機能⑤プロモーション管理機能
お客様に対し販売を促進する機能です。リアル店舗と同じようなプロモーション体験ができる機能やECならではの機能もあり、新規ユーザー・リピーターに対し購入を後押しする機能はそろっているかのチェックが必要です。
キャンペーン機能系
下記のような訴求を行うことで、購入検討ユーザーへの後押しをするための機能です。当然これらの機能を使えば売上も上がりやすいですが、同時にコストもかかるので、収支をシミュレーションした上で施策を実行しなくてはなりません。
◆キャンペーンの例
「送料無料」
「ポイント還元率アップ」
「まとめ買い割引」
「プレゼント」
「クーポン」
サイト訪問を促す機能(メルマガ・ステップメール等)
メルマガが代表的ですが、単にメールを送るだけでは開封率は期待できません。対象者を選定し、しかるべきタイミングにしかるべき内容のメールを対象商品が購入されるまで自動で送る段階的なメール機能を「ステップメール」と呼び、この機能が効果が高いためにEC事業者に重要視されています。
入荷お知らせ機能
在庫がないがどうしてもその商品が欲しいお客様に対して、メールアドレスを登録するだけで入荷され次第、メールでご案内する機能です。アドレスを登録している顧客のお知らせ機能からの購入率は高く、別のサイトへの流出を防ぐ効果もあります。
商品レビュー機能
画像引用先:ebisumartサポートサイト
消費者心理からするとお店以外のユーザーの口コミや評価が購入の後押しにつながるためレビュー機能の必要性は高まっています。商品レビュー機能とは、会員の評価点数やコメントをサイト上に掲載する機能です。
会員がレビューすることでポイントが付与される機能があれば投稿する会員も増え商品ページが充実し活性化します。ただし一つ注意点があり、会員が投稿し自動掲載されてしまうと、商品と無関係の内容がアップされるリスクがあります。そのため事業者による承認制で掲載を行えるものが望ましいです。レビューのコツに関しては下記のブログにまとめておりますので、下記の記事もご覧ください。
機能⑥分析機能
※画面はGoogle Analytics
リアルの店舗展開の販売よりも、ECシステムはデジタルの世界であり、アクセス数や購入数、購入者の属性などが分かるためにPDCA(Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善))を回しやすいです。
ECサイトで売上を高めていくには、実行した施策が何の要因で効果があったのか、さらに改善していくためには何が必要なのかを知らなくてはなりません。そのためには分析機能が必須です。
アクセス分析機能
PCサイトとスマホサイトのアクセス数、訪問者数、注文者数の集計の他、どのキーワードからの流入が多いのか、サイト内のどのページのアクセスが多いのかを分析できる機能です。PCとスマホのどちらに注力すべきか、売りたい商品のキーワードが伸びないのはなぜだろうか?などの問題を見つけるためにもアクセス分析機能は必要です。
ECシステムに付属のものもありますが、通常はGoogle AnalyticsなどのECシステムとは別の専用ツールが使われます。多くの分析ツールはタグをECサイトのページに埋め込むだけで使用できるので、特殊な連携開発などは必要ありません。
売上分析機能、顧客分析機能
「どの商品が何個売れているのか?」
「どんな客層が購入しているのか?」
このような単純な集計結果からでは、次の施策は計画しにくいです。様々な角度から分析を行い、また行った施策の結果を評価できないと効果的なPDCAを回すことができません。
集計を「商品」「会員」「受注」「期間」などの基軸で細かく集計ができることが必要です。過去の定期商品を購入している人の特徴を分析し、例えば下記のようなインサイトを分析します。
商品Aを買うユーザーは一緒に商品Bを買っている傾向がある。
商品A、Bのセット商品を開発したり、特別割引価格にしてみようなどの新たな施策を計画することもできます。さらに、その施策の結果も後日分析し改善を図っていくことがEC事業ならではで、評価がしやすく早く回せるPDCAなのです。
機能⑦システム連携機能
ECサイトは、企業が使うシステムの中でも最もアップデートや変更の多いシステムです。それを補うためにも、ECシステムは多くの外部システムと連携する必要があります。現在の多くのECシステムではAPI(Application Programming Interface)を通じて、比較的カンタンに相手先システムと連携をすることができます。
ひと昔前は、API連携はパッケージ以上のシステムしか対応しておりませんでしたが、昨今はASPシステムもAPI連携に対応するケースが多くなってきました。API連携については、下記の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
API連携は、費用をおさえて手軽に連携できるのがメリットですが、複雑な連携ができない点がデメリットととしてあります。その場合は、相手先システムとデータベース連携を実施ししますが、この開発規模感は数千万円以上となるため、大規模ECサイトの開発に限られます。
ECシステムの開発は、どこに任すべきか?
ECシステムの開発を、自社のITの面倒をみてくれている企業に依頼する企業も多いのですが、ECシステムの場合は注意点があります。もし、ECシステムの開発の依頼をする側も、開発をする側も、ECの経験が乏しければ、風変りなECシステムが出来上がってしまいます。
筆者の経験ですが、某ワインスクールでは、ECシステムの開発を馴染みのIT会社に依頼した結果、ECサイトに必須である「会員登録機能」がないECシステムが生まれてしまいました。この原因は、誰もECに詳しくなかったことが原因です。
このようなことにならないためにもECシステムの場合は、ECに特化したベンダー企業に開発を依頼すべきでしょう。特にEC業界は移り変わりが非常に早いため、EC独自のノウハウに精通したベンダーに開発を依頼すべきです。
ECシステムのまとめ
本日、ここまで挙げた機能は全体の中でも主要なものだけになります。商品や売り方、対象とする顧客によって、さらに必要な機能もあります。
またECにおいて必要な機能は年々増え、そして変化してきております。導入時には機能が豊富で、その時のニーズに応えられるものだとしても、数年後にはシステムが陳腐化してしまいます。下記リンクのebisumart(エビスマート)は、毎週新機能をアップデートし、常に最新化を保つことが可能なクラウドのシステムです。ECシステムをご検討の場合は、他社とともにご検討をお願いします。下記リンクより資料請求を行えます。
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